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論文

ステンレス鋼の亀裂先端における高温水中酸化に及ぼす荷重付与の影響

笠原 茂樹; 知見 康弘; 端 邦樹; 塙 悟史

材料と環境, 68(9), p.240 - 247, 2019/09

ステンレス鋼のBWR一次系水中環境助長割れ機構検討の一環として、荷重を付与したCT試験片を290$$^{circ}$$Cの高温水に浸漬し、疲労予亀裂先端近傍の酸化物を観察した。酸化物内層は、Fe, Ni, Crを含むスピネル構造の微細粒、外層はFe$$_{3}$$O$$_{4}$$の結晶粒であった。FEM解析によるCT試験片亀裂先端の応力、ひずみ分布との比較より、塑性変形に伴う転位と弾性ひずみの重畳によって酸化物内層の形成が促進されることが示唆された。

論文

Study on chemisorption model of cesium hydroxide onto stainless steel type 304

中島 邦久; 西岡 俊一郎; 鈴木 恵理子; 逢坂 正彦

Proceedings of 27th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-27) (Internet), 8 Pages, 2019/05

軽水炉シビアアクシデント時、ステンレス鋼(SS304)に化学吸着したセシウム量を推定するために、セシウム化学吸着モデルが構築されている。しかし、既存の化学吸着モデルは、実験結果をうまく再現することができていない。本研究では、化学反応を伴う気液系の物質移動理論(浸透説)を用いて既存モデルを修正することで、気相中の水酸化セシウム濃度やSS304中のケイ素濃度の影響を考慮したモデルを構築した。その結果、既存モデルを用いた場合よりも、本研究で得られた修正モデルの方が、実験データをより正確に再現できることが分かった。

報告書

加圧水型軽水炉炉内構造物用オーステナイト系ステンレス鋼の照射データに関する文献調査とデータ集の作成(受託研究)

笠原 茂樹; 福谷 耕司*; 藤本 浩二*; 藤井 克彦*; 知見 康弘

JAEA-Review 2018-013, 171 Pages, 2019/01

JAEA-Review-2018-013.pdf:6.89MB

軽水炉の炉内構造物については、構造材料であるオーステナイト系ステンレス鋼の中性子照射による経年劣化を評価・予測した上で、健全性評価を行う必要がある。そのためにはステンレス鋼の物性値の照射量依存性等の知見が不可欠である。照射材の物性の代表値や最確値等を議論するには既往データの整理が有効であり、その際、炉内構造物の使用条件が異なる加圧水型軽水炉(PWR)と沸騰水型軽水炉を明確に区別し取り扱うことが重要である。本調査では、照射ステンレス鋼の材料特性を評価した公開文献を網羅的に収集し、データ集を作成した。作成にあたっては、PWRに相応する温度や中性子照射等の条件をスクリーニングの基準として照射データを抽出するとともに、化学成分, 加工熱処理等の材料条件, 照射条件及び試験条件を調査した。これらのデータを物性値ごとにデータシートへ収録し、データ集として整備した。

報告書

沸騰水型軽水炉炉内構造物用オーステナイト系ステンレス鋼の照射データに関する文献調査とデータ集の作成(受託研究)

笠原 茂樹; 福谷 耕司*; 越石 正人*; 藤井 克彦*; 知見 康弘

JAEA-Review 2018-012, 180 Pages, 2018/11

JAEA-Review-2018-012.pdf:10.71MB

軽水炉の炉内構造物については、構造材料であるオーステナイト系ステンレス鋼の中性子照射による経年劣化を評価・予測した上で、健全性評価を行う必要がある。そのためにはステンレス鋼の物性値の照射量依存性等の知見が不可欠である。照射材の物性の代表値や最確値等を議論するには既往データの整理が有効であり、その際、炉内構造物の使用条件が異なる沸騰水型軽水炉(BWR)と加圧水型軽水炉を明確に区別し取り扱うことが重要である。本調査では、照射ステンレス鋼の材料特性を評価した公開文献を網羅的に収集し、データ集を作成した。作成にあたっては、BWRに相応する温度や中性子照射等の条件をスクリーニングの基準として照射データを抽出するとともに、化学成分, 加工熱処理等の材料条件, 照射条件及び試験条件を調査した。これらのデータを物性値ごとにデータシートへ収録し、データ集として整備した。

論文

ステンレス鋼-B$$_{4}$$C溶融混合物の系統的な粘度測定を目指したニッケルおよびステンレス鋼の粘度測定

小久保 宏紀*; 西 剛史*; 太田 弘道*; 山野 秀将

日本金属学会誌, 82(10), p.400 - 402, 2018/09

 パーセンタイル:100(Metallurgy & Metallurgical Engineering)

ナトリウム冷却高速炉のシビアアクシデント評価手法の改良のため、ステンレス鋼と炭化ホウ素(SUS316L+B$$_{4}$$C合金)で構成される溶融混合物の粘度を取得することは重要である。本研究では、最初の段階として粘度計測装置の性能確認のため、溶融ニッケル(Ni)とステンレス鋼(SUS316L)の粘度を、るつぼ回転振動法により計測することにした。溶融NiとSUS316Lの粘度は1823Kまでを測定した。測定値のバラつきから、溶融NiとSUS316Lの測定誤差はそれぞれ$$pm$$4%と$$pm$$3%であった。また、溶融NiとSUS316Lの測定値は同様の組成をもつ文献値に近いことが分かった。さらに、SUS316L-B$$_{4}$$C合金の粘度も暫定的に計測できた。本研究によりNiとSUS316Lの粘度のフィッテイング式を得た。

論文

高温高純度水中におけるステンレス鋼のすき間内溶液導電率のIn-situ分析

相馬 康孝; 小松 篤史; 上野 文義

材料と環境, 67(9), p.381 - 385, 2018/09

高温高圧高純度水中におけるステンレス鋼のすき間内で発生する局部腐食現象のメカニズムを解明するため、すき間内溶液の電気伝導率をIn-situ測定する手法(センサー)を開発し、すき間内環境と局部腐食との関係を分析した。センサーは、高純度アルミナで絶縁した直径約250$$mu$$mのステンレス鋼製電極をすき間形成材に埋め込み、電気化学インピーダンス法により、電極直下における局部的な溶液の電気伝導率、$$kappa$$$$_{crev}$$を取得するものである。SUS316Lステンレス鋼のテーパー付きすき間内に複数のセンサーを設置し、温度288$$^{circ}$$C、圧力8MPa、純酸素飽和した高純度水中において、$$kappa$$$$_{crev}$$の時間変化を100h計測した。すき間幅約59.3$$mu$$mの位置では$$kappa$$$$_{crev}$$は8-11$$mu$$S/cmであり、試験後に局部腐食は見られなかった。一方、すき間幅約4.4$$mu$$mの位置における$$kappa$$$$_{crev}$$は、実験開始直後から上昇を続け、約70hで最大値約1600$$mu$$S/cmを示し、試験後にこの位置近傍で粒界を起点とした局部腐食が発生したことを確認した。$$kappa$$$$_{crev}$$の最大値約1600$$mu$$S/cmは熱力学平衡計算によりpH約3-3.7に相当した。以上のことから、バルク水が高純度であってもすき間内においては溶液の酸性化が進行し、その結果、局部腐食が発生したと結論された。

論文

Effect of welding on gigacycle fatigue strength of austenitic stainless steels

直江 崇; 涌井 隆; 粉川 広行; 若井 栄一; 羽賀 勝洋; 高田 弘

Advanced Experimental Mechanics, 3, p.123 - 128, 2018/08

核破砕中性子源水銀ターゲット容器は、SUS316L製であり、TIG溶接により製作される。運転中には、陽子線励起圧力はによって、約50s$$^{-1}$$の高ひずみ速度で約10$$^9$$回の繰返し負荷を受ける。本研究では、SUS316L及びその溶接材のギガサイクル領域における疲労強度を超音波疲労試験により調査した。その結果、母材では10$$^9$$回までに明確な疲労限度は観測されなかった。一方、浸透探傷検査により欠陥が観測されなかった溶接材では、応力集中部である試験片中央部に溶接部を配置した試験片において、溶接ビード及び裏波を除去した場合は、母材よりも疲労強度が高くなる傾向が見られた。一方、溶接ビード及び裏波を除去しない場合は、溶接止端部への応力集中により、母材と比較して著しい疲労強度の低下が観測された。

論文

酸素飽和高温高純度水中におけるSUS316Lステンレス鋼すき間内の局部腐食

相馬 康孝; 上野 文義

材料と環境, 67(5), p.222 - 228, 2018/05

溶存酸素濃度約32ppm、温度288$$^{circ}$$Cの高純度水中に100h浸漬したSUS316Lステンレス鋼のすき間内における局部腐食現象を詳細に分析した。テーパーのついたすき間内において、すき間先端部側(すき間幅十数$$mu$$m以下)の領域において、粒界、および介在物を起点とした局部腐食が発生した。前者は、粒界に沿って発生し、粒内にも腐食が進行した。粒内では腐食がまだら状に進行し、腐食生成物であるFeCr$$_{2}$$O$$_{4}$$に相当する組成の酸化物と残存金属相が混在する組織を示した。後者は、CaとSを含む介在物を中心として円形に発生し、腐食生成物としてFeCr$$_{2}$$O$$_{4}$$に相当する組成の酸化物が生成した。これらの局部腐食現象はすき間先端側の酸素枯渇域に集中して発生し、より開口側に近い酸素到達域では発生しなかった。局部腐食発生域と非発生域の分布から、すき間内におけるアノードとカソードの分離が示唆された。

論文

汚染水処理二次廃棄物保管容器の健全性に関する調査

飯田 芳久; 中土井 康真; 山口 徹治

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 24(1), p.53 - 64, 2017/06

東京電力福島第一原子力発電所において発生する汚染水処理二次廃棄物の長期的な保管のための技術的知見を蓄積することを目的として、東京電力から発表されている情報を汚染水処理二次廃棄物管理の観点でとりまとめた。そして、長期保管に際する保管容器の健全性に対する懸案事項として、塩化物イオン共存および放射線下でのステンレス鋼製容器の腐食、酸性条件および活性炭共存下でのステンレス鋼製容器の腐食、およびスラリーを収納した高性能容器(HIC)の放射線劣化を抽出した。

論文

Effect of dissolved gas on mechanical property of sheath material of mineral insulated cables under high temperature and pressure water

武内 伴照; 中野 寛子; 上原 聡明; 土谷 邦彦

Nuclear Materials and Energy (Internet), 9, p.451 - 454, 2016/12

 被引用回数:1 パーセンタイル:76.09(Nuclear Science & Technology)

無機絶縁(MI)ケーブルは、耐熱性,絶縁性及び機械的強度に優れ、原子力用計測機器の計測線として使用されている。日本が提案する核融合炉ブランケットは高温高圧水で冷却する方式であるが、軽水炉及び核融合炉の運転時には、水の放射線分解により、溶存ガス量が変化し、シース材に影響を与えることが懸念されている。本研究は、シース材としてSUS304及びSUS316を選定し、高温高圧水中の溶存酸素,水素及び窒素量の変化による機械的特性への影響をSSRT試験により調べた。まず、PWRの高温高圧水環境下325$$^{circ}$$C$$times$$15MPaで溶存酸素量約6ppmの条件下において、ひずみ速度の影響を調べた。その結果、両鋼材ともに、ひずみ速度が遅いほうが引張強度が高かった。一方、溶存窒素量約20ppm程度の試験では、ひずみ速度が遅いほうが引張強度は低く、破断伸びが小さかった。破断面のSEM観察を行ったところ、試料表面部に脆性的破面が見られ、その表面深さは、ひずみ速度が遅いもの、すなわち高溶存窒素環境をより長時間経験した試料のほうが深かった。さらに、窒素に加えて溶存水素量を約50ppbにして行った試験では、窒素単独時よりもわずかに脆性破面率が高く、引張強度が低かった。以上から、高温高圧水環境において、溶存水素とともに、溶存窒素もステンレス鋼の機械的特性に影響を与えることが分かった。

論文

高温水中におけるバルク水溶存酸素濃度変化時のステンレス鋼すき間内電位および導電率の応答挙動

相馬 康孝; 加藤 千明; 上野 文義

腐食防食協会第63回材料と環境討論会講演集, p.253 - 256, 2016/10

軽水炉構造材である低炭素ステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)内部においては、主き裂とは別に粒界および粒内腐食が観察される。このことから、高温高圧水中におけるステンレス鋼のすき間構造部においては外界よりも厳しい腐食環境が形成され、それがき裂の進展に寄与する可能性がある。われわれは前報において、SUS316Lステンレス鋼の人工すき間内に小型のセンサーを設置し、局部的溶液導電率$$kappa$$を調べたところ、すき間ギャップが十分小さい場合、$$kappa$$は外部環境(バルク水)より100倍以上の値を示すことが分かった。一方で、前報では溶存酸素濃度は純酸素飽和条件で一定としたため、すき間内環境の形成に及ぼす溶存酸素の影響は不明である。そこで本研究においては、バルク水の溶存酸素濃度を周期的に時間変化させ、その際のすき間内における導電率の応答挙動をIn-situ分析することで、すき間内環境に及ぼす溶存酸素の影響を考察した。その結果、バルク水を脱気状態から酸素飽和状態に変化させた場合、すき間内部の溶液導電率が最大で10倍以上となった。このことから、溶存酸素がすき間環境を形成する要因であると考えられた。

論文

Benchmark analyses of probabilistic fracture mechanics for cast stainless steel pipe

北条 公伸*; 林 翔太郎*; 西 亘*; 釜谷 昌幸*; 勝山 仁哉; 眞崎 浩一*; 永井 政貴*; 岡本 年樹*; 高田 泰和*; 吉村 忍*

Mechanical Engineering Journal (Internet), 3(4), p.16-00083_1 - 16-00083_16, 2016/08

鋳造ステンレス鋼に対する非破壊検査が計画されているが、鋳造ステンレス鋼のような二相ステンレス鋼では、超音波の低い透過性などの理由から、許容欠陥寸法が定められていない。鋳造ステンレス鋼の許容欠陥寸法を合理的に決定するためには、確率論的破壊力学(PFM)は有用である。本研究では、鋳造ステンレス鋼配管を対象に、PFM解析コードの適用性や信頼性に係るベンチマーク問題を提案した。破損モードとしては、疲労亀裂進展、塑性崩壊、及び延性亀裂進展を考慮し、それらの相互作用を考慮した条件でPFM解析を行った。6機関が参加して実施されたベンチマーク解析による破損確率の比較を行った。その結果、各機関で様々なPFM解析コードで得られた破損確率はよく一致し、鋳造ステンレス鋼配管に対するPFMの適用性が確認された。

論文

Presence of $$varepsilon$$-martensite as an intermediate phase during the strain-induced transformation of SUS304 stainless steel

秦野 正治*; 久保田 佳基*; 菖蒲 敬久; 森 茂生*

Philosophical Magazine Letters, 96(6), p.220 - 227, 2016/06

 被引用回数:3 パーセンタイル:58.98(Materials Science, Multidisciplinary)

さびにくい鉄鋼材料として原子炉シュラウドをはじめ最も実用材料として使用されているステンレス鋼SUS304の加工誘起マルテンサイト変態における中間相として六方晶$$varepsilon$$相が出現することを明らかにした。SUS304に応力を加えると結晶構造が変わり、強度や延性が向上することが知られているが、機械的性質のさらなる向上のためには、この相変態のプロセスを解明することが大変重要である。本研究ではSPring-8の高輝度放射光を用いることにより、「室温において」今までないとされてきた中間相とその応力依存性を観測、さらに、ローレンツ透過電子顕微鏡観察により、結晶粒界面に生成した中間相を介して新しい相に変態する全く別のプロセスの存在を明らかにした。

論文

高レベル放射性廃液模擬環境でのステンレス鋼腐食に及ぼす減圧沸騰の影響

入澤 恵理子; 上野 文義; 加藤 千明; 阿部 仁

材料と環境, 65(4), p.134 - 137, 2016/04

使用済核燃料再処理施設の高レベル廃液濃縮缶の運転環境を模擬した試験を行い、酸化性金属イオンを含む硝酸溶液中のステンレス鋼腐食に及ぼす沸騰の影響について評価した。浸漬腐食試験の結果から、同じ溶液温度において、大気圧下の非沸騰溶液中よりも減圧し沸騰させた溶液中の方が腐食速度が大きくなることがわかった。さらに、分極曲線からも、沸騰により腐食電位が貴側へ移行し、カソード分極曲線の電流密度が上昇することを確認した。以上より、同一温度において、減圧沸騰により腐食が加速されることを確認した。

論文

オーステナイト系ステンレス鋼の中性子照射による磁気特性変化に関する研究

根本 義之; 大石 誠; 伊藤 正泰; 加治 芳行; 欅田 理*

保全学, 14(4), p.83 - 90, 2016/01

これまで中性子照射したオーステナイトステンレス合金の照射誘起応力腐食割れ(IASCC)感受性と、渦電流法,交流磁化法で測定した磁気データの間に相関性があることを報告してきた。この相関性のメカニズムを検討するため、本研究では当該試験片の微細組織観察を行い、結晶粒界に沿った強磁性のパーマロイ(FeNi$$_{3}$$)の生成を確認した。この結果から照射による磁気特性変化の原因は結晶粒界での照射誘起の磁性相生成によるものであり、IASCC感受性と磁気データの相関に関連しているものと考えられる。また高感度,高位置分解能の新規センサープローブの開発を行い、SUS304オーステナイトステンレス鋼照射材の磁気測定に適用した。SUS304の試験片には照射前からフェライト相が存在していたため、照射後の材料の磁気測定に悪影響を及ぼす可能性が懸念されたが、実験結果においては照射量に依存した磁気データの上昇が捉えられた。そのため本研究で開発した磁気測定の技術は照射前からフェライト相を含むオーステナイトステンレス鋼照射材にも適用可能であることが示されたと考えられる。

論文

Gigacycle fatigue behaviour of austenitic stainless steels used for mercury target vessels

直江 崇; Xiong, Z.; 二川 正敏

Journal of Nuclear Materials, 468, p.331 - 338, 2016/01

BB2014-2666.pdf:0.65MB

 被引用回数:6 パーセンタイル:17.95(Materials Science, Multidisciplinary)

パルス核破砕中性子源の水銀ターゲット容器は陽子及び中性子による照射損傷に加えて、陽子線励起圧力波により繰返し衝撃荷重を受ける。J-PARCの水銀ターゲット容器では、ひずみ速度約50s$$^{-1}$$で2億回を超える衝撃荷重を受ける。本研究では、高ひずみ速度下における超高サイクル領域の疲労強度について調べるために、容器構造材であるSUS316L(SA材)及び照射効果を模擬したSUS316Lの冷間圧延材(CW材)に対して、10$$^9$$回までの疲労試験を超音波疲労試験法により実施した。その結果、SA, CW材共に高ひずみ速度では通常の疲労疲労試験と比較して疲労強度が高くなることが分かった。また、10$$^7$$回以上の超高サイクル領域では、通常の疲労限度以下の荷重で疲労破壊が生じることを明らかにした。

論文

$$gamma$$線照射下における希釈海水を含むゼオライト中ステンレス鋼の局部腐食挙動

加藤 千明; 佐藤 智徳; 中野 純一; 上野 文義; 山岸 功; 山本 正弘

日本原子力学会和文論文誌, 14(3), p.181 - 188, 2015/09

福島第一原子力発電所事故の汚染水処理に用いた使用済み吸着塔の局部腐食発生条件に関する基礎的検討として、$$gamma$$線照射下における人工海水を含んだゼオライト中のステンレス鋼(SUS316L)の電気化学試験を行った。ステンレス鋼の自然浸漬電位は$$gamma$$線照射により貴化し、吸収線量率の増加に従いその定常自然浸漬電位が上昇した。一方、ゼオライト共存系では$$gamma$$線照射下の電位上昇が抑制された。この電位上昇は、主に放射線分解で生じるH$$_{2}$$O$$_{2}$$濃度の増加によるものであることを明らにした。ゼオライトは$$gamma$$線照射により生成するH$$_{2}$$O$$_{2}$$を分解し、その電位上昇が抑制されることを明らかにした。ステンレス鋼の局部腐食発生電位は、照射の有無、ゼオライトの種類や接触により大きく変化しないことから、ゼオライト共存は$$gamma$$線照射下において定常自然浸漬電位を低下させ、局部腐食発生リスクを低減できることが期待できることを明らかにした。

論文

二相ステンレス鋼の腐食反応の走査型電気化学顕微鏡観察

青木 聡; 谷口 友美*; 酒井 潤一*

材料と環境, 64(9), p.414 - 420, 2015/09

本研究は、走査型電気化学顕微鏡(SECM)を用いて、二相ステンレス鋼(DSS)を構成するフェライト相およびオーステナイト相上における腐食反応をそれぞれ個別にin-situ観察し、DSSの腐食電位(約-0.15V vs.SHE)における優先溶解機構を解明することを目的とした。腐食電位においてフェライト相、オーステナイト相直上に、プローブ電極を固定し、プローブ電極の電位を-0.10Vから貴方向へ電位掃引速度20mV/sで1.4Vまで掃引し、プローブ電流値を測定した。プローブ電位が0-0.70Vの領域では、プローブ電極上で水素の酸化反応が起こったことによるアノード電流が検出され、この電流値はフェライト相上に比べオーステナイト相上でより大きかった。プローブ電位が0.70-1.2Vの領域では、二価の鉄イオンが三価の鉄イオンに酸化されたことによるアノード電流が検出され、この電流値はオーステナイト相上に比べフェライト相上でより大きかった。DSSは腐食電位においてフェライト相が優先的に溶解していた。これらの結果から、DSSの腐食電位における優先溶解機構モデルを各相の内部分極曲線を用いて提案した。

論文

ステンレス鋼の耐発銹性に及ぼす不働態皮膜の安定度の影響

富士 浩行*; 青木 聡; 石井 知洋*; 酒井 潤一*

材料と環境, 64(5), p.178 - 182, 2015/05

本研究は発銹の前駆過程である不働態皮膜の破壊に着目し、耐発銹性に及ぼす不働態皮膜の安定度の影響を明らかにすることを目的とした。12ヶ月間大気曝露試験を行った。不働態皮膜の安定度を比較するために、酸性塩化物水溶液中において電位衰退曲線測定および定電位分極試験を行った。その結果、オーステナイトステンレス鋼はフェライトステンレス鋼と比較して高い発銹面積率を示した。この序列は鋼種間の孔食電位や表面に存在する介在物の密度の序列と一致しなかった。それに対して、ステンレス鋼の耐発銹性と不働態皮膜の安定度の序列は一致した。オーステナイトステンレス鋼の耐発銹性がフェライトステンレス鋼よりも劣る要因として、不働態皮膜が塩化物によって破壊されやすく、不働態皮膜の破壊に伴い形成されたミクロピットが発銹の起点となり、発銹部の密度を高めていることが考えられる。

論文

電気化学インピーダンス法を用いた支持電解質添加のない高温・高圧水中における腐食環境評価

佐藤 智徳; 山本 正弘; 塚田 隆; 加藤 千明

材料と環境, 64(3), p.91 - 97, 2015/03

沸騰水型軽水炉(BWR)一次冷却系の冷却水は、水質管理により高純度な水質が維持される。さらに、水の放射線分解により生成される過酸化水素が酸化剤種として存在している。そこで、このような高温水中でのステンレス鋼のさらされている腐食環境を評価するため、支持電解質を添加せず、過酸化水素のみを添加した高温純水中に浸漬させたステンレス鋼の電気化学インピーダンス測定を実施した。過酸化水素の濃度条件を変えて測定した結果、測定された電気化学インピーダンスに顕著な変化が確認された。取得した結果の等価回路解析により、溶液抵抗、分極抵抗を同定した。同定された溶液抵抗をもとに、作用極と対極間の電流線分布に関して3次元有限要素法による解析を実施し、セル定数の補正を実施した結果、導電率として4.4$$times$$10$$^{-6}$$S/cmが取得された。過酸化水素濃度を変化させた時の分極抵抗の変化から、分極抵抗の逆数が過酸化水素濃度の一次関数となることが示された。これは、ステンレス鋼表面の腐食電流が過酸化水素の拡散限界電流により決定されていることを示している。過酸化水素の高温水中での拡散係数の同定を実施した結果、1.5$$times$$10$$^{-4}$$cm$$^{2}$$/sが取得された。これは沸騰水型軽水炉条件における過酸化水素の拡散係数として従来用いられた酸素の高温水中での拡散係数の約2倍となった。

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