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神谷 富裕; 及川 将一*; 大島 武; 平尾 敏雄; Lee, K. K.; 小野田 忍*; Laird, J. S.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 210, p.206 - 210, 2003/09
被引用回数:1 パーセンタイル:12.46(Instruments & Instrumentation)原研高崎の重イオンマイクロビーム・シングルイオンヒットシステムでは、宇宙空間における半導体素子のシングルイベント効果(SEU)の研究を目的として、微小半導体素子におけるシングルイオン誘起過渡電流特性の評価が行われている。このような測定では、微小領域に繰り返し入射される高エネルギー重イオンによる物質の照射損傷の影響が問題となる。しかし、入射イオンの個数を制御し、照射損傷の領域をmレベルで限定できるシングルイオンヒット技術により、シングルイオン入射により生成された電荷がいかなる空間的広がりにおいて収集されるかを知ることも可能である。実験では試験素子である炭化珪素P型PNダイオードの径1mの領域に12MeV Niイオンを1個ずつ連続して照射し、過渡電流波形を計測した。その結果、シングルイオンの入射毎に連続してパルス波高及び収集電荷量が減衰するのが観測された。これはこの領域への1イオン入射による全ての電荷収集過程がそれまでの入射によって蓄積された照射損傷の影響を全て受けているためであると考えられる。これにより電荷収集過程は、横方向には1mあるいはそれ以上の広がりをもつことが予測される。今回はこの現象と、イオンの飛程及び素子の空亡層の厚みとの関係について考察する。