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岸本 浩; 白井 浩
Proceedings of 3rd International Sakharov Conference on Physics, p.185 - 200, 2003/00
核融合を利用したエネルギー開発は、大型トカマクからITERへ、さらに原型炉へと展望が拡がる時期にさしかかっており、将来を見据えた先進的なトカマク運転の研究が精力的に進んでいる。先進トカマク運転では、プラズマ内部に形成される内部輸送障壁 (ITB) の積極的な利用を中心に据えている。ITBでは静電揺動が顕著に抑制されるため熱輸送が減少する。これによりエネルギー閉じ込め性能が飛躍的に改善し、核融合エネルギー増倍率は1.25に達した。ITBにおける強い圧力勾配は、ブートストラップ電流と呼ばれる自発電流を生成し、JT-60では既に全電流の80%を自発電流で生成するプラズマも得ている。このことにより、従来電磁誘導でプラズマ電流を生成するためパルス運転にならざるをえないとされてきたトカマク運転に、連続運転への道を開いた。ITB を有する先進運転では、長時間にわたり高プラズマ圧力を維持する必要があるため、MHD不安定性が懸念されているが、外部電流駆動による電流分布制御やプラズマ表面近傍に設置したコイルにより、抑制する手法が開発されている。核燃焼実験を実施するITERでは、高プラズマ圧力により自己形成するプラズマの密度・温度分布と電流分布を、少ない外部入力で制御することが重要な課題である。
谷 啓二; 安積 正史; 滝塚 知典
Fusion Technology, 18, p.625 - 632, 1990/12
主半径膨張に伴う粒子閉じ込めの劣化を利用する、核燃焼プラズマの受動制御方法について、1.5次元輸送コードを用いてその可能性を示した。輸送コードでは、軌道追跡モンテカルロコードによる粒子のリップル損失の結果から、損失のスケーリング則を見出し、これを用いた。解析の結果、受動制御では、5%を越える主半径膨張と、20%を越える粒子損失が必要であることがわかった。また、受動制御と、リップルの帰還制御を組み合わせたハイブリッド制御が、核燃焼制御に対して非常に有効であることが示された。ハイブリッド制御では、主半径膨張は2~3%、制御リップルは、1%程度しか必要でなく、粒子の損失も15%以上でよいことがわかった。