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芦田 敬
PNC TN8600 92-007, 77 Pages, 1992/02
本報告書は、1991年3月から7月までの間、動燃事業団とベルギー・モル研究所との共同研究の一環としてベルギー・モル研究所において実施した核種移行試験の成果をまとめたものである。地下試験施設において1988年から継続しているトリチウム移行試験のサンプリング及び分析を実施し、計算コードを用いた解析結果との比較を行った。その結果、解析結果と実験値は良い一致を示していた。また、地上試験施設において、2種類の東濃鉱山の砂岩(垂直方向コアと水平方向コア)を用いて収着性核種(SUP134/Cs)の遅延係数測定試験を開始した。出張期間中は、遅延係数の取得までは至らず、トリチウムを用いた透水係数の測定で終了した。2種類の砂岩の透水係数を比較すると、水平方向コアのほうが垂直方向コアよりも約2倍大きな値であり、岩石の異方性が見られた。モル研究所は、トレーサとして放射性核種を使用できる地下試験設備を有しているので、今後とも共同研究を継続して貴重なデータを取得する必要があると考える。
向井 雅之; 武部 愼一; 古宮 友和; 神山 秀雄
JAERI-M 91-100, 17 Pages, 1991/07
低レベル放射性廃棄物処分施設より漏出した核種の環境中移行シナリオの一つとして、地表水による移行経路があり重要である。このため、放射性核種を含んだ汚染水が緩い斜面を下流する状況を模擬した地表面核種移行試験を進めている。本報では、浸透拘束条件下の地表面における水理状況に応じた核種吸着状況を把握するための試験を行い、地表流の流量と流下時間を組み合わせた試験条件で流出液中核種濃度の経時変化と土壌吸着濃度分布を求めた。流出液中核種濃度は、経過時間によらずほぼ一定で、流量が少ないほど減少した。土壌吸着濃度は、急激に濃度が減少する流入口付近と、それ以降の濃度がほとんど変わらない部分の2つからなる特徴的な分布を示した。この分布は、地表流の流動は拡散を2次元、移流に鉛直流速分布を与え、吸着を1次吸着反応式で表したモデルで大局的に近似することができた。
山本 忠利; 武部 愼一; 小川 弘道; 田中 忠夫; 向井 雅之; 古宮 友和; 横本 誠一*; 和達 嘉樹
JAERI-M 89-189, 18 Pages, 1989/11
低レベル放射性廃棄物最終貯蔵予定地より未攪乱状態で採取した4種類の通気層土壌試料を用いて、降水模擬条件での核種移行試験を行った。流出液中のSr、Csは検出限界以下で、Coは10~10Ci/mlの小さな値であった。土壌中の核種移行は表面では指数関数的な濃度減少を示し、イオン形で吸着した。深部では穏やかな濃度減少を示し、核種及び土壌の種類により非イオン形の移行が異なった。さらに表面付近の濃度分布から、遅延係数を計算し、10~10の大きな値を得た。これら土壌は大きな保持能力を有することを確認した。一方低濃度部分については高濃度部分の値に比べて1~2桁小さな値を示した。放射性汚染水による試験と比較したところ、表面では遅延係数が多少異なった。一方深部ではローム層上部でCoの僅かに大きな遅延係数が認められた。
山本 忠利; 武部 愼一; 小川 弘道; 田中 忠夫; 向井 雅之; 古宮 友和; 横本 誠一*; 和達 嘉樹
JAERI-M 89-144, 23 Pages, 1989/10
低レベル放射性廃棄物最終貯蔵予定地より未撹乱状態で採取した4種類の土壌試料(ローム層上部、下部、砂層、凝灰質層)を用いて、実験室規模での核種移行試験を行った。流出液中の核種濃度はいずれの土壌においても、Sr、Csは検出限界以下で、流出したCoにおいても510Ci/mlの小さな値であった。土壌中の核種移行は、高濃度部分では土壌の種類に依らず、各核種の大部分が土壌表面付近に吸着したのに対して、低濃度部分では深部まで移行した。特にローム層上部でのCoの移行が大きかった。核種による土壌中移行分布の違いは、核種の化学形および土壌の種類の双方に依るものと考えられる。さらに核種の遅延係数をイオン形での移行が支配的である高濃度部分から計算し、10~10オーダの大きな遅延係数を得た。こられ土壌が大きな保持能力を有することが確認された。一方、低濃度部分については、非イオン形での移動が関与し、高濃度部分の値に比べて1~2桁小さな値を示した。