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長澤 尚胤; 金田 綾子*; 金澤 進一*; 八木 敏明; 三友 宏志*; 吉井 文男; 玉田 正男
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 236(1-4), p.611 - 616, 2005/07
被引用回数:80 パーセンタイル:97.87(Instruments & Instrumentation)生分解性のポリ乳酸は硬く、透明性のよい樹脂であるが、ガラス転移温度60C以上で変形が起きるため、耐熱性の改善が急務である。これを改善するには橋かけ構造の導入が有効であるため、反応性の多官能性モノマーについて検討した結果、トリアリルイソシアヌレートが橋かけに最も有効であることを見いだした。照射橋かけにより耐熱性が向上したポリ乳酸は、融点(160C)以上でも融解しないことから熱収縮チューブへの応用を可能にした。また、橋かけPLAは結晶化が起こらないため熱湯を注いでも透明性を保持しており、食器類への応用が期待できる。
八木 敏明
第14回放射線利用技術セミナー; 広がる放射線の産業利用講演テキスト, p.67 - 72, 2004/10
生分解性プラスチックは、通常の使用に耐え、使用後は土壌中の微生物によって分解する環境に優しい高分子である。放射線橋かけが難しい生分解性プラスチック(ポリ乳酸など)や天然高分子の多糖類(デンプン,セルロース,キチン・キトサンなど)について、放射線による橋かけ構造を導入する技術開発を行った。ポリ乳酸は放射線橋かけにより、高温(160C以上)にも耐える耐熱性が得られ、熱収縮材への応用が可能である。また、デンプンやセルロースなどは放射線橋かけにより、高吸水性多糖類ゲルが得られ、医療・福祉,農業,衛生用品などへの応用が期待できる。
吉井 文男
原子力システムニュース, 15(2), p.31 - 37, 2004/09
最近技術移転した3つの製品について紹介する。(1)セルロースの誘導体であるカルボキシメチルセルロース(CMC)が濃度10%以上のペースト状照射により橋かけ反応を起こすことを見いだした。そのゲルを充填したマットが床ずれ防止に有効であることを実証し、民間企業が昨年の5月から販売を開始した。(2)橋かけ助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を添加したポリ乳酸は、30kGyの比較的に低線量で橋かけし、耐熱性が向上したため、熱収縮チューブに応用できた。(3)ポリビニルアルコールを主成分とする電子線橋かけハイドロゲルが創傷被覆材に有効であることをゲル物性測定や臨床試験から明らかにし、実用化した。
吉井 文男
防菌防黴誌, 32(8), p.405 - 412, 2004/08
生分解性材料は、資源循環型材料として今後ますます研究が進み実用化が盛んになると期待している。放射線橋かけは、室温の照射によリ高分子材料を改質できるため、環境に調和した材料開発に有効な技術である。本報告では、放射線橋かけが難しい生分解性プラスチックと多糖類に橋かけ構造を導入する技術開発を行い、以下の事実を見いだした。(1)ポリブチレンサクシネート(PBS)は無機物(活性炭や二酸化ケイ素)の添加により、橋かけ効率の向上と生分解性が促進できた。(2)PBSはトリメタアリルイソシアンレートの1%という極めて低い濃度により効果的に橋かけ反応が起き、耐熱性が著しく改善できた。(3)ポリ乳酸は、トリアリルイソシアンレートの添加により橋かけが効果的に起き、耐熱性が向上し、熱収縮材に応用できた。(4)天然高分子では、多糖類誘導体のカルボキシメチルセルロースやカルボキシメチルキトサンがペースト状で効果的に放射線橋かけ反応が起き、医療・福祉の分野や環境保全材料への応用が可能になった。
幕内 恵三
ポリマーダイジェスト, 51(3), p.81 - 98, 1999/03
放射線加工のなかでもっとも実用化の進んでいるプラスチックの放射線橋かけについて、応用の基礎となるプラスチックの放射線橋かけによる物性変化をレビューし、次いで放射線橋かけの御三家といえる電線・ケーブル、発泡体、熱収縮チューブの現状をまとめ、放射線橋かけによるプラスチックの物性変化では、実用上重要な機械的性質、熱的性質、電気的性質、化学的性質などの変化を解説した。各分野の現状及び動向を見た後、リサイクルできる橋かけ製品の開発と生分解性プラスチックの放射線橋かけについて将来を展望した。
梶 加名子; 阿部 義則*; 村井 正樹*; 西岡 昇*; 小佐井 興一*
Journal of Applied Polymer Science, 47, p.1427 - 1438, 1993/00
被引用回数:25 パーセンタイル:72.07(Polymer Science)最近になって市場に出始め、単材あるいは複合材料として産業資材分野への利用が期待されている高性能繊維材料である超高分子量、高強力ポリエチレン繊維への電子線を用いるアクリル酸の前照射グラフト重合を行い、グラフト重合挙動を検討すると共に熱安定性の付与をはかった。グラフト重合挙動は従来の高密度ポリエチレン繊維やフィルムと本質的に異ならないが、原繊維のもつ高強力を保持するためには前照射線量は1Mrad程度の小線量が望ましいことを明らかにした。又原繊維は最大収縮率約90%150C附近で溶融切断してしまうがアクリル酸をグラフト後Ca塩に転換することにより収縮率10%程度300Cになっても溶融切断しない高強力繊維が得られた。
吉田 勝; 大道 英樹; 片貝 良一*
Polym. J., 25(2), p.215 - 217, 1993/00
被引用回数:8 パーセンタイル:39.34(Polymer Science)側鎖に各種アミノ酸をもつメタクリロイルモノマーを合成し、放射線重合によってゲルを得た。これらのゲルは低温で膨潤し、高温で収縮するという可逆的な温度応答性を示した。また、側鎖アミノ酸の種類及びカルボキシ保護基のアルキル基のサイズによっては、収縮状態から非可逆的な膨潤をおこすことも見出した。このような非可逆過程をおこす臨界の温度を調べた。
幕内 恵三
Radioisotopes, 40(7), P. 55, 1991/07
電線・ケーブル、発泡プラスチック、熱収縮チューブラジアルタイヤなどへの放射線橋かけ反応の応用に関する最近の文献、10報を紹介した。
三井 光
材料技術, 3(8), p.365 - 370, 1985/00
高分子材料の放射線橋かけ改質について、工業プロセスと関連する高分子の実用性の変化を中心に解説した。先ず、高分子に放射線を照射したときの主な化学反応である橋かけと分解について、ポリエチレンを例にして説明した。続いて、電線被覆材料の耐熱化プロセスで使われているポリエチレンとポリ塩化ビニル、および最近注目されているエチレンープロピレンゴムの放射線橋かけによる実用物性の変化について解説した。さらに、発砲ポリエチレンおよび熱収縮材料の製造プロセスに利用されている素材の性質について説明し、最後にタイヤ用ゴムの前加硫(部分橋かけ)について簡単に触れた。
石崎 寛治郎*; 土尻 滋; 田村 保彦*; 本田 忠博*; 森山 昇; 浅見 晃*; 峯岸 敬一*; 和達 嘉樹; 荒木 邦夫; 天野 恕
JAERI-M 9263, 22 Pages, 1981/01
原研と秩父セメント(株)で共同開発したPIC容器の放射性廃棄物プラスチック固化体への適応性を、主として、耐熱性、遮蔽性の面から検討した。その結果、(1)PIC容器は十分な耐熱性を有している、(2)PIC容器のビルドアップ係数はMXで近似できる、(3)輸送基準を満足する200lPIC容器の最大放射能収納量は140mCiであり、原子力発電所から発生する主な廃棄物である濃縮廃液、粒状樹脂および凝縮水浄化系脱塩器の器の粉状樹脂については、その均一固化体の輸送容器として使用できることが判明した。