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海老原 健一; 関根 大貴*; 崎山 裕嗣*; 高橋 淳*; 高井 健一*; 大村 朋彦*
International Journal of Hydrogen Energy, 48(79), p.30949 - 30962, 2023/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Physical)鉄鋼材料の応力腐食割れの1つである水素脆化を理解するには、鋼材中の水素分布を知る必要があり、それには昇温脱離スペクトルの数値シミュレーションによる解釈が有効である。溶接金属やTRIP鋼において残留オーステナイト(RA)は昇温脱離スペクトルに顕著な影響を与えるが、明確な水素分布についてはこれまでよく知られていない。本研究では、高炭素フェライト-オーステナイト二相鋼の既報の水素昇温脱離スペクトルを、独自にコード化した二次元モデルによって数値シミュレーションし、水素は、その鋼材に含まれる量が少ないときは炭化物表面に、その量が多くなると二相界面に、主にトラップされることを明らかとした。また、界面トラップの水素の脱離ピークの試料厚さ依存性が、従来とは異なる理由で発現することも明らかとなった。
海老原 健一; 関根 大貴*; 崎山 裕嗣*; 高橋 淳*; 高井 健一*; 大村 朋彦*
no journal, ,
高強度鋼や先進高強度鋼における水素脆化は、その予測予防のために理解すべき現象である。これらの鋼材に含まれるオーステナイト相(相)は母相より多くの水素を捕獲することから、その水素脆化への影響が懸念される。本研究では、高炭素-二相鋼試料における水素をトラップする欠陥を明確にするため、既報の水素昇温脱離スペクトルを数値的に再現した。その結果、試料内部の水素量が少ない場合は炭化物表面に水素がトラップされるが、水素量が多くなるにつれて相表面にトラップされる量が増加すること、また、相内部にトラップされた水素は比較的低温で脱離することが分かった。さらに、水素侵入計算では適切な昇温前の初期水素分布を得ることができない場合があることも分かった。会議ではその点について言及する。