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甲斐 健師; 横谷 明徳; 鵜飼 正敏; 藤井 健太郎; 渡辺 立子
International Journal of Radiation Biology, 92(11), p.654 - 659, 2016/11
被引用回数:14 パーセンタイル:71.81(Biology)We performed a fundamental study of deceleration of low-energy electron ejected from water to predict clustered DNA damage formation involved in the decelerating electrons in water using a dynamic Monte Carlo code included Coulombic force between ejected electron and its parent cation. The decelerating electron in water was recaptured by the Coulombic force within hundreds of femtosecond. We suggested that the return electron contribute to modification of DNA damage because the electron will recombine to electric excited states of the parent cation, or will be prehydrated in water layer near the parent cation in DNA. Thus effect of the Coulombic force plays a significant role in evaluation of DNA damage involved in the electron deceleration in water.
Cs渡辺 立子; 服部 佑哉; 甲斐 健師
International Journal of Radiation Biology, 92(11), p.660 - 664, 2016/11
被引用回数:3 パーセンタイル:23.53(Biology)本研究では、
Csによる内部照射の担い手となるオージェ電子や内部転換電子等の低エネルギー電子のエネルギースペクトルや電子の放出位置の違いが、DNAレベルの微小な標的における線量分布とDNA損傷に与える影響を明らかにするために、電子線のトラックの微視的なシミュレーションに基づいた、線量分布とDNA損傷スペクトル(量や質)の推定を行った。方法としては、細胞集団モデルを標的系として、微視的なトラックシミュレーションを行い、次に、DNA損傷生成モデルに基づいた損傷スペクトルを計算した。計算結果を解析したところ、オージェ電子線等によるDNA損傷のスペクトルには、外部照射(
線照射)の場合と比べて大きな差が生じないことが示され、内部照射は外部照射と比べてDNA損傷が起きやすいということはないという結果が得られた。
横谷 明徳; 藤井 健太郎; 牛込 剛史; 鹿園 直哉; 漆原 あゆみ; 渡邊 立子
Radiation Protection Dosimetry, 122(1-4), p.86 - 88, 2006/12
被引用回数:14 パーセンタイル:65.90(Environmental Sciences)軟X線により誘発される、DNA損傷の収率を調べた。軟X線のLETは、
線と超軟X線のそれの中間にある。通常のX線発生装置から得られる広いエネルギースペクトルを持つ軟X線は、放射線生物学実験のみならず乳がん検診にも広く用いられている。ICRPの勧告によれば、軟X線の放射線加重係数は
線のそれと同じ1とされている。しかし、そのエネルギースペクトル上には、制動放射により発生する数10keV以下の低エネルギー光子の成分がかなり多い。これらの低エネルギー光子は、光電効果により低速の光電子やAuger電子を多数発生させるためDNAに対してより高密度な電離・励起を与え、複雑なDNA損傷を誘発すると考えられる。われわれはWターゲット,150kVpで運転したX線発生装置より得られる軟X線をDNAに照射し、生じたDNAの鎖切断収率を定量した。さらに、塩基除去修復酵素との反応を利用して定量された塩基損傷の収率についても報告する予定である。
hole-assisted electronic processes in the Pr
Sr
MnO
(x=0.0, 0.3) systemIbrahim, K.*; Qian, H. J.*; Wu, X.*; Abbas, M. I.*; Wang, J. O.*; Hong, C. H.*; Su, R.*; Zhong, J.*; Dong, Y. H.*; Wu, Z. Y.*; et al.
Physical Review B, 70(22), p.224433_1 - 224433_9, 2004/12
被引用回数:31 パーセンタイル:75.24(Materials Science, Multidisciplinary)プラセオジム,ストロンチウム,マンガン酸化物が巨大磁気抵抗を持つ要因を明らかにするため、二種の組成の酸化物(Pr
Sr
MnO
(x=0.0, 0.3))について、酸素K-吸収端のX線吸収スペクトル(XAS)及びO 1
2
2
共鳴オージェ電子スペクトル(AES)を測定した。XAS, AESスペクトル双方の結果から、Pr
Sr
MnO
にホールをドープすると、酸素2
軌道のホールの状態密度が増加することがわかった。これはSr
をドープしてMn
を増加させるなどのホールドープにより、ホールがMn 3
軌道の
状態から酸素の2
軌道に移ることを意味している。これらの結果から、酸素2
軌道に存在するホールが巨大磁気抵抗などの電子物性を決定する重要な要因であることを明らかにした。
横谷 明徳
放射光, 17(3), p.111 - 117, 2004/05
放射線によりDNA分子中に生じる塩基の酸化的損傷の前駆体を明らかにするため、われわれはSPring-8の軟X線ビームライン(BL23SU)に設置された電子常磁性共鳴(EPR)装置を用いて、酸素及び窒素K吸収端領域におけるDNA塩基ラジカルの生成機構について調べている。DNA塩基の一つであるグアニン塩基に対するEPRの「その場」測定から、ビーム照射時にのみ現れる短寿命のラジカルが生成することが見いだされた。このラジカルはグアニン中にただ一つしかない酸素(カルボニル酸素)の1s
*共鳴によりその収率が顕著に増えた。一方ビーム照射を停止しても残存する安定なラジカルも生成し、これは
線照射などで既に報告されているグアニンカチオンラジカルと推定された。このカチオンラジカルは短寿命ラジカルとは異なり、酸素の1s
*共鳴により逆に収率が減少した。以上の結果から、オージェ終状態からさらに競争的にこれら二つのラジカル過程を経て化学的に安定なグアニン損傷に至ることが示された。
-edges馬場 祐治
Low Temperature Physics, 29(3), p.228 - 242, 2003/03
被引用回数:55 パーセンタイル:51.47(Physics, Applied)固体表面に低温で吸着した分子の内殻軌道電子を、放射光軟X線によって選択的に光励起することができる。この特長をうまく使うと、特定の元素を含むフラグメントを表面から選択的に脱離させたり、特定のサイトや化学結合を選択的に切断することができる。そこで、どのような場合にこのような内殻電子励起による選択的な脱離を起こすことができるかについて、さまざまな実例をあげながらわかりやすく解説した。内殻電子励起後の主なエネルギー緩和過程はオージェ遷移であるため、種々の励起エネルギーにおけるオージェ遷移と脱離イオン種,脱離イオン強度の関係を特に詳細に議論した。その結果、内殻軌道から価電子帯の反結合性の非占有軌道へ共鳴励起された電子が、この軌道に一定の時間局在することによって起こる速い結合解裂が選択的な脱離にとって極めて重要であることを明らかにした。
馬場 祐治
Trends in Vacuum Science & Technology, Vol.5, p.45 - 74, 2002/10
100eVから3keVの軟X線を固体に照射したときに表面で起こる化学反応に関し、分解イオンの脱離反応を中心に解説した。主として取り扱った系は、内殻電子励起による吸着系,凝縮系,固体分子からの正イオンの脱離である。内殻軌道から価電子帯の非占有軌道への共鳴励起に対応するエネルギーのX線を照射すると、特定の元素周辺や、特定の化学結合を選択的に切断して特定の分解イオンを表面から脱離させることができる。このような選択性は、第三周期元素の1s軌道から4p軌道への共鳴励起において特に顕著に現れる。共鳴励起後の脱励起は主としてオージェ遷移によって起こることから、内殻イオン化閾値付近のX線エネルギーにおいてオージェ電子スペクトルも測定した。一連の研究で観測された高選択的なイオン脱離反応の機構に関し、電子及び脱離イオン強度のX線エネルギー依存性とオージェ電子スペクトルの結果に基づいて詳細に議論した。
and Ni on the MgO(100) single crystalVacik, J.; 楢本 洋; 鳴海 一雅; 山本 春也; 宮下 喜好*
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.648, p.P3.50.1 - P3.50.6, 2001/00
親和性の低いNiとC
を高温で同時蒸着することにより、基板の結晶構造に影響されない、同心円状の縞状構造が観察された。顕微ラマン分光法、走査型電子顕微鏡観察、及びオージェ電子分光法により、一本の縞模様は、高分子化したC
で被覆されたNi微粒子が鎖状に連結したものであることを明らかにした。論文では、この構造解析の結果を基に、Niの析出に伴って誘起される応力波の伝播による縞状構造について議論している。
Zhang, Z.; 鳴海 一雅; 楢本 洋; Wu, Z.*; 山本 春也; 宮下 敦巳
Journal of Physics; Condensed Matter, 11(25), p.L273 - L277, 1999/06
被引用回数:3 パーセンタイル:12.09(Physics, Condensed Matter)炭素薄膜をスパッターリング法により作成して、その構造及び光学特性について評価した報告である。基板には
-Al
O
(0001)を用い、スパッターリング用イオン種には、3keVCH
, N
,Ar
を用いた。結合状態の評価のために、オージェ電子分光及び顕微ラマン分光法を利用した。また光学特性の評価のため、顕微可視光分光計を反射モードで用いた。これらの解析の結果、CH
やN
イオンを用いた場合、SP
結合の割合が高く、それに対応して光学バンドギャップも
1.75eVから2.7eVへと大きく変化することを明らかにした。
thin films prepared in different ambients by laser ablationDai, Z.*; 楢本 洋; 山本 春也; 鳴海 一雅; 宮下 敦巳
Journal of Physics; Condensed Matter, 11(3), p.913 - 925, 1999/00
被引用回数:4 パーセンタイル:27.67(Physics, Condensed Matter)種々のガスふん囲気(真空,Ar,O
,Ar+O
)下で、レーザー蒸着法によって作製させるFeTiO
薄膜の化学量論比、結晶性、結晶方位整合性を、X線回折法、イオンビーム解析法及びオージェ電子分光法で系統的に調べた結果を報告する。結論としては、Ar+5%O
ガスふん囲気下でレーザー蒸着を行うことにより、炭素不純物の取り込みもなく、化学量論比の優れた単結晶膜を合成することに成功した。エピタクシーの関係は、FeTiO
(0006)/Al
O
(0006)となっている。
関口 広美*; 関口 哲弘
Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 220, 1998/11
基礎研究及び応用研究、両面からの興味からSi表面と簡単な分子の相互作用は非常に多く研究されている。本研究は放射光の直線偏光特性を利用し、Si(100)2x1基板上の単分子吸着ギ酸(HCOO)のHCOO分子平面の配向角度をX線吸収端微細構造(NEXAFS)の偏光依存性測定により調べた。NEXAFSスペクトルの各ピーク強度は顕著な偏光角依存性を示した。観測された4本の共鳴ピークはHCOOの分子面外遷移(
)と3本の分子面内遷移(
)とに帰属された。双極子遷移の選択則からHCOO平面は表面垂直(
100
)方向に対し21
2°傾いていると結論された。電子線回折実験によると気相HCOOSiH
分子のO=C-O-Siの二面体角は21°であり、吸着種のCHO面の傾き角とよく一致している。ギ酸メチル(HCOOCH
)では相当するねじれ構造はなく、この違いはSi-O
結合にイオン性寄与があることに起因する。
馬場 祐治
Radioisotopes, 47(3), p.240 - 247, 1998/03
オージェ過程に関する基礎的事項を説明した上で、放射光を励起源とするオージェ電子分光法の最近の進歩について開発した。主な話題は、共鳴オージェ過程、オージェ共鳴ラマン散乱、オージェカスケード等である。また第3世代の放射光リングを用いたオージェ電子分光法に関する興味ある研究課題についても言及した。
/Si Interfaces尾嶋 正治*; 吉村 裕介*; 小野 寛太*; 藤岡 洋*; 佐藤 芳之*; 馬場 祐治; 吉井 賢資; 佐々木 貞吉
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 88-91, p.603 - 607, 1998/00
被引用回数:5 パーセンタイル:24.93(Spectroscopy)P-型Si(100)にリンを300keVでイオン注入した後、800
Cに加熱することによりSiO
/Si界面に析出したリン原子の存在状態を共鳴オージェ電子分光法により調べた。絶縁体における共鳴オージェ電子スペクトルは、ノーマルオージェとスペクテータオージェに分裂するとともに、スペクテータオージェピークのエネルギーシフトが観測される。しかしSiO
/Si界面に析出したリンでは、スペクテータオージェピークは観測されなかった。このことからリン原子はSiO
サイトではなく、Siサイトに存在していることが明らかとなった。
on Cu(100) by inner-shell photoexcitation馬場 祐治; 吉井 賢資; 佐々木 貞吉
Surface Science, 402-404, p.115 - 119, 1998/00
被引用回数:4 パーセンタイル:26.56(Chemistry, Physical)Cu(100)表面に単層及び多層吸着したCCl
分子に、Cl1s領域の放射光軟X線を照射した時の脱離フラグメントイオンを測定した。単層吸着では、脱離イオン種はCl
のみであり、これはCl1s

共鳴励起後のスペクテータオージェ遷移に伴う速いC-Cl結合解裂に起因する。一方、多層吸着の場合は、分子イオン(CCl
)の脱離も起こり、その脱離強度はX線の吸収量に比例する。このことから、脱離速度が遅い重い分子種の脱離は、オージェ遷移後の二次電子の効果により起こることを明らかにした。
竹内 正行; 川野邉 一則*; 永井 崇之; 大橋 和夫; 武田 誠一郎
PNC TN8410 97-104, 56 Pages, 1997/04
(目的)再処理溶液中に腐食生成物として存在するクロム(以下,「Cr」という)を対象に,ステンレス鋼の腐食に与える影響および粒界選択型の腐食加速機構について調査し,特に影響の大きいCr(6)の酸化生成条件等を中心に検討する。(方法)ステンレス鋼の腐食に与えるCrの影響を評価する手法として,材料浸漬試験および電気化学試験を行った。また,粒界腐食の要因とされる微量元素の粒界偏析に関しては,オージェ電子分光法により粒表面および粒界の組成を比較することで評価した。さらに,Crの酸化反応条件について検討するため,硝酸濃度,溶液温度をパラメータとしたCr(3)共存溶液の加熱試験を実施するとともに,溶液のPt電位測定および試験後におけるCr(6)の定量分析等を行った。(結果)本試験の結果から,得られた主な知見を以下に示す。(1)浸漬試験および電気化学試験結果から,同じ元素種でも,Cr(3)に比較して,Cr(6)の共存環境ではステンレス鋼の腐食電位が高電位側に移行し,粒界腐食を伴う腐食速度の著しい増加が認められた。(2)粒界腐食機構の要因とされる微量元素の粒界偏析については,オージェ電子分光法による測定では観察できなかった。(3)180時間程度の加熱試験結果から,沸点の条件では,酸化生成したCr(6)が硝酸濃度4M以上で定量的に検出された。(4)非破壊吸光光度法によるCrを指標としたステンレス鋼の腐食モニタリングで得られた腐食速度は腐食減少量からの算出値より低い値が得られた。(結論)ステンレス鋼の腐食に対するCrの影響はCr(3)に比べて、Cr(6)の共存環境で顕著である。この要因は硝酸よりもポテンシャルの高いCr(6)の酸化作用にあり,Cr(6)は高温,高濃度硝酸環境で酸化生成する可能性が示唆された。
L
resonant Auger spectra in solid phosphorus compounds吉井 賢資; 馬場 祐治; 佐々木 貞吉
Journal of Physics; Condensed Matter, 9(13), p.2839 - 2847, 1997/00
被引用回数:8 パーセンタイル:48.90(Physics, Condensed Matter)いくつかの固体リン化合物において、リンK殻共鳴励起によるP-KL
L
オージェスペクトルを測定し、次の結果を得た。(1)ノーマルオージェピークは励起光エネルギーによらず一定のエネルギーであるのに対し、共鳴励起に由来するスペクテータオージェピークは励起光エネルギーに対しほぼ比例したエネルギー変化をする。(2)スペクテータピークの巾が共鳴吸収最大の励起光エネルギー付近でせまくなる。(3)絶縁体化合物においてのみオージェピークがノーマルとスペクテータの2本に分裂する。(1),(2)は共鳴ラマン散乱における類似現象との関連で、また(3)は絶縁体では伝導電子がいないため、内殻正孔のしゃへいがないことによるとして説明した。
馬場 祐治; 吉井 賢資; 山本 博之; 佐々木 貞吉; W.Wurth*
Surface Science, 377-379(1-3), p.699 - 704, 1997/00
吸着分子に放射光軟X線を照射し、内殻電子励起による脱離過程を調べた。多層吸着したPCl
分子のP1s電子を
軌道へ共鳴励起すると、主にP
イオンが脱離するのに対し、Cl1s

共鳴励起ではCl
イオンのみが脱離した。同様な元素選択的脱離は、S
Cl
吸着分子のS1s、Cl1s励起においても認められた。電子分光測定によれば、脱離が起こる共鳴励起エネルギーでは、ほとんどがスペクテータ型のオージェ遷移を起こすことから、高い元素選択的脱離が起こるのは、反結合性
軌道に励起された電子(スペクテータ電子)の存在により励起される速い結合解裂のためであると結論した。
and SiCl
by resonant photoexcitation at chlorine K-edge馬場 祐治; 吉井 賢資; 佐々木 貞吉
Surface Science, 376(1-3), p.330 - 338, 1997/00
被引用回数:25 パーセンタイル:77.81(Chemistry, Physical)分子の内殻軌道電子を光励起した時の化学反応機構を調べる目的で、固相の四塩化炭素(CCl
)及びテトラクロロシラン(SiCl
)にCl1s領域の放射光(2810~2850eV)を照射した時の脱離イオンとオージェ電子スペクトルを測定した。比較的軽い原子イオン(Cl
)の脱離は、スペクテータ型のオージェ遷移が起こるCl1s

(h
~2824eV)共鳴励起によってのみ起こる。これは反結合性
軌道に留まった電子(スペクテータ電子)の効果により、速い結合切断が起こるためと考えられる。一方、重い分子イオン(CCl
、SiCl
)の脱離収率は、オージェ遷移の如何にかかわらず、X線の吸収量に比例する。これは分子種の脱離速度が遅いため、スペクテータ電子がイオンの脱離前に非局在化してしまうことで説明できる。
S)
by sulfur K-edge photoexcitation馬場 祐治; 吉井 賢資; 佐々木 貞吉
Journal of Chemical Physics, 105(19), p.8858 - 8864, 1996/11
被引用回数:32 パーセンタイル:71.94(Chemistry, Physical)内殻電子励起の光化学反応により、分子内の特定の化学結合が選択的に切断される例として、ジメチルジスルフィド(CH
-S-S-CH
)の低温凝縮層に、S 1s吸収端付近の放射光X線を照射し、表面から脱離するフラグメントイオンを測定した。S 1s電子をS-S結合部の
軌道へ共鳴励起すると(h
=2472.1eV)、主にS
及びCH
イオンが脱離するのに対し、S-C結合部の
軌道へ共鳴励起すると(h
=2473.4eV)、S-C結合が選択的に切断され、CH
イオンのみが脱離することがわかった。各エネルギーにおけるオージェ電子スペクトルの測定結果と併せて反応機構を考察し、このような選択的な化学結合の解裂は、反結合性
軌道へ励起された電子(スペクテータ電子)の局在性により、それぞれの結合が切れやすくなるためであると結論した。
佐々木 貞吉
放射光, 9(3), p.233 - 243, 1996/06
絶縁体の深い内殻軌道を共鳴励起すると、スペクテータ・オージェ遷移によりオージェスペクトル強度が大巾に増加する。最近発見した上記現象は、新しいタイプのオージェ共鳴ラマン散乱で、非独占軌道についての詳細な情報を含んでいる。下記の項目に分けてこれまでの成果を紹介する。(1)深い内殻の共鳴励起 (2)無機化合物におけるスペクテータ・オージェ遷移 (3)オージェ電子はなぜエネルギー分散を起こすか? (4)固相有機分子におけるオージェ共鳴ラマン散乱 (5)吸着分子の元素選択的脱離