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神林 奨; 千原 順三
Molecular Simulation, 16, p.31 - 46, 1996/00
被引用回数:5 パーセンタイル:20.89(Chemistry, Physical)従来のカーパリネロの理論による分子動力学法とは異なった、新しい第1原理的分子動力学法(QHNC-MD法)を考案した。QHNC-MD法では、液体金属中の電子及びイオンに関する動径分布関数と有効イオン間ポテンシャルに対する量子的HNC方程式を、古典的分子動力学シミュレーションを用いて解く方法である。この方法では、分子動力学シミュレーションによって得られるイオン間分布関数と有効イオン間ポテンシャルを自己無撞着に決定することが可能である。また、QHNC-MD法による有効イオン間ポテンシャルの収束計算は高速であり、しかも、数千から数万個の規模のシミュレーションが可能である。この点はカーパリネロ手法と大きく異なる部分である。液体アルカリ金属に関するQHNC-MDシミュレーションから得られた静的構造因子は、X線・中性子線実験の結果と極めて良く一致し、従来のQHNC方程式の近似解に見られる欠点を取り除くことが可能となった。
神林 奨; 千原 順三
Physical Review E, 50(2), p.1317 - 1324, 1994/08
被引用回数:28 パーセンタイル:74.46(Physics, Fluids & Plasmas)等温アンサンブルの分子動力学シミュレーションを用いて、液体アルゴン及び液体アルミニウムのブリッジ関数の計算を行った。ブリッジ関数は液体理論における積分方程式に含まれており、従来、自己無撞着に決定できなかった相関関数である。ここでは、4000粒子及び32000粒子の計算機実験から2体分布関数を求め、この結果とHNC近似のクロージャ関係式とを組み合わせ積分方程式を解くことでブリッジ関数を計算した。この方法から得られたブリッジ関数は、シミュレーションに用いた粒子数、カットオフ半径にほとんど依存しないことが明らかになるとともに、小規模なシミュレーションによって得られた2体分布関数を遠方に外挿することに利用可能なことがわかった。また、計算機実験において避けることのできない粒子間ポテンシャルのカットオフによる2体分布関数の誤差が、本手法によるブリッジ関数を用いることで除去可能なこともわかった。さらに、2体分布関数を正確に計算することが可能となったため、第一原理的な粒子間ポテンシャルの計算への適用可能性を示すことができた。
神林 奨; 樋渡 保秋*
Molecular Simulation, 12(3-6), p.421 - 430, 1994/00
被引用回数:3 パーセンタイル:14.72(Chemistry, Physical)逆ベキポテンシァルによって粒子間相互作用が記述されるソフト球モデルについて、粒子数13,500個の等温分子動力学シミュレーションを実行した。このシミュレーションによって得られた2体分布関数を用いて、液体の分布関数理論において重要なブリッジ関数を数値的に計算した。計算結果とRogers-Young(RY)近似およびMHNCS近似とを比較したところ、RY近似では、過冷却領域における振動的なブリッジ関数の特徴を再現できないが、MHNCS近似では、この特徴を非常によく再現していることが明らかになった。RY近似およびMHNCS近似の違いは、前者に基本ダイアグラムによって示される粒子相関が含まれておらず、後者に含まれている点である。シミュレーションから得られた結果は、過冷却状態において、基本ダイアグラムによって表される粒子相関がきわめて重要であることを示している。