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太田 雅和; 高原 省五; 吉村 和也; 長久保 梓; 廣内 淳; 林 奈穂; 阿部 智久; 舟木 泰智; 永井 晴康
Journal of Environmental Radioactivity, 264, p.107198_1 - 107198_15, 2023/08
福島第一原子力発電所(FDNPP)事故時に環境中に放出され、陸面に沈着した放射性核種について、大気中に再浮遊したCsの吸引は現在における主要な被ばく経路の一つである。再浮遊では、風による土壌粒子の巻き上げが主なメカニズムとされてきた。一方、FDNPP事故後の研究から、帰宅困難区域(DRZ)などの農村部においては、真菌類による胞子放出が大気中
Cs濃度に影響を及ぼす可能性が示唆されてきた。本研究は、土壌粒子および真菌類胞子としての
Cs再浮遊を計算するモデルを開発し、これをDRZ内に適用することで、これら再浮遊過程の大気中濃度への影響評価を試みた。モデル計算の結果から、土壌粒子の再浮遊は冬から春に観測された大気中
Csの主要因となったものの、夏から秋に観測された高濃度を再現できないことが示された。真菌類からの胞子状
Csの放出を考慮することで、この夏から秋の高濃度事象は概ねモデルで再現された。解析結果から、真菌類胞子への
Csの蓄積と、農村部に特徴づけられる高い胞子放出率が夏から秋の大気中
Csに寄与している可能性が見出された。DRZ内には依然として未除染の森林が存在しているため、この真菌類胞子の大気中
Csへの寄与は今後将来も継続する可能性がある。
辰野 宇大*; 二瓶 直登*; 吉村 和也; 大手 信人*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 332(6), p.1677 - 1686, 2023/06
被引用回数:0This study investigated the transfer of Cs to crops and soil contamination by resuspended particles derived from airborne and ground surface. We conducted the cultivation test of a Japanese mustard spinach in pot placed at study fields. The soil in pots might be mainly contaminated by soil particles derived from the ground surface, and
Cs transferred to the spinaches was observed. However, the proportion of water-exchangeable and organic fractions of
Cs in the resuspended particles derived from airborne was greater than that from ground surface, resulting in the greater
Cs transfer factor. Therefore, it is important to grasp the source of resuspended particles.
阿部 智久; 舟木 泰智; 吉村 和也; 尻引 夏*; 眞田 幸尚
JAEA-Data/Code 2023-001, 38 Pages, 2023/05
本調査では内閣府からの委託を受けて、特定復興再生拠点区域の内部被ばく評価に資するため、福島県の3市町村(双葉町、大熊町、富岡町)において、大気浮遊塵中の放射性物質に関する調査を実施した。対象とした市町村にダストサンプラーを設置し、大気放射能濃度を調査するとともに、実測値に基づく内部被ばく線量を評価した。本報告書は、当該受託事業が開始した2018年度から2021年度までの測定結果をとりまとめたものである。大気放射能濃度及び実測値に基づく内部被ばく線量評価結果、基礎データとして気象観測データなどをデータベース化した。
寺阪 祐太; 瓜谷 章*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 1049, p.168071_1 - 168071_7, 2023/04
A new application of a position-sensitive liquid light guide Cerenkov counter for the simultaneous position detection of Sr/
Y and
Cs radioactivity in a gamma-ray-dominant environment is proposed.
-emitting
Sr/
Y and
-emitting
Cs radioactive point sources were measured using a position-sensitive liquid light guide based on the time-of-flight (TOF) method. We found a clear difference in the count rate ratio between the source position peak and reflection peak of the position histogram. Moreover, simultaneous measurements of the radioactive point sources were performed. The results suggest that the source position and activity of
Sr/
Y and
Cs can be simultaneously determined based on the count rate ratio of the source position peak and the reflection peak.
辰野 宇大*; 脇 嘉理*; 角間 海七渡*; 二瓶 直登*; 高瀬 つぎ子*; 和田 敏裕*; 吉村 和也; 中西 貴宏; 大手 信人*
Journal of Environmental Management, 329, p.116983_1 - 116983_13, 2023/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Environmental Sciences)This study investigated the effect of radioactive cesium-rich microparticles (CsMPs) on the radiocesium (RCs) concentration and distribution coefficient (Kd) in two rivers, Takase River and Kami-Oguni River, flowing in the watersheds with different radioactive contaminated conditions in Fukushima Prefecture. Unlike RCs adsorbed on to the suspended solids (SS), there was no correlation between the RCs concentration derived from CsMPs and the SS concentration in both rivers. Inflow of CsMPs to the targeted rivers was contingent. CsMPs were detected only in some samples during rainfall. Furthermore, the proportion of RCs concentration derived from CsMPs in the average RCs concentrations per unit mass of SS in both rivers during rainfall were not large, which were 10% or less. As a results, CsMPs did not significantly increase particulate RCs concentration and had little effect on Kd in both river water flowing the watershed with different RCs contaminated condition.
普天間 章; 眞田 幸尚; 長久保 梓; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 萩野谷 仁*; 松永 祐樹*; 圷 雄一郎*; 卜部 嘉*; et al.
JAEA-Technology 2022-027, 148 Pages, 2023/02
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後より、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、航空機等を用いた空からの測定方法が適用されている。日本原子力研究開発機構では、有人ヘリコプターを使用した航空機モニタリングを福島第一原子力発電所周辺において継続的に実施してきた。本報告書では、令和3年度に実施した福島第一原子力発電所周辺におけるモニタリング結果について取りまとめると共に、過去のモニタリング結果から空間線量率等の変化量を評価し、その変化要因について考察した。また、航空機モニタリングによる空間線量率の計算精度向上に資するために、航空機モニタリングデータを用いて地形の起伏を考慮に入れた解析を行った。地形の起伏を考慮に入れる前後での解析結果を比較し、本手法による精度向上効果を評価した。さらに、空気中のラドン子孫核種の弁別手法を測定結果に適用して、空気中のラドン子孫核種が航空機モニタリングに与える影響について評価した。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2022-053, 89 Pages, 2023/02
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和3年度に採択された「福島第一発電所2、3号機の事故進展シナリオに基づくFP・デブリ挙動の不確かさ低減と炉内汚染状況・デブリ性状の把握」の令和3年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、シールドプラグ下高線量の原因究明、事故時のCs移行経路や、Csの構造材付着・堆積状態の解明および先行溶落したと推定される金属リッチデブリ特性評価を行うため、事故進展最確シナリオ評価に基づく材料科学的アプローチとして、3項目((1)Cs分布評価の不確かさの低減、(2)金属デブリの酸化変質評価、(3)総合評価)に取り組んでいる。本年度は各要素技術法に関する実験的研究シミュレーション研究を進める上で必要な基盤の整備及び予備実験などに着手するとともに、本研究で抽出したBackward Analysisの2個の課題について、Forward Analysis専門家との相互連携による現象理解と炉内状況把握の精緻化に向けての方針の検討を行った。その結果、事故進展最確シナリオを参照して、燃料デブリとセシウムの化学状態変化と移行経路について認識を共有することができ、今後の研究展開について展望した。
辻 卓也; 松村 大樹; 小林 徹; 矢板 毅
SPring-8/SACLA利用研究成果集(インターネット), 11(1), p.15 - 18, 2023/02
風化黒雲母の様な層状粘土鉱物では様々な収着サイトが存在すると考えられており、その中でもCsイオンは層間に取り込まれると考えられている。一方でカオリナイトのような粘土鉱物においては、層間に陽イオンを持たないことから、表面・端面サイトにのみ収着すると考えられている。本研究では福島第一原子力発電所事故後に放射性Csにより汚染された実土壌に近い濃度のCs収着粘土鉱物試料を調製しCs K吸収端におけるX-ray Absorption Fine Structure (XAFS)測定を行い、風化黒雲母とカオリナイトにおけるCs周りの局所構造の違いを観測した。結果、層間サイトに収着していると思われる風化黒雲母と表面・端面サイトに収着していると思われるカオリナイトとでは、特に低濃度領域においてCs周りの局所構造が大きく異なることが判明し、Cs収着様式によってCsイオンの収着安定性が大きく異なることが示唆された。
福島マップ事業対応部門横断グループ
JAEA-Technology 2022-026, 152 Pages, 2023/01
東京電力(株)福島第一原子力発電所(福島第一原発)事故による放射性物質の分布状況を平成23年6月より調査してきた。本報告書は、令和3年度の調査において得られた結果をまとめたものである。空間線量率については、KURAMA-IIを用いた走行及び歩行サーベイ、平坦地上でのサーベイメータによる定点測定及び無人ヘリサーベイを実施し、空間線量率分布マップを作成するとともにその経時変化を分析した。放射性セシウムの土壌中深度分布調査及び土壌沈着量in-situ測定をそれぞれ実施した。これまで蓄積した測定結果を基に空間線量率及び沈着量の実効半減期を評価した。福島県及び福島第一原発から80km圏内でのスコアマップを作成し、多年度のモニタリングデータを使用した場合のスコアの変化要因について考察した。総合モニタリング計画で実施された海域モニタリング結果を集約し、セシウム137について過去からの変動や濃度などの詳細な解析評価を行なった。階層ベイズ統計手法を用いて、走行サーベイや歩行サーベイ等により取得した空間線量率分布データを統合し、同80km圏内及び福島県全域の統合マップを作成した。「放射線量等分布マップ拡大サイト」への測定結果の追加、総合モニタリング計画に基づく放射線モニタリング及び環境試料分析測定データのCSV化を実施した。
三輪 周平; 唐澤 英年; 中島 邦久; 木野 千明*; 鈴木 恵理子; 井元 純平
JAEA-Data/Code 2021-022, 32 Pages, 2023/01
東京電力福島第一原子力発電所の原子炉内におけるセシウム分布のより正確な予測に向けて、核分裂生成物の化学挙動データベースECUMEに格納されているステンレス鋼へのセシウム化学吸着モデルをシビアアクシデント解析コードSAMPSONに組み込んだ。改良モデルを組み込んだSAMPSONにより、当該モデルを構築した実験の結果を再現し、コードに誤りが無いことを確認した。また、SAMPSONに組み込まれた改良モデルのセシウム化学着挙動解析への有効性を確認するため、温度勾配管を有する装置を用いた実験の解析を実施した。改良モデルを組み込んだSAMPSONにより、実験の結果を再現し、SAMPSONにおけるノードジャンクションの設定方法、エアロゾル生成モデル、CsOH蒸気の飽和蒸気圧等の計算方法等の解析方法、そして改良モデルがセシウム化学吸着挙動解析に適用可能であることを確認した。また、セシウムがシビアアクシデント後に水相を介して移行したことから、原子炉内におけるセシウム分布を予測するためには、セシウム沈着物の水への溶解性の評価が前提となる。このため、ステンレス鋼へのセシウム化学吸着生成物の水への溶解性を調べた。ステンレス鋼304へのセシウム化学吸着生成物は、873Kから973Kで水溶性の高いCsFeO、973Kから1273Kで水溶性の低いCsFeSiO
、1073Kから1273Kで水溶性の低いCs
Si
O
であることが分かった。これらの結果から、セシウム化学吸着量に影響を与える原子炉内温度やCsOH蒸気種濃度のようなシビアアクシデント解析条件に応じて、セシウム化学吸着生成物の水への溶解性を予測できる可能性を得た。
萩原 大樹; 近藤 啓悦; 日高 昭秀
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 331(12), p.5905 - 5914, 2022/12
被引用回数:2 パーセンタイル:80.5(Chemistry, Analytical)Radiocesium-bearing microparticles (CsMPs) were released from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant during the 2011 accident. We examined the CsMP formation process by analyzing Type-A particles and conducting in situ glass fiber experiments. The results demonstrated that heating glass fibers to 450C - 800
C formed spherical particles, their morphologies and elemental compositions were similar to those of actual CsMPs. The mock-up particles size was strongly dependent on the glass-fiber thickness. Our findings reveal that glass fibers can form microparticles after being exposed to high temperatures.
Battulga, B.; 安藤 麻里子; 中西 貴宏; 小嵐 淳
Science of the Total Environment, 849, p.157758_1 - 157758_11, 2022/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Environmental Sciences)本研究では、マイクロプラスチックの表面に形成されるバイオフィルム(有機付着物)の特性を明らかにするための第一ステップとして、バイオフィルムを分離回収する手法を開発した。茨城県内の河川において、大きさ,色,組成の異なる様々なマイクロプラスチック試料を採取した。それらの試料に超音波処理を行った後、シリンジを用いた方法により有機付着物を溶液として分離回収した。バイオフィルム由来の有機物から放射性セシウムが検出され、マイクロプラスチックが河川生態系における放射性核種の輸送媒体としての役割を果たすことが示唆された。また、有機物の安定炭素・窒素同位体の分析にも成功した。本手法は、マイクロプラスチックの状態や環境中における物質循環への寄与を解明するために有効である。
Simonnet, M.; Sittel, T.*; Weling, P.*; Geist, A.*
Energies (Internet), 15(20), p.7724_1 - 7724_10, 2022/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Energy & Fuels)Asse II salt mine, Germany, contains low and intermediate level radioactive waste that must be retrieved in the upcoming years. Potentially contaminated salts and brines will require treatment. Cs would be the main contaminant. Cs
is problematic to selectively recover due to its chemical similarity with Na
and K
which are present in high quantity in a salt mine. This paper is offering a solution for Cs
separation from concentrated chloride salt media by solvent extraction with calixarene-crown-ether extractants in alcoholic diluent.
辰野 宇大*; 脇 嘉理*; 角間 海七渡*; 二瓶 直登*; 和田 敏裕*; 吉村 和也; 中西 貴宏; 大手 信人*
Radiation Protection Dosimetry, 198(13-15), p.1052 - 1057, 2022/09
被引用回数:1 パーセンタイル:58.67(Environmental Sciences)Cesium-rich microparticles (CsMPs) with high cesium-137 (Cs) concentrations were released and deposited in surface soil after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident. Radioactive materials on the soil surface layer enter rivers owing to soil erosion during rainfall. In this study, we investigated CsMPs runoff through the river via soil erosion during rainfall in the Takase River watershed in Namie Town, Fukushima Prefecture, Japan. CsMPs were rarely detected in suspended solids (SS) in water samples collected during four rainfalls between February and July 2021. Furthermore, the proportion of
Cs concentration derived from CsMPs to
Cs concentration in the form of SS (particulate
Cs) in the water was
6% on average, which suggests that
Cs runoff in the form of CsMPs from the forest to the Takase River was not large.
Rizaal, M.; 中島 邦久; 斉藤 拓巳*; 逢坂 正彦; 岡本 孝司*
ACS Omega (Internet), 7(33), p.29326 - 29336, 2022/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Chemistry, Multidisciplinary)Here we report an investigation of the gas-solid reaction between cesium hydroxide (CsOH) and siliceous (calcium silicate) thermal insulation at high temperature, which was postulated as the origin for the formation mechanism of cesium-bearing material emitted from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant. A developed reaction furnace consisting of two heating compartments was used to study the reaction at temperatures of 873, 973, and 1073 K. Under the influence of hydrogen-steam atmospheric conditions (H/H
O = 0.2), the reaction between cesium hydroxide vapor and solid thermal insulation was confirmed to occur at temperatures of 973 and 1073 K with the formation of dicalcium silicate (Ca
SiO
) and cesium aluminum silicate (CsAlSiO
). Water-dissolution analyses of the reaction products have demonstrated their stability, in particular, the CsAlSiO
. Constituents similarity of the field-observed cesium-bearing materials near the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plants with CsAlSiO
suggests for the first time that gaseous reaction between CsOH with calcium silicate thermal insulation could be one of the original formation mechanisms of the cesium-bearing materials.
廃炉環境国際共同研究センター; 芝浦工業大学*
JAEA-Review 2022-008, 116 Pages, 2022/06
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和2年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、平成30年度に採択された「放射性核種の長期安定化を指向した使用済みゼオライト焼結固化技術の開発」の平成30年度から令和3年度の研究成果について取りまとめたものである(令和3年度まで契約延長)。本課題は令和3年度が最終年度となるため4年度分の成果を取りまとめた。本研究は、継続して発生するCs等の放射性核種を吸着したゼオライト(使用済みIE-96)にガラスをバインダーとして添加し、それらを焼結することで核種を固定化する新たな焼結固化法の開発を目的とする。本研究では、コールド試験により焼結固化の最適条件および焼結固化体の基礎性能を評価し、ホット試験でそれらを実証する。令和2年度において、最適化された条件で作製した焼結固化体は、優れた化学的安定性を有することをコールド試験で明らかにした。また、ホット試験において焼結固化体は、優れた化学的安定性を有することを実証した。さらに、ホット試験において焼結固化作製におけるCsの揮発率はわずかであることを確認した。焼結固化法のプロセスフロー、機器装置、仕様等を示した。また、焼結固化法の各種データを他の固化法と比較して評価し、焼結固化法に優位性があることを確認した。
太田 雅和; 小嵐 淳
Science of the Total Environment, 816, p.151587_1 - 151587_21, 2022/04
被引用回数:2 パーセンタイル:41.02(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故の影響を受けた森林では、沈着したCsによる樹木汚染が問題となっている。しかしながら、森林内の各
Cs移行過程が樹木(特に、福島の林業で重要な資源である幹木部)の汚染に及ぼす影響については、十分な理解が得られていない。本研究では、森林樹木-リター層-土壌系における
Csの動態を計算するモデルを提案し、これを福島県内のスギ植林地および天然のブナ林に適用した。モデル計算の結果および計算と現地観測の結果の比較から、森林内の各
Cs移行過程が樹木の汚染に及ぼす影響が明示された。森林に沈着した
Csの樹木への移行においては、事故時に葉あるいは樹皮に補足された
Csの表面からの取り込みがそのほとんど(
99%)を占めることが示された。一方で、根による土壌中
Csの取り込みは少なく、事故後の50年間にわたり、表面からの取り込みよりも数桁小さい値を保つことが示された。これらの結果、樹木の内部汚染が、事故直後に樹木表面から取り込まれた
Csの内部再循環(転流)によって引き起こされることが分かった。樹皮を介した表面からの取り込みの重要性も明らかとなり、樹木による
Cs取り込みの100%(事故時に葉が無かったブナ)あるいは30%(事故時に展葉していたスギ、残りの70%は葉の表面からの取り込み)を占めた。試験地の樹木について、2021年現在では、
Csの放射壊変と樹木成長に起因する希釈効果の影響によって樹幹木部の
Cs放射能濃度が年あたり3%で低下していることが示された。
安藤 真樹; 斎藤 公明
JAEA-Technology 2021-032, 66 Pages, 2022/03
日本原子力研究開発機構では、東京電力福島第一原子力発電所事故の発生後、モニタリング装置KURAMA-IIを用い、東日本の1都12県の広い範囲にわたり走行サーベイを実施してきた。本報告では、広域走行サーベイの概要をまとめるとともに、各県及び地域での経時変化の特徴を明らかにするため、主に2012年から2019年までに得られた空間線量率測定データを用い、(1)2014年から2019年の6年間の各県単位での平均値及び最大値、(2)2012年から2019年にかけての各県での平均値、(3)2012年から2019年にかけての福島県内の避難指示区域区分・地域区分・相双地域北部市町村ごとの平均値、(4)2012年から2018年までの測定結果のうち4回(ほぼ2年間隔)の各都県の区市町村単位での平均値及び最大値について調べた。
逢坂 正彦; Goullo, M.*; 中島 邦久
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(3), p.292 - 305, 2022/03
被引用回数:1 パーセンタイル:25.87(Nuclear Science & Technology)事故時及び長期間の2つの期間のソースタームにおけるセシウム化学について、福島第一原子力発電所(1F)事故後に行われたFP化学研究のレビューを行った。事故時についてはCsのMo, B, Siとの化学反応について、また1F固有の水相を介した長期についてはCsのコンクリートへの浸透及び燃料デブリの浸出挙動について、関連する熱力学データ整備状況とともに調べた。これらのCs化学挙動は近い将来取出し予定の燃料デブリ等1Fサンプルの分析及び評価を通して検証されるべきである。
吉村 和也; 中間 茂雄; 藤原 健壮
Journal of Radiation Protection and Research, 47(1), p.30 - 38, 2022/03
To better understand the radiation environment in urban area, this study investigated temporal changes in air dose rate as well as Cs inventories (Bq m
) in both residential areas and agricultural fields. The air dose rate decreased faster in residential areas than in agricultural fields. It was also observed that the
Cs inventory on paved surfaces decreased with time due to horizontal wash-off, while the permeable surfaces showed no significant temporal changes unless decontamination. Our results suggest that the horizontal wash-off of
Cs on the paved surfaces facilitated the decrease in air dose rate in urban areas to a greater extent compared with agricultural fields, of which air dose rate was decreased due to vertical migration of
Cs.