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松田 晶平; 横山 啓一; 矢板 毅; 小林 徹; 金田 結依; Simonnet, M.; 関口 哲弘; 本田 充紀; 下条 晃司郎; 土井 玲祐; et al.
Science Advances (Internet), 8(20), p.eabn1991_1 - eabn1991_11, 2022/05
被引用回数:8 パーセンタイル:48.51(Multidisciplinary Sciences)fブロック元素は化学的性質が類似している。一方、それらの電子スペクトルではf電子準位間の光学遷移が明瞭に異なる。このf-f遷移波長での共鳴励起によって元素の酸化状態を制御することができれば、化学的な分離が難しいfブロック元素の精密分離技術が生まれる可能性がある。これまでに3つのランタノイド元素で共鳴多光子還元が観測されているが、アクチノイドでの共鳴多光子反応は報告例はなかった。本研究では硝酸水溶液においてアクチノイドの一つである三価アメリシウムの共鳴多光子電荷移動による光酸化を観測した。また、硝酸錯体が一次過程に寄与することが示唆された。
永井 泰樹*; 川端 方子*; 橋本 慎太郎; 塚田 和明; 橋本 和幸*; 本石 章司*; 佐伯 秀也*; 本村 新*; 湊 太志; 伊藤 正俊*
Journal of the Physical Society of Japan, 91(4), p.044201_1 - 044201_10, 2022/04
被引用回数:3 パーセンタイル:42.95(Physics, Multidisciplinary)近年、神経内分泌腫瘍を治療するための医療用RIとしてLuが注目されており、加速器施設で重陽子を濃縮
Yb試料に照射し、高純度の
Luを製造する方法が検討されている。ただし、Yb試料には様々な同位体が微量に含まれており、
Lu以外のLu同位体が不純物として生成される。医療用として利用する
Luは一定の純度が求められるため、定量的にLuの不純物を評価する手法が求められていた。本研究では、実験値を基に関与する全てのYb(
)Lu反応の断面積を決定し、粒子輸送計算コードPHITSと組み合わせることで、Yb試料が任意の組成比をもつ場合の各Lu同位体の生成量を推定する新しい手法を開発した。他に、天然組成のYb試料へ25MeV重陽子を照射した実験も行い、本手法の有効性を検証した。また、市販の濃縮
Yb試料に照射した条件で計算を行い、重陽子のエネルギーを15MeVとすることで、純度99%以上の
Lu生成を達成できることを示した。開発した手法は、加速器を用いて高純度の医療用
Luを製造する際、必要な濃縮Yb試料の同位体組成を議論する上で重要な役割を果たすものである。
黒崎 譲*; 横山 啓一
Chemical Physics, 493, p.183 - 193, 2017/08
被引用回数:5 パーセンタイル:20.02(Chemistry, Physical)塩化リチウム分子の同位体選択的振動回転励起の最適パルス波形を求めた。振動回転が基底準位にあるLiCl-35とLiCl-37の混合分子集団にレーザーパルスを照射し、LiCl-35(=0,
=0)とLiCl-37(
=1,
=1)を生成する最適波形を最適制御理論により計算した。その結果、回転遷移だけを利用する方が効率よく選択励起を起こすことができることが示された。
北澤 真一*; 若井 栄一; 青砥 紀身
Radiation Physics and Chemistry, 127, p.264 - 268, 2016/10
被引用回数:4 パーセンタイル:33.98(Chemistry, Physical)新しい非破壊・非接触型の測定法によって原子力構造材料の熱時効やイオン照射の効果を調べた。レーザ誘起とレーザ検出用の表面弾性波(SAW)をこの計測システムに採用した。対象とする物質の強度特性を調べるために、表面に沿ったSAWの伝播速度とその振動速度を測定した。熱時効した材料では、せん断弾性率の変化が測定された。2重イオン照射した材料では、励起したSAWの振幅に関する非線形効果が観察された。これらの結果から原子力構造材料等の欠陥計測のために、SAW検出システム適用の重要性を示すことができた。
市原 晃; 松岡 雷士*; 瀬川 悦生*; 横山 啓一
Physical Review A, 91(4), p.043404_1 - 043404_7, 2015/04
被引用回数:13 パーセンタイル:56.33(Optics)二種類のテラヘルツ光学パルスを用いて二原子分子を気層中で同位体選択的に解離する方法を提案する。この方法ではまず、周波数櫛を形成するテラヘルツパルス列により分子の回転状態を同位体選択的に励起する。そして、回転励起した分子を別の高強度テラヘルツパルスにより解離する。提案した方法の有効性を示すため、塩化リチウムLi
Clと
Li
Clを用いて波束法による計算機シミュレーションを実施した。その結果、基底振動回転状態の
Li
Clの約20%を同位体選択的に解離することができた。この方法はLiCl以外の二原子分子に適用可能であり、更に、回転状態が熱分布を取る分子集団に適用可能であると期待できる。
多幡 達夫*; 白井 稔三*; 左高 正雄; 久保 博孝
Atomic Data and Nuclear Data Tables, 92(3), p.375 - 406, 2006/05
被引用回数:82 パーセンタイル:95.56(Physics, Atomic, Molecular & Chemical)窒素分子と窒素分子1価イオンの電子衝突断面積は、低温プラズマの研究分野では重要とされている。例えば、核融合研究では、窒素ガスをダイバータプラズマに入射し放射冷却を増大することにより低温ダイバータプラズマを生成しダイバータ板の熱負荷を低減する実験が行われているが、この低温ダイバータプラズマをモデル化及び診断するためには窒素分子と窒素分子1価イオンの電子衝突断面積が必要である。ここでは、2003年までに実験的に測定された窒素分子と窒素分子1価イオンの電子衝突断面積を収集した。対象にした衝突過程は、弾性散乱,運動量移動,回転励起,振動励起,電子励起,電離,解離,発光の74過程である。収集した断面積は、図にまとめ、評価し、推奨値として解析的表式を当てはめた。解析的表式としては、Green and McNealの経験式を変形したものを用いた。
峰原 英介
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 557(1), p.16 - 22, 2006/02
被引用回数:11 パーセンタイル:59.42(Instruments & Instrumentation)原研は世界で現在運転中の2台のエネルギー回収型リニアック(ERL)の一つを独力で開発し、もう1台の施設であるジェファーソン国研のERLとともに世界のERL開発及び将来のERL応用研究を切り開いてきた。現在のアップグレード開発研究と応力腐食割れ防止技術開発研究、さらにERLの主要開発要素でもある光陰極,電子励起陰極などの大電流光電子銃技術に関して報告する。
池浦 広美*; 関口 哲弘; 馬場 祐治; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*
Surface Science, 593(1-3), p.303 - 309, 2005/11
被引用回数:5 パーセンタイル:25.38(Chemistry, Physical)われわれが近年開発した脱離イオン種をプローブとする(XAFS)分光法の基礎データ拡充のため、ホルムアミド分子の凝縮系試料の実験を行った。分子内のC, N, O元素におけるXAFS測定が可能でありC-H, N-H結合を区別して最表面の配向構造分析することが可能であることが示された。さまざまなX線励起エネルギー,生成物種,励起偏光角度について測定した飛行時間質量スペクトルから生成物が放出される際の初期運動エネルギーを求め、イオン脱離機構を調べた。運動エネルギーは発生メカニズム(直接解離/間接解離機構)を大きく反映すること、また多成分存在することが示された。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; Wu, G.*; 北島 義典*
Surface Science, 593(1-3), p.310 - 317, 2005/11
被引用回数:2 パーセンタイル:11.18(Chemistry, Physical)回転型飛行時間質量分析装置(R-TOF-MS)を用いて、分子固体表面最上層で起こる結合解離と脱離過程における分子配向効果を研究した。凝縮塩化ベンゼンの質量スペクトル,電子収量法,イオン収量法による高分解能NEXAFSスペクトルの偏光角度依存性を報告する。凝集分子ではCl 2s*
共鳴励起でCl
イオン収量が増加する現象に関して顕著な配向効果が観測された。下層による緩和に表面上の分子の結合方向が大きく影響を受けることから、この配向効果には電荷中性化緩和が重要な役割を果たしている。
*
共鳴励起では偏光依存性を全く示さなかった。このことから離れた原子を内殻励起しても「遠い」結合には直接解離が起こらず、おもに2次電子により解離が引き起こされるものと考察する。
梶本 亮一; 望月 秀記*; 吉澤 英樹*; 新谷 寛*; 木村 剛*; 十倉 好紀*
Journal of the Physical Society of Japan, 74(9), p.2430 - 2433, 2005/09
被引用回数:38 パーセンタイル:79.67(Physics, Multidisciplinary)A型反強磁性秩序を示すPrMnOと長距離磁気秩序を示すTbMnO
のマグノン励起を中性子非弾性散乱実験によって調べた。LaMnO
の結果(K. Hirota
)も合わせて議論することで
イオンの違いによるスピン交換相互作用の系統的な変化を明らかにした。
イオンの半径が小さくなるにつれて
面内の最近接サイト間の交換相互作用は急激に減少し、TbMnO
では有限の次近接サイト間交換相互作用が存在する。対照的に
軸方向の交換相互作用の
依存性は非常に小さい。これらの結果は、
MnO
における磁気構造の変化は最近接サイト間相互作用と次近接サイト間相互作用の競合によって引き起こされるという説(T. Kimura
)と整合している。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; Nath, K. G.
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 144-147, p.437 - 441, 2005/06
被引用回数:3 パーセンタイル:17.34(Spectroscopy)表面における配向を化学結合種ごとに分析する新しい実験手法を開発した。偏光NEXAFS法はX線吸収スペクトル測定により表面の結合状態や配向方向を決定する手法である。軟X線領域ではX線吸収測定のためには通常全電子収量を測定する。本研究においては放射光励起に起因する脱離イオンの質量分析を行い、X線励起エネルギー依存性及びその偏光依存性を測定することにより個々の化学結合について配向解析を行う実験を試みた。系としては核融合第一壁において重要とされる重水素イオン照射グラファイトを用い、脱離するH及びD
イオンを観測した。また高配向グラファイト単結晶を出発物質として使い照射による配向の乱れを観測した。電子収量はC-HとC-Dの平均構造を与えるのに対し、D
収量は照射により生じたC-D結合周辺のみの局所構造を与える。H
は未照射領域のC-H結合の情報を与える。
池浦 広美*; 関口 哲弘; 小池 正記*
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 144-147, p.453 - 455, 2005/06
被引用回数:18 パーセンタイル:60.55(Spectroscopy)ZEP520はポジ型電子照射レジスト材料であり、半導体微細加工において最良の空間分解能を与えている。そのため近年PMMAに代わりゾーンプレート素子等のデバイス材料に使われ始めている。さらなるパターンサイズ微細化のためにはラインエッジラフネス,ポリマー凝集など課題を抱えている。本研究においてはZEP520の基礎物性を得ることを目的とし、直線偏光放射光による内殻励起分光を用い、ZEP520/Si(100)の薄膜特性とX線照射効果を調べた。脱離イオン検出による表面偏光解析によりC-Cl結合は最表面においてのみ配向(40)を示した。Cl 1s内殻励起によりC-Cl結合が顕著に切断されCl元素が排除される。Si 1s励起により基板との放射線化学反応生成物が増加する。生成物収量の励起エネルギー依存性測定により反応生成物(SiC
H
O
Cl
)の電子構造,生成機構を考察した。
木崎 寛之*; 和田 眞一*; 佐古 恵里香*; 隅井 良平*; 輪木 覚*; 漁 剛志*; 関谷 徹司*; 関口 哲弘; 田中 健一郎*
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 144-147, p.447 - 451, 2005/06
被引用回数:5 パーセンタイル:27.08(Spectroscopy)光刺激イオン脱離(PSD)法により放射光励起プロセスにおける内殻電子励起後の電子緩和,解離,脱離に至る機構がより詳細に調べられてきた。放射光のエネルギー可変性を使い内殻共鳴励起を引き起こすことにより特定の化学結合の切断を誘起できる可能性が示されて以来、放射光励起プロセスはさらに大きな興味がもたれてきた。本研究は放射光の励起エネルギー可変による選択性に加え、Au(111)表面上に制御して吸着された自己組織化(SAM)配向膜の結合軸にX線の偏光ベクトルを一致させることによりさらなる選択励起を目指した。ランダム配向であるPMMAポリマー薄膜に比較し、SAM膜は約4倍高い反応選択性を示した。実験結果は直接解離過程と2次電子による間接過程が関与している反応機構により考察された。
赤木 浩; 横山 啓一; 横山 淳; 和田 晃
Journal of Molecular Spectroscopy, 231(1), p.37 - 49, 2005/05
被引用回数:2 パーセンタイル:11.38(Physics, Atomic, Molecular & Chemical)1158011880cm
(5
振動バンド)及び15280
15610cm
(5
振動バンド)領域に対し、光音響分光法を用いて、NH
DとNHD
分子を含むガスの吸収スペクトルを測定した。スペクトルを解析することにより、NH
D分子の5
振動状態及びNHD
分子の5
振動状態の回転定数を決定した。また、振動基底状態の回転定数との比較から、回転定数の振動状態依存性、及び振動励起による分子構造の変化を明らかにした。
伊藤 晋一*; 梶本 亮一; Adams, M. A.*
Journal of the Physical Society of Japan, 74(1), p.279 - 282, 2005/01
被引用回数:3 パーセンタイル:26.36(Physics, Multidisciplinary)パーコレーション濃度近傍の三次元ハイゼンベルク反強磁性体RbMnMg
F
の低温(
K)における磁気フラクトンを高エネルギー分解能(
eV)非弾性中性子散乱実験により研究した。フラクトンの分散は
(
は波数)の分散関係に従うことがわかった。指数
は2.5と求まり、理論の予測通り三次元系のフラクタル次元 (
)と良い一致を示している。
横山 啓一; 寺西 慶哲; 戸谷 由起雄; 白井 稔三; 福田 祐仁; 青山 誠; 赤羽 温; 井上 典洋*; 上田 英樹; 山川 考一; et al.
Journal of Chemical Physics, 120(20), p.9446 - 9449, 2004/05
被引用回数:6 パーセンタイル:18.46(Chemistry, Physical)レーザーパルスの波形整形により近接準位への高速選択励起の制御を試みた。レーザーのスペクトル帯域幅よりも狭いエネルギー差を持つセシウム原子の7D5/2及び7D3/2状態に対して、閉ループ型の学習アルゴリズムを用いた波形整形により高選択性を示すパルス波形を見いだした。解析の結果、選択性は量子干渉効果により生じていることが明らかとなり、その有効性を証明できた。単純なパルス対による位相制御に比べて約30%選択比のコントラストが向上した。
小泉 光生; 関 暁之*; 藤 暢輔; 長 明彦; 宇都野 穣; 木村 敦; 大島 真澄; 早川 岳人; 初川 雄一; 片倉 純一; et al.
Nuclear Physics A, 730(1-2), p.46 - 58, 2004/01
被引用回数:21 パーセンタイル:73.32(Physics, Nuclear)原研タンデム・ブースター加速器施設でZnビームのクーロン励起実験を行った。実験の結果、新たに2つの
マトリックスエレメント及び2
の四重極モーメントを得た。
Znの構造を理解するために、Nilsson-Strutinskyモデルでポテンシャルエネルギー表面(PES)の計算を行った。その結果、PESは、2つの浅い極小値を持つことがわかった。1番目の極小値は、フェルミ面の下に
軌道を含まず、2番目の極小値は、それを含むことがわかった。殻モデル計算との比較より、基底状態バンド及び侵入バンドは、それぞれEPSの1番目及び2番目に関係していると考えられる。基底バンドの励起エネルギーや
の実験値は、3軸非対称モデル及びO(6)限界のIBMによって、ある程度再現できることがわかった。また、PESの浅い極小は原子核の形状がソフトであることを示唆している。以上より、基底状態バンドは、ソフトな三軸非対称変形していると考えられる。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; Nath, K. G.
Free Electron lasers 2003, p.II_69 - II_70, 2004/00
強い自由電子レーザー(FEL)の出現によりこれを照射光源とした光化学反応や光電子顕微鏡など「2次過程」を利用した分光研究が行われはじめ注目を集めている。特にFELのパルス特性は飛行時間質量分析法を使ううえで非常に有利な特性である。軟X線を固体表面に照射すると表面を構成する分子などが解離しフラグメントイオンとして脱離する。フッ素化した高配向性グラファイト材料を試料としてパルス放射光軟X線と飛行時間質量分析を組合せた照射実験に関して報告する。特に入射するX線の偏光角度を変えることにより特定の結合角度を持つ吸着分子を選択的に励起し、さらに脱離分子の運動エネルギー分布の測定を行うことによりフラグメント脱離の機構を調べた。通常の電子収量法によるNEXAFSスペクトルの偏光角度依存性,イオン収量法による方法,XPSスペクトルから得られる表面構造についても報告する。
福田 光宏; 伊藤 久義; 大島 武; 西堂 雅博; 田中 淳
Charged Particle and Photon Interactions with Matter, p.813 - 859, 2003/11
近年、イオンビームは、医学・医療をはじめ、材料科学・バイオ技術などの原子核物理学以外の分野において広範に応用されるようになり、従来のX線・線・電子線などの利用では得られなかった研究成果が続々と生み出されてきている。イオンビームは、物質中でその飛跡に沿って局所的にエネルギーを付与し、高密度に物質をイオン化したり、励起したりすることができるだけでなく、優れた直進性,異種元素の注入,打ち込み深度及び個数の自在制御,物質表面原子のたたき出しや電子・X線・中性子等の二次粒子放出,RI生成など、多面的な特質を持っている。物質の種類や形状・構造などに合わせてこれらのイオンビームの特徴を上手に活かすことにより、新しいものを創り出したり、物質の中を微細に調べたりすることが可能となる。原研高崎研究所では、材料・宇宙・バイオ科学分野などにおける高度なイオンビーム利用を推進するため、軽イオンから重イオンにわたる多種類のイオンをkeVオーダーから数百MeV級まで加速できるイオン照射施設TIARAを建設し、最先端のイオンビーム利用研究を先導するビーム技術を開発してきた。本稿では、TIARAで得られた材料・宇宙・バイオ科学分野におけるイオンビーム利用の研究成果と今後の展望について解説している。
関口 哲弘; 池浦 宏美*; 馬場 祐治; 下山 巖; Nath, K. G.
Photon Factory Activity Report 2002, Part B, P. 80, 2003/11
本件は放射光研究施設の課題報告である。放射光エネルギーを特定原子の内殻軌道電子の共鳴励起準位に合わせることにより励起された原子近傍の結合解裂が促進される。これは「サイト選択分解」と呼ばれ、気相系で数多く研究されている。本研究では分子が表面に吸着した際、サイト選択性がどのように変化するかを調べた。分解反応は基板により影響を受けると予想される。そのため回転型飛行時間質量分析装置(R-TOF-MS)と放射光の偏光性を組合せた実験手法を開発し、各吸着角度で分解反応がどのように異なるかを調べた。シリコンまたは金基板上に水,有機酸類,アルデヒド類,ベンゼンハライド類を吸着した系について実験を行った。全ての試料系でサイト選択反応が起こるとき顕著な吸着角度依存性が観測された。また非サイト選択的分解(励起サイトから離れた結合の解裂)は吸着角度に依存しない。選択的解離は直接分解に由来し、非選択的解離は2次電子により引き起こされると結論した。