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直江 崇; 木下 秀孝; 粉川 広行; 涌井 隆; 若井 栄一; 羽賀 勝洋; 高田 弘
Materials Science Forum, 1024, p.111 - 120, 2021/03
J-PARCの核破砕中性子源に設置されている水銀標的容器は、水銀中に生じる陽子線励起圧力波が引き起こすキャビテーションによって損傷を受ける。キャビテーションによる壊食損傷を低減する方策として、キャビテーションを誘発する圧力波を低減するための水銀中への微小気泡注入に加えて、ビーム窓先端に狭隘流路を有する2重壁構造容器を採用した。損傷低減化策の効果を確認するために、使用後の標的容器先端部を切断し、内部に形成された損傷を観察した。その結果、積算出力1812MWh(平均強度434kW)で微小気泡を注入して運転した2重壁構造容器で観測された損傷は、積算出力1048MWh(平均強度181kW)の気泡を注入しない従来型容器で観測された損傷と同等であった。さらに、狭隘流路に接する側では、気泡が注入された水銀に接する側より著しく損傷が少ないことを確認した。
直江 崇; 木下 秀孝; 粉川 広行; 涌井 隆; 若井 栄一; 羽賀 勝洋; 高田 弘
JPS Conference Proceedings (Internet), 28, p.081004_1 - 081004_6, 2020/02
J-PARC核破砕中性子源の水銀ターゲット容器(SUS316L製)は、陽子線入射によって生じる水銀中の圧力波が引き起こすキャビテーションにより、ビームが入射する先端部厚さ3mmの壁が損傷する。キャビテーションによる損傷は、ビーム出力と共に増加するため、ターゲット容器の寿命を制限する因子となっている。J-PARCの目標である1MWにおける長期安定運転を実現するために、損傷低減化策として、圧力波抑制のための気泡注入に加えて、先端部に主流の4倍の流速を発生できる幅2mmの狭隘流路を有する先端部二重壁構造の容器を採用した。運転終了後に損傷低減化策の効果を確認するために、容器内壁を切り出して観察した。これまでの経験を踏まえ、確実に切出しを実施するためにコールド試験を通じて切出し条件を最適化して、2017年にターゲット2号機(損傷低減化策無し)、及び2018年に8号機(損傷低減化策有り)の切り出しを実施した。ワークショップでは、切出した試料の損傷観察結果を紹介すると共に、損傷低減化策の効果について報告する。
直江 崇; 粉川 広行; 田中 伸厚*; 二川 正敏
Advanced Experimental Mechanics, 4, p.17 - 21, 2019/08
水銀ターゲットにおける圧力波励起キャビテーション損傷を抑制するために、水銀中への気泡注入とビームが入射する先端部の二重壁構造化の二つの損傷低減化技術を導入している。二重壁構造では、4m/s程度の高速流れと2mm程度の狭隘流路によるキャビテーション損傷の低減効果を期待している。キャビテーション損傷に対する二重壁構造の影響を定量的に評価するために、流速と狭隘壁の間隔を系統的に変化させて水銀中でキャビテーション損傷試験を実施した。その結果、表面粗さで評価した損傷は流速の増加によって低減することを明らかにした。一方、水銀流動条件下では流路間隔の影響はほとんど見られなかった。
直江 崇; 二川 正敏; 大井 俊志; 石倉 修一*; 池田 裕二郎
材料, 54(11), p.1184 - 1190, 2005/11
高出力の核破砕中性子源の開発が世界的に行われている。大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質生命科学実験施設では、核破砕水銀ターゲットからの発生する中性子を用いて、物質生命科学の先駆的研究が展開される。陽子ビームが水銀ターゲットへ入射することにより、水銀中では熱膨張による圧力波が生じる。この圧力波の伝ぱ過程で発生する水銀中のキャビテーションは、ターゲット容器内壁に局所的な衝撃壊食損傷を形成する。この衝撃壊食は、構造健全性を低下させるため、ターゲット容器交換寿命を決定する重要な因子となる。局所的な衝撃壊食損傷を再現するために、電磁式衝撃圧負荷試験装置(MIMTM)を開発し、壊食損傷形成を評価した。さらに、独立した壊食痕形状と、キャビテーション気泡崩壊時に生じるマイクロジェットの衝突速度との相関を評価するために、液滴衝突解析を適用した。その結果、壊食痕の半径/深さで規格化した値を用いることにより、マイクロジェット衝突速度が同定可能であり、陽子ビーム入射時の損傷を再現する実験における衝突速度は、225325m/sであることを示した。また、塑性変形による壊食痕形成抑制の観点から、表面硬化処理が有用であることを示し、その有効厚さについても評価した。
二川 正敏; 直江 崇*; 粉川 広行; 伊達 秀文*; 池田 裕二郎
JSME International Journal, Series A, 48(4), p.234 - 239, 2005/10
J-PARCに設置される核破砕パルス中性源には、ターゲット材として液体水銀を使用する。大強度陽子線入射時には、熱衝撃に伴う圧力波が水銀中に発生する。この圧力波の伝播過程で水銀中でキャビテーション気泡が生成し、気泡崩壊に伴う局所衝撃がターゲット容器の水銀接液界面に負荷する。本報では、液体水銀衝撃パルス負荷実験により形成したキャビテーション衝撃壊食痕、すなわちマイクロピット形状から局所衝撃力を評価した。さらに、気泡崩壊時に発生するマイクロジェット衝撃力を液球体による固/液界面の衝撃問題として数値解析を行い、実験結果と比較した。その結果、ピット半径と深さの比に着目すれば、マイクロジェット衝撃速度を推定できることがわかった。さらに、MW-classの水銀ターゲットでは気泡崩壊時に300m/s程度の衝撃負荷が発生することが推定された。
直江 崇*; 二川 正敏; 小山 智史*; 粉川 広行; 池田 裕二郎
実験力学, 5(3), p.280 - 285, 2005/09
現在、開発が進められているJ-PARCの物質生命科学研究施設では、核破砕中性子源水銀ターゲットから生成される中性子を利用した最先端の研究が行われる。大強度の陽子線入射に伴う熱衝撃により、水銀を充填するターゲット容器と水銀との界面では、急激な圧力変動によりキャビテーションが発生する。このキャビテーションによりターゲット容器内壁は壊食損傷を受ける。この壊食損傷は、薄肉構造であるターゲット容器の交換寿命を決定する因子となる。これまでに、電磁式衝撃圧負荷試験装置を用いて陽子線入射時の圧力変動を想定したキャビテーション壊食試験を行い、水銀中での衝撃壊食挙動を評価した。ここでは、キャビテーションにより生じる微小気泡の崩壊に起因する音響振動を計測し、損傷形態と比較した。その結果、音響振動から損傷の程度を評価するのに有用な情報が得られることを確認し、音響振動によりターゲット容器の健全性を診断できる可能性を示した。
二川 正敏; 直江 崇*; 粉川 広行; 池田 裕二郎
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(11), p.1059 - 1064, 2004/11
被引用回数:12 パーセンタイル:60.74(Nuclear Science & Technology)高出力核破砕中性子源の開発が世界で行われている。我が国では、革新的な科学研究の推進を目的としたJ-PARCの物質生命科学研究施設に、核破砕中性子源として水銀ターゲットが設置される。水銀を内包するターゲット容器はパルス陽子線入射時に衝撃的圧力変動を受ける。この圧力変動により生じるキャビテーションは、局所衝撃壊食をターゲット容器に付加する。この衝撃壊食は、ターゲット容器の寿命を支配する因子となる。これまでに、陽子線入射励起圧力波を再現できる電磁力衝撃圧負荷試験機を開発し、衝撃壊食の成長挙動を評価した。ここでは、局所衝撃エネルギに関連する音響振動を計測し、損傷形態と比較した。その結果、音響振動は、損傷の程度を推測する有効な情報を与えうることが明らかになり、音響振動によりターゲット容器構造健全性を診断できる可能性を示した。
祖山 均*; 二川 正敏
Tribology Letters, 17(1), p.27 - 30, 2004/07
被引用回数:21 パーセンタイル:57.59(Engineering, Chemical)キャビテーション侵食挙動について、水環境下のさまざまなキャビテーション発生条件で種々の材料に対して評価した。その結果、質量減少を伴う定常期間では時間と質量減少量の関係は、条件及び材料によらずほぼ1.3乗の指数則で表せることがわかった。したがって、定常期間における任意の経過時間に対する質量減少量が1点求まれば、実験式から潜伏期間を推測できることを示した。
二川 正敏; 直江 崇; 粉川 広行; Tsai, C.-C.*; 池田 裕二郎
Journal of Nuclear Science and Technology, 40(11), p.895 - 904, 2003/11
被引用回数:52 パーセンタイル:93.94(Nuclear Science & Technology)MW-クラスの核破砕中性子源の開発が世界的に行われており、冷却材とターゲット材を兼ねた液体水銀の利用が提案・開発されている。水銀ターゲットには陽子ビーム入射時に瞬時熱膨張に起因する圧力波が発生する。その伝播過程で水銀/容器壁界面近傍にキャビテーションが生じ、容器壁面にピッティング損傷が形成される。容器構造健全性の観点から、ピッティング損傷の形成挙動を評価することが肝要である。そこで、圧力波を水銀中に与えるために、電磁力を応用した衝撃試験機(MIMTM: Magnetic IMpact Testing Machine)を新たに開発し、1千万回を超える負荷回数領域の損傷形成挙動を調べた。その結果、損傷形成挙動がマイクロピット塑性変形支配領域である潜伏期と質量減少が顕著となる安定期に大別でき、安定期の質量減少を予測しうる実験式を導出した。
二川 正敏; 粉川 広行; Tsai, C.-C.*; 石倉 修一*; 池田 裕二郎
JAERI-Research 2003-005, 70 Pages, 2003/03
世界的にMWクラスの核破砕中性子源ターゲットの開発が行われている。陽子ビーム入射時に核破砕に伴う瞬時発熱により水銀中に圧力波が発生する。圧力波の伝播過程で構造/液体水銀界面で負圧が生じ、キャビテーションの発生・崩壊によるピッチング損傷が容器構造体内壁に形成されると考えられる。ピッチング損傷はターゲット容器の寿命支配因子となることから、その発生条件,損傷形態,程度を評価し、設計に反映することが必要である。そこで、ピッチング損傷に関する2種類のOFF-LINE実験;ホプキンソン棒衝撃負荷実験(SHPB),電磁力衝撃負荷実験(MIMTM)、を実施した。1000万回に及ぶ衝撃負荷後の損傷形態に関するデータをMIMTMにより取得した。さらに、古典的音響振動法により得られた平均壊食深さの結果と比較した。その結果、壊食挙動は、一定の質量減少率を示す定常状態と定常状態に至るまでの潜伏期に大別でき、定常状態における質量減少は規格化統一線図により整理され、潜伏期間は材料特性,負荷圧力の大きさにより決定されることを明らかにした。
川村 駿介; 直江 崇; 田中 伸厚*; 二川 正敏
no journal, ,
J-PARCの水銀を標的に用いた核破砕中性子源では、大強度の陽子線が水銀に入射する際に生じる圧力波により、水銀を包含する厚さ3mmの薄肉部を有する容器に激しいキャビテーション壊食損傷が生じる。キャビテーションによる損傷を低減するために、先端部に狭隘部を有する2重壁構造化された容器が開発され、詳細なメカニズムは明らかでないもののその損傷低減効果が確認されている。本研究では、狭隘部において水中火花放電により発生させたキャビテーション気泡の成長・崩壊挙動を高速度ビデオカメラにより観察した。さらに、気泡崩壊の衝撃圧に対する流路の幅と流速の相関について調査した。発表では、狭隘流路幅と壁面振動により評価した気泡崩壊圧の関係について可視化実験の結果に基づいて議論する。
直江 崇; 粉川 広行; 涌井 隆; 猿田 晃一; 木下 秀孝; 勅使河原 誠; 原田 正英
no journal, ,
J-PARCの物質生命科学実験施設では、水銀を標的に用いたパルス核破砕中性子源を運用中である。SUS316L製の標的容器は3GeVの陽子線及び中性子による照射損傷に加えて、圧力波で生じるキャビテーションによる損傷を受ける。1MW、25Hzの施設目標に向かって標的容器のキャビテーションによる壊食を抑制するための改良を施しながら段階的に出力を上昇し、2024年5月には2ヶ月の1MW運転を達成した。壊食損傷の低減策の効果を実証するために、標的容器先端部から試験片を切出して損傷を観察した。また、運転中の損傷を予測するために、損傷の深さと陽子ビーム入射で励起される音響振動との相関について検討した。会議では、1MWのビームを受けた損傷観察結果を主としてJ-PARCの水銀標的の現状を報告する。
川村 駿介; 直江 崇; 田中 伸厚*; 二川 正敏
no journal, ,
液体水銀を核破砕標的に用いたJ-PARCのパルス核破砕中性子源では、水銀を内包する標的容器の長寿命化と高出力での長期安定運転の実現を目指す中で、標的容器先端部の内壁に圧力波によって形成されるキャビテーション損傷が、容器の構造健全性を低下させるとして課題となっている。容器先端部に狭隘流路を有する2重壁構造構造を設けることで、狭隘壁と高速流れが形成する圧力勾配によって、キャビテーション損傷の低減効果が報告されているが、損傷低減化に支配的な因子を断定できていない。本研究では、損傷低減化に効果的な狭隘流路設計を行うための基礎的研究として、狭隘流路に水中火花放電法を用いて発生させたキャビテーション気泡の成長・崩壊時の挙動、及び衝撃圧力と流速との相関を評価した。その結果、気泡の最大等価直径と崩壊圧力に起因する振動加速度は、流速の増加に伴い減少すること、気泡最大半径と流路幅の比に依存して崩壊挙動が変化することを明らかにした。
直江 崇; 粉川 広行; 涌井 隆; 羽賀 勝洋
no journal, ,
J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)のパルス核破砕中性子源に設置されている水銀ターゲット容器は、陽子及び中性子による照射損傷、陽子ビーム入射時に水銀の熱衝撃によって生じる圧力波による繰返し応力に加えて、圧力波が引き起こすキャビテーションによる内壁の壊食損傷を受ける。特に、薄肉構造化された容器先端部分では、内壁の壊食損傷が容器の構造健全性を著しく低下させるため長期間の高出力安定運転の障壁となっている。壊食損傷を低減するための対策として、圧力波を低減するための水銀中へのマイクロバブル注入、及び激しい壊食損傷が生じる先端部を2重壁構造化している。これらの対策による損傷低減効果について、内壁に形成された実機の損傷を観察することで確認しながら、段階的に運転出力を増加している。運転出力を検討する際の指標として、オフビームでの壊食実験や、これまでに測定した実機の損傷を基にして、運転条件から壊食損傷の深さを予測する経験式を構築し、実測した損傷を反映させながら予測精度の向上を図っている。発表では、これまでに得られた損傷の観察結果を踏まえて、経験式から評価できるターゲット容器の寿命予測について報告する。