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曽野 浩樹; 井澤 一彦; 頼経 勉; 須山 賢也; 外池 幸太郎
Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 7 Pages, 2023/10
原子力機構にはこれまで9つの臨界実験装置が建設・運転され、2023年現在、4施設が解体済み、4施設が廃止措置に移行し、原子炉運転を前提に現存するのはSTACYのみである。STACYは「ウラン硝酸溶液燃料を用いる臨界実験装置」から「軽水減速材及びウラン棒状燃料を用いる臨界実験装置」に炉心改造され、2024年の運転再開を予定している。STACY更新炉では、福島第一原子力発電所の燃料デブリ取出しに向けた燃料デブリ臨界データ取得が当面の目的であるが、その後も次世代軽水炉開発ほか、その他教育訓練運転など様々な利用も見込まれる。これらの活動は、日本だけでなく、国際的な共同研究や共同利用にも役立つものである。
横山 賢治
EPJ Web of Conferences, 281, p.00004_1 - 00004_10, 2023/03
我が国では、炉定数調整法に基づく高速炉のための調整核データライブラリの開発を1990年代前半から行ってきた。この調整ライブラリは統合炉定数と呼ばれている。最初のバージョンは1991年に開発され、ADJ91と呼ばれている。近年では、マイナーアクチノイドや高次化プルトニウムの装荷された炉心の予測精度を向上させるために積分実験データの更なる拡張が行われた。2017年からこれらの積分実験データを使った統合炉定数ADJ2017の開発を開始し、2022年には現在最新となる統合炉定数ADJ2017Rが完成した。ADJ2017RはJENDL-4.0をベースに開発されており、619個の積分実験データが利用されている。これまでの開発経緯とともにこの最新版の概要について紹介する。一方で、2021年にはJENDL-5が公開された。JENDL-5の開発では、ADJ2017Rで利用された積分実験データの一部が、核データ評価のために利用された。しかしながら、このことは共分散データには反映されていない。JENDL-5に基づく統合炉定数を開発する際には、この状況を考慮する必要がある。本研究では、感度解析によって簡易的に評価した計算値と実験値の比(C/E値)を使って、JENDL-5に基づく予備的な炉定数調整計算を行った。この予備解析の結果についても議論する。
郡司 智; 外池 幸太郎; Clavel, J.-B.*; Duhamel, I.*
Journal of Nuclear Science and Technology, 58(1), p.51 - 61, 2021/01
被引用回数:2 パーセンタイル:20.42(Nuclear Science & Technology)新しい臨界実験装置STACY更新炉は、燃料デブリに関連する臨界計算の検証に貢献することができ、原子力機構(JAEA)と仏IRSNの共同研究として実験炉心設計が進行中である。この論文では、燃料デブリの溶融炉心コンクリート相互作用(MCCI)を模擬した模擬燃料デブリの臨界特性を測定するための新しいSTACYの炉心設計を最適化するために適用される方法を示す。炉心設計がコード検証に関連していることを確認するには、関心のある主要な同位体が持つ反応度価値と、断面積に対する実効増倍率kの感度を評価することが重要である。この研究で説明されている燃料デブリの場合、特にそのコンクリート組成では、ケイ素が断面に対するk感度が最も高くなる核種である。最適なアルゴリズムを使用して評価に最適な炉心設計を効率的に見つけ、ケイ素の捕獲断面積の高い感度を得るために、格子ピッチや炉心の寸法などのいくつかのパラメーターを調整した。これらの最適化手法の適用結果に基づいて、MCCIの興味深い感度フィードバックを得るための新しいSTACYでの燃料デブリの現実的な一連の実験を定義できた。この方法論は、新しいSTACYの他の実験条件を設計するのに役立てることができる。
福島 昌宏; Goda, J.*; 大泉 昭人; Bounds, J.*; Cutler, T.*; Grove, T.*; Hayes, D.*; Hutchinson, J.*; McKenzie, G.*; McSpaden, A.*; et al.
Nuclear Science and Engineering, 194(2), p.138 - 153, 2020/02
被引用回数:7 パーセンタイル:57.46(Nuclear Science & Technology)鉛の断面積を検証するために、燃料組成の異なる3つの高速中性子スペクトル場における鉛ボイド反応度価値に関する一連の積分実験を、米国の国立臨界実験研究センターの臨界実験装置Cometを用いて系統的に実施した。今回、2016年と2017年に実施した高濃縮ウラン/鉛炉心と低濃縮ウラン/鉛炉心の実験に引き続き、プルトニウム/鉛炉心での実験が完了した。プルトニウム/鉛炉心の構築では、アルゴンヌ国立研究所のZero Power Physics Reactor(ZPPR)で1990年代まで使用されたプルトニウム燃料を用いている。また、高濃縮ウラン/鉛炉心に関して、実験の再現性を高精度・高精度で保証するデバイスをCometに新に設置し、2016年の実験手法の再検討を行い、実験データの再評価を実施した。更に、これらの燃料組成の異なる3つの炉心における鉛ボイド反応度価値の実験データを用いて、モンテカルロ計算コードMCNPバージョン6.1により、最新の核データライブラリJENDL-4.0およびENDF/B-VIII.0を検証した。その結果、ENDF/B-VIII.0は、全ての炉心における実験データの再現性が良好であることを確認した。一方、JENDL-4.0は、高濃縮ウラン/鉛炉心と低濃縮ウラン/鉛炉心における実験データを再現する一方で、プルトニウム/鉛炉心では、20%以上過大評価することが明らかになった。
江口 悠太; 菅原 隆徳; 西原 健司; 田澤 勇次郎; 辻本 和文
Proceedings of 26th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-26) (Internet), 8 Pages, 2018/07
加速器駆動核変換システム(ADS)の基礎核特性研究のため、J-PARC計画において核変換物理実験施設(TEF-P)の建設が検討されている。本研究では、崩壊熱の大きなマイナーアクチノイド(MA)燃料を多く使用するTEF-Pにおいて、炉心冷却システムが停止した場合の自然冷却特性の評価、及びその際に炉心が損傷しない設計条件検討を行った。TEF-Pの炉心温度評価においては、炉心周辺部の空格子管領域が断熱層として大きく影響を及ぼすことから、空格子管領域の熱伝達特性を測定するモックアップ試験装置を製作して実験を行い、実験的な熱伝達率を得た。この結果を元に、TEF-P炉心の三次元伝熱解析を実施し、制限温度である327Cを下回る294Cという結果を得た。
原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター 分離変換技術開発ディビジョン
JAEA-Technology 2017-033, 383 Pages, 2018/02
原子力機構では、高レベル放射性廃棄物の減容化及び有害度低減のための研究開発を推進している。このうち、加速器駆動システム(ADS)を用いた核変換に係る研究開発を促進するため、大強度陽子加速器施設(J-PARC)の二期計画として、核変換実験施設(Transmutation Experimental Facility, TEF)の建設が計画されている。TEFは、大強度陽子ビームを液体鉛ビスマスターゲットに入射して核破砕ターゲットの技術開発及び材料の研究開発を行うADSターゲット試験施設(TEF-T)と、陽子ビームをマイナーアクチノイド装荷体系に導入して炉心の物理的特性探索とADSの運転制御経験を蓄積するための核変換物理実験施設(TEF-P)で構成される。本報告書は2つのTEF施設のうちTEF-Pについて、原子炉の設置許可申請のための安全設計についてまとめたものである。
福島 昌宏; Goda, J.*; Bounds, J.*; Cutler, T.*; Grove, T.*; Hutchinson, J.*; James, M.*; McKenzie, G.*; Sanchez, R.*; 大泉 昭人; et al.
Nuclear Science and Engineering, 189, p.93 - 99, 2018/01
被引用回数:9 パーセンタイル:64.03(Nuclear Science & Technology)鉛断面積の積分評価に資するため、米国National Criticality Experiments Research Center(NCERC)の臨界実験装置COMETを用いて、高濃縮ウラン/鉛系及び低濃縮ウラン/鉛系における鉛ボイド反応度価値に関する一連の積分実験を実施した。本実験体系は、鉛の散乱断面積に対して異なる感度を有する相補的なデータセットを提供するように設計された。高濃縮ウラン/鉛系と比較して、低濃縮ウラン/鉛系ではUの含有量が多いことから1MeV以上の中性子インポータンスが増加する特徴がある。このため、体系から鉛を除去することにより中性子スペクトルは高エネルギー側へシフトするため、高濃縮ウラン/鉛系で鉛ボイド反応度価値が負値となる一方で、低濃縮ウラン/鉛系では正値として観測された。この鉛ボイド反応度価値に対する実験解析を、モンテカルロコードMCNP6.1により核データJENDL-4.0及びENDF/B-VII.1を用いて実施した。その結果、いずれの核データにおいても、低濃縮ウラン/鉛系では実験値をよく再現する一方で、高濃縮ウラン/鉛系では過大評価することが判明した。
北村 康則*; 福島 昌宏
Nuclear Science and Engineering, 186(2), p.168 - 179, 2017/05
被引用回数:1 パーセンタイル:9.95(Nuclear Science & Technology)短尺サンプルの反応度価値に関しては、臨界水位法による測定値と核データ・核計算手法の検証に用いられる従来の解析値との間に不一致があることが知られている。本研究は、この不一致を単純な理論的枠組みの観点から調べるとともに、補助的な実験等を行わずにサンプル反応度価値の測定値を補正するための簡便的かつ実用的な手法を提案した。臨界水位法により測定される典型的なサンプル反応度価値を模擬した一連のモンテカルロ計算は、この不一致が本補正法により効果的に減少することを示した。
吉岡 研一*; 菊池 司*; 郡司 智*; 熊埜御堂 宏徳*; 三橋 偉司*; 馬野 琢也*; 山岡 光明*; 岡嶋 成晃; 福島 昌宏; 長家 康展; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 52(2), p.282 - 293, 2015/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)軽水炉臨界格子体系における修正転換比測定を用いてボイド反応度を評価する手法を開発した。各燃料棒の修正転換比から推定される"中性子無限増倍率", を用いて集合体ごとのボイド反応度を評価する。低減速軽水炉では負のボイド反応度評価が重要な課題であり、低減速軽水炉格子における臨界実験で修正転換比分布を測定し、を推定した。測定値は連続エネルギーモンテカルロ法で解析を行った。開発した手法は、ボイド反応度に関する核設計手法の妥当性評価に有用である。
Monti, S.*; Toti, A.*; Stanculescu, A.*; Pascal, V.*; Fontaine, B.*; Herrenschmidt, A.*; Prulhiere, G.*; Vanier, M.*; Varaine, F.*; Vasile, A.*; et al.
IAEA-TECDOC-1742, 247 Pages, 2014/06
Before the definitive shutdown in 2009, PHNIX end-of-life tests were conducted to gather additional experience on the operation of sodium cooled reactors. Thanks to the CEA, the IAEA decided in 2007 to launch the CRP entitled Control Rod Withdrawal Test performed during the PHNIX end-of-life experiments. The objective of this publication is to document the results and main achievements of the benchmark analyses on the control rod withdrawal test performed within the framework. For the total control rod worth, two groups of results were observed. The difference between the groups can be explained on the basis of the control rod model treatment on self-shielded cross-sections of absorbing media with deterministic codes. Heat transfers and sodium mixing phenomena strengthened by sodium turbulent flows in the hot plenum disturb power balances and degrade the comparisons. It leads the systematic overestimation in power deviation calculations for all the participants.
大井川 宏之; 佐々 敏信; 菊地 賢司; 西原 健司; 倉田 有司; 梅野 誠*; 辻本 和文; 斎藤 滋; 二川 正敏; 水本 元治; et al.
Proceedings of 4th International Workshop on the Utilisation and Reliability of High Power Proton Accelerators, p.507 - 517, 2005/11
J-PARC施設の一つとして、原研は核変換実験施設(TEF)の建設を計画している。TEFは、核変換物理実験施設(TEF-P)とADSターゲット試験施設(TEF-T)で構成される。TEF-Pは、600MeV, 10Wの陽子ビームを入射できる臨界実験施設である。TEF-Tは、600MeV, 200kWの陽子ビームを用いる材料照射施設で、鉛ビスマスターゲットを設置するが、核燃料を使った中性子増倍は行わない。本報告では、実験施設の目的,概念設計の現状,想定する実験項目を示す。
奥村 啓介; 川崎 憲二*; 森 貴正
JAERI-Research 2005-018, 64 Pages, 2005/08
KRITZ-2臨界実験では、微濃縮UO燃料または低Pu富化度のMOX燃料を装荷した3種類の炉心で、常温及び高温(約245C)体系における臨界性と出力分布が測定されている。核データの検証のため、連続エネルギーモンテカルロコードMVPと4種類の核データライブラリ(JENDL-3.2, JENDL-3.3, JEF-2.2, ENDF/B-VI.8)を使用して、ベンチマーク解析を行った。その結果、出力分布に関しては、どの核データも実験値とよく一致したが、臨界性と等温温度係数に関しては、JENDL-3.2やJEF-2.2の結果の方が良好であり、より新しい核データ評価であるJENDL-3.3とENDF/B-VI.8の結果は、微濃縮UO炉心の臨界性を過小評価し、等温温度係数を負側に過大評価する傾向が見られた。この原因を調べるため、無限格子計算による詳しい検討を行った結果、核データライブラリ間の差異は、1eV以下のU-235核分裂断面積の差異に起因していることが判明した。
久語 輝彦; 小嶋 健介; 安藤 真樹; 岡嶋 成晃; 森 貴正; 竹田 敏一*; 北田 孝典*; 松岡 正悟*
Proceedings of 2005 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '05) (CD-ROM), 10 Pages, 2005/05
MOX燃料稠密格子水冷却炉心用に実施したFCA臨界実験を活用して、バイアス因子法に基づき、水冷却増殖炉実機炉心性能の予測誤差の低減を予備的に評価した。kに対する予測誤差は、FCA-XV-2(65V)炉心の結果を用いることにより、0.62%から0.39%に減少した。U捕獲対Pu核分裂反応率比については、実機の上部炉心及び上部ブランケットに対しては、FCA-XXII-1(95V)炉心及びFCA-XV-2(95V)炉心が適し、実機の下部炉心及び中間ブランケットに対しては、FCA-XXII-1(65V)炉心及びFCA-XV-2(65V)炉心が適していることがわかった。
大井川 宏之; 辻本 和文; 菊地 賢司; 倉田 有司; 佐々 敏信; 梅野 誠*; 斎藤 滋; 西原 健司; 水本 元治; 高野 秀機*; et al.
EUR-21227 (CD-ROM), p.483 - 493, 2005/00
原研では加速器駆動未臨界システム(ADS)を用いた核変換専用システムの研究開発を進めており、これまでに熱出力800MWの未臨界炉を提案してきた。ADSの成立性を検証することを目的に、原研ではシステムの概念設計を含めた多くの研究開発活動が進行中であるか計画中である。陽子加速器の分野では、超伝導LINACが開発されている。鉛ビスマス共晶合金(LBE)を用いた核破砕ターゲットに関しては、材料腐食,熱流動,ポロニウム挙動,材料照射損傷に関する研究が進捗中である。さらに、原研では、J-PARCプロジェクトの一環として、陽子ビームと核燃料を用いてADSの成立性を検証すること及びLBEを用いた核破砕ターゲットと関連する材料に関する技術を確立することを目的とした核変換実験施設の建設を計画している。
佐々 敏信
Progress in Nuclear Energy, 47(1-4), p.314 - 326, 2005/00
被引用回数:16 パーセンタイル:71.41(Nuclear Science & Technology)原研では、OMEGA計画の下で長寿命核種の核変換を行う加速器駆動システム(ADS)の研究開発を行っている。ADSに関する基礎特性を取得するため、原研-KEK共同のJ-PARC計画の枠組みの中で核変換実験施設の建設を予定している。また、ADSプラントの研究開発を(1)超伝導陽子LINAC,(2)鉛・ビスマスターゲット/冷却材技術、及び(3)未臨界炉心技術の3つの分野に分けて3年計画で進めている。このなかでは、クライオモジュール試作,鉛・ビスマスループによる熱流動試験,出力800MWの未臨界炉心設計を実施しているところである。本研究の一部は、革新的原子力システム公募事業の一環として文部科学省からの受託事業として実施している。
佐々 敏信; 大井川 宏之; 辻本 和文; 西原 健司; 菊地 賢司; 倉田 有司; 斎藤 滋; 二川 正敏; 梅野 誠*; 大内 伸夫; et al.
Nuclear Engineering and Design, 230(1-3), p.209 - 222, 2004/05
被引用回数:37 パーセンタイル:89.26(Nuclear Science & Technology)原研では、マイナーアクチニドと長寿命核分裂生成物を核変換する加速器駆動システムの研究開発を進めている。システムは大強度陽子加速器,鉛・ビスマス核破砕ターゲット及び窒化物燃料を装荷した鉛・ビスマス冷却未臨界炉心から構成される。約2,500kgのマイナーアクチニドが未臨界炉心に装荷される。このシステムを熱出力800MWで運転することにより、年間250kgが核変換される。未臨界炉心を駆動するため、ビーム出力30MWの超伝導線形加速器を接続する。未臨界炉心設計,核破砕ターゲット技術,鉛・ビスマス利用技術,加速器開発及びマイナーアクチニド燃料開発などの多くの分野で研究開発が行われている。中でも、加速器駆動システムの成立性に関する研究や評価を行うため、核変換実験施設(TEF)が大強度陽子加速器計画の下で提案されている。
Mahmood, M. S.; 長家 康展; 森 貴正
JAERI-Tech 2004-027, 30 Pages, 2004/03
ICSBEPハンドブックに掲載されているTRIGA Mark-II炉心のベンチーマーク実験を核データライブラリーJENDL-3.3, JENDL-3.2及びENDF/B-VI.8とモンテカルロコードMVPを用いて解析した。また、MVPコードとMCNPコードの比較のためにENDF/B-VI.6を用いたMCNPの計算も行った。炉心構成の異なる炉心132及び133についてMVPコード及びJENDL-3.3, JENDL-3.2, ENDF/B-VI.8を用いて得られたC/E値はそれぞれ0.999, 1.003, 0.998であった。MCNPコードを用いて得られたC/E値は炉心132と133についてともに0.998であった。すべての結果は実験値と実験誤差の範囲内で一致した。MVPとENDF/B-VI.8及びMCNPとENDF/B-VI.6を用いて得られた結果は炉心132については0.02%、炉心133については0.01%の差異しか見られなかった。
代谷 誠治*; 三澤 毅*; 宇根崎 博信*; 市原 千尋*; 小林 圭二*; 中村 博*; 秦 和夫*; 今西 信嗣*; 金澤 哲*; 森 貴正
JAERI-Tech 2004-025, 93 Pages, 2004/03
本研究では、京都大学原子炉実験所の将来計画に関連して、(1)高エネルギー中性子の物質透過実験,(2)京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)における加速器駆動未臨界炉(ADSR)模擬実験,(3)MCNP-Xコードによる京都大学原子炉(KUR)型ADSRの概念的核設計を行い、ADSR型の研究用中性子源の実現に資するとともに、ADSR一般の開発に向けた炉物理的課題を抽出することを目的とした。本研究を通じて、ADSRの基本的特性の概略を理論的,実験的に把握することができ、今後の研究を推進するうえで必要な基礎的知見が得られた。その知見をあえて一言で表現すれば、予想に違わず、ADSRの基本特性は未臨界炉の基本特性に大きく左右されるということである。今後、ADSRの実現に向けて、より詳細な研究を着実に積み上げることが必要と考えられるが、そのためには、(1)核データのより一層の精度向上,(2)未臨界度測定や高エネルギーから低エネルギー領域に及ぶ中性子束の絶対値測定などのADSRを対象とした炉物理実験手法の確立,(3)核破砕中性子発生挙動から遅発中性子挙動の取り扱いを含むADSR関連の解析ツールの整備が必要不可欠である。
戸田 三朗*; 結城 和久*; 秋本 肇
JAERI-Tech 2004-008, 58 Pages, 2004/03
核融合炉の炉心プラズマ周辺に設置される第一壁,ダイバータ,リミターなどの機器は、プラズマから膨大な熱負荷を受けるため、高熱負荷を有効に除去するための技術が必要である。現状では最高で50MW/m程度の限界熱流束値が報告されているが、今後の核融合炉の実用化を踏まえて飛躍的な限界熱流束値の向上が期待されている。そこで、筆者らは「多孔質体内相変化を利用した除熱」と「ミスト衝突噴流による除熱」の2つの定常除熱法を用いて限界熱流束値の極限に挑戦する実験を行い、次の成果を得た。多孔質体を用いた超高熱流束除去実験では、多孔質体がステンレス時に10MW/m,ブロンズ時に34MW/m,銅ファイバー時に71MW/mの定常除熱を実証した。一方、ミスト衝突噴流による局所高熱流束除去実験では、ミストの液滴径や流速を最適化することにより、15MW/mの除熱を達成した。
炉物理研究委員会
JAERI-Research 2004-004, 409 Pages, 2004/03
本報告書は、「軽水炉次世代燃料の炉物理」ワーキングパーティ(WP)の第2期活動(平成13-14年度)についてまとめたものである。次世代燃料とは、70GWd/t程度と現行の設計を大きく上回る燃焼度の増大を目指す燃料をいう。同WPでは、次世代燃料の核特性に対する計算精度の評価及び改善を目指したベンチマーク活動を行ってきた。第2期活動においては、国内外から提出された最終的なベンチマーク解析結果の比較に基づき、軽水炉次世代燃料に対する核特性予測精度の現状を確認するとともに、解析結果の差異要因を詳細に分析した。また、ベンチマークに使用されたコードによる照射後試験解析や臨界実験解析の結果をレビューし、ベンチマーク解析結果の差異を詰めるうえで必要な実験や今後の研究課題の抽出・提案を行った。