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横山 賢治; 丸山 修平; 谷中 裕; 大木 繁夫
JAEA-Data/Code 2021-019, 115 Pages, 2022/03
原子力機構ではこれまでにも高速炉用統合炉定数を作成してきているが、高速炉用統合炉定数ADJ2017の改訂版となるADJ2017Rを作成した。統合炉定数は、高速炉の核設計基本データベースに含まれる臨界実験解析等で得られるC/E値(解析/実験値)の情報を、炉定数調整法により実機の設計に反映するためのものであり、核データの不確かさ(共分散)、積分実験・解析の不確かさ、臨界実験に対する核データの感度等の情報を統合して炉定数を調整する。ADJ2017Rは、基本的にはADJ2017と同等の性能を持つ統合炉定数であるが、ADJ2017に対して追加検討を行い、以下の二つの点について見直しを行った。一つ目は実験起因不確かさの相関係数(以下、実験相関係数)の評価方法の統一化である。実験相関係数の評価で用いる共通不確かさの評価方法に二つの方法が混在していたことが分かったため、すべての実験データについて実験相関係数を見直し、評価方法を統一した。二つ目は炉定数調整計算に用いる積分実験データについてである。Am-243サンプルの燃焼後組成比の実験データの一つに、実験不確かさが他に比べて極端に小さく不確かさ評価に課題がある可能性が高いことが分かったため、当該実験データを除外して炉定数調整を行った。なお、ADJ2017の作成では、合計719個の核特性の解析結果に対する総合評価を行い、最終的に620個の積分実験データを採用していたが、ADJ2017Rの作成では一つ除外したので、最終的に採用した積分実験データは619個となる。どちらの見直しについても炉定数調整計算結果に与える影響は小さいが、不確かさ評価方法の説明性や積分実験データとの整合性が向上したと考えられる。
江口 悠太; 菅原 隆徳; 西原 健司; 田澤 勇次郎; 辻本 和文
Proceedings of 26th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-26) (Internet), 8 Pages, 2018/07
加速器駆動核変換システム(ADS)の基礎核特性研究のため、J-PARC計画において核変換物理実験施設(TEF-P)の建設が検討されている。本研究では、崩壊熱の大きなマイナーアクチノイド(MA)燃料を多く使用するTEF-Pにおいて、炉心冷却システムが停止した場合の自然冷却特性の評価、及びその際に炉心が損傷しない設計条件検討を行った。TEF-Pの炉心温度評価においては、炉心周辺部の空格子管領域が断熱層として大きく影響を及ぼすことから、空格子管領域の熱伝達特性を測定するモックアップ試験装置を製作して実験を行い、実験的な熱伝達率を得た。この結果を元に、TEF-P炉心の三次元伝熱解析を実施し、制限温度である327Cを下回る294Cという結果を得た。
関 真和; 前川 知之; 井澤 一彦; 曽野 浩樹
JAEA-Technology 2017-038, 52 Pages, 2018/03
日本原子力研究開発機構では、溶液燃料を用いるSTACY(定常臨界実験装置)施設を「棒状燃料と軽水減速材を用いる熱中性子炉用臨界実験装置(STACY更新炉)」に更新する計画を進めている。これまでのSTACYは、炉心タンクへ供給する溶液燃料の体積を調整する液位制御方式を採用していたが、STACY更新炉は、炉心タンクへ減速材の給水量を調整する水位制御方式を採用する。この水位制御について、これまでに行った基本設計の妥当性を検証するため、実機とほぼ同一構造の設備・機器を用いた給排水系モックアップ試験装置を製作した。モックアップ試験では、最大給水流量の制限、給水流量の調整、給水停止等の性能確認を行った。本書では、STACY更新炉給排水系のモックアップ試験の結果について報告する。
原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター 分離変換技術開発ディビジョン
JAEA-Technology 2017-033, 383 Pages, 2018/02
原子力機構では、高レベル放射性廃棄物の減容化及び有害度低減のための研究開発を推進している。このうち、加速器駆動システム(ADS)を用いた核変換に係る研究開発を促進するため、大強度陽子加速器施設(J-PARC)の二期計画として、核変換実験施設(Transmutation Experimental Facility, TEF)の建設が計画されている。TEFは、大強度陽子ビームを液体鉛ビスマスターゲットに入射して核破砕ターゲットの技術開発及び材料の研究開発を行うADSターゲット試験施設(TEF-T)と、陽子ビームをマイナーアクチノイド装荷体系に導入して炉心の物理的特性探索とADSの運転制御経験を蓄積するための核変換物理実験施設(TEF-P)で構成される。本報告書は2つのTEF施設のうちTEF-Pについて、原子炉の設置許可申請のための安全設計についてまとめたものである。
奥野 浩; 須山 賢也; 龍福 進*
JAEA-Review 2017-010, 93 Pages, 2017/06
使用済燃料を取扱う施設の臨界安全管理に対して、燃焼度クレジットを導入することが検討されている。本資料は、今後国内の使用済燃料を取扱う施設において燃焼度クレジットを採用することを目的として、使用済燃料の同位体組成と臨界性の予測に関する技術的現状、安全評価上考慮すべき点、そして規制に関する現状をまとめたものである。この報告書は、燃料サイクル安全研究委員会がJAERI-Tech 2001-055として日本語で刊行した「燃焼度クレジット導入ガイド原案」の英訳である。
大井川 宏之; 佐々 敏信; 菊地 賢司; 西原 健司; 倉田 有司; 梅野 誠*; 辻本 和文; 斎藤 滋; 二川 正敏; 水本 元治; et al.
Proceedings of 4th International Workshop on the Utilisation and Reliability of High Power Proton Accelerators, p.507 - 517, 2005/11
J-PARC施設の一つとして、原研は核変換実験施設(TEF)の建設を計画している。TEFは、核変換物理実験施設(TEF-P)とADSターゲット試験施設(TEF-T)で構成される。TEF-Pは、600MeV, 10Wの陽子ビームを入射できる臨界実験施設である。TEF-Tは、600MeV, 200kWの陽子ビームを用いる材料照射施設で、鉛ビスマスターゲットを設置するが、核燃料を使った中性子増倍は行わない。本報告では、実験施設の目的,概念設計の現状,想定する実験項目を示す。
阿部 仁; 田代 信介; 森田 泰治
JAERI-Conf 2005-007, p.199 - 204, 2005/08
核燃料サイクル施設の総合的な安全性を評価するためには、放射性物質の放出挙動評価のためのソースタームデータが必要である。本報ではおもにTRACYで取得してきた溶液燃料臨界事故時に対するソースタームデータについて報告する。過渡臨界後約4.5時間の時点におけるヨウ素の放出割合は、過渡臨界直後に調整トランジェント棒を溶液燃料に再挿入した場合で約0.2%、調整トランジェント棒を挿入せず臨界状態を継続させた場合で約0.9%であった。また、逆炉周期が約100(1/s)の場合で、Xe-141の放出割合は90%以上であった。さらに、現在計画中の火災事故に対する研究計画についても言及する。
大井川 宏之; 辻本 和文; 菊地 賢司; 倉田 有司; 佐々 敏信; 梅野 誠*; 斎藤 滋; 西原 健司; 水本 元治; 高野 秀機*; et al.
EUR-21227 (CD-ROM), p.483 - 493, 2005/00
原研では加速器駆動未臨界システム(ADS)を用いた核変換専用システムの研究開発を進めており、これまでに熱出力800MWの未臨界炉を提案してきた。ADSの成立性を検証することを目的に、原研ではシステムの概念設計を含めた多くの研究開発活動が進行中であるか計画中である。陽子加速器の分野では、超伝導LINACが開発されている。鉛ビスマス共晶合金(LBE)を用いた核破砕ターゲットに関しては、材料腐食,熱流動,ポロニウム挙動,材料照射損傷に関する研究が進捗中である。さらに、原研では、J-PARCプロジェクトの一環として、陽子ビームと核燃料を用いてADSの成立性を検証すること及びLBEを用いた核破砕ターゲットと関連する材料に関する技術を確立することを目的とした核変換実験施設の建設を計画している。
佐々 敏信
Progress in Nuclear Energy, 47(1-4), p.314 - 326, 2005/00
被引用回数:16 パーセンタイル:71.41(Nuclear Science & Technology)原研では、OMEGA計画の下で長寿命核種の核変換を行う加速器駆動システム(ADS)の研究開発を行っている。ADSに関する基礎特性を取得するため、原研-KEK共同のJ-PARC計画の枠組みの中で核変換実験施設の建設を予定している。また、ADSプラントの研究開発を(1)超伝導陽子LINAC,(2)鉛・ビスマスターゲット/冷却材技術、及び(3)未臨界炉心技術の3つの分野に分けて3年計画で進めている。このなかでは、クライオモジュール試作,鉛・ビスマスループによる熱流動試験,出力800MWの未臨界炉心設計を実施しているところである。本研究の一部は、革新的原子力システム公募事業の一環として文部科学省からの受託事業として実施している。
佐々 敏信; 大井川 宏之; 辻本 和文; 西原 健司; 菊地 賢司; 倉田 有司; 斎藤 滋; 二川 正敏; 梅野 誠*; 大内 伸夫; et al.
Nuclear Engineering and Design, 230(1-3), p.209 - 222, 2004/05
被引用回数:37 パーセンタイル:89.26(Nuclear Science & Technology)原研では、マイナーアクチニドと長寿命核分裂生成物を核変換する加速器駆動システムの研究開発を進めている。システムは大強度陽子加速器,鉛・ビスマス核破砕ターゲット及び窒化物燃料を装荷した鉛・ビスマス冷却未臨界炉心から構成される。約2,500kgのマイナーアクチニドが未臨界炉心に装荷される。このシステムを熱出力800MWで運転することにより、年間250kgが核変換される。未臨界炉心を駆動するため、ビーム出力30MWの超伝導線形加速器を接続する。未臨界炉心設計,核破砕ターゲット技術,鉛・ビスマス利用技術,加速器開発及びマイナーアクチニド燃料開発などの多くの分野で研究開発が行われている。中でも、加速器駆動システムの成立性に関する研究や評価を行うため、核変換実験施設(TEF)が大強度陽子加速器計画の下で提案されている。
大井川 宏之
原子核研究, 47(6), p.39 - 52, 2003/03
マイナーアクチニド(MA)及び長寿命核分裂生成物(LLFP)は、核燃料サイクルで生じる高レベル放射性廃棄物中にあって長期にわたって毒性を保ち続ける。これらの核種を短寿命又は安定な核種に変換することを目的に、加速器駆動核変換システム(ADS)が提案され、開発されている。本稿では、ADSに関する研究開発の現状,解決すべき技術課題,大強度陽子加速器プロジェクト(J-PARC)における実験計画及び世界各国における取り組みについて解説したものである。
燃料サイクル安全研究委員会
JAERI-Tech 2001-055, 92 Pages, 2001/07
使用済燃料を取り扱う施設の臨界安全管理に対して、燃焼度クレジットを採用することが検討されている。本資料は、今後国内の使用済燃料を取り扱う施設において燃焼度クレジットを採用することを目的として、使用済燃料の同位体組成と臨界性の予測に関する技術的現状,安全評価上考慮すべき点,そして規制に関する現状をまとめたものである。
加藤 崇; 中嶋 秀夫; 礒野 高明; 濱田 一弥; 河野 勝己; 杉本 誠; 布谷 嘉彦; 小泉 徳潔; 松井 邦浩; 押切 雅幸*; et al.
低温工学, 36(6), p.315 - 323, 2001/06
CSモデル・コイル試験装置は、ITER R&Dで製作されたCSモデル・コイル及びCSインサート・コイルの検証すべきコイル性能を試験する超伝動コイル試験装置である。本装置の最大の特徴は、高出力の大電源(最大出力225MVA: JT-60トロイダル磁場用電源)と大型ヘリウム冷凍システム(5kW@4.5K及び超臨界圧ヘリウムを1.0kg/sまで強制循環可能)を併せ持つ点である。本試験装置は、世界最大の超伝動コイル試験装置となり、CSモデル・コイル及びCSインサート・コイル試験において約5ヶ月間に渡る連続運転にその性能を十分に発揮し試験成功を導いた。本試験装置の設計,仕様,そして、性能について述べる。
佐々 敏信; 大井川 宏之; 辻本 和文; 西原 健司; 梅野 誠*; 高野 秀機*
Proceedings of International Conference on Global Environment and Advanced Nuclear Power Plants (GENES4/ANP 2003) (CD-ROM), 8 Pages, 2000/09
日本原子力研究所が提案する加速器駆動核変換システムは超伝導陽子加速器,鉛・ビスマス核破砕ターゲット及び鉛ビスマス冷却未臨界炉心から構成される。2030MWの陽子ビームを投入することにより、熱出力800MWが得られ、年間250kgのマイナーアクチニドを核変換できる。ADSの技術成立性を物理的及び工学的観点から検証するため、J-PARC計画で核変換実験施設の建設を計画するとともに、文部科学省の受託研究として超伝導加速器,鉛・ビスマス取扱技術,未臨界炉心構造について、JNC,大学をはじめとする機関と連携して技術開発を進めている。本報告では、加速器駆動システムの技術開発の現状を、受託研究で得られた成果を中心に報告する。
G.D.Spriggs*; R.D.Busch*; 桜井 健; 岡嶋 成晃
Annals of Nuclear Energy, 26(3), p.237 - 264, 1999/00
被引用回数:16 パーセンタイル:73.79(Nuclear Science & Technology)原子炉内に任意に分布した中性子源の強度を、等価な基本モード中性子源強度へ換算する係数gを導出した。この係数の有効性を、FCA-XIX-1炉心において実証した。
向山 武彦; 小川 弘伸; 横田 康弘*
JAERI-Research 98-001, 76 Pages, 1998/01
日本原子力研究所の高速炉臨界実験施設FCAは、保障措置上非常に機微な金属ウランや金属プルトニウムを保有する。このために高頻度で直接検認する査察を実施しているが、国際原子力機関(IAEA)及び国(科学技術庁)と施設の3者に大きな負担となっている。査察に係わるマンパワーと被曝の増加及び実験に対する制約を、効果的・効率的に軽減することを目的として1979年に本システムの開発を開始した。本システムは、ポータル・モニタとペネトレーション・モニタの互いに補完する2つのモニタで構成されている。システムの開発は1988年に完了、引き続いて12ヶ月の現地認証試験を実施した。1990年1月のIAEA最終報告書は、保障措置上の目標を達成する査察機器として受諾した。但し、データ真正性の担保手続きを条件とした。
高橋 良和; 押切 雅幸*; 河野 勝己; 塙 博美*; 今橋 浩一*; 関 秀一*; 大都 起一*; 若林 宏*; 高野 克敏*; 宇野 康弘*; et al.
低温工学, 33(5), p.323 - 333, 1998/00
核融合装置に用いられる大電流超電導導体の性能を、超電導コイルの開発段階において、評価するための装置が完成した。外部磁場11T、通電電流値60kA、冷媒温度5~16Kの条件で、サンプルを評価することが可能である。本装置を用いて、中心ソレノイド・モデル・コイル用導体及び導体接続部の実験を行う予定である。本装置の設計とともに、試運転の結果を報告する。
竹下 功; 板橋 隆之; 小川 和彦; 外池 幸太郎; 松村 達郎; 三好 慶典; 中島 健; 井沢 直樹
3rd JSME/ASME Joint Int. Conf. on Nuclear Engineering (ICONE), 4, p.1881 - 1886, 1995/00
本書は、核燃料サイクル分野での臨界実験安全性を研究するSTACYとTRACYの2つの臨界実験装置及びその燃料を調製する設備について行われた設計・モックアップ試験及びコールド試験の結果をまとめたものである。STACYでは、低濃縮ウラン溶液及びプルトニウム溶液の臨界量について、炉心形状、炉心直径及び溶液濃度等をパラメータとして系統的な臨界データが取得される。TRACYでは、急激に反応度を添加し、臨界事故時の過渡特性の解明及び放射性物質の環境への移行機構を解明するための基礎データが取得される。各々の臨界実験装置は、モックアップ試験、コールドでの機能試験により、所定の機能を有することが確認された。会議では、来年当初行う予定のホット試験の結果も一部加えて報告する。
外池 幸太郎; 井沢 直樹; 岡崎 修二; 杉川 進; 竹下 功; 鎌田 滋*
ICNC 95: 5th Int. Conf. on Nuclear Criticality Safety,Vol. II, 0, p.10.25 - 10.32, 1995/00
定常臨界実験装置(STACY)と過渡臨界実験装置(TRACY)が日本原子力研究所(JAERI)東海研究所の核燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)内に完成し、STACYが1995年2月より運転を開始した。STACYは、低濃縮ウランやプルトニウムを含む硝酸溶液の臨界量を、様々な幾何形状、化学組成等の条件の下で測定する装置である。TRACYは、低濃縮ウランの硝酸水溶液を用いて臨界を超える現象を実現することができる。STACYを用いた実験では、核燃料再処理工場の臨界安全設計に必要な臨界データを取得する。STACYの各種機器の寸法誤差及び溶液燃料の分析精度を考慮して、取得データの精度を予備的に評価したところ、データが計算機コードのベンチマークテストに適用可能である見通しが得られた。
柳澤 宏司; 竹下 功; 三好 慶典; 杉川 進; 須崎 武則; 館盛 勝一
Proc. of the 91 Int. Conf. on Nuclear Criticality Safety,Vol. 2, p.V-65 - V-72, 1991/00
現在原研で建設・整備を進めているNUCEFには、STACY、TRACYと呼ばれる二基の臨界実験装置が設置される。これらの臨界実験装置では硝酸ウラン及び硝酸プルトニウムの溶液燃料を使用するため、これを実験目的に合わせて調製するための核燃料取扱設備を有する。核燃料取扱設備は、再処理施設と同様な6つの工程から構成され、燃料の溶解、濃縮、混合、精製等を行う。本論文では、核燃料取扱設備の臨界安全設計について、その基本方針と設計例について示した。