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北谷 文人; 土屋 晴文; 藤 暢輔; 堀 順一*; 佐野 忠史*; 高橋 佳之*; 中島 健*
KURRI Progress Report 2017, P. 99, 2018/08
As a non-destructive analytical technique for nuclear material in the field of nuclear security and nuclear nonproliferation, a neutron resonance transmission analysis (NRTA) attracts attention of researchers. It is important to downsize a NRTA system when it is deployed at various facilities. For this aim, we have developed a compact NRTA system which utilizes a D-T neutron generator. Its pulse width of 10s is much longer than that of a large electron beam accelerator. It is necessary to understand the influence of pulse widths on the NRTA measurement. Therefore, we conducted the experiments of the simulated nuclear fuel pin samples to evaluate how the NRTA measurement is influenced by the pulse width of neutron beam. Experiments were performed in Kyoto University. The simulated fuel pellet sample was made from metallic powders of Ag (around 1%) and Al (around 99%). The energy of the irradiation neutron is determined by a Time of Flight technique. We used three pulse widths of the neutron beam of 0.1, 1 and 4
s. A resonance dip of
Ag at 5.19 eV is observed in the all spectra. And the dip of the TOF spectrum shifts towards low energy, with pulse width changed to a longer one. In this work, we confirmed that neutron pulse width affected the NRTA measurement of the fuel pin sample. On the basis of this work, we will be able to quantify the effects of long-pulse width in a resonance analysis.
Verzilov, Y. M.; 佐藤 聡; 中尾 誠*; 落合 謙太郎; 和田 政行*; 西谷 健夫
JAERI-Research 2004-015, 55 Pages, 2004/10
原研が提案しているDEMO炉の水冷却固体増殖ブランケット概念に対する単一増殖層模擬体系を用いて第1回の一連の積分実験を実施した。第1回の一連の実験の模擬体系は提案している概念の範囲で、できるかぎり単純になるよう計画した。実験の主要目的は、入射中性子のスペクトルに影響され易い第1壁近傍の増殖層のトリチウム生成率をどれだけ正確に予測できるかを確認することと、チタン酸リチウム層内で急激に変化する熱中性子場において改善した実験手法を確認することである。模擬体系は、16mm厚のF82H,12mm厚のチタン酸リチウム及び200mm厚のベリリウム層から成っている。またアーマー材を模擬するためにタングステン層を第1層の前面に追加した。模擬体系は面積等価直径628mmの疑似円筒形状のSS316容器内に設置した。模擬体系に対する積分実験は中性子源反射体付きと無しのD-T中性子源で照射して実施した。本報告では実験結果の解析計算の詳細について述べる。
核融合中性子工学研究室
JAERI-Review 2004-017, 163 Pages, 2004/07
核融合中性子工学用中性子源FNSは1981年に完成した、加速器型の14MeV中性子源である。FNSは中性子断面積測定,積分実験,ブランケット中性子工学実験等の核融合炉開発を目的として中性子工学実験にとって強力な研究手段である。本報告書は大学及び他の研究機関との協力研究も含めて、20012003年度のFNSの活動をまとめたものである。
Verzilov, Y. M.; 落合 謙太郎; 佐藤 聡; 和田 政行*; 山内 通則*; 西谷 健夫
JAERI-Research 2004-005, 30 Pages, 2004/03
ほとんどの核融合炉の概念設計において、ブランケットにおける中性子増倍材としてベリリウムの利用が提案されている。その核融合炉のトリチウム増殖比やベリリウムの放射化と核変換の評価においてはベリリウムの詳細な化学組成が必要である。本報告ではトリチウム増殖比の評価に関連する詳細な不純物分析に特に注目した。ここでは2つの異なった方法で不純物を調べた。1つはICP質量分析法による一部の試料の分析であり、もう1つはパルス化中性子を用いたベリリウム体系の積分的分析である。特に後者はLiによるトリチウム生成に対するベリリウム中の不純物の積分的効果の最も有効な分析法として提案した。D-T中性子のパルスをベリリウム体系に入射し、その後の熱中性子密度の時間変化を観測することにより積分的効果を評価した。本研究では構造材級ベリリウムを使用した。この不純物の影響は寄生的な中性子の吸収により実験で得られた
Liによるトリチウム生成の反応率を減少させる。核データセットJENDL-3.2を用いたMCNPモンテカルロ計算と実験値を比較した結果、測定された吸収断面積は製作会社の特性値から評価した値より約30%大きくなった。ベリリウム中のLi, B, Cd等の不純物はたとえ10ppm以下でも吸収断面積に影響する。
西谷 健夫; 落合 謙太郎; 吉田 茂生*; 田中 良平*; 脇坂 雅志*; 中尾 誠*; 佐藤 聡; 山内 通則*; 堀 順一; 和田 政行*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(Suppl.4), p.58 - 61, 2004/03
核融合施設の天井から漏洩した放射線が空気と散乱して、施設周辺の地上に到達する、いわゆるスカイシャンは、核融合施設周辺の放射線安全に最も重要な項目の一つである。そこで原研の核融合中性子源FNSを用いてD-T中性子に対するスカイシャインの実験を2002年3月と2003年3月の2回にわたって実施した。FNS第一ターゲット室の天井のスカイシャインの実験用遮蔽ポート(1m1m)を開放し、上空向かって中性子を打ち上げ、散乱中性子及び2次
線の分布を測定した。2002年3月の実験ではHe-3レムカウンタを用いて線源から550mまでの中性子線量率分布と200mまでの2次
線スペクトルを大形NaIシンチレータ検出器及びGe半導体検出器で測定した。2003年3月の実験ではFNS建屋周辺において、NE213シンチレーション検出器を用いた中性子スペクトル測定とBGOシンチレータ検出器を用いた2次
線スペクトル測定を実施した。測定された結果は、JENDL-3.3を用いたモンテカルロ計算(MCNP-4C)とよく一致し、MCNPによる計算がスカイシャインによる線量を十分な精度で評価できることを確認した。
Verzilov, Y. M.; 落合 謙太郎; 西谷 健夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(Suppl.4), p.395 - 398, 2004/03
流水を用いた中性子モニター法はO(n,p)
N反応に基づいている。本研究ではシンチレーション
線検出器を用いたITERの中性子モニターシステムを著しく改善する新しい手法を提案する。基本的概念は核融合炉の真空容器近傍の水中で生成される
Nからの
粒子によるチェレンコフ光を光ファイバーで外部に引き出し、光検出器で計測するものである。まず第1段階として、体積600ccのガラス窓付きの円筒容器を取付けた
N搬送用の水ループをD-T中性子源とよく遮蔽された測定室の間に設置し、FNSを用いて実験的に検討した。
Nの検出器として、BGOシンチレーション検出器をガラス窓付き円筒容器の一方に取付け、反対側のガラス窓にチェレンコフ光検出用の光電子増倍管を直接取付けた。測定された信号はエネルギースペクトルと減衰時間からチェレンコフ光によるものであると確認した。本研究により、水チェレンコフ検出器は応答時間が速く、計数効率が高く、さらにシンチレーション検出器を必要としないため、流水を利用した中性子モニター用検出器として有用であることを示した。また検出部の水の体積を変えることにより、検出効率を容易に調整することが可能である。さらに水ループを複数設置することによりプラズマの変動によらない核融合出力モニターが可能である。
西谷 健夫; 落合 謙太郎; Klix, A.; Verzilov, Y. M.; 佐藤 聡; 山内 通則*; 中尾 誠*; 堀 順一; 榎枝 幹男
Proceedings of 20th IEEE/NPSS Symposium on Fusion Engineering (SOFE 2003), p.454 - 457, 2003/10
14MeV中性子源FNSを用いた核融合原型炉の増殖ブランケット模擬体系積分実験を実施し、生成トリチウムに対する測定値と計算値の比較・検討を行った。模擬体系は濃縮チタン酸リチウム,ベリリウム(Be)及び低放射化フェライト鋼F82Hから構成された多層構造とした。体系内に設置したLiセラミックス・ペレット中のトリチウム量を液体シンチレーション計数法によって測定することによりトリチウムの生成率を求めた。本測定法の誤差は10%である。また、モンテカルロ中性子輸送計算コードMCNP-4Bと核データJENDL-3.2による計算値は実験値よりトリチウム増殖層平均で20%、Beに面する表面層で3040%過大評価であり、Be中の低エネルギー中性子の輸送に問題があることを示唆する結果を得た。その主な原因としてBe中の不純物の影響とBe(n,2n)等の中性子断面積の誤差が考えられる。そこで、Be単体の体系にパルス状中性子を入射し、熱中性子の減衰時間から実効的な吸収断面積を評価した結果、核データから評価した断面積より30%大きくなっており、Be中の不純物の存在を示唆する結果が得られた。また、Beの中性子断面積に関しては、2つの中性子同時計数法を用いたBe(n,2n)反応断面積の測定を新たに実施している。
Verzilov, Y. M.; 落合 謙太郎; 西谷 健夫
JAERI-Research 2003-019, 25 Pages, 2003/09
流水を用いた中性子モニター法はO(n,p)
N反応に基づいている。本研究ではシンチレーション
線検出器を用いたITERの中性子モニターシステムを著しく改善するための新しい手法を提案する。基本的概念は核融合炉の真空容器近傍の水中で生成される
Nからの
粒子によるチェレンコフ光を光ファイバーで外部に引き出し、光検出器で計測するものである。その原理実証実験を2段階に分けて実施する。まず第1次実験では、よく遮蔽された測定室において照射された水からのチェレンコフ光の測定できることを確認する。第2段階では、水を中性子源近傍に設置し、照射下のチェレンコフ光を光ファイバーで伝送して測定する。第1次実験は原研FNSで実施し、第1次実験の目的のためにチェレンコフ光検出器をよく遮蔽された測定室に設置した。FNS加速器は直流モードで運転し、中性子発生率は約2
10
n/s、水ループの流速は約1m/sであった。測定された信号はエネルギースペクトルと減衰時間から、
Nの
粒子によるチェレンコフ光によるものであると確認した。本研究により、水チェレンコフ検出器は、計数効率が高く、さらにシンチレーション検出器を必要としない簡便な手法であるため、
Nの検出器として有用であることを示した。
吉田 茂生*; 西谷 健夫; 落合 謙太郎; 金子 純一*; 堀 順一; 佐藤 聡; 山内 通則*; 田中 良平*; 中尾 誠*; 和田 政行*; et al.
Fusion Engineering and Design, 69(1-4), p.637 - 641, 2003/09
被引用回数:9 パーセンタイル:52.65(Nuclear Science & Technology)核融合炉からのスカイシャインは炉の安全の評価上重要であるが、これまでD-T中性子に対するスカイシャインの実験的評価はほとんどなかった。そこで原研の核融合中性子源FNSを用いてD-T中性子に対するスカイシャイン実験を実施した。FNS第一ターゲット室の天井のスカイシャインの実験用遮蔽ポート(1m1m)を開放し、上空向かって中性子を打ち上げ、散乱中性子及び2次
線の分布を線源から 550mまでの範囲で測定した。中性子に対しては、He-3レムカウンタ,BF-3比例計数管,
線に対しては、大形NaIシンチレータ検出器及びGe半導体検出器を使用した。測定された線量は中性子がほとんどを占め、1.7
10
n/sの発生率に対し、線源から150m及び400mでそれぞれ0.1
Sv/h,0.01
Sv/hであった。またJENDL-3.2を用いたモンテカルロ計算(MCNP-4B)と比較した結果、150mまでは、実験値とよく一致することがわかった。また空中に打ち上げられた中性子を線上中性子源とみなす解析モデルは非常によく実験値を再現することがわかった。2次
線に関しては6MeVの高エネルギー
線が主になっており、スカイシャイン中性子が地中で起こすSi(n,
)反応によると考えられる。
田中 良平*; 落合 謙太郎; 中尾 誠*; 山内 通則*; 堀 順一; 和田 政行*; 佐藤 聡; 西谷 健夫
JAERI-Tech 2003-063, 62 Pages, 2003/07
原研FNSにおいて天井に設けられているスカイシャインポートを開放した状態でD-T中性子のスカイシャイン実験を実施し、2次線の測定を行った。NaI(Tl)シンチレーション検出器を用いて、中性子発生源から最大300mまで測定を行った。それにより得られた実験データをアンフォールディングしてフラックスを求め、それに線量当量換算係数を掛け合わせ線量率を算出した。この線量率をモンテカルロコードMCNP-4Bによるシミュレーション計算により得られた値と比較した結果、実験値と計算値は20%内で一致した。この測定で得られた線量率から300mまでではあるが半経験式の導出を行った。また高純度Ge半導体検出器を用いて発生中性子に起因する建屋依存による周辺での2次
線核種同定の測定を実施した。その結果、建屋構造材に使用されている鉄からのピークを検出した。また、水素,ケイ素の放射捕獲反応によるピークが検出されたことから、2次
線の発生源はこれまで考えられていた中性子と空気との散乱反応よりむしろ、土等によるスカイシャイン中性子の放射捕獲反応が主になっていることを示唆する結果を得た。
堀 順一; 前川 藤夫; 和田 政行*; 落合 謙太郎; 山内 通則*; 森本 裕一*; 寺田 泰陽; Klix, A.; 西谷 健夫
Fusion Engineering and Design, 63-64, p.271 - 276, 2002/12
被引用回数:2 パーセンタイル:16.39(Nuclear Science & Technology)核融合将来炉の廃棄物処理及び安全設計を推進するためには、核融合炉材料に対して一次中性子反応のみならずシーケンシャル反応による放射能生成過程を考慮することは重要である。特に冷却材の水によって多数の反跳陽子が生成される冷却管表面においては、シーケンシャル反応によって望ましくない放射化物の生成が顕著となることが懸念される。このような背景から、本研究では冷却水を模擬したポリエチレン板に核融合炉材料箔(V,Fe,W,Ti,Pb,Cu)を層状に積み重ねた試料に対して14MeV中性子照射を行い、シーケンシャル反応生成物である51Cr,56Co,184Re,48V,206Bi,65Znの実効生成断面積及び生成量の深さ分布を求め、計算値との比較を行った。現在解析中であるため、結果は講演にて報告する。
寺田 泰陽*; 落合 謙太郎; 佐藤 聡; 和田 政行*; Klix, A.; 山内 通則*; 堀 順一; 西谷 健夫
JAERI-Research 2002-019, 70 Pages, 2002/10
低放射化フェライト鋼 F82Hは核融合炉の有力な構造材料である。核融合中性子源FNSを用いて、F82Hの放射化特性を得ることを目的として原型炉ブランケット模擬体系に対するD-T中性子照射試験を行い、F82Hシート,クロム箔,タングステン箔における放射性核種56Mn,54Mn,51Cr,187Wの生成反応率を測定した。併せて、評価済み核データJENDL-3.2とFENDL/E-2.0を用いてモンテカルロ輸送コードMCNPによる計算値との比較検討を行った。計算結果は、56Mn,54Mn,51Crともに10~20%程度の精度で測定結果と一致した。しかし、タングステンに関しては、30~40%の精度であることがわかった。また、タングステンの放射化断面積に使用する核データによって大きく計算結果が変わり、タングステンの中性子捕獲反応の共鳴領域における断面積評価に核データによって相違があることを示唆する結果となった。
前川 藤夫; 落合 謙太郎; 柴田 圭一郎*; 春日井 好己; 和田 政行*; 森本 裕一*; 竹内 浩
Fusion Engineering and Design, 58-59, p.595 - 600, 2001/11
被引用回数:12 パーセンタイル:63.99(Nuclear Science & Technology)核融合炉の低放射化構造材料として考えられているSiCについて、原研FNSのD-T中性子源を用いた中性子工学ベンチマーク実験を行った。断面積457457mm,厚さ711mmの実験体系に14-MeV中性子を入射し、体系内において中性子及び
線に関する諸量を測定した。実験解析をMCNP-4B輸送計算コード、及びJENDL3.2, JENDL Fusion File, FENDL/E-1.0, FENDL/E-2.0の評価済み核データファイルを用いて行い、これら核データの精度評価を行った。その結果、(1)FENDL/E-1.0はkeV
MeVエネルギーの中性子束を大幅に過小評価する。(2)FENDL/E-2.0は1MeV以上の中性子束を深さとともに多少低めに計算する一方、(3)JENDL-3.2とJENDL Fusion Fileは全体にわたり実験値と良い一致することがわかった。
小田 啓二*; 一定 弘毅*; 宮脇 信正*; 山内 知也*; 中根 佳弘
Radiation Measurements, 34(1-6), p.171 - 175, 2001/06
被引用回数:7 パーセンタイル:48.18(Nuclear Science & Technology)高エネルギー加速器施設や宇宙分野における個人被ばく線量評価において、20MeV以上の中性子に対する測定技術を確立することは非常に重要である。本研究では固体飛跡検出器適用を検討するために2つのテーマで実験を行った。1つは従来の素子で測定の困難な低LET粒子に対する感度に高い新素材を用いた検出器の開発である。開発中の検出器と従来型検器をD-T中性子場において比較照射した結果、新型は従来型の2倍以上の感度を有することを確認した。もう1つの実験は、数10MeV領域において検出器感度への寄与が増大すると思われる重粒子の寄与の測定である。多段階エッチング手法と成長曲線手法を重粒子へ適応し、TIARAの65MeV準単色中性子場で照射した素子の粒子弁別を行った結果、応答関数計算コードによる重粒子寄与率計算結果と一致し、重粒子の応答関数への寄与を実験的に検証することができた。
宇野 喜智; 金子 純一; 西谷 健夫; 前川 藤夫; 田中 照也; 池田 裕二郎; 竹内 浩
JAERI-Research 2001-007, 42 Pages, 2001/03
循環水の放射化を利用したD-T中性子モニターの技術的成立性に関する実験的研究をITER R&Dタスクとして行った。FNSのD-T中性子源を用いて、パルス中性子に対する時間分解能を調べたところ、10.7m/sの流速において50msの時間分解能が得られた。またITERのブランケット領域の中性子場を模擬するためにステンレス綱/水体系内に水ループを挿入して、中性子束の測定精度の検証実験を行った。その結果、測定誤差は10%以下であり、ITER用中性子モニターとして利用可能であることを示した。
今野 力; 前川 藤夫; 春日井 好己; 宇野 喜智; 金子 純一; 西谷 健夫; 和田 政行*; 池田 裕二郎; 竹内 浩
Nuclear Fusion, 41(3), p.333 - 337, 2001/03
被引用回数:3 パーセンタイル:10.73(Physics, Fluids & Plasmas)ITERで発生する14-MeV中性子に起因するさまざまな核的問題に対処するため、原研FNSでは一連の核融合中性子工学実験をITER/EDAのR&Dタスクとして行ってきた。前回のIAEA会議では遮蔽に関してバルク遮蔽、ギャップストリーミング、核発熱及び誘導放射能実験を発表した。これらの実験を受けて、ITERのより複雑な遮蔽に対する設計精度を実証するために、ストレートダクトストリーミング実験を実施した。また、冷却材喪失事故時の安全性を担保するために、新たに崩壊熱測定実験を開始した。さらに、水の放射化を利用した信頼性の高い核融合出力モニターを開発した。本論文では、ITER/EDAのタスクとして原研FNSで新たに実施したこれらの実験の結果について報告する。
今野 力; 前川 藤夫; 大山 幸夫; 宇野 喜智; 春日井 好己; 和田 政行*; 前川 洋; 池田 裕二郎
Journal of Nuclear Science and Technology, 37(Suppl.1), p.540 - 544, 2000/03
ITERのブランケットモジュール間のギャップによる中性子のストリーミングがブランケットモジュールとバックプレートの溶接部や超伝導コイルに対する遮蔽性能に及ぼす影響を調べるために、ITERのブランケットモジュール間のギャップを模擬した大型の鉄の実験体系(縦1.6m,横1.4m,奥行き50cmと80cm)を用いたギャップストリーミング実験を原研FNSで行った。中性子のギャップストリーミングにより、14MeV中性子束は最大約20倍増加したが、1MeV以下の中性子束及び線は数10%以下の増加にとどまった。このことから、ギャップストリーミングの影響は
線による核発熱よりも高速中性子によるヘリウム生成、放射線損傷に対し大きいことがわかった。
前川 藤夫; 春日井 好己; 今野 力; 村田 勲*; Kokooo*; 和田 政行*; 大山 幸夫; 池田 裕二郎; 高橋 亮人*
Journal of Nuclear Science and Technology, 36(3), p.242 - 249, 1999/03
被引用回数:8 パーセンタイル:49.75(Nuclear Science & Technology)核融合炉の低放射化構造材料であるバナジウムについて、原研FNSのD-T中性子源を用いた中性子工学ベンチマーク実験を行った。中性子スペクトル、ドシメトリ反応率、線スペクトル及び
線核発熱率をバナジウム実験体系内において測定した。実験解析により4つの評価済み核データファイルのベンチマークテストを行った結果、次にあげるような核融合炉の設計精度にかかわる主要な問題点が指摘された。(1)JENDL Fusion File及びJENDL-3.2:全断面積(特に2keV付近)を見直すべきである。(2)ENDF/B-VI:角度分布を等方と仮定している14MeV中性子に対する二重微分断面積を見直すべきである。また
線生成断面積が過小であり、離散
線ピークが明瞭でない。(3)EFF-3:
線生成断面積が過大である。
今野 力; 前川 藤夫; 大山 幸夫; 池田 裕二郎; 和田 政行*; 前川 洋
Fusion Technology, 34(1), p.6 - 17, 1998/08
ITERの遮蔽設計で使われている輸送計算コードMCNP-4AとDORT3.1及び核データライブラリーFENDL/E-1.1の妥当性を検証するために、原研FNSで実施した大型のSS316体系を用いたバルク遮蔽実験の解析を行った。FENDLの次版に多くの核種が取り入れられているJENDL Fusion Fileを用いた解析も実施した。FENDL/E-1.1,JENDL Fusion Fileを用いたMCNP計算は、測定データと30%以内で一致した。DORT計算も、中性子175群、線42群のエネルギー構造で自己遮蔽補正をした多群ライブラリーを用いた場合にはMCNPと同精度で実験を再現することができた。FENDL/E-1.1,JENDL Fusion Fileを用いたMCNP-4A及びDORT3.1によるバルク遮蔽設計計算の精度は、厚さ900mmのSS316に対し30%以内であると結論できる。
前川 藤夫; 池田 裕二郎; E.T.Cheng*
Fusion Engineering and Design, 42, p.229 - 233, 1998/00
被引用回数:3 パーセンタイル:31.51(Nuclear Science & Technology)ITER/EDAのR&Dタスクの一環として、D-T中性子照射した核融合炉材料からの崩壊熱測定実験を行った。崩壊熱の源となる照射試料から放出される線と
線の全エネルギーを測定するため、1対の大型BGOシミュレータからなる全エネルギー吸収スペクトロメータを開発した。アルミ、銅、304型ステンレス鋼の試料を原研FNSのD-T中性子源で照射し、このスペクトロメータにより冷却時間1分~3日の範囲における各試料の崩壊熱を10~25%の実験誤差で測定した。測定値を誘導放射能計算コードREAC3による計算値と比較した結果、計算に使用した崩壊データライブラリには
崩壊に伴う消滅
線が含まれていないことが判明した。消滅
線まで考慮した結果、計算値は実験誤差内で測定値と一致した。