Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
嶋田 和真; 甲斐 倫明*
Journal of Radiological Protection, 35(4), p.763 - 775, 2015/12
被引用回数:12 パーセンタイル:71.06(Environmental Sciences)本論文は、Disability-Adjusted Life Year (DALY)を放射線のリスク指標として用いることを提案するものである。DALYは余命損失Years of Life Lost(YLL)と損なわれた健康的な生活の年数Years Lived with Disability(YLD)を合計することにより計算される。この概念は現状のICRPの手法による放射線デトリメント(ICRPデトリメント)の誤用を避けるために確率的な測定値ではないリスク指標として表現される。日本人集団のデータを用いてYLLとYLDを計算した結果、日本人1人あたりの1Gyの被ばくによる全がんのDALYは、男性は0.84年、女性は1.34年と評価された。同様のデータとICRPデトリメントを算出し、DALYと比較した。その結果、白血病、乳がん及ぶ甲状腺がんを除いたがん部位について両者の傾向が一致することがわかった。DALYがICRPデトリメントより有利な点は、死亡データを用いないため非致死疾病に対するリスクを計算可能な点である。この研究により、DALYが放射線のリスクと公衆の健康における様々な種類の疾病とを比較することが可能な実践的な道具であることが示された。
嶋田 和真; 甲斐 倫明*
no journal, ,
本発表は、Disability-Adjusted Life Year (DALY)を放射線のリスク指標として用いることを提案するものである。DALYは余命損失Years of Life Lost(YLL)と損なわれた健康的な生活の年数Years Lived with Disability(YLD)を合計することにより計算される。ここで、がん罹患の過剰リスクをERRモデルとEARモデルの二つのモデルを用いて計算した。計算に必要な、がん罹患・死亡率及び5年生存率のデータは日本の国立がんセンターのデータを用いた。がん罹患・死亡率の統計は2010年の日本人のデータを用い、5年生存率は2003から2005年の日本人のデータを用いた。損失重み係数はWHOが示す表から、診断・治療段階の値を用いた。これらの日本人のデータを用いてYLLとYLDを計算した結果、日本人1000人あたりの1Gyの被ばくによる全固形がんのDALYは、EARモデルを基にする場合、男性は402年、女性は796.3年と評価された。同様に、ERRモデルを基にする場合、男性は592.6年、女性は1049.5年と評価された。EARモデルとERRモデルによるDALYの結果の違いは、原爆被爆者のがん罹患率と日本人集団の平均のがん罹患率の違いを反映していると考えられる。この研究発表により、DALYが放射線のリスクと公衆の健康における様々な種類の疾病とを比較することが可能な実践的な道具であることを示す。
嶋田 和真; 甲斐 倫明*
no journal, ,
本発表は、Disability-Adjusted Life Year (DALY)を放射線のリスク指標として用いることを提案するものである。放射線の健康リスクの指標として、がん死亡率、がん罹患率、余命損失などが利用されている。ICRPはPub.60で非致死的がんや潜伏期の違いを考慮した指標として、デトリメントを定義した。しかし、デトリメントは放射線独自の指標であるために、その数値の意味合いが社会的には理解しにくい欠点をもつ。そこで、放射線の健康リスクを他の健康リスクと同じ土俵で議論するためには共通の指標が求められる。共通の健康リスク指標として、余命と健康寿命の損失和であるDisability-Adjusted Life Year (DALY)がある。DALYはハーバード大学が開発し、WHOが健康政策上の優先順位を考えるために用いることを提言している。(Murray and Lopez 1996)そこで本研究では、放射線の健康リスク指標としてDALYを計算し、DALYの有効性を議論するために従来のリスク指標との比較を行う。