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横谷 明徳; 藤井 健太郎; 牛込 剛史; 鹿園 直哉; 漆原 あゆみ; 渡邊 立子
Radiation Protection Dosimetry, 122(1-4), p.86 - 88, 2006/12
被引用回数:13 パーセンタイル:64.80(Environmental Sciences)軟X線により誘発される、DNA損傷の収率を調べた。軟X線のLETは、線と超軟X線のそれの中間にある。通常のX線発生装置から得られる広いエネルギースペクトルを持つ軟X線は、放射線生物学実験のみならず乳がん検診にも広く用いられている。ICRPの勧告によれば、軟X線の放射線加重係数は
線のそれと同じ1とされている。しかし、そのエネルギースペクトル上には、制動放射により発生する数10keV以下の低エネルギー光子の成分がかなり多い。これらの低エネルギー光子は、光電効果により低速の光電子やAuger電子を多数発生させるためDNAに対してより高密度な電離・励起を与え、複雑なDNA損傷を誘発すると考えられる。われわれはWターゲット,150kVpで運転したX線発生装置より得られる軟X線をDNAに照射し、生じたDNAの鎖切断収率を定量した。さらに、塩基除去修復酵素との反応を利用して定量された塩基損傷の収率についても報告する予定である。
Pinak, M.
Modern Methods for Theoretical Physical Chemistry of Biopolymers, p.191 - 210, 2006/00
数種類のDNA損傷とそれぞれの修復酵素に関する分子動力学シミュレーションの結果を紹介する。修復酵素が損傷を適切に認識する要因としての、DNAの構造変化及び静電エネルギーの変化に焦点を絞った研究を行った。DNA塩基対間の水素結合ネットワークの崩壊や、DNAの折れ曲り等の重要な構造変化が観察された。このDNA構造の変化により修復酵素が損傷DNAに結合しやすい状況ができあがっていると考えられる。また、損傷したDNAと損傷のないDNAを修復酵素が識別するのを助けると考えられる静電エネルギーの変化も観察された。
横谷 明徳; 鹿園 直哉; 漆原 あゆみ; 藤井 健太郎; 赤松 憲; 渡邊 立子
放射線生物研究, 40(2), p.168 - 184, 2005/06
放射線によるDNAへの作用と活性酸素(ROS)などの内因性ラジカルによる作用が大きく異なる点は、後者がラジカルの熱的拡散によるランダムヒット事象であるのに対し、前者は放射線の飛跡構造(トラック)に大きく依存することである。このような放射線による直接ヒットによるDNA損傷は、放射線のトラックに沿った微小領域に生じた複数の励起やイオン化を起点とする、いわゆるクラスター化して生じたDNA損傷を引き起こすと考えられるが、その化学構造を含めた実体及びこれに対する細胞中での修復作用機序については未だほとんど解明されていない。本稿では、クラスターDNA損傷研究の最近の動向とわれわれのグループが最近行っている実験の試みを紹介し、クラスターDNA損傷の生成機構と生体内での役割について考察する。
Schyman, P.*; Danielsson, J.*; Pinak, M.; Laaksonen, A.*
Journal of Physical Chemistry A, 109(8), p.1713 - 1719, 2005/02
被引用回数:40 パーセンタイル:77.32(Chemistry, Physical)DNA損傷の修復酵素であるヒト8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼがグリコシル結合を切断する際の活性リジン(Lys 249)の働きについて調べた。このリジンは、プロトンをアスパラギン酸塩へ供給することにより活性化した後に、S2タイプの反応により求核試薬として働くと考えられてきた。本研究では、会合と解離プロセスを調べるのに、ハイブリッド密度汎関数理論を用いた。その結果、反応最小エネルギーバリアがS
1タイプのメカニズムを含むことを見いだした。S
1タイプのメカニズムでは、リジンが静電的に解離基を安定化し、非常に小さなバリアでプロトンを供給し、最終的にペントース環を攻撃して共有結合で結ばれたタンパク質とDNA中間複合体をつくる。これは、このタイプの酵素の反応にとって、解離メカニズムが頻繁に起こりうるモードであるという仮説をサポートしている。
Pinak, M.; O'Neill, P.*; 藤本 浩文; 根本 俊行*
AIP Conference Proceedings 708, p.310 - 313, 2004/05
酸化損傷を受けたDNAの構造とエネルギーの変化そしてDNAと修復酵素の複合体形成の動的過程を明らかにするためにDNA突然変異源となる酸化損傷7,8-dihydro-8-oxoguanine(8-oxoG)とその修復酵素human oxoguanine glycosylase 1(hOGG1)を生理的水溶液環境下に配置しmultiple nanosecond moleculardynamics simulationを行った。その結果、DNA-酵素複合体において、N末端のアルギニン324が8-oxoGヌクレオチドのホスホジエステル結合に接近しアミノ酸と損傷部位が化学反応を行えることがわかった。DNA損傷の認識、すなわち修復酵素による損傷部位の認識とDNA-酵素の安定な複合体の形成は、その後の修復プロセスを正常に進めるために必須の条件である。
Pinak, M.
Central European Journal of Physics, 1(1), p.179 - 190, 2003/01
修復酵素によるDNA損傷の認識過程について調べるために、放射線により生じる数種類のDNA損傷に関して分子動力学シミュレーションを用いた研究を行った。シミュレーションにはプログラムAMBER 5.0を用い、損傷毎に分子力場を変更して数百ピコ秒の計算を行った。全てのケースにおいて、DNA2重らせん構造に重大な変化が観察されたが、この構造変化が修復酵素のDNAへの結合と複合体形成を助けていると考えられる。これに加え、損傷部位における静電エネルギーの変化も観察されており、これも損傷認識に重要な要因であることが明らかになってきている。
横谷 明徳; Cunniffe, S. M. T.*; Stevens, D. L.*; O'Neill, P.*
Journal of Physical Chemistry B, 107(3), p.832 - 837, 2003/01
被引用回数:29 パーセンタイル:59.38(Chemistry, Physical)相対湿度を制御した条件下で、プラスミドDNAに対して線を照射した後、FpgとNthという二つの塩基除去修復酵素をプローブとして用いて、DNAの鎖切断,塩基損傷及びこれらを含むクラスター損傷の収率を測定した。相対湿度を0
98%まで変えることで、DNAに配位している水和水の量を、5
38分子/ヌクレオチドまで変えることができるため、
線のDNA損傷に与える水和水の効果を調べることができる。得られた結果は、鎖切断に関しては
線照射の場合のそれとほとんど同じであったのに対して、酵素処理により検出される塩基損傷はほとんど観測されなかった。以上の結果から、高LET放射線である
線により、DNA修復酵素が修復できないような複雑なクラスター損傷が生成している可能性が示された。