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福島研究開発部門 福島環境安全センター
JAEA-Review 2014-051, 121 Pages, 2015/03
東京電力福島第一原子力発電所の事故により汚染された広大な環境の除染のために、日本原子力研究開発機構は内閣府より「除染モデル実証事業」を受託し、避難区域内の11市町村16か所において広範な試験を行った。この大規模試験事業においては、個々の除染技術の適用性や効果に関する詳細で現実的なデータを得たのみならず、除染作業員の安全確保、コスト、発生する除染物の取扱いなどさまざまな情報を集約し、広域除染に関する知識基盤を国に対して提供することとなった。詳細な和文報告書はすでに別途公開されている。本報告書はその忠実な英訳ではなく、モデル事業終了後の実際の除染の進捗や除染に係る国際的な議論を加えて新たに執筆したものである。この第1分冊では、このような詳細で大規模な「除染モデル実証事業」を必要とした背景を含め、事業の全体成果をまとめた。第2分冊において当該事業で得られた成果の実際の除染事業への反映、事業終了後の線量の推移、除染に関する技術開発、実際の除染事業の進捗、および除染に関する国際的な議論などについて述べる。
柳原 敏; 助川 武則; 白石 邦生
Journal of Nuclear Science and Technology, 38(3), p.193 - 202, 2001/03
原子炉施設の廃止措置計画の策定をより効率的に実施するために、廃止措置計画策定及び管理のための計算システム(COSMARD)を開発した。本システムでは、廃止措置の作業構成に基づいて、解体作業計画の検討に必要な人工数、作業者被ばく線量、廃棄物発生量等を実際の経験から導出した単位作業係数や作業性低下係数を用いて計算する。また、放射能インベントリーや線量当量率の計算とその図形出力、プログラム間のデータの相互利用が可能となるよう情報の統合化が図られている。さらに、プロダクションルールとして、あらかじめ設定した作業構成や作業条件を再構築することにより廃止措置プロジェクトをモデル化する方法を採用した。この結果、グラフィカルユーザーインターフェイスを用いた効率的な情報の統合化による廃止措置プロジェクトの容易なモデル化、また、これまでの経験を反映した各種プロジェクトデータの計算が可能になった。他方、開発したシステムを用いてJPDR解体作業の人工数や被ばく線量を計算し、その結果を実績値と比較して計算モデルの妥当性を検証し、本システムが原子炉施設の廃止措置計画に適用できる見通しを得た。
佐藤 信行; 早坂 寿夫; 小林 誠; 仲澤 隆; 横須賀 美幸; 長谷川 圭佑; 池沢 芳夫
Proc. of the Int. Conf. on Radiation Effects and Protection, p.440 - 445, 1992/00
材料試験施設では、PWR等の使用済み燃料の照射後試験がセル内で実施されている。試験を確実に遂行するために、定期的にセル内の各種照射後試験装置及び設備の保守点検作業が行われる。保守点検作業者の被ばくを低減するために、セル内除染作業が、前もって実施される。各セルの汚染レベル、核種組成は、照射後試験及び使用済み燃料の種類により異なるため、線量当量率の分布を把握するとともに表面汚染密度から空気中放射性物質濃度を推定し、これらのデータと作業内容を基に適切な防護方法について事前検討を行い、除染作業者の被ばく低減化を図っている。本発表では、1991年に同施設で行われたセル除染作業時の作業者の被ばく防護について、防護措置、被ばく状況等を報告する。
木内 伸幸; 池沢 芳夫
保健物理, 26, p.123 - 126, 1991/00
セル内除染作業においては、内部被ばく、身体汚染防護のために、作業者は、各種の呼吸用保護具、防護服を着用しており、これらの着用による作業負担は著しいものと予測される。この作業負担を定量的に把握するため、作業者の発汗量に着目し測定した。測定結果から、次のようなことがわかった。(1)作業者の作業負担の度合については、エアラインスーツ着用の場合と全面マスクとビニールアノラック着用の場合、浄気式加圧服着用の場合と全面マスクと不織布着用の場合が、それぞれ等価の関係であった。(2)前回(I)との測定結果の比較から、セル内温度の相達による発汗量の差が顕著であった。(3)作業負担を考慮した防護服の選択、作業環境の改善の必要性を認識した。
木内 伸幸
保健物理, 25, p.82 - 84, 1990/00
セル内除染作業においては、内部被曝、身体汚染防護として、作業者は、各種の呼吸用保護具、防護服を着用している。しかし、これらの着用による作業者の作業負担は著しいものと予測される。このため、その作業負担を定量的に把握することは、放射線作業における安全性の向上につながると考える。そこで、除染作業における作業者の発汗量に着目し測定した。その結果、以下のことが分かった。(1)除染作業における単位作業時間(1時間)当りの作業者の発汗量は、最大で2l、平均で1lあった。(2)エアラインスーツを着用した除染作業と全面マスクとビニールアノラークを着用した除染作業における作業負担は、発汗量からは、ほぼ等価であった。(3)測定結果と発汗量の適用限界から、各作業者のセル内除染作業時間は、最大2時間が目安になるだろう。