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志風 義明
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(7), p.894 - 910, 2024/07
被引用回数:2 パーセンタイル:41.04(Nuclear Science & Technology)福島第一原子力発電所事故により原子炉建屋内で放出された放射性核種のうち、SrやY等の高エネルギー線源は、壁、床、壁や内部構造などの建屋の物質中で制動放射光子を発生させる。したがって、原子炉建屋の作業員に対する制動放射の放射線量を評価することは、放射線防護にとって極めて重要である。制動放射線量の評価計算の精度を、粒子重イオン輸送コードシステム(PHITS)とGEometry AND Tracking(GEANT4)シミュレーションコードの結果を比較することにより調査した。計算では、様々な遮蔽板(鉛、銅、アルミニウム、ガラス、ポリエチレン、厚さは1.040mm)の背後にある水円筒を評価材料として設定し、制動放射光子による吸収線量及び付与エネルギースペクトルを得て、両シミュレーションコードの特性と差異を調査した。付与エネルギースペクトルの比較結果では、スペクトル形状には矛盾しない同様の傾向がある。数十keV以下のエネルギー範囲では、鉛遮蔽物質のPHITSのスペクトルにピークが見られる。制動放射光子を発生させるための遮蔽板の様々な条件下での吸収線量を比較すると、両コードのほとんどの結果は、2.280MeV線源については約10%差以内、0.5459MeV線源については20mm厚の鉛の場合の約30%を除いて約20%差以内で相関している。場合によっては差異はあるが、2つのシミュレーションコードの評価結果は上記の精度で良く相関していると結論付けられた。
三輪 一爾; 行川 正和*; 島田 太郎; 武田 聖司
MRS Advances (Internet), 7(7-8), p.165 - 169, 2022/03
本研究では、地表流と土砂移動により生じる地表面における核種移行を土中の鉛直核種濃度と粒径に応じた核種濃度を考慮して評価する方法を作成した。作成した核種移行評価法により、水平方向に均一なCs-137の初期汚染分布を有する仮想的なサイトにおいて1年間の核種移行評価を実施した。その結果、Cs-137がサイト内の窪地に集中することにより初期汚染分布濃度と比較して20%程濃度が上昇した。また、地表面における核種移行により、初期汚染分布の総核種量の0.18%が海洋へ流出した。これらの結果から、廃止措置終了確認における被ばく線量評価において地表面における核種移行を考慮することで、サイト内における外部被ばく線量の上昇と海洋へ流出した核種による水産物摂取による内部被ばく線量の上昇の可能性が示唆された。
橋本 周; 木名瀬 栄; 宗像 雅広; 村山 卓; 高橋 聖; 高田 千恵; 岡本 明子; 早川 剛; 助川 正人; 久米 伸英*; et al.
JAEA-Review 2020-071, 53 Pages, 2021/03
原子力機構は、災害対策基本法及び武力攻撃事態対処法に基づく指定公共機関として、原子力災害や放射線緊急事態が発生した場合には、災害対応に当たる国や地方公共団体の要請に応じて人的・技術的支援を行う。防災基本計画及び原子力災害対策マニュアルでは、原子力機構は原子力緊急時において公衆の被ばく線量の推計・把握を支援することが要求されている。しかし、その支援について、基本方策,調査対象,調査方法,実施体制等について具体的かつ詳細には検討されていない。本報告では、公衆の緊急時被ばく線量の推計・把握に関する技術的支援について、原子力緊急時支援・研修センター内に設置された「緊急時の線量評価検討WG」において調査・考察した結果を報告することにより、国や地方公共団体、及び原子力機構内における今後の具体的かつ詳細な検討及び活動に貢献することを目的とする。
佐藤 哲朗*; 安藤 真樹; 佐藤 正子*; 斎藤 公明
Journal of Environmental Radioactivity, 210, p.105973_1 - 105973_7, 2019/12
被引用回数:11 パーセンタイル:35.85(Environmental Sciences)避難指示が解除された後に住民が帰還した場合の現実的な外部被ばく線量を推定する方法について考案し、考案した方法に基づき調査を行った。6つの町村に帰還を検討している211人の住民を対象に、2014年度, 2015年度及び2016年度の3年間にわたり調査を実施した。帰還後に想定される生活行動パターンについて対象者へのヒアリングを実施した後、ヒアリング結果に基づき詳細な空間線量率の測定を行った。自宅内の線量率測定ができなかった15名の対象者を除いて、外部被ばく線量の最大値と平均値はそれぞれ4.9mSv/y, 0.86mSv/yとなった。被ばく線量の平均値とばらつきの大きさは避難指示区域の区分により異なるが、全対象者の93.3%において、推定される外部被ばく線量は2mSv/y以下であった。本研究での調査対象者全員の生活行動パターンの解析において、年間の生活時間のうち平均で87%の時間を屋内で過ごすという結果が得られた。さらに、自宅での被ばく線量が年間の被ばく線量の66.8%を占めるという結果が得られた。このことから、被ばく線量を現実的に評価するには自宅内の空間線量率を測定することが重要であるといえる。
奥村 啓介; Riyana, E. S.
JAEA-Conf 2018-001, p.63 - 68, 2018/12
福島第一原子力発電所(1F)の廃炉は未踏の分野である。IRIDによってロボットによる格納容器(PCV)の内部調査が進められているが、PCV内部の実際の状況や燃料デブリの特性はまだ十分に解明されていない。このような状況下で、信頼性の高いデータを使った計算シミュレーションは、1F廃炉の多くの問題を解決する有効な手段となる。ここでは、JENDL-4.0のような近年の核データを利用した研究開発への応用例として、(1)PCVにおける線量率分布の予測、(2)PCV内の水中燃料デブリ探査のためのROVシステム、(3)燃料デブリキャニスター内の核燃料物質の非破壊測定、について紹介する。
斎藤 公明; 高原 省五; 植頭 康裕
日本原子力学会誌ATOMO, 60(2), p.111 - 115, 2018/02
日本原子力研究開発機構では福島第一原子力発電所事故以来、放出された放射性物質に起因する外部被ばく線量、内部被ばく線量を評価するとともに、リスクコミュニケーション活動を継続して実施してきた。外部被ばくに関しては、統計的に被ばく線量分布を評価する手法、詳細な空間線量率の測定により個人線量を現実的に推定する手法をそれぞれ開発し評価を行った。内部被ばくに関しては、県民健康調査の中でホールボディカウンタによる多数の住民を対象にした測定と線量評価を実施した。約250回に及ぶ「放射線に関するご質問に答える会」を開催し、住民の不安に対応する活動を行った。
斎藤 公明; 栗原 治*; 松田 規宏; 高原 省五; 佐藤 哲朗*
Radioisotopes, 65(2), p.93 - 112, 2016/02
福島第一原子力発電所事故に起因する被ばくにおいて重要な位置を占める外部被ばくの線量評価に関する最新の知見を紹介する。まず、外部被ばく線量評価の基本的な考え方を提示し、空間線量率に基づく線量評価ならびに個人線量計を用いた測定の長所と問題点について基礎データを示しながら議論する。さらに、線量評価の新たな試みについても紹介する。
斎藤 公明
Radioisotopes, 63(11), p.515 - 517, 2014/11
「福島周辺における空間線量率の測定と評価」と題して6回にわたって掲載する連載講座のねらいと概要について記載した。福島をはじめとして環境測定・評価で用いられる線量概念を整理して専門家以外にもわかりやすく紹介するとともに、福島での大規模環境測定結果に基づいて放射性物資が沈着した地域における空間線量率分布の特徴やそれによる外部被ばくの様子についてまとめて紹介することを目標とした。
中村 剛実*; 外池 幸太郎; 三好 慶典
Radiation Protection Dosimetry, 110(1-4), p.483 - 486, 2004/09
被引用回数:2 パーセンタイル:16.97(Environmental Sciences)TLDを用いた線量測定・評価手法の研究を原研の過渡臨界実験装置TRACYを用いて行った。TLDによる周辺線量当量の測定結果は、解析によって得られる変換係数を用いて、組織吸収線量に換算することができる。この手法を用いて、フランスIRSNの過渡臨界実験装置SILENEでOECD/NEAとIRSNの共催で実施された臨界事故時線量評価国際比較試験(2002年6月10日21日)において、中性子線量と線量の測定を行った。本報告ではこれらの測定結果を示す。
加島 洋一; 滝 光成; 菊地 正光; 笹島 栄夫; 中村 武彦
JAERI-Tech 2003-088, 100 Pages, 2003/12
現在NSRRでは、発電炉で照射した燃料を、発電炉の温度及び圧力条件の下で、パルス照射実験を行うこと等を計画し、準備を進めている。本報告書は、準備の一環として実施した事故時の周辺公衆の線量評価(安全設計評価及び立地評価)へのICRP Publication 60を採り入れた評価結果について述べたものである。評価の結果、線量評価に関する安全性及び立地評価の適否を判断する基準を十分満足することを確認した。
山本 哲哉*; 松村 明*; 山本 和喜; 熊田 博明; 鳥居 義也; 遠藤 聖*; 松下 明*; 柴田 靖*; 能勢 忠男*
Research and Development in Neutron Capture Therapy, p.415 - 418, 2002/09
術中ホウ素中性子捕捉療法での患者脳内の線量の測定値を原研で開発している線量評価システム(JCDS)による計算結果との比較を行った。測定値での脳表面の最大熱中性子束は、平均2.330.3710(cms)であり、血中ホウ素線量は平均11.41.2(Gy)であった。これに対してJCDSの計算結果は、それぞれ2.210.3310(cms),5.7(3.5-7.8)(Gy)であった。これらの検証結果を踏まえ、IO-BNCTでの線量評価に対して、術後の体積線量をコントロールするためにJCDSを試験的に適用することが望まれる。BNCTから得られた測定結果との比較によるJCDSの検証について報告を行う。
遠藤 章; 野口 宏; 田中 進; 神田 征夫*; 沖 雄一*; 飯田 孝夫*; 佐藤 薫; 津田 修一
Applied Radiation and Isotopes, 56(4), p.615 - 620, 2002/04
被引用回数:3 パーセンタイル:22.96(Chemistry, Inorganic & Nuclear)高エネルギー加速器施設における内部被ばく評価のために、高エネルギー中性子照射場で発生する放射性エアロゾルの生成機構及び粒径分布を解析した。TIARAの65MeV準単色中性子照射場を用い、DOPエアロゾルを添加したArガスを照射した。照射後、エレクトリカルロープレッシャインパクタを用いて、DOPエアロゾルの個数基準の粒径分布、Arの(n, 2np),(n, np)反応からそれぞれ生成されるC,Clエアロゾルの放射能基準の粒径分布を測定した。実験で得られた放射性エアロゾルの粒径分布は、核反応で生成されたCl,Cl原子が、DOPエアロゾル表面に付着すると仮定し評価した粒径分布と、良く一致することが明らかとなった。
浅野 芳裕
JAERI-Research 99-045, 105 Pages, 1999/08
加速器施設周辺や原子力施設周辺における作業環境のような微弱放射線場での中性子挙動を調べるために、種々の微弱中性子線量標準場について議論した。ここでは、(1)微弱線量中性子測定の基礎となる標準熱中性子場、(2)数MeVの中性子が種々の遮蔽材(鉄、パラフィン、コンクリート)によって減速された中性子場、(3)数百MeVまでの中性子を含む加速器施設周辺の環境中性子場、の3標準中性子場について、整備した測定器も含めて議論した。特に減速場は3種類の中性子線量(Effective dose equivalent, ambient dose equivalent, effective dose)について、まったく異なった2種類の方法(アンフォールディング法、ED2M法)で場の線量を導出し、各線量間及び2種類の方法によって得られた線量値に近い一致を得た。整備された技術を用いて、大型放射光施設SPring-8サイトでの宇宙線による環境中性子線スペクトルを測定するとともに東海研究所研究棟の建屋床面におけるスペクトルと比較した。
土田 昇; 白石 忠男; 高橋 豊; 稲田 征二; 北野 匡四郎; 斎藤 実; 二村 嘉明
ANL/RERTR/TM-19, CONF-9209266, 0, p.259 - 266, 1995/00
JMTR炉心をMEU燃料からLEU燃料へ変更するための安全評価及び立地評価において線量評価を実施した。安全評価では、環境への放射性核分裂生成物の放出を伴う設計基準事故時の敷地周辺公衆に対する実効線量当量を評価した。立地評価では、重大事故及び仮想事故における公衆に対する最大線量を評価した。評価の結果、事故時の公衆に対する放射線被ばくのリスクは非常に小さいこと及びLEU炉心においても現在のMEU炉心と同様に立地条件が適切であることが確認された。
樋口 健二; 山口 勇吉
JAERI-M 94-057, 68 Pages, 1994/03
人間動作シミュレーションの研究の一環として開発を進めている被曝線量評価システムの開発における、粒子輸送計算用モンテカルロ・コードMCNPの複雑形状に対する適用性の検討について述べる。今回、極めて複雑な体系を持ち、かつ計算結果の検討が比較的容易に行える系として、人体模型及び連続エネルギー粒子輸送モンテカルロ・コードMCNPを用い、各臓器における線量当量及び人体に対する実効線量当量を算出した。算出値をICRP刊行物51に示されている値と比較・検討し、MCNPコードの適用性を検討した。本報告書においては、今回検討したMCNPコードの複雑形状への適用性、実効線量当量算出に用いた手法と計算結果、複雑体系を記述するために新たに開発した粒子輸送モンテカルロ・コード用可視化システムについて述べる。
土田 昇; 北野 匡四郎; 白石 忠男; 高橋 豊; 稲田 征二; 斎藤 実; 二村 嘉明
JAERI-M 92-152, 92 Pages, 1992/10
JMTR燃料の低濃縮(LEU)化に係る安全評価及び立地評価において事故時の敷地周辺の公衆に対する線量の評価を行った。安全評価では、放射性核分裂生成物の環境への放出を伴う事象として燃料取扱事故及び炉心流路閉塞事故について敷地周辺の公衆の実効線量当量を評価した。立地評価では、放射性物質の放出の拡大の可能性のある炉心流路閉塞事故を立地評価事象に選定し、多量の放射性核分裂生成物の環境への放出を仮定し、敷地周辺公衆の最大線量を評価した。評価の結果、事故時における公衆に対する放射線被ばくのリスクは十分小さいこと、立地条件が適切であることが確認された。
茅野 政道; 林 隆
日本原子力学会誌, 32(8), p.799 - 802, 1990/08
被引用回数:1 パーセンタイル:40.51(Nuclear Science & Technology)大型の集中監視型緊急時環境放射能予測システムであるSPEEDIの詳細計算に利用されている、移流・拡散方程式の数値計算大気拡散・被爆評価モデルを、小型計算機への導入を目的に高速化、メモリー縮小の改良を行なった結果を示した。主な改良点は、1)ランダムウォークモデルによる拡散計算の導入、2)カーネルデンシティ・エスティメータによる濃度、線量計算、3)濃度・線量寄与値のテーブル化による計算の省略、である。上記改良により、ワークステーション等小型計算機への詳細モデル導入の見通しを得た。
茅野 政道; 石川 裕彦
日本原子力学会誌, 26(6), p.526 - 534, 1984/00
被引用回数:5 パーセンタイル:51.01(Nuclear Science & Technology)粒子拡散法を用いて、複雑地形上での外部被曝線量、甲状腺線量、地表面沈着量を評価する方法に付いて述べた。事故放出においては、放射線防護上、正確な線量評価が要求される。ここに報告する粒子拡散法を用いた計算モデルは、3次元の質量保存風速場を用いて大気中放出物の3次元的な時間依存分布を計算できる。また、各粒子からの線量への寄与を積算することにより、外部被曝線量の評価を行うことができる。従来、複雑な濃度の3次元分布に対しては、単純なサブマージョンモデルを用いた外部被曝線量評価が行われてきたが、本モデルにより大気拡散から被曝評価まで一貫した精度の高いシミュレーションが可能になった。このコードの検証のため解析解との比較を行い、よい一致を得た。また、原研で1980年から行われている野外実験との比較も行った。
茅野 政道
JAERI-M 83-098, 21 Pages, 1983/07
沸騰水型原子炉の運転中何らかの原因により、主蒸気管が破断した場合には、破断口から冷却材の流出がおこり核分裂生成物が、直接発電所敷地周辺へ放出される可能性がある。この主蒸気管破断事故は、原子炉立地審査指針で述べられている重大事故及び仮想事故の1つとして、用いられている。ここで、主蒸気隔離弁閉鎖前に破断口から放出される核分裂生成物による被曝評価は、半球モデルとよばれる簡単なモデルが用いられているが、このモデルの結果は、場合によってかなり過大評価となる。ここでは、より現実的なシミュレーションの可能なモデルとして、流出蒸気の浮上や、拡散を考慮したパフモデルと粒子拡散モデルを用いた評価法について検討した。
星 勝也; 吉田 忠義; 辻村 憲雄; 岡田 和彦
no journal, ,
市販のプラスチックシンチレータを用いて、様々な線核種のパルス波高分布を取得した。得られたスペクトルの形状及びベータ線最大エネルギーは理論値とよく一致した。エネルギーごとのパルス波高に対し、ICRP Publ74に掲載されているフルエンス線量当量換算係数を乗じ、任意深さの線量当量を評価した。低線量率において、スペクトルから計算される線量当量率は、基準線量当量率とよく一致するが、線量率が高くなるにつれて過大評価する傾向が見られた。