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中平 昌隆
Journal of Nuclear Science and Technology, 40(9), p.687 - 694, 2003/09
被引用回数:3 パーセンタイル:25.70(Nuclear Science & Technology)ITERの真空容器は、トリチウム及び放射化ダストの障壁を形成する主要機器である。超高真空を実現するため機能上の要求が大変厳しく、規格を考えるうえではむしろ機能要求が安全要求よりも影響が大きい。ITER真空容器の規格上の特殊性は、複雑な構造と電磁力である。形状はトーラス形状でリブ付二重壁構造であり、トーラスの断面はD型である。電磁力は一様でないため、構造も荷重も軸対称を前提とした従来の規格をそのまま適用するのは困難である。また、二重壁構造のためリブと外壁のT継手,現地溶接継手は片側からしかアクセスできない。リブと外壁のT継手は部分溶け込みの特殊な溶接となる。これらの特殊事情により、新しい規格の開発を開始した。新しい規格では、3次元有限要素解析法による設計,特殊な部分溶け込み継手の使用,現地溶接部に関して検査フリー溶接の適用を検討している。これらの裏付けデータ取得のため、最初のR&Dでは特殊な継手の継手効率及び疲労強度減少係数の取得,すきま腐食感受性試験を実施した。本論文では、ITER真空容器の規格上の特殊性,新規格の概念と新規格を適用するうえでのR&Dの成果と計画について述べる。