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渡辺 宏; 飯塚 廣*; 武久 正昭
食品照射, 18, p.22 - 25, 1983/00
殺菌線量を低減する方法の一つとして、これまで加熱と照射の組合せ効果は研究されているが、低温処理の効果についてはほとんど研究されていない。我々は大腸菌や枯草菌などが急冷処理によって死滅する現象(コールドショック)に注目し、急冷処理と放射線の組合せによって細菌の放射線感受性がどのように変化するかを検討した。その結果、急冷処理後の細胞をN中で照射した時にはあまり大きな感受性の変化がみられないが、O中では感受性が増大することが明らかとなった。また照射後に急冷処理するとN中では線量が高い程、コールドショックを受けうけやすくなるが、Oでは逆にショックを受けにくくなり、NO中では増感が起る線量以上でO中と同様にショックを受けにくくなった。これらの事実は細胞の死滅に細胞膜が重要な役割をはたしており、照射による細胞膜の構造変化はN中とO中で全く異なっていることを示唆している。N中では処理前、Oでは処理後に照射すると線量を低減できる。