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論文

HTTR環状炉心の炉心解析モデルの検討

野尻 直喜; 半田 雄一*; 島川 聡司; 後藤 実; 金子 義彦*

日本原子力学会和文論文誌, 5(3), p.241 - 250, 2006/09

HTTRの環状炉心実験から過剰反応度の実験値と解析値のずれは最大で3%Dk/kに達することが明らかになった。このずれを改良するためにHTTR環状炉心のパラメータ解析を行った。炉心解析にはSRACコードシステムを用いた。解析の結果として、環状炉心の過剰反応度に以下のものが影響を与えることが明らかになった。(1)炉心拡散計算のメッシュ間隔,(2)燃料格子計算の黒鉛領域のメッシュ構造,(3)ブノアの非等方拡散係数。以前報告された有意に大きいずれは、改良した環状炉心モデルにより約1%Dk/kに減少した。

論文

Annular core experiments in HTTR's start-up core physics tests

藤本 望; 山下 清信*; 野尻 直喜; 竹内 光男; 藤崎 伸吾; 中野 正明*

Nuclear Science and Engineering, 150(3), p.310 - 321, 2005/07

 被引用回数:6 パーセンタイル:39.99(Nuclear Science & Technology)

HTTRの臨界試験において、解析コードの検証を目的として環状炉心の試験が行われた。この試験では、初臨界炉心,臨界制御棒位置,中性子束分布,過剰反応度等の測定が行われた。これらのデータを被覆粒子の燃料コンパクト中での配置を考慮できるモンテカルロコードMVPで評価した。その結果、環状炉心における反応度に対する被覆粒子燃料の非均質効果は、中実炉心での効果より小さいことが明らかになった。実効増倍率の解析値は測定値と1%$$Delta$$k以下の誤差で一致した。中性子束分布の解析値は測定値とよく一致した。過剰反応度評価においては、制御棒の干渉効果を排除するための修正法を用いた。修正した過剰反応度と解析値は 1%$$Delta$$k/k以下の差で一致した。

論文

Characteristic test of initial HTTR core

野尻 直喜; 島川 聡司; 藤本 望; 後藤 実

Nuclear Engineering and Design, 233(1-3), p.283 - 290, 2004/10

 被引用回数:12 パーセンタイル:60.98(Nuclear Science & Technology)

本報告書はHTTRの起動試験及び出力上昇試験時の炉物理試験結果について記載したものである。この試験は高温ガス炉の性能と安全性を確認する目的で行われ、臨界近接,過剰反応度,炉停止余裕,制御棒価値,反応度係数,中性子束分布及び出力分布が測定された。測定結果と計算結果から予期していた炉心性能と必要な炉心安全性能を有することを確認した。

論文

Rock-like oxide fuels and their burning in LWRs

山下 利之; 蔵本 賢一; 秋江 拓志; 中野 佳洋; 白数 訓子; 中村 武彦; 草ヶ谷 和幸*; 大道 敏彦*

Journal of Nuclear Science and Technology, 39(8), p.865 - 871, 2002/08

 被引用回数:26 パーセンタイル:81.96(Nuclear Science & Technology)

余剰プルトニウムの効率的な利用と廃棄のための新しいオプションを提案するため、岩石型プルトニウム燃料とその軽水炉中での燃焼技術に関する研究を行った。岩石型燃料はイナートマトリクス燃料の一種で、安定化ジルコニア,スピネルやコランダムなどの鉱物類似化合物から構成される。重核分裂片による照射損傷を軽減するため、粒子分散型燃料を考案した。照射試験により、スエリング,ガス放出,微細組織変化に関する知見が得られた。岩石型プルトニウム燃料装荷炉心が有する本来的な短所は、ウランやトリウムなどの共鳴物質を添加することで改善され、改善炉心の過渡時における特性は通常の軽水炉炉心と同等となった。反応度事故条件下における岩石型燃料棒の破損しきい値は軽水炉燃料と同等であることが、パルス照射試験により確認された。

報告書

高温工学試験研究炉炉心解析モデルの改良;過剰反応度に関する検討

藤本 望; 山下 清信

JAERI-Research 99-059, p.43 - 0, 1999/11

JAERI-Research-99-059.pdf:2.51MB

これまで、HTTRの炉心解析モデルについて、VHTRCの実験結果を用いて検証が行われてきた。またモンテカルロコードとの比較に基づき、ゼブラ型反応度調整材の形状及び位置の効果、中性子ストリーミング効果を考慮できるようモデルの改良が進められてきた。さらにこの改良モデルを用いて臨界試験の予備解析が行われてきた。しかしながら臨界試験の結果から、予備解析に用いたモデルでも過剰反応度を過大に評価することが明らかとなった。検討の結果、燃料セルの外径が過大で実際より減速材の黒鉛が多いため柔らかい中性子スペクトルとなり、$$^{235}$$Uの核分裂断面積を大きく評価していることが原因であると考えられた。そこで、燃料セルの外径をこれまでより小さい、燃料棒のピッチによる値とすることにより、臨界試験結果とよく一致する結果を得ることができた。

論文

Revised procedure for determining large excess reactivity of reactors

金子 義彦*; 長尾 美春; 島川 聡司

Journal of Nuclear Science and Technology, 36(11), p.988 - 995, 1999/11

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)

大きな正の反応度を測定する在来の実験方法(燃料追加法及び中性子吸収置換法)を炉物理の観点から分析した結果、過剰増倍率が20%$$Delta$$k程度になると、いずれの実験手法とも約20%もの系統誤差を生ずる可能性のあることがわかった。この問題を克服するために、実験の解釈を修正する方法を提案する。この修正法では、実測される現実炉心の実効増倍率の増分に計算により求めた変換因子を乗ずることにより、仮想炉心における実効増倍率の増分に変換してから加算することにより過剰増倍率が決定される。修正法を用いると、在来法では避けられなかった系統誤差はほとんど消失する。また、過剰増倍率の評価は、変換因子の計算に使う炉定数の曖昧さにあまり影響されない。本報告は修正法の基本的な成立性を記述するものであり、個々の原子炉へ適用する場合は変換因子の決定には詳細な炉心計算が必要である。

論文

HTTR臨界試験の結果

藤本 望; 竹内 光男; 藤崎 伸吾; 中野 正明*; 山下 清信; 茂木 春義

UTNL-R-0378, p.5.1 - 5.10, 1999/00

HTTRは1998年7月に燃料装荷を開始し、同年11月に初臨界を達成した。臨界近接では炉心外周部から燃料を装荷し、環状炉心で臨界とした。従来行われてきた1/Mの直線外挿では臨界予測が難しかったため、臨界量も調整した計算により評価した1/Mで測定値をはさみ込むことにより臨界量を予測することができた。臨界試験では、過剰反応度、炉停止余裕、中性子束分布、制御棒反応度価値、熱出力及び動特性パラメータ等の測定を行った。過剰反応度の測定では、制御棒の干渉効果により測定値は実際の値より小さくなる。そのため、解析により補正係数を求め、これを測定値にかけることにより補正を行った。炉停止余裕や中性子束分布測定では、解析値は測定値もよく模擬できていることがわかった。今後、試験結果の検討を進め、解析の高度化を図ることとしたい。

報告書

高温工学試験研究炉(HTTR)臨界試験の予備解析結果; モンテカルロコードMVPに基づく解析

野尻 直喜; 中野 正明; 安藤 弘栄; 藤本 望; 竹内 光男; 藤崎 伸吾; 山下 清信

JAERI-Tech 98-032, 59 Pages, 1998/08

JAERI-Tech-98-032.pdf:2.48MB

高温工学試験研究炉(HTTR)の臨界試験の事前評価として、連続エネルギー法に基づくモンテカルロ計算コードMVPにより核特性解析を行った。拡散理論による炉心計算では直接モデル化が困難であった、燃料コンパクト、燃料棒、燃料棒挿入孔、反応度調整材等の燃料体内の非均質構造、制御棒及び制御棒挿入孔、後備停止系ほう素ペレット落下孔、炉心構成要素間の間隙等を詳細にモデル化した。解析により、初回臨界は16カラム前後燃料を装荷した状態で到達する見込みであること、その際第1,2,3リング制御棒を全引き抜きし中心制御棒だけを操作することで臨界調節が可能であることを確認した。また、臨界時の制御棒位置、過剰反応度、炉停止余裕等を求めた。これらの解析結果を臨界試験の計画策定に用いた。

報告書

高温工学試験研究炉(HTTR)の過剰反応度測定での制御棒干渉効果の解析評価

中野 正明; 山下 清信; 藤本 望; 野尻 直喜; 竹内 光男; 藤崎 伸吾; 徳原 一実*; 中田 哲夫*

JAERI-Tech 98-017, 61 Pages, 1998/05

JAERI-Tech-98-017.pdf:2.68MB

高温工学試験研究炉(HTTR)の過剰反応度を燃料追加法によって測定する場合について、制御棒の干渉効果が過剰反応度に与える影響を評価した。制御棒が全引き抜き状態の実効増倍率から求める過剰反応度に比べて、制御棒操作を考慮することによって、-10%~+50%程度の測定値が変化することがわかった。また、干渉効果の影響を小さくするためには、被測定制御棒、補償制御棒とも複数の制御棒を用いればよく、(1)被測定制御棒として第3リング制御棒を除く13対を用い、そのうちの1対の反応度測定の際にその他の12対を補償制御棒として用いる組合わせ、(2)第1リング制御棒6対を(1)と同様に用いる組み合わせ、が過剰反応度測定に適していることが明らかになった。

報告書

正の大きな反応度測定における修正法の実炉への適用; JMTRCにおける超過倍率測定の修正法による解析

長尾 美春; 島川 聡司; 金子 義彦*

JAERI-Research 97-048, 59 Pages, 1997/07

JAERI-Research-97-048.pdf:1.82MB

燃料追加法、中性子吸収置換法等の方法が原子炉の大きな正の反応度の決定に広く用いられている。しかし、これらの全ての測定方法は、過剰反応度が15%$$Delta$$Kを越える領域に入ると20%程度の誤差を免れないという指摘があり、この問題を克服するための「修正法」についての基本的考え方が提案された。この「修正法」は、現実の炉心における実効倍率の増分を仮想の炉心の実効倍率に計算により転換するものである。本論文では、この「修正法」が大型の試験炉・研究炉に対して実際に適用可能であることを、JMTRCにおける超過倍率測定実験データを理論的に解析することによって明らかにした。解析には、モンテカルロコードMCNP4Aによる全炉心計算が全面的に用いられた。また、「修正法」とこれまで使用されてきた在来の評価法との関係も解明した。

報告書

正の大きな反応度測定における修正法の提案

金子 義彦*; 島川 聡司; 長尾 美春; 山下 清信; 竹内 光男; 山根 剛

JAERI-Research 97-003, 70 Pages, 1997/02

JAERI-Research-97-003.pdf:1.79MB

燃料追加法及び中性子吸収置換法を含む、大きな正の反応度を測定する在来の実験方法を炉物理の観点から分析した。その結果、超過倍率が約15%$$Delta$$Kを超える領域に入るといずれの実験手法共約20%もの系統誤差を生ずる可能性のあることがわかった。この問題を克服するために、実験の解釈の修正を提案した。この修正法では、実測される現実炉心の実効増倍率の増分に転換してから加算することにより超過倍率が決定される。当然のことながらこの指導原理において修正因子fは超過倍率ができるだけ正確に求められるものが選択される。修正法を用いると、在来法では避けられなかった系統誤差はほとんど消失する。また、超過倍率の評価は、修正因子fの計算に使う炉定数の曖昧さにあまり影響を受けない。本報告は修正法の基本的な成立性を記述するものである。

論文

Benchmark calculation of JMTRC core with MCNP

長尾 美春; 島川 聡司; 小森 芳廣

Transactions of the American Nuclear Society, 73, p.402 - 403, 1995/00

中性子照射試験では、試料位置における中性子エネルギースペクトル予測精度の向上が要求されている。特に熱領域の中性子は、照射キャプセル構造材等の影響により複雑な分布をするため、正確なモデル記述が必要となるが、従来の拡散計算や輸送計算では、モデルの記述上の制限から精度向上が困難である。そのため、複雑な体系を自由に表現することのできる3次元モンテカルロコードMCNPのJMTR炉心計算への適用を検討している。MCNPは、遮蔽計算や比較的単純な炉心体系については、その適用性は確認されているが、JMTRのような板状燃料を使用した複雑な炉心体系には、本格的に適用されるには至っていない。そこで、適用性検討の第1段階として、JMTRの臨界実験装置であるJMTRCの炉心の臨界計算を行い、実効増倍率の計算精度について検討した。

報告書

SRACコードシステムによるJRR-4高濃縮ウラン燃料炉心の核特性に関するベンチマーク計算

有金 賢次

JAERI-M 87-063, 133 Pages, 1987/04

JAERI-M-87-063.pdf:3.46MB

JRR-4燃料の低濃縮化計画が原研の試験・研究炉濃縮度低減化計画に基づいて進められている。低濃縮炉心の核設計には、SRACコードシステムが用いられている。本報告は、低濃縮炉心の核設計に用いた解析手法の妥当性を明らかにするため行なったJRR-4高濃縮ウラン燃料炉心のベンチマーク計算について述べたものである。ベンチマーク計算は、過剰反応度、幅寄性、制御棒価値、熱中性子束分布、ボイド係数、温度係数、質量係数、動特性パラメータおよび$$^{135}$$Xeの蓄積による反応度減少の各核特性について実施した。その結果、計算結果と測定結果は良い一致を示し、解析手法の妥当性が示された。

論文

A New experimental method of estimating physics parameters in large fast reactors

三谷 浩

Journal of Nuclear Science and Technology, 13(2), p.58 - 73, 1976/02

 被引用回数:2

利用可能なPuおよびU燃料が制限されている条件のもとで、大型高速炉の炉物理量を正確に推定出来る新しい実験方法が提唱されている。この方法は、基準実験と一連の補助実験より成り立っている。基準実験は大型炉と幾何学的大きさが全く同じで、炉心の一部分でPu燃料、他の大部分でU燃料が装荷された体系で行なわれる。一方、補助実験は、基準実験系のドライバー領域を数個の部分領域に分け、個々の部分領域で順次U燃料を補助利用のPu燃料で置き換えて繰り返し行なわれる。これらの実験から、大型炉の炉物理量は摂動論的に一次の範囲で完全に推定出来る。これに対する理論的補正は二次以上の高次の項であり、分割された部分領域間の相互作用の効果のみである。原型炉程度の大型炉について詳細な数値計算が行なわれ、この結果から、その有効性が実証された。さらに、この方法は商業用高速炉の模擬実験に必要な最小のPuおよびU燃料の量を定める問題に応用することが出来る。

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