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堀口 直樹; 吉田 啓之; 金子 暁子*; 阿部 豊*
Proceedings of 12th Japan-Korea Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS12) (Internet), 6 Pages, 2022/10
シビアアクシデント時の軽水炉の安全性評価において、プール中を落下しブレイクアップする溶融燃料ジェットから発生する微粒化物の物理量の推定が重要である。このため、燃料と冷却材間の相互作用(FCI)に含まれる流体力学的相互作用を伴う液体ジェットとしての挙動の評価手法が開発されている。炉外で想定される浅いプールの場合、溶融燃料は液状の壁面衝突噴流として振る舞い、微粒化物を伴うあるいは伴わない液膜流として拡がることが想定される。我々の研究では、流体力学的相互作用と過渡的かつ三次元的に床面を拡がる点に着目し、詳細二相流解析コードTPFITを用いた数値シミュレーションによる評価手法と、この妥当性確認のために液液系において3D-LIF法を用いた実験手法を開発している。過去の研究で、微粒化を伴う壁面衝突噴流が特徴的な構造を過渡的に有することを観察しており、その各部に依存した微粒化物の物理量の変化、ひいては安全評価への影響が考えられることから、各部におけるこの物理量の計測が重要と考える。本報は、数値シミュレーションの妥当性確認に資するべく実施した、浅水プール中の壁面衝突噴流における微粒化物の物理量の計測について説明する。3D-LIF法による実験を行い、分散相追跡法によって液膜流上の微粒化位置に基づいて実験データを各部に区分した。この区分したデータから微粒化物の径および総量を計測し、これらの変化傾向を検討した結果について述べる。
森山 清史; 中村 秀夫; 丸山 結*
Nuclear Engineering and Design, 236(19-21), p.2010 - 2025, 2006/10
被引用回数:25 パーセンタイル:83.34(Nuclear Science & Technology)軽水炉シビアアクシデント時における溶融炉心/冷却材相互作用(FCI)の粗混合過程及びデブリベッド形成過程を解析的に評価するため、FCI粗混合解析コードJASMINE-preを開発した。JASMINE-preは融体ジェット,融体粒子,融体プールの3成分からなる融体モデルを、二相流解析モデルと連成したものである。二相流モデルは原研で開発されたACE-3Dコードに基づくものである。融体ジェット及び融体プールモデルは各々水中を流下する溶融炉心と底部で塊状になった融体を一次元で表したものであり、融体粒子モデルではラグランジュ的なグループ粒子の概念を用いている。また、簡易的なモデルとして、静止水中における粒子の生成と沈降・冷却のみを考慮したコード「pmjet」を開発した。これらのモデルを用いて、コリウム融体の冷却実験であるFARO実験のうち、水プールが飽和温度の場合と高サブクール条件の場合のシミュレーションを行った。JASMINE-preによる計算結果は、圧力上昇及び融体分裂について実験とおおむね一致した。また、計算結果より、粗混合領域内の溶融状態のコリウム質量は、定常的な融体ジェット分裂のもとでほとんど一定に保たれることがわかった。さらに、この粗混合融体量の計算結果について、JASMINE-preとpmjetの間でよい一致が見られた。
森山 清史; 丸山 結; 宇佐美 力*; 中村 秀夫
JAERI-Research 2005-017, 173 Pages, 2005/08
水プール中における融体ジェットの分裂は、軽水炉シビアアクシデント時における水蒸気爆発の粗混合過程及びデブリ冷却性に関連する重要な現象である。高温の酸化物及び鋼材の融体ジェットの水プール中における分裂挙動に関する実験を行った。目的は、ジェット分裂長さ及び分裂によって生じる融体液滴のサイズ分布,これらに対する融体物性の影響に関するデータを得ることである。また、融体ジェット分裂機構の検討に有用な、融体ジェットを取り巻く蒸気カラムの流れの強さや、これと融体液滴サイズの関係に関するデータの取得を試みた。実験では酸化ジルコニウム・酸化アルミニウム混合物とステンレス鋼の融体ジェット(水面で直径17mm,速度
7.8m/s)を深さ2.1m又は0.6mで種々のサブクール度を持つ水プールに落下させた。 本実験の結果及び既存の実験データを用いた検討により、融体ジェット分裂長さ,融体ジェットが完全に分裂しない浅いプールの場合の分裂割合、及び、ジェット分裂によって生じる融体液滴サイズに関する相関式を得た。
森山 清史; 丸山 結*; 中村 秀夫
JAERI-Research 2002-021, 36 Pages, 2002/11
シリコンは、軽水炉の炉心構成材料であるジルコニウムと同様に酸化し易い材料であり、また、半導体産業で溶融物が扱われるため、その水蒸気爆発挙動に関心がもたれている。そこで、シリコン溶融物の水蒸気爆発特性及び水蒸気爆発における酸化反応の影響について実験によって調べた。実験は水プールへ溶融物を投下する体系で行い、2回の実験でともに激しい自発的水蒸気爆発が発生した。エネルギー変換率は従来のテルミット溶融物による実験と比較して同等からやや大きい程度で4~9%であり、溶融物の細粒化はこれまでの実験よりかなり進んでおり、デブリの質量中央径は65~85mであった。デブリ表面の酸化膜に関する分析により、5
m程度の厚さの酸化膜が認められ、シリコンの数%が酸化した可能性がある。
柴本 泰照; 久木田 豊*; 中村 秀夫
Nuclear Technology, 139(3), p.205 - 220, 2002/09
被引用回数:38 パーセンタイル:88.73(Nuclear Science & Technology)溶融金属表面での水の直接接触沸騰は非常に効率の良い熱伝達を期待でき、液体金属冷却炉の一体型熱交換器の開発や軽水炉溶融炉心の冷却手段,または事故時の影響評価などと関連して近年注目を集めている。水ジェットのプール中への貫入挙動について、非沸騰体系またはジェットの沸騰する体系,プール材料の沸騰する体系など、数種類のプール流体を用いた実験研究がこれまでに行われており、プール流体と水ジェットの密度比=
/
で0.81~13.6の範囲に及んでいる。これらの研究により、ジェット貫入やキャビティ形成に関する各種データが提供されてきたが、実機のような高密度比(
大)かつ高温沸騰条件でのデータは筆者らの研究を除いてほとんど得られていない。本研究では高速度撮影の中性子ラジオグラフィを用いた実験を行い、可視化に対する問題を解決するとともに、発生蒸気量やメルト/水噴流界面形状にかかわるパラメータの定量計測を行った。衝突ジェットは、
小の場合にはジェットブレークアップ(エネルギー散逸)により貫入が制限されるのに対して、高温溶融金属中への水ジェット貫入は浮力によって制限される。また貫入は、沸騰による蒸気生成量やその界面の安定性にも大きく影響され、初期メルト温度や噴流速度に対する依存性があることを見いだした。
森山 清史; 中村 秀夫; 平野 雅司
日本機械学会第8回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集, p.209 - 214, 2002/06
これまでに蒸気爆発に関する実験で得られた知見を整理した。また、蒸気爆発の各過程に関して実炉規模評価の手法とそこに含まれる不確かさの重要度について検討を行った。その結果、実験的知見の不足している領域として、粗混合における融体ジェット分裂過程を取り上げることにした。これに基づき、原研では深い水プール内での蒸気爆発粗混合過程について、高温の酸化物融体を用いて模擬する実験を計画している。実験に使用する融体材料とスケールについて実炉現象模擬性の観点で検討し、適切な条件を実現できる見通しを得た。
成合 英樹*
JAERI-Tech 2002-009, 60 Pages, 2002/03
本研究は、シビアアクシデント事象の伝熱流動過程のうち現象が最も不確定な素過程である溶融炉心冷却と凝固や蒸気爆発の事象解明を目的に、急速相変化と界面挙動について実験と解析により検討した。そのためにまず、各物性値と蒸気爆発や溶融凝固挙動との関連検討や支配的要因の摘出を行った。次に、自発的蒸気爆発における両液直接接触時の界面での高温融体側の挙動と水の急激な沸騰挙動の観察を行い、物性値の違いが界面挙動に及ぼす影響を調べるとともに、両液直接接触時の界面挙動のモデル化を行った。最終的に、圧力波発生装置を用いて単一溶融液滴に外部圧力波をあて、強制的に蒸気膜を崩壊させることによって、直接接触から微粒化に至る条件を明らかにした。本実験で得られた知見を実炉規模での大規模蒸気爆発実験に適用した結果、酸化ウランは水中において蒸気膜が崩壊したとしても、溶融物表面は固化し固液接触となる可能性が高く、酸化ウランを使用する軽水炉の場合、実炉で想定される事故シーケンスにおいては蒸気爆発の発生する可能性が低いことが示された。ただし、金属成分の混入による凝固温度の低下や溶融炉心温度の上昇には注意を要する。
森山 清史; 丸山 結; 中村 秀夫; 橋本 和一郎; 加茂 英樹*; 大貫 晃; 秋本 肇
第7回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集 (00-11), p.451 - 456, 2000/11
JASMINE-preは、軽水炉シビアアクシデント時の水蒸気爆発における粗混合過程を解析するための伝熱流動シミュレーションコードである。本コードは、新たに開発した溶融物モデルを二相流解析コードACE-3Dと結合したものである。溶融物モデルは、溶融物ジェット、プール、液滴という3成分から成り、ジェットとプールは各々垂直方向及び半径方向の1次元モデル、液滴は粒子群を1つのラグランジュ粒子で表すグループ粒子モデルで記述している。本コードを用いて、低融点金属の溶融物ジェットを水プール中に落下させた実験(非沸騰条件)、及び、アルミナ溶融物ジェットを水プール中に落下させた実験(沸騰を伴う条件)のシミュレーションを行い、本コードがこれらの条件で溶融物ジェットの水プール中での分裂、粗混合領域の形成、デブリベッドの堆積を扱えることを確認した。
藤田 朋子
JNC TN9400 2000-038, 98 Pages, 2000/04
実用化戦略調査研究の一環として、有力な候補プラントの1つであるナトリウム冷却MOX燃料大型炉心について、再臨界回避方策の評価を実施した。実証炉の炉心崩壊事故解析等による従来の知見から、流量低下型事象時に炉停止に失敗し、大規模な溶融燃料プールが形成されて初めて、径方向揺動等による燃料の移動集中が生じ、厳しい即発臨界現象に至る可能性があることが分かっている。再臨界の可能性を排除するために、炉心物質の再配置を制御するCMR(Controlled Material Relocation)概念に基づいた再臨界回避方策の候補として、内部ダクト付き集合体、LAB(下部軸ブランケット)一部削除型集合体が提案されている。これらの方策についてSIMMER-IIIコードを用いた予備解析を実施し、CMR有効性の比較検討を行った。検討した候補のうち、内部ダクト付き集合体が最も燃料流出が早く、再臨界回避方策として有力である見通しを得た。LAB一部削除集合体でも、若干燃料流出は遅くなるが有望な候補である。しかしながら、中央ピンにUAB(上部軸ブランケット)を残す場合は、炉心下方でのFCIによって炉心燃料領域内に燃料が再流入するため、炉心性能へ著しい影響を与えない限り、中央ピンのUABも削除する方が良い。中央ピンの燃料軸長の長短が燃料流出挙動に与える影響は小さく、むしろUAB有無の影響が重要である。
柴本 泰照; 久木田 豊*; 中村 秀夫; Park, H. S.*; 安濃田 良成
Proceedings of 8th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-8) (CD-ROM), p.12 - 0, 2000/00
溶融金属と冷却材の相互作用(MFCI)時には、冷却材の蒸気が大量に発生するが、蒸気生成速度によって蒸気爆発になる場合と爆発に至らない場合がある。後者は穏やかなMFCI事象と呼ばれ、本研究ではその現象解明研究の一環として、高温の溶融金属中にジェット状に注水する体系についての基礎研究を行っている。これまで、このような研究例は限られており、特に、多くの溶融物は可視光には不透明なため、その中の水の挙動を可視化することは困難であった。そこで本研究では、高速度撮影中性子ラジオグラフィ(NRG)を利用することで、可視化に対する問題を解決するとともに、発生蒸気量や水ジェット貫入深さ等について定量計測を試みた。実験では、あらかじめ試験容器内に高温の溶融金属を満たしたところに室温の水ジェットを注入した。その結果、より高温のメルトに注入させた方が、蒸気発生量がより少ない結果となった。これは、高温の場合、水/溶融金属の界面上に安定な蒸気膜が形成され、これが伝熱の阻害に寄与し、蒸気発生が少なかったためと考えることができる。
柴本 泰照; 中村 秀夫; 安濃田 良成; 久木田 豊*
JAERI-Tech 99-042, 41 Pages, 1999/05
シビアアクシデント時の溶融燃料の原子炉圧力容器下部ヘッドにおける燃料冷却材相互作用(molten fuel and coolant interactions, MFCIs)を伴う落下中及び落下後の堆積挙動に関する模擬基礎実験を行い、中性子ラジオグラフィ(neutron radiography,NRG)を中心とした流動の可視化観察を行った。実験では、低融点の溶融合金(鉛-ビスマス)を圧力容器の下部ヘッドに見立てた小型の試験容器に落下させ、溶融合金単相の振る舞い及び冷却材との相互作用を観察した。また、NRG実験の検証・補完のため、耐熱ガラス容器を用いた流動の直接観察実験及び赤外線ビデオカメラを用いた容器外表面の温度分布の変化を測定した。本レポートは、これらの実験方法と観察結果をまとめたものである。
森山 清史; 山野 憲洋; 丸山 結; 工藤 保; 杉本 純
JAERI-Data/Code 99-017, 34 Pages, 1999/03
水蒸気爆発は、高温の液体から低温揮発性の液体への急速な伝熱、高温液体の細粒化等の一連の過程が、低温液体の急速な蒸発による衝撃波の発生、伝播とともに進行し、結果的に高温液体の保有する熱エネルギーが機械的エネルギーへと変換される現象である。原子力安全、とくに軽水炉のシビアアクシデントの分野では、溶融炉心と冷却材の接触による水蒸気爆発が格納容器の健全性に対する潜在的脅威として認識され、研究されてきた。原研では事故時格納容器挙動試験(ALPHA)計画の中で、鉄-アルミナテルミット混合溶融物を溶融炉心模擬材として用いた水蒸気爆発実験を行った。本報告は、とくに高速度カメラによる画像情報に重点をおいて実験データを提供するものである。
A.R.Antariksawan*; 森山 清史; H.Park*; 丸山 結; Y.Yang*; 杉本 純
JAERI-Review 98-012, 66 Pages, 1998/09
蒸気爆発とは、高温液体(燃料)が低温の揮発性液体(冷却材)にその内部エネルギーを与え、低温液が急速に蒸発して高圧を発生し、周囲に仕事を与える過程である。蒸気爆発は従来から4段階の過程、すなわち初期粗混合、トリガリング、伝播及び膨張の過程から成ると考えられており、20年以上の間研究が行われて来たが、基礎的物理の未解明な部分が残されており、研究が継続されている。本報告は、初期粗混合及び伝播過程に関する最近の研究についての情報を収集したものである。実験では実燃料を用いた大規模なもの(~150kg)に重点が置かれている。解析コードの検証のため、固体粒子を用い境界条件を明解にした単純な体系の実験も行われている。解析コードは一般に多相・多次元のより洗練されたものになっているが、物理モデルの不十分な部分があり、更に改良を要する。
山野 憲洋; 丸山 結; 工藤 保; 森山 清史; 伊藤 秀雄; 小森 慶一; 園部 久夫; 杉本 純
JAERI-Tech 98-019, 105 Pages, 1998/06
本報は軽水炉のシビアアクシデント時に格納容器に加わる負荷、格納容器からのリーク及び格納容器内でのFPエアロゾル挙動を定量的に評価することを目的とした事故時格納容器挙動試験(ALPHA)計画の実験装置の設計について述べたものである。本試験計画では、シビアアクシデント時の格納容器内における主な事象のうち、溶融物冷却材相互作用、溶融物コンクリート相互作用、FPエアロゾル挙動及び格納容器貫通部からのリーク挙動を対象としている。試験装置の設計にあたってこれら諸現象を忠実に模擬できること、高温・高圧をはじめ、従来の研究で不十分だった範囲をカバーできること、アクシデントマネージメントの観点からも独自な試験が行えること等に配慮した。本報では、試験目的、方法等に基づいて決定された装置の仕様、テスト部の諸元等について詳述する。
Park, H.; 山野 憲洋; 丸山 結; 森山 清史; Yang, Y.; 杉本 純
第35回日本伝熱シンポジウム講演論文集,3, p.803 - 804, 1998/00
温度範囲55Cから飽和温度近傍までの冷却水を初期温度2500
Cのテルミットに注入する場合のFCIの強度に対する系の拘束の影響を実験によって調べた。実験で測定された機械的エネルギーは、系の拘束が弱いときは冷却水のサブクール度の増加とともに増加したが、拘束が強い系では逆に減少した。これにより、FCIによる機械的エネルギー発生は時間スケールの短い溶融物の細粒化による混合の促進と、時間スケールの長い溶融物細粒の冷却という、2つの異なる時間スケールの現象により支配されていることがわかった。
Park, H.; 山野 憲洋; 森山 清史; 丸山 結; Y.Yang*; 杉本 純
Proc. of 11th Int. Heat Transfer Conf. (Heat Transfer 1998), 6, p.69 - 74, 1998/00
CI(Coolant Injection)モードのFCIの強さに対する冷却水ジェットのサブクール度、運動エネルギー及び系の拘束の影響を実験により調べた。測定された機械的エネルギーは、系の拘束が弱いときは冷却水のサブクール度の増加とともに増加したが、拘束が強い系では逆に減少した。また、冷却水の速度の増加とともに増加した。この結果は溶融物内での冷却水ジェットの貫入と分散がFCIの強度を決める重要な要素であることを示唆する。現象の基礎的な物理を理解し、実験における粗混合条件を推定するために、非沸騰・等温系でジェットをプールに注入する可視化実験を行い、また数値シミュレーションを行った。
H.S.Park*; 山野 憲洋; 丸山 結; 森山 清史; Y.Yang*; 杉本 純
Proc. of 1998 ASME/JSME Joint Pressure Vessels and Piping Conf., 362, p.49 - 56, 1998/00
冷却水が強制的にテルミット溶融物に注入される場合(Coolant Injection (CI) mode)のFCIの強さに対する冷却材ジェットの運動エネルギーの影響を調べるために6ケースの実験を行った。注入圧0.15MPaの場合、強いFCIは見られなかった。注入圧を0.5MPaまで増加させるとFCIによる機械的エネルギーは注入圧に線形に5kJまで増加する傾向を示した。冷却水ジェットの運動エネルギーが増加すると粗混合が促進され、このためFCIがより激しくなると考えられる。非沸騰・等温系での可視化基礎実験を行い、得られた相関式で評価すると、冷却材ジェットは溶融物層の底まで到達し、残った運動量により溶融物と冷却材の混合が促進されたと考えられる。
H.Park*; 山野 憲洋; 丸山 結; 森山 清史; Y.Yang*; 杉本 純
Proc. of 6th Int. Conf. on Nucl. Eng. (ICONE-6) (CD-ROM), 12 Pages, 1998/00
冷却材注入(CI)モードの溶融物冷却材相互作用(FCI)実験を7ケース行い、冷却材のサブクール度がFCIの強さに及ぼす影響を調べた。FCIによる機械的エネルギー放出量は冷却材サブクール度を2Kから45Kまで増加させたとき、ほぼ0から0.6kJまで増加する傾向を示した。エネルギー変換率もこれとともに増加し、また、デブリの平均粒径は減少した。冷却材をスプレー状にして注入した場合、FCIのエネルギーは小さかった。冷却材のサブクール度が大きい場合ジェットは溶融物により深く貫入し、良好な粗混合条件を作り、強いFCIをもたらすと考えられる。非沸騰・等温系で行った可視化実験から得られた相関式により評価すると、実験では冷却材ジェットが溶融物層の底に着いた後、さらに残った運動量により溶融物と冷却材の混合が促進されたと考えられる。
H.Park*; 山野 憲洋; 丸山 結; 森山 清史; Y.Yang*; 杉本 純
Proceedings of 1st Korea-Japan Symp. on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS 98), 8 Pages, 1998/00
冷却材と高温溶融物とのさまざまな接触形態における溶融炉心/冷却材相互作用(FCI)を明らかにするために、原研の事故時格納容器挙動試験(ALPHA)計画においてMUSE実験を実施している。MUSE実験の最初のシリーズでは、テルミット反応により生成した高温溶融物上に冷却材としての水をジェット状に衝突させる実験及び両者を層状に接触させる実験を行った。FCIにより発生する機械的エネルギーを正確に計測することにより、FCIに及ぼす水ジェットのサブクール度、ジェットの速度、ジェットの形状及び系の拘束条件の影響を検討した。系の拘束条件が弱い場合には、水のサブクールの増加とともに発生機械的エネルギーが大きくなり、拘束条件が強い場合には、逆に機械的エネルギーが減少することが観測された。また、ジェットの速度が大きくなると、機械的エネルギーが増加した。これらの結果は、実験における水と高温溶融物との接触形態では、水ジェットの浸入と分散挙動が両液体の混合状態に影響し、FCIにおいて重要な役割を果たすことを示唆している。
成合 英樹*; 杉山 憲一郎*; 片岡 勲*; 三島 嘉一郎*; 菊地 義弘*; 門出 政則*; 杉本 純; 山野 憲洋; 日高 昭秀; 長坂 秀雄*; et al.
日本原子力学会誌, 39(9), p.739 - 752, 1997/00
被引用回数:1 パーセンタイル:8.11(Nuclear Science & Technology)シビアアクシデント時の熱流動は、冷却材喪失事故(LOCA)などに見られる蒸気・水二相流現象に比べ、炉心の大幅な損傷や溶融が伴うことから、溶融炉心と冷却材の相互作用、溶融炉心とコンクリートの反応、水蒸気雰囲気中での核分裂生成物(FP,Fission Product)ガスやエアロゾル、可燃性ガス(水素)の一次系や格納容器内での挙動など、一般に多成分・多相流が関与するとともに、現象として極めて複雑・多様であることに大きな特徴がある。本稿では、重要なシビアアクシデント過程、及び主要な熱流動挙動について概説するとともに、圧力容器内の蒸気爆発、格納容器内の蒸気爆発、エアロゾル挙動、及び解析コードについて、熱流動の観点から詳述している。