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広田 憲亮; 中野 寛子; 武田 遼真; 井手 広史; 土谷 邦彦; 小林 能直*
材料の科学と工学, 61(6), p.248 - 252, 2024/12
SUS304Lステンレス鋼の0.2%耐力に関する比較分析により、ひずみ速度が低下するほど、温度が上昇するほど、0.2%耐力は著しく低下することが明らかとなった。一方で結晶粒径を68.6mから0.59
mに微細化した場合における低ひずみ速度下での0.2%耐力への強度低下率の影響は小さかった。しかし、結晶粒微細化は、室温に比べて原子炉運転温度下での0.2%耐力低下には影響を及ぼした。粒内応力腐食割れ(SCC)を促進する条件下での低ひずみ速度引張試験では、28.4
m以下の結晶粒径を持つSUS304Lに対しては、原子炉運転温度下での破断ひずみと同等の値を示したが、粗粒のSUS304Lでは破断ひずみが低下した。微細構造解析では、より結晶粒が微細な材料で87%以上の延性破面が観察され、特に0.59
mの結晶粒径を持つSUS304Lでは{111}/
3粒界が数多く存在する一方で、結晶粒径が大きくなるにつれてその割合が減少していた。これらの結果は、結晶粒微細化により、{111}/
3粒界の増加を通じて、腐食の進行が遅延し、粒内SCCが抑制されたことを示唆している。
広田 憲亮; 近藤 啓悦; 中野 寛子; 藤田 善貴; 武内 伴照; 井手 広史; 土谷 邦彦; 小林 能直*
no journal, ,
原子力分野では、沸騰水型原子炉のシュラウドや加圧水型原子炉の再循環系配管で動的ひずみ老化(DSA)が確認されている。この現象は、材料の加工硬化速度を増加させ、延性の低下を引き起こす。Rodriguezは、ステンレス鋼を用いると、この加工硬化が結晶粒の微細化に伴って増加し、DSAが発生しやすくなることを報告している。本研究の目的は、超微細粒SUS304L(UFGS)を用いて、原子炉を模擬した高温加圧水(HTPW)環境におけるDSAに及ぼす結晶粒微細化の影響を評価することである。UFGSを熱処理して粒径を0.59mから68.6
mに調整し、0.2%耐力に対するホール-ペッチ則の整理を行った。本研究で得られたk値は、これまでSUS304Lで得られていた参考値とほぼ同様であった。破壊ひずみに及ぼす粒径の影響について、大気中の引張試験と溶存酸素1ppb未満の条件下で598K/15MPaのHTPW環境での低歪速度引張試験(SSRT)との比較を行うと、粒径が粗くなるにつれ、大気中よりもHTPW下において破壊ひずみが小さくなることが示された。HTPWの破壊後の顕微鏡写真では、28.4
m以下の粒径材で延性破壊面が観察された。しかし、粒径が68.6
mまで粗くなると、全破断面の半分以上が脆性破壊となった。HTPW下で粒径0.59
mの材料では、試料の破断断面において{111}/
3境界の対応粒界が多く観察された。しかし、粒径が68.6
mまで粗大化すると、これらの分布はほとんど観察されなくなった。したがって、HTPW下で微細粒ステンレス鋼においてDSAによる亀裂伝播が抑制された原因は、{111}/
3境界による転位蓄積の緩和によるものと推察される。