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鈴木 光弘; 竹田 武司; 浅香 英明; 中村 秀夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 43(1), p.55 - 64, 2006/01
被引用回数:10 パーセンタイル:56.85(Nuclear Science & Technology)原研のROSA-V/LSTFを用いてPWRの原子炉容器底部計装管破断を模擬する小破断LOCA実験を行い、高圧注入系不作動時にアクシデントマネージメント(AM)策として行う蒸気発生器(SG)の2次系減圧を通じた1次系冷却操作に、蓄圧注入系(AIS)から流入する非凝縮性ガスが及ぼす影響を明らかにした。AISからガス流入がない場合の計装管9本破断実験では、工学的安全施設作動(SI)信号から10分後に定率(-55K/h)のSG減圧を開始することで、低圧注入系(LPI)を作動させることができた。しかしガス流入を想定した計装管10本破断実験では、SG伝熱管の凝縮熱伝達が低下して1次系減圧が阻害され、LPIの作動以前に炉心露出が生じた。これに対し、SGの2次系逃がし弁全開による急減圧と補助給水系の連続作動を仮定した実験では、炉心露出以前にLPIが作動し長期冷却の可能性を示した。これらのガス流入によるSG伝熱管内凝縮熱伝達阻害についてRELAP5/MOD3コードを用いた解析を行い、実験結果をよく再現できた。さらに、PWRの事故過程を的確にとらえ、AM策の実施判断を行ううえで、1次系圧力と保有水量を指標とするマップが有用なことを示した。
鈴木 光弘; 竹田 武司; 浅香 英明; 中村 秀夫
JAERI-Research 2005-014, 170 Pages, 2005/06
大型非定常試験装置(LSTF)を使用したROSA-V計画において、加圧水型原子炉(PWR)の小破断冷却材喪失事故(SBLOCA)模擬実験を実施し、高圧注入系(HPI)不作動時に重要なアクシデント・マネージメント(AM)策の炉心冷却効果を調べた。LSTFはウェスティングハウス社の4ループPWR(3423MWt)を実高,容積比1/48で模擬する装置である。この実験(SB-PV-03)では、PWRコールドレグ0.2%破断に相当する原子炉容器底部計装管10本破断を模擬し、HPIの不作動と蓄圧注入系(AIS)からの非凝縮性ガス流入を想定し、定率-55K/hでの2次系減圧と30分間の補助給水(AFW)作動を運転員のAM操作として実施した。その結果、これらのAM操作はAIS注入終了圧力1.6MPaまでは1次系減圧に効果的であったが、その後、非凝縮性ガスが流入したため減圧効果は低下した。このため低圧注入系(LPI)の作動開始が遅れ、破断口では水流出が継続していたので全炉心露出に至った。本報ではこれらの熱流動現象に加え、1次系保有水量の推移及びAM操作と関連づけた炉心加熱挙動、1・2次系間の熱伝達及び1次系ループへの非凝縮性ガス流入等に関する解析結果について述べる。
浜岡1号機配管破断部調査グループ
JAERI-Tech 2001-094, 60 Pages, 2001/12
平成13年11月7日に発生した中部電力(株)浜岡原子力発電所1号機余熱除去系配管破断事故の原因究明等を行うため、原子力安全・保安院は配管破断部を切断して詳細調査を行うこととし、事業者による調査と並行して、第三者中立機関である原研に対しての配管破断部調査への協力についての指示を文部科学省に依頼した。原研は、配管破断部調査に全面的に協力することとした。調査にあたって、原研東海研究所に調査グループを設置し、燃料試験施設等の研究施設,走査型電子顕微鏡等の各種分析機器類を活用して、配管破断部の調査を行った。調査の結果、以下のことが明らかになった。(1)破断部近傍で大きな肉厚減少が認められた。(2)観察した試料のほぼ全ての破面はディンプル状であり、また、疲労によって生じたき裂の存在を示すような破面は確認されなかった。(3)金属組織は典型的な炭素鋼組織(フェライトとパーライトの混合組織)であり、破断部付近では、伸ばされた金属組織が観察された。(4)肉厚減少が著しいほど硬さが高い値を示していた。(5)試料分析の結果から、管内面には断熱材に使用していた珪酸カルシウムが部分的に付着していたほか、Zn,Pt等が認められた。これらの結果から、配管破断の主な原因は、配管に何等かの原因により過大な負荷が加わったためと考えられる。今後、過大負荷を生じた原因の究明が必要である。
熊丸 博滋; 浅香 英明; M.Wang*; 久木田 豊
Validation of Systems Transients Analysis Codes (FED-Vol. 223), 0, p.129 - 136, 1995/00
PWRの1/48モデルであるROSA-V/LSTFを用いて、全HPI故障の小破断LOCA及び意図的1次系減圧に関する総合実験を行っている。コールドレグ流路面積の0.5~10%を破断面積とした全HPI故障のコールドレグ小破断実験5つ及び意図的減圧シーケンス2つを、著者らの改良を含むRELAP5/MOD3コードで解析した。実験データ及び解析結果より以下のことが明らかになった。(1)2.5%以下の破断では、1次系減圧が遅く継続した炉心温度上昇が発生し、ACCの作動が遅れる。(2)加圧器のPORV(1%破断面積に相当)による1次系の減圧は、2.5%以下の破断面積では有効であるが、2.5%以上の破断では不要である。しかし、2.5%以下の破断では、意図的減圧を行っても、ACC作動開始後しかしLPIの連続注入開始前に過渡の炉心温度上昇が発生する可能性がある。
熊丸 博滋; 久木田 豊
Journal of Nuclear Science and Technology, 29(12), p.1162 - 1172, 1992/12
ROSA-IV計算のLSTF装置はPWRの体積比1/48のモデルである。LSTFにおいて、高圧注入系(HPI)の全ての故障を仮定したコールドレグ小破断冷却材喪失事故(LOCA)実験を破断面積がコールドレグ流路面積の0.5~10%の範囲で実施するとともに、小破断LOCA実験に続く意図的な1次系減圧操作実験を実施した。また、主要事象の発生時刻を予測する簡単なモデルも本論文で提案している。実験結果及び計算結果より、加圧器逃し弁(PORV)を用いた意図的な1次系減圧操作は、約0.5%以下の破断面積に対しては有効であり、5%以上の破断面積に対しては不要であるが、それらの中間では、十分な炉心冷却を維持するためには不十分であることが分かった。また、約2.5%以下の破断の場合、蓄圧注入系(ACC)が作動しても、低圧注入系(LPI)作動以前に再び炉心が露出する可能性があることが分った。
熊丸 博滋; 久木田 豊
Proc. of the 1st JSME/ASME Joint Int. Conf. on Nuclear Engineering, p.203 - 208, 1991/00
ROSA-IV大型非定常試験装置(LSTF)は加圧水型原子炉(PWR)の体積比1/48モデルである。LSTFにおいて、高圧注入系(HPI)の故障を仮定したコールドレグ小破断冷却材喪失事故(LOCA)実験を破断面積0.5%~10%の範囲で実施するとともに、小破断LOCA実験に続く意図的一次系減圧実験を実施した。また、主要事象の発生時刻を予測する簡単なモデルも本論文では提案している。実験結果及び計算結果より、加圧器逃し弁(PORV)を用いた1次系の意図的減圧操作は、約0.5%以下の破断面積に対しては有効であり、5%以上の破断面積に対しは不要であるが、それらの中間では、十分な炉心冷却を維持するためには不十分であることが分かった。