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報告書

燃料デブリ分析のための超微量分析技術の開発(委託研究); 令和5年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業

廃炉環境国際共同研究センター; 東北大学*

JAEA-Review 2024-064, 118 Pages, 2025/06

JAEA-Review-2024-064.pdf:6.73MB

日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和5年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(1F)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和元年度に採択された研究課題のうち、「燃料デブリ分析のための超微量分析技術の開発」の令和元年度から令和5年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、燃料デブリの取り扱い、臨界管理、保管管理等に必要な性状把握において、キーとなるアクチノイド核種の化学分析を中心に、最適な試料前処理・分離・分析プロセスを開発し、将来計画されている燃料デブリ分析の効率化・合理化を図るとともに、一連の研究業務における人材育成を通し、1F廃炉推進に資することを目的とする。特に、近年分析化学分野、放射化学分野で成果を上げつつある誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS/MS)を原子力分野に応用することにより、測定核種を単離するための前処理をせずに高精度で分析できる手法を開発し、分離前処理を省力化し、迅速な分析工程を確立するとともに大学、企業を含めた体制が構築された。

論文

Development of HCl-free solid-phase extraction combined with ICP-MS/MS for rapid assessment of difficult-to-measure radionuclides, 3; Measurement of $$^{79}$$Se concentration in concrete rubble

Banjarnahor, I. M.; Do, V. K.; 古瀬 貴広; 太田 祐貴; 田中 康介

Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 10 Pages, 2025/00

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Analytical)

$$^{79}$$Se has been conventionally measured via radiometry. However, measuring $$^{79}$$Se this way is difficult due to its low specific radioactivity. Moreover, the measurement is time-consuming and susceptible to the radioactive interferences from highly radioactive nuclides ($$^{90}$$Sr, $$^{137}$$Cs, etc.) coexisting in the samples. ICP-MS/MS is widely known as a powerful technique to quantify difficult-to-measure radionuclides, which can effectively eliminate the interferences using a collision/reaction cell. In this research, a novel HCl-free chemical separation method was developed for separating Se from concrete matrices, followed by the selective measurement of Se concentration via ICP-MS/MS. $$^{79}$$Se was purified by stepwise chemical separation using anion exchange resin and activated alumina. The separation condition was optimized and evaluated. The chemical recovery of $$>$$ 85% was achieved. $$^{79}$$Se concentration was determined via ICP-MS/MS at m/z = 79 using ammonia gas as the reaction gas, and possible interferences such as those from the $$^{79}$$Br isobar and argon gas were effectively mitigated. A method limit of detection of 0.1 Bq g$$^{-1}$$ was achieved for the concrete rubble samples, making it a reliable tool for determining $$^{79}$$Se concentrations in concrete rubble collected from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station.

報告書

燃料デブリ分析のための超微量分析技術の開発(委託研究); 令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業

廃炉環境国際共同研究センター; 東北大学*

JAEA-Review 2023-025, 117 Pages, 2024/03

JAEA-Review-2023-025.pdf:7.29MB

日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(1F)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和元年度に採択された研究課題のうち、「燃料デブリ分析のための超微量分析技術の開発」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、燃料デブリの取り扱い、臨界管理、保管管理等に必要な性状把握において、キーとなるアクチノイド核種の化学分析を中心に、最適な試料前処理・分離・分析プロセスを開発し、将来計画されている燃料デブリ分析の効率化・合理化を図るとともに、一連の研究業務における人材育成を通し、1F廃炉推進に資することを目的とする。特に、近年分析化学分野、放射化学分野で成果を上げつつある誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS/MS)を原子力分野に応用することにより、測定核種を単離するための前処理をせずに高精度で分析できる手法を開発し、分離前処理を省力化し、迅速な分析工程を確立する。

論文

Reaction of Np, Am, and Cm ions with CO$$_{2}$$ and O$$_{2}$$ in a reaction cell in triple quadrupole inductively coupled plasma mass spectrometry

風間 裕行; 小無 健司*; 鈴木 達也*; 小山 真一; 前田 宏治; 関尾 佳弘; 大西 貴士; 阿部 千景*; 鹿籠 康行*; 永井 康介*

Journal of Analytical Atomic Spectrometry, 38(8), p.1676 - 1681, 2023/07

 被引用回数:5 パーセンタイル:62.68(Chemistry, Analytical)

Ultratrace analysis is crucial for understanding fuel debris in a nuclear reactor core after severe accidents. Triple quadrupole inductively coupled plasma mass spectrometry measured the ion-molecule reactions of actinides ($$^{237}$$Np, $$^{241}$$Am, and $$^{244}$$Cm) in a reaction cell. These nuclides were included in the fuel debris. A gas-phase ion-molecule reaction model has been developed to simulate the gas-phase reactions in the reaction cell. The model simulation results correlate well with the flow rate dependence of experimental data accurately. Reaction constants derived from the model were compared with those reported values by Fourier transform ion-cyclotron resonance mass spectrometry to evaluate the performance of the model. The similarity between the two reaction constants was found.

報告書

燃料デブリ分析のための超微量分析技術の開発(委託研究); 令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業

廃炉環境国際共同研究センター; 東北大学*

JAEA-Review 2022-034, 135 Pages, 2023/01

JAEA-Review-2022-034.pdf:8.5MB

日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下、「1F」という)の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和元年度に採択された「燃料デブリ分析のための超微量分析技術の開発」の令和3年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、燃料デブリの取り扱い、臨界管理、保管管理等に必要な性状把握において、キーとなるアクチノイド核種の化学分析を中心に、最適な試料前処理・分離・分析プロセスを開発し、将来計画されている燃料デブリ分析の効率化・合理化を図るとともに、一連の研究業務における人材育成を通し、1F廃炉推進に資することを目的とする。特に、近年分析化学分野、放射化学分野で成果を上げつつある誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS/MS)を原子力分野に応用することにより、測定核種を単離するための前処理をせずに高精度で分析できる手法を開発し、分離前処理を省力化し、迅速な分析工程を確立する。

論文

Development of HCl-free solid phase extraction combined with ICP-MS/MS for rapid assessment of difficult-to-measure radionuclides, 2; Highly sensitive monitoring of $$^{126}$$Sn in concrete rubble

Do, V. K.; 古瀬 貴広; 太田 祐貴; 岩橋 弘之; 廣沢 孝志; 渡辺 将久; 佐藤 宗一

Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 331(12), p.5631 - 5640, 2022/12

 被引用回数:5 パーセンタイル:56.10(Chemistry, Analytical)

$$^{126}$$Snは2011年の福島第一原子力発電所事故により環境中に放出された可能性のある長半減期核分裂生成物であり、こうした核種のモニタリングは周辺環境及び放射性廃棄物を適切に管理・処理していくために重要である。本研究では、TEVA resinによるHClフリーな固相抽出分離とICPタンデム質量分析計(ICP-MS/MS)を組み合わせた放射性ガレキ中の$$^{126}$$Sn分析手法を提案した。TEVA resinによるコンクリートマトリクスからのSnの回収率は95%以上であった。同重体である$$^{126}$$Te及び試料マトリクスに由来する多原子イオンによるスペクトル干渉は、固相抽出による化学分離とICP-MS/MSとの組み合わせにより効果的に低減することができ、Teの除染係数は10$$^{5}$$に達した。本手法でのコンクリートマトリクスにおける$$^{126}$$Snの方法定量下限値は、12.1pg g$$^{-1}$$(6.1mBq g$$^{-1}$$)となり、コンクリートガレキ中の$$^{126}$$Snを分析する手法として十分な感度を有することを確認した。

報告書

燃料デブリ分析のための超微量分析技術の開発(委託研究); 令和2年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業

廃炉環境国際共同研究センター; 東北大学*

JAEA-Review 2021-056, 98 Pages, 2022/02

JAEA-Review-2021-056.pdf:9.08MB

日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和2年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下、「1F」という)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和元年度に採択された「燃料デブリ分析のための超微量分析技術の開発」の令和2年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、燃料デブリの取り扱い、臨界管理、保管管理等に必要な性状把握において、キーとなるアクチノイド核種の化学分析を中心に、最適な試料前処理・分離・分析プロセスを開発し、将来計画されている燃料デブリ分析の効率化・合理化を図るとともに、一連の研究業務における人材育成を通し、1F廃炉推進に資することを目的とする。特に、近年分析化学分野、放射化学分野で成果を上げつつある極微量分析(ICP-MS/MS)を原子力分野に応用することにより測定核種を単離するための前処理をせずに高精度で分析できる手法を開発し、分離前処理を省力化し、迅速な分析工程を確立する。

報告書

燃料デブリ分析のための超微量分析技術の開発(委託研究); 令和元年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業

廃炉環境国際共同研究センター; 東北大学*

JAEA-Review 2020-064, 95 Pages, 2021/02

JAEA-Review-2020-064.pdf:9.48MB

日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和元年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち「燃料デブリ分析のための超微量分析技術の開発」の令和元年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、燃料デブリの取り扱い、臨界管理、保管管理等に必要な性状把握において、キーとなるアクチノイド核種の化学分析を中心に、最適な試料前処理・分離・分析プロセスを開発し、将来計画されている燃料デブリ分析の効率化・合理化を図るとともに、一連の研究業務における人材育成を通し、1F廃炉推進に資することを目的とする。特に、近年分析化学分野,放射化学分野で成果を上げつつある極微量分析(ICP-MS/MS)を原子力分野に応用することにより測定核種を単離するための前処理をせずに高精度で分析できる手法を開発し、分離前処理の省力化し、迅速な分析工程を確立する。

口頭

ICP-MS/MSによるアクチノイド核種分析に向けた気相反応挙動の予測

風間 裕行; 関尾 佳弘; 前田 宏治; 小山 真一; 鈴木 達也*; 小無 健司*; 阿部 千景*; 永井 康介*

no journal, , 

燃料デブリ中のアクチノイドを高精度かつ迅速に分析するために、ICP-MS/MSの利用を検討している。本研究では、アクチノイド同重体の干渉除去に向けた基礎的知見を得るために、セル内で生じる反応ガスとの気相反応に着目し、Th, U, Np, Pu, Am, Cmを使用したICP-MS/MS測定を実施した。各生成イオンの検出傾向から、アクチノイド系列のセル内での気相反応挙動を予測可能とする相関関係を見出した。

口頭

ICP-MS/MSを用いたコンクリート試料中の$$^{79}$$Seの分析手法の検討

Banjarnahor, I. M.; Do, V. K.; 元木 良明*; 太田 祐貴; 岩橋 弘之; 黒澤 きよ子*; 古瀬 貴広

no journal, , 

$$^{79}$$Seは純粋なベータ放射性核種であり、福島第一原子力発電所発の事故により環境中に放出された可能性のある長寿命核分裂生成物の一つである。福島第一原子力発電所の廃炉を促進するためには、簡易かつ信頼性の高い放射性核種の分析手法が必要となる。そこで本研究では、化学分離と誘導結合プラズマトリプル四重極型質量分析法(ICP-MS/MS)を組み合わせた簡易な$$^{79}$$Seの分析手法を開発し、定量の際に妨害となる同重体等試料マトリックスを効果的に除去できることを見出した。また、実際の廃棄物への適用性を確認するため代表的な廃棄物性状であるコンクリートマトリックスでの試験についても併せて実施した。本報告ではこれらの試験によって得られた$$^{79}$$Seの定量下限値等・当該分析手法の性能について報告する。

口頭

ICP-MSを用いた$$^{236}$$U測定方法の検討

田中 康之; Do, V. K.; 元木 良明*; 太田 祐貴; 岩橋 弘之; 黒澤 きよ子*; 古瀬 貴広

no journal, , 

ICP-MS/MSとしてAgilent8900トリプル四重極ICP-MSを用いた$$^{236}$$Uの測定方法について検討した。本装置は、測定可能な最大質量電荷比が275であることから、リアクションガスに酸素を用いたマスシフト法を適用することで、$$^{236}$$U$$^{16}$$O$$^{16}$$Oの測定が可能になる。これにより従来の手法と比較して$$^{235}$$Uのスペクトル干渉の低減による$$^{236}$$Uの高感度測定が可能になると考えられる。そこで、本研究ではICP-MS/MSによる質量電荷比268での$$^{236}$$Uの最適な測定条件を検討した内容を報告する。

口頭

放射性ガレキを対象とした$$^{129}$$Iと$$^{36}$$Clの分析手法の検討

太田 祐貴; 黒澤 きよ子*; 元木 良明*; Do, V. K.; 古瀬 貴広

no journal, , 

福島第一原子力発電所由来の放射性ガレキに対する、逐次的な$$^{129}$$Iと$$^{36}$$Clの化学分離とICP-MS/MS($$^{129}$$I)及びLSC($$^{36}$$Cl)を組み合わせた簡易な分析手法を検討した結果について報告する。ハロゲン核種である$$^{129}$$Iと$$^{36}$$Clについて、$$^{36}$$Clに比べてスペクトル干渉の影響が少なく、イオン化効率の高い$$^{129}$$Iは、ICP-MS/MSにおける干渉低減技術の発展により簡易な前処理での高感度分析が可能となった。一方$$^{36}$$Clは従来の$$beta$$線計測が一般的であり煩雑な前処理が必要である。そこで本研究では、化学的性質の類似する両核種の試料マトリクスからの粗分離を共通化し、その後の分離・精製を各測定手段に適した形で逐次的に行うことで、全体としての前処理の合理化を検討した。

口頭

Interference-free determination for long-lived radionuclides based on solid-phase extraction combined with ICP-MS/MS

Do, V. K.; 太田 祐貴; Banjarnahor, I. M.; 相田 玲奈; 村上 絵理奈; 本間 駿太; 岩橋 弘之; 古瀬 貴広

no journal, , 

福島第一原子力発電所(1F)由来の放射性廃棄物分析を行う大熊分析研究センターでは、2022年10月より中・低線量の廃棄物試料を取り扱う第1棟のホット運用が開始され、1F廃棄物の受入れ、分析が開始された。測定対象核種の中で長半減期核種の測定については、従来の放射能測定法では複雑な前処理操作と長時間の測定が必要となる一方、ICP-MS法は感度及び測定時間の面でアドバンテージがある。特にハイエンドモデルであるICP-MS/MSは装置自体が高い分離性能を有しており効果的にスペクトル干渉を低減できることから、前処理における化学分離プロセスの簡略化が可能となり、更なる簡易・迅速化が見込める。本発表では、$$^{93}$$Zr, $$^{93}$$Mo, $$^{107}$$Pd, $$^{126}$$Sn, $$^{79}$$Seなどの長半減期核種について、1F廃棄物試料への適用を目的としたICP-MS/MSによる分析法の研究開発に関する最近の成果を報告する。

口頭

測定が難しい放射性核種を迅速かつ簡単に測る

松枝 誠

no journal, , 

福島県の環境回復に係る成果として、環境試料中の放射性同位体の分析技術について報告する。

口頭

ICP-MS/MSによるアクチノイド同位体分析と同重体干渉除去の可能性

風間 裕行

no journal, , 

アクチノイドの同位体分析は、環境分析、放射性廃棄物管理、核鑑識、分離プロセス開発、原子力施設における臨界管理及び廃止措置等において重要である。従来のアクチノイド同位体分析では、試料溶解及び核種分離の後に放射線計測や質量分析装置による測定が行われてきた。一方、質量分析では$$^{238}$$Pu/$$^{238}$$U、$$^{243}$$Am/$$^{243}$$Cm等に起因した同重体干渉等が課題として残されており、より簡易かつ迅速な分析法の確立が望まれている。これらの課題の克服に向け、トリプル四重極誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS/MS)の応用は有望である。ICP-MS/MSは、試料中に含まれる元素をプラズマによりイオン化するイオン化部に加え、直列に配置された2つの四重極マスフィルタの間に反応セルが配置された構造を持つ。反応セルに適切に反応ガスを導入し、分析対象イオンと反応ガス分子との気相反応により分析対象の質量を選択的に変化させることで同重体干渉の抑制が可能であり、化学分離前処理を省略した迅速な分析が期待される。ICP-MS/MSによるアクチノイド同位体分析を達成するためには、反応セル内で生じるアクチノイドイオンと反応ガス分子との反応性を理解することが不可欠である。本発表では、ICP-MS/MSに種々の反応ガスを導入した際に生じるアクチノイドイオンの気相反応に着目し、その傾向を理解するために新規に開発した速度論的解析法や、同重体干渉除去の可能性について紹介する。

口頭

トリプル四重極誘導結合プラズマ質量分析装置によるNd核種迅速分析手法の開発

風間 裕行; 豊田 千尋; 大西 貴士; 前田 宏治

no journal, , 

原子力施設における臨界管理や保障措置において、核燃料の燃焼率測定は重要である。既往の燃焼率測定法では、核分裂収率の精度が高く、生成量が燃料の核分裂数に比例する燃焼度指標核種として、Nd-148の質量分析が行われる。本研究では、核分裂生成物として随伴するSm-148の同重体干渉を除去し、Ndの分離前処理工程を省略することによる簡便な燃焼率測定法の確立を目指し、トリプル四重極誘導結合プラズマ質量分析装置を用いたNd核種の分析手法を検討した。

口頭

環境中の極微量の放射性ヨウ素を検出する

松枝 誠

no journal, , 

福島県の環境回復に係る成果として、環境中の極微量放射性ヨウ素の分析技術について報告する。

口頭

Ion chromatographic sample introduction into ICP-MS/MS and application to radioactive nuclides analysis

高貝 慶隆*; 柳澤 華代; 松枝 誠; 古川 真*

no journal, , 

無機質量分析による情報は、環境モニタリング、被ばく評価、核廃棄物管理、トレーサー研究などに有用である。ICP-MS(/MS)は高感度であり、さまざまな試料導入法と組み合わせて利用されているが、原子力分野への応用はまだ発展途上である。我々は、Na$$^{+}$$やK$$^{+}$$といったマトリックスイオンを溶離液から除去できるIC-ICP-MS/MSシステムを開発し、測定が難しい放射性核種の自動定量を可能にした。

口頭

純ベータ放射性核種の全自動フローICP-MS分析

高貝 慶隆*; 松枝 誠; 柳澤 華代; 古川 真*

no journal, , 

ベータ線のみを放出する純ベータ線放出核種は難分析放射性核種として知られ、従来法では妨害核種の分離に労力を要してきた。ICP-MSによる迅速分析が望まれるが、同重体や多原子干渉が課題であり、これまで我々はFIAと固相抽出、ダイナミックリアクション、四重極分離を併用し、Sr-90、Tc-99、Nb-94の分析を達成した。本講演ではそのコンセプトや干渉除去システム、応用例を紹介する。

口頭

抽出クロマトグラフィーとICP-MS/MSによる尿中$$^{90}$$Sr迅速分析法

富田 純平; 竹内 絵里奈

no journal, , 

本研究では、簡便な共沈及び抽出クロマトグラフィーによるSrの迅速分離とトリプル四重極ICP-MS(ICP-MS/MS)による$$^{90}$$Sr濃度測定を組み合わせた尿中$$^{90}$$Srの迅速分析法について検討した。$$^{90}$$Srは、MS/MSモードで測定し、リアクションガスとしてO$$_{2}$$(流量100%)を使用した。Srを50mg/L含む溶液を測定したところ、m/z=90への$$^{88}$$Srテーリングの影響は確認されなかった。また、この測定条件では、同重体である$$^{90}$$Zrに加え、Ge及びSeによる干渉が確認されため、合成尿(1.6L)にGe, Se, Sr及びZrをそれぞれ1mg添加し、リン酸塩共沈により回収後、抽出クロマトグラフィー用レジン(プレフィルタ、TRU及びSrレジンをこの順番に連結したもの)によりSrを分離した。その結果、m/z=90のシグナル強度はバックグラウンドレベルまで低減できた。この時のSrの回収率は平均77%であった。また、合成尿(1.2-1.6L)に既知量の$$^{90}$$Sr添加し、同様に分析したところ、測定値は添加量と誤差範囲(2$$sigma$$)内で一致し、手法の妥当性が確認された。本実験で得られた検出限界値は約1.0Bq/尿試料であり、尿試料からのSr分離及びICP-MSによる$$^{90}$$Sr測定に要した時間は10時間程度であった。

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