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有吉 玄; 大林 寛生; 佐々 敏信
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(9), p.1071 - 1088, 2022/09
被引用回数:1 パーセンタイル:68.2(Nuclear Science & Technology)液体重金属中の局所流速計測において、電磁誘導を用いた計測手法は効果的手法の一つである。永久磁石を利用した流速計として、Ricou and Vives' probeやVon Weissenfluh's probeが広く知られているが、これらの流速計は液温上昇に伴う永久磁石の熱減磁により、流速感度および計測体積が低下することが問題点として挙げられる。特に、永久磁石のキュリー温度を超える温度域では流速検出不能となる。そこで本研究では、流速計が持つ温度依存性の解消を目的とし、小型電磁石を内蔵する流速計を開発した。開発された流速計の直径は6mm、長さは155mmである。流速計の基本性能は、室温環境下における矩形管内水銀流れの局所流速分布計測を通して確認され、流速感度および計測体積が評価された。計測された局所流速分布は数値計算によりその妥当性が確認された。
佐々 敏信
プラズマ・核融合学会誌, 98(5), p.211 - 215, 2022/05
鉛ビスマス共晶合金(LBE)が、その核的・化学的特性から、次世代原子炉の冷却材や加速器駆動システム(ADS)の核破砕ターゲットとして有望視されている。LBEは重金属であり、核破砕ターゲットとしても長寿命放射性核種の核変換システムの冷却材としても良好な特性を有している。一方、その利用の大きな課題の一つである構造材との共存性を向上するための様々な技術開発とともに、ADSによる核変換技術の早期実用化を目指して進めている、LBEの高温運転、耐腐食性確保のための酸素濃度制御など最新の研究成果を紹介する。
大林 寛生; 八巻 賢一*; 吉元 秀光*; 北 智士*; Wan, T.*; 佐々 敏信
JAEA-Technology 2021-035, 66 Pages, 2022/03
大強度陽子加速器施設(Japan Proton Accelerator Research Complex; J-PARC)では、加速器駆動システム(Accelerator-Driven system; ADS)による核変換技術の実現に資する研究開発を行うため、核変換実験施設(Transmutation Experimental Facility; TEF)の建設を計画している。2つの施設で構成されるTEFの内、ADSターゲット試験施設(TEF-T)では、溶融鉛ビスマス合金(Lead-Bismuth Eutectic alloy; LBE)を核破砕ターゲットおよび冷却材として用いるターゲットシステムを導入して陽子ビームを照射することにより、照射環境下でのLBEとADS構造材料候補材との共存性等のADS特有の課題に関する研究開発を行う。冷却材としての側面から見たLBEは、他の液体金属冷却材と同様に伝熱特性に優れ、ナトリウムに比べ化学的活性が低く水や空気と接触した際に火災などの事故に繋がる危険性がない。一方、一般に広く用いられるステンレス鋼等の構造材料に対し腐食性を示す他に、TEF-Tターゲットでは最大500Cに達する温度域で使用される等の理由から適応する計装や機器が限られる。このため、LBE用の機器について個別に研究開発や設計を進めてきた。LBEターゲットシステムの実現においては、これらの機器を統合して単体の大型装置として運用した際の機能や性能評価が重要である。本報告書では、LBEターゲットの一次冷却系および二次冷却系の実証試験の他、LBE用機器や計装の性能評価、遠隔によるメンテナンスを考慮した際の機器配置に関する課題抽出、さらに将来的にTEF-T施設で行う照射後試験に向けた非照射サンプルの供給を目的とした実規模試験ループである核破砕標的循環試験装置(Integrated Multi-functional MOckup for TEF-T Real-scale TArget Loop; IMMORTAL)の概要について報告する。
中野 敬太; 岩元 大樹; 西原 健司; 明午 伸一郎; 菅原 隆徳; 岩元 洋介; 竹下 隼人*; 前川 藤夫
JAEA-Research 2021-018, 41 Pages, 2022/03
加速器駆動核変換システム(ADS: Accelerator-Driven System)の構成要素の一つであるビーム窓の核特性を粒子・重イオン輸送計算コードPHITS及び誘導放射能解析コードDCHAIN-PHITSを用いて評価した。本研究では日本原子力研究開発機構が提案するADSの運転時にビーム窓内部に生成される水素やヘリウム等の量、高エネルギー粒子により引き起こされるビーム窓材の原子弾き出し数、ビーム窓内部の発熱量及び分布を導出した。また、中性子源標的及び冷却材として用いられる鉛ビスマス共晶合金(LBE)中の生成核種、発熱密度及び放射能分布を求めた。ビーム窓解析の結果、300日間のADSの運転によりビーム窓中に最大で約12500appmのH及び1800appmのHeの生成と62.1DPAの損傷が発生することが判明した。一方で、ビーム窓内の最大発熱量は374W/cmであった。LBEの解析では、
Biや
Poが崩壊熱及び放射能の支配的な核種であることが判明した。さらに、陽子ビームによるLBE中の発熱はビーム窓下流5cm付近が最大であり、945W/cm
であることがわかった。
菅原 隆徳; 渡辺 奈央; 小野 綾子; 西原 健司; 市原 京子*; 半澤 光平*
Proceedings of 19th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-19) (Internet), 10 Pages, 2022/03
JAEAでは、LBE冷却型加速器駆動システム(ADS)の研究開発を行っている。ADSは既存の臨界炉に比べて安全性が高いと考えられているが、除熱源喪失事象が生じた場合、炉心の破損の可能性が考えられる。これを回避するためDRACS(直接炉心補助冷却システム)を備えているが、その機器信頼性と流量確保が重要となる。本研究では、CFD解析によりADS炉容器内の自然循環時の流れを解析し、DRACS熱交換器位置において十分な流量が確保されるかを検討した。解析の結果、定格運転時の約4.3%の流量が確保され、崩壊熱が適切に除去されることを確認した。また、炉容器内のLBE流れを整えるために設けられている内筒の有無が、自然循環時にどのような影響を与えるかについても検討を行った。
前川 藤夫
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011042_1 - 011042_6, 2021/03
加速器駆動核変換システム(ADS)開発にあたり、ビーム窓(BW)材料の開発は主要課題の1つである。BWは高エネルギー陽子及び核破砕中性子に、また約500Cの腐食性のある高温鉛ビスマス共晶(LBE)合金に曝される。また最近では、加速器施設の高出力化にあたり、高出力加速器のみならず高出力標的が放射線損傷や熱除去の点で律速となっている。ADSを含む高出力加速器施設のBW及び標的材料の放射線損傷研究に資するため、J-PARCのLinacにより供給される400MeV 250kWの陽子ビームを利用した材料照射施設の検討を行っている。標的にはADSの標的兼冷却材である流動LBE合金を用いる。標的中で鋼材を1年間照射下場合の放射線損傷は最大で10dpaとなり、これはADSのBWの年間放射線損傷量に相当する。現時点での施設概念では、本施設で効率的に照射後試験を行うためのホットラボを付設する。発表では、本施設の概要について述べる。
菅原 隆徳; 小松 篤史
JAEA-Research 2020-016, 44 Pages, 2021/01
液体鉛ビスマス共晶合金(LBE)を用いた原子炉システムでは、酸素濃度を制御することにより、LBEによる鋼材腐食を防ぐ必要がある。本研究では、LBE冷却型加速器駆動核変換システム(ADS)について、そのプラントで用いられる酸素消費量の評価を行った。評価は、実験に基づく酸化被膜厚さの評価式を用い、その厚さから酸素消費量を評価した。その結果、燃料集合体の発熱部については、2サイクルの炉内滞在で、最大で約35[m]の酸化被膜が作られ、ビーム窓については、1サイクルの運転で約20[
m]の酸化被膜が作られることがわかった。これらの結果から求めたサイクルあたりの酸素消費量は、燃料集合体全体とビーム窓それぞれで、25[kg]と0.3[kg]となり、プラント全体としては約30[kg]となった。最終的な結果として、JAEA-ADSでは、定格運転時3-4[g/h]、ピーク時約150[g/h]の酸素を供給でき、1サイクル(=1年間)約30[kg]、40年間で約1200[kg]を供給できる酸素供給装置が必要となる。
宮原 信哉*; 大平 直也*; 有田 裕二*; 前川 藤夫; 松田 洋樹; 佐々 敏信; 明午 伸一郎
Nuclear Engineering and Design, 352, p.110192_1 - 110192_8, 2019/10
被引用回数:4 パーセンタイル:38.96(Nuclear Science & Technology)鉛ビスマス共晶(LBE)合金は加速器駆動システム(ADS)の核破砕中性子ターゲットや冷却材として用いられ、核破砕生成物として多くの元素が生成するため、その放出および輸送挙動を評価することが重要である。そこで、J-PARCのADSターゲット試験施設(TEF-T)のLBEループについて、LBE中に生成する核破砕生成物のインベントリおよび物理化学的組成について検討した。LBE内の核破砕生成物インベントリは、PHITSコードを使用して評価した。LBE中の核破砕生成物の物理化学的組成は、350C
500
CのLBE運転温度及びLBE中の酸素濃度10ppb
1ppmの条件下、Thermo-Calcコードを用いて計算した。計算の結果、Rb, Tl, Tc, Os, Ir, Pt, Au, Hgの8元素がすべての条件下でLBEに可溶であり、化合物は形成されなかった。Ce, Sr, Zr及びYの酸化物はLBE中でCeO
, SrO, ZrO
およびY
O
として安定であることが示唆された。
Wan, T.; 直江 崇; 粉川 広行; 二川 正敏; 大林 寛生; 佐々 敏信
Materials, 12(4), p.681_1 - 681_15, 2019/02
被引用回数:1 パーセンタイル:7.95(Chemistry, Physical)To perform basic R&D for future Accelerator-driven Systems (ADSs), Japan Proton Accelerator Research Complex (J-PARC) will construct an ADS target test facility. A Lead-Bismuth Eutectic (LBE) spallation target will be installed in the target test facility and bombarded by pulsed proton beams (250 kW, 400 MeV, 25 Hz, and 0.5 ms pulse duration). To realize the LBE spallation target, cavitation damage due to pressure changes in the liquid metal should be determined preliminarily because such damage is considered very critical from the viewpoint of target safety and lifetime. In this study, cavitation damage due to pressure waves caused by pulsed proton beam injection and turbulent liquid metal flow, were studied numerically from the viewpoint of single cavitation bubble dynamics. Specifically, the threshold of cavitation and effects of flow speed fluctuation on cavitation bubble dynamics in an orifice structure, were investigated in the present work. The results show that the LBE spallation target will not undergo cavitation damage under normal nominal operation conditions, mainly because of the long pulse duration of the pulsed proton beam and the low liquid metal flow velocity. Nevertheless, the possibility of occurrence of cavitation damage, in the orifice structure under certain extreme transient LBE flow conditions cannot be neglected.
Wan, T.; 大林 寛生; 佐々 敏信
Nuclear Technology, 205(1-2), p.188 - 199, 2019/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)To perform basic research and development to realize future accelerator-driven systems, a lead-bismuth eutectic (LBE) alloy spallation target will be installed within the framework of the Japan Proton Accelerator Research Complex (J-PARC) project, Japan Atomic Energy Agency. The target will be bombarded by high-power pulsed proton beams (250 kW, 400 MeV, 25 Hz, and 0.5 ms in pulse duration). The Beam Window (BW) of the spallation target is critical because it should survive under severe conditions that occur, i.e., high temperature, high irradiation, intense stress, and various kinds of damage. Therefore, the target vessel should be carefully designed to obtain an adequate safety margin. Our previous research indicates that there is a stagnant flow region in the LBE at the BW tip due to the symmetric configuration of the target, which causes high temperature and concentration of stress on the BW. On the basis of our previous work, three types of upgraded target head designs are studied in the current research to reduce/move the stagnant flow region from the BW tip and to increase the target safety margin. Thermal-hydraulic analyses and structural analyses for the target head designs are carried out numerically under a steady-state condition. Results illustrate that the designs can almost eliminate the stagnant flow region in the LBE. As a consequence, the concentration of thermal stress on the BW is released and greatly decreased. The safety margin of the target is improved through this study.
菅原 隆徳; 北 智士*; 吉元 秀光*; 大久保 成彰
JAEA-Technology 2018-008, 26 Pages, 2018/09
液体鉛ビスマス共晶合金(LBE)を用いた加速器駆動核変換システム(ADS)やJ-PARC核変換実験施設(TEF)のADSターゲット試験施設(TEF-T)等のLBE試験ループにおけるLBE中酸素濃度測定に資するため、2つの基礎的な試験およびガンマー線照射の影響評価を行った。基礎的な試験では、触媒塗布範囲の影響評価およびフリーズシール構造の検討を行った。触媒塗布範囲については、塗布範囲が小さいほど、LBE温度が低い時の測定精度が悪いことが確認された。フリーズシール構造については、0.5MPaの圧力がかかった場合でも、LBE漏洩が防止できる設計を実現した。ガンマー線照射の影響評価については、ex-situの試験を実施し、1kGy/hで4000時間の照射(4MGy)を行っても、ガンマー線照射の影響はほとんどないことを確認した。
岩元 大樹; 前川 藤夫; 松田 洋樹; 明午 伸一郎
JAEA-Technology 2017-029, 39 Pages, 2018/01
J-PARC核変換実験施設のADSターゲット試験施設において、250kW出力ビーム運転時に ターゲットとして使用される鉛ビスマスが鉛ビスマス循環系から漏洩し、放射性物質が排気筒か ら外部へ放出された場合の事業所境界における公衆が受ける被ばく線量について、様々な保守的 仮定を想定しながら評価した。その結果、事業所境界における被ばく量は約660Svであり、その大部分は鉛ビスマスから核破砕生成物として発生する水銀, 希ガスおよびヨウ素による寄与であることがわかった。保守的な事象想定にもかかわらず、被ばく量の合計は一般公衆が受ける年間被ばく量よりも低い値であり、本施設が放射性物質の漏洩に対して十分な安全裕度を持つことが示された。
Adhi, P. M.*; 大久保 成彰; 小松 篤史; 近藤 正聡*; 高橋 実*
Energy Procedia, 131, p.420 - 427, 2017/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.03固体電解質のイオン伝導度が不十分であると、酸素センサの出力信号が低温側で理論値からずれると考えられるため、Ag/空気および液体Bi/Bi/BiO
をそれぞれ基準電極(RE)に用いた酸素センサについて、300
450
Cの低温LBEにおいて電気化学インピーダンス分析(EIS)を行い、電極-電解質界面における電荷移動反応インピーダンスを調べた。その結果、いずれのセンサーも良好に動作し、300
450
Cで使用できることがわかった。Bi/Bi/Bi
O
REは、Ag/空気REよりも低いインピーダンスを有する。したがって、低温領域では、Bi/Bi/Bi
O
REを用いた酸素センサーの応答時間は、Ag/空気REの酸素センサーよりも速いことがわかった。
佐々 敏信; 斎藤 滋; 大林 寛生; 菅原 隆徳; Wan, T.; 山口 和司*; 吉元 秀光
NEA/CSNI/R(2017)2 (Internet), p.111 - 116, 2017/06
日本原子力研究開発機構(JAEA)は、加速器駆動システム(ADS)を用いた高レベル放射性廃棄物に起因する環境負荷の低減を提案している。ADSを実現するため、J-PARC計画の一環として、核変換実験施設(TEF)の計画している。JAEAが提案するADSは鉛ビスマス共晶合金(LBE)を未臨界炉心の冷却材及び核破砕ターゲットとして採用している。J-PARCのTEFを活用し、ADSの設計に必要なデータを収集し、LBE利用の技術課題の解決を図る。250kWのLBE核破砕ターゲットをTEFに設置し、材料照射データベースを構築する。TEFを建設するために必須な様々な技術開発として、酸素濃度制御技術、計測機器開発、遠隔操作によるターゲット保守技術とともにターゲットの詳細設計を実施している。250kW核破砕ターゲット最適化の最新の状況を報告する。
J-PARCセンター 核変換ディビジョン
JAEA-Technology 2017-003, 539 Pages, 2017/03
原子力機構では、平成26年4月に公表された「エネルギー基本計画」等を踏まえ、高レベル放射性廃棄物の減容化及び有害度低減のための研究開発を推進している。このうち、加速器駆動システム(ADS)を用いた核変換に係る研究開発を促進するため、大強度陽子加速器施設(J-PARC)の二期計画として、核変換実験施設(TEF)の建設が計画されている。TEFは、大強度陽子ビームを鉛ビスマスターゲットに入射して核破砕ターゲットの技術開発および材料の研究開発を行うADSターゲット試験施設(TEF-T)と、陽子ビームをマイナーアクチノイド装荷未臨界炉心に導入して炉心の物理的特性探索とADSの運転制御経験を蓄積するための核変換物理実験施設(TEF-P)で構成される。本報告書は2つのTEF施設のうちTEF-Tについて、その建設を目指して行った施設の技術設計の内容についてまとめたものである。
秋本 肇; 菅原 隆徳
JAEA-Data/Code 2016-008, 87 Pages, 2016/09
鉛ビスマス冷却加速器駆動システム(ADS)の基本設計に資するため、定格運転時の熱流動解析を行った。概念設計で得られた機器の性能諸元と寸法を整理し、ADS設計解析コード用入力データを作成した。急峻な半径方向出力分布を有するADSの炉心部分を詳細にモデル化し、炉心内の3次元的な流体混合が炉心冷却に与える影響を評価した。定格運転時の熱流動解析の結果から、(1)定格運転時の最高被覆管表面温度と最高燃料中心温度は設計制限値を下回る。(2)燃料集合体間の冷却材流量配分に対する半径方向出力分布の影響は小さい。急峻な半径方向出力分布がある場合でも炉心加熱区間入口における冷却材流量分布はほぼ平坦である。(3)燃料棒表面における熱伝達率に対する半径方向出力分布の影響は小さい。出力の違いに伴う被覆管表面温度の差異は、主に燃料棒に隣接する冷却材温度の違いにより決定される。(4)蒸気発生器4基における熱水力学的挙動は対称である。また、主循環ポンプ2基における熱水力学的挙動も対称である。ことがわかった。詳細な計算で明らかとなって熱水力学的挙動を踏まえて入力データを簡素化した簡易モデルを作成した。
佐々 敏信
JAEA-Review 2015-042, 213 Pages, 2016/03
加速器駆動システム(ADS: Accelerator-driven System)及び核変換技術(NTT: Nuclear Transmutation Technology)に関するアジアネットワークトピカル会合第一回会議が、2015年10月26-27日に、日本原子力研究開発機構J-PARCセンターにおいて開催された。当会合は、隔年開催の通常会合の合間に開催するものであり、加速器、核破砕ターゲット、未臨界炉、燃料、材料といったADS及びNTTに関わる技術全般を取り扱う通常会合に対し、特定の技術課題を深く議論することを目的としている。今回の会合では、世界的に課題となっている鉛ビスマス溶融合金の取扱い技術を課題に選定し、アジア圏の専門家による議論を行った。欧州の専門家も同席した議論では、将来の鉛ビスマス利用研究の課題が浮き彫りになり、解決に向けてアジア圏で連携した研究開発を進めることの重要性が再認識された。本報告は、会合で議論された全てのプレゼンテーションを取りまとめたものである。
秋本 肇
JAEA-Data/Code 2014-031, 75 Pages, 2015/03
鉛ビスマス冷却加速器駆動核変換システム(ADS)の熱設計解析に資するため、軽水炉過渡解析コードJ-TRACをコードの骨組みとして、ADS用熱設計解析コードを整備した。軽水炉, ナトリウム冷却高速炉に対する安全解析及びこれまで行われたADSに対する熱流動解析を対象としてADS用熱設計解析コードに必要な解析機能を摘出した。J-TRACコードに不足する解析機能を追加するため、鉛ビスマス共晶合金(LBE), アルゴンガス, 窒化物燃料の物性値ルーチン並びに液体金属に対する強制対流領域における壁面熱伝達率相関式をJ-TRACコードに組み込んだ。LBE単相流の圧力損失解析、窒化物燃料集合体の熱伝達解析、及び蒸気発生器熱伝達解析を行い、追加した解析機能が所期の通りにJ-TRACコードに組み込めていることを確認した。
佐々 敏信; Yang, J. A.*; 大井川 宏之
Radiation Protection Dosimetry, 116(1-4), p.256 - 258, 2005/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Environmental Sciences)加速器駆動システム(ADS)の陽子ビームダクトは核破砕中性子や光子のストリーミング経路となり、これにより未臨界炉心上部に配置された電磁石などの機器の放射化を誘発する恐れがある。この放射化量を定量的に評価することを目的に、鉛ビスマス冷却ADS(800MWt)のストリーミング解析を実施した。MCNPXを使用してビームダクトからの漏洩中性子と光子の放射線量を求めた。二次光子の解析は、多くのマイナーアクチニド断面積を線生成断面積が定義されているプルトニウムに置き換えて実施した。ビームダクトからストリーミングした中性子により、ビームダクト上部の線量は、上部プラグの他の部分より20桁多い線量を与えることがわかった。MCNPXの解析で得られた漏洩粒子スペクトルを使用したDCHAIN-SPによる解析では、電磁石と遮蔽プラグが高い放射能を有することがわかった。
大井川 宏之; 佐々 敏信; 菊地 賢司; 西原 健司; 倉田 有司; 梅野 誠*; 辻本 和文; 斎藤 滋; 二川 正敏; 水本 元治; et al.
Proceedings of 4th International Workshop on the Utilisation and Reliability of High Power Proton Accelerators, p.507 - 517, 2005/11
J-PARC施設の一つとして、原研は核変換実験施設(TEF)の建設を計画している。TEFは、核変換物理実験施設(TEF-P)とADSターゲット試験施設(TEF-T)で構成される。TEF-Pは、600MeV, 10Wの陽子ビームを入射できる臨界実験施設である。TEF-Tは、600MeV, 200kWの陽子ビームを用いる材料照射施設で、鉛ビスマスターゲットを設置するが、核燃料を使った中性子増倍は行わない。本報告では、実験施設の目的,概念設計の現状,想定する実験項目を示す。