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Chankin, A. V.
Physics of Plasmas, 11(4), p.1484 - 1492, 2004/04
被引用回数:13 パーセンタイル:39.36(Physics, Fluids & Plasmas)実験的に観測されているMARFEの安定なポロイダル局在位置について考察した。MARFEはSOLに存在する新古典理論から予測される径電場による流によりその安定存在位置が決まる。つまり、磁場勾配によるイオンのドルフと方向がX点に向かうときにはMAEFEはX点近くに局在するが、磁場の方向を反転すると
流が変化し、X点と反対方向の安定点にシフトする。
清水 勝宏; 滝塚 知典
プラズマ・核融合学会誌, 80(3), p.183 - 189, 2004/03
小特集「周辺プラズマ研究の最近の進展」の中の第2章として、最近の研究を理解するのに必要な概念について解説する。まず、ダイバータの視点からトカマク実験の変遷を概説する。次に、スクレイプオフ層での粒子,熱輸送について説明し、上流とダイバータ板でのプラズマパラメータが簡単に評価できる「2点ダイバータモデル」について解説する。このモデルをITERに適用して、ダイバータ板への熱負荷を評価する。ダイバータ物理の重要な概念として、リサイクリング,遠隔放射冷却,非接触ダイバータプラズマ,MARFEについても説明する。
Chankin, A. V.; 伊丹 潔; 朝倉 伸幸
Plasma Physics and Controlled Fusion, 44(5A), p.A399 - A405, 2002/05
被引用回数:11 パーセンタイル:32.66(Physics, Fluids & Plasmas)H-モードの密度限界は、非接触ダイバータにより決まるとのモデルがある。そこで、H-モードの密度限界のメカニズムを探るためにJT-60の高密度H-モード放電について解析を行った。MARFE及び非接触ダイバータに至る高放射損失のNBI加熱プラズマでは、非接触ダイバータとH-L遷移を切り分けることが可能であり、H-L遷移の近傍では、強い非接触ダイバータ状態がみられるが、それ自身は密度上昇を制限しない。つまり、JT-60の密度限界は、H-L遷移により引き起こされるハードな限界という見方はできるが、非接触ダイバータにより決まるとは結論できない。
大山 直幸; 篠原 孝司
Review of Scientific Instruments, 73(3), p.1169 - 1176, 2002/03
被引用回数:20 パーセンタイル:67.90(Instruments & Instrumentation)JT-60Uにおける密度揺動計測のため、Oモード伝搬を用いた3チャンネルヘテロダイン型反射計の開発を行った。Oモード伝搬の電磁波が反射する条件は、入射周波数に応じた電子密度のみで決まるため、閉じ込め磁場に寄らずに計測することが可能である。典型的なJT-60Uプラズマの電子密度分布を考慮し、周辺部輸送障壁から内部輸送障壁まで幅広い領域で、密度揺動の大きさ,相関,反射層の変位を計測できるようにQバンド(33-50GHz)の電磁波を用いた3チャンネル構成とした。3つのうち1つのチャンネルは34GHz固定で、残りの2つは34-40GHz,48-50GHzからそれぞれ1つの周波数を選択できるようになっている。信号の検出にはクオドラチュア型位相検出器を採用し、反射波の振幅と位相を評価することが可能である。本装置をJT-60Uプラズマに適用した結果として、Hモードプラズマの周辺部輸送障壁,負磁気シアプラズマの内部輸送障壁,高密度プラズマの周辺部,における密度揺動計測の結果を報告した。
東島 智; 久保 博孝; 杉江 達夫; 仲野 友英; 木島 滋; 玉井 広史; 清水 勝宏; 逆井 章; 朝倉 伸幸; 櫻井 真治; et al.
Journal of Nuclear Materials, 290-293, p.623 - 627, 2001/03
被引用回数:6 パーセンタイル:43.62(Materials Science, Multidisciplinary)トカマク型核融合炉の実現には、ダイバータ板の損耗を防ぐために低温・高密度ダイバータの生成が急務である。しかし、高閉じ込めプラズマを得るためには、主プラズマ周りの中性粒子密度を低い状態に維持することが望ましく、ダイバータ部から主プラズマへの中性粒子逆流を抑制する必要がある。そこで、JT-60Uでは、平成9年5月に開ダイバータから排気付W型ダイバータ(内側排気)へと改造した。さらに平成10年12月には、高密度における排気効率改善を目的とし、外側ストライク点付近にも排気口を設けた両側排気へと改造した。本講演では、(1)内側排気ダイバータと両側排気ダイバータにおける炭素不純物挙動について示すとともに、(2)ガスパフと排気を組み合わせることによるX点MARFE発生の制御について報告する。内側排気ダイバータと両側排気ダイバータで、外側排気との相関が強いと思われる外側セパラトリックスとダイバータドームとの距離(gap-out)をスキャンし、X点MARFE発生密度及び炭素不純物遮蔽効果を比較したが、両者に顕著な違いは見られなかった。また、最近計測可能となったダイバータ領域の高い(Z軸)方向の炭素不純物や重水素からの発光強度分布の時間変化等といった新しいデータを示す。X点MARFE発生密度、ダイバータ排気の有無で約10%異なる(両側排気ダイバータ、L-modeプラズマ)。そこで、まずダイバータ排気無しでX点MARFEを発生された後、ダイバータ排気によってX点MARFEを消滅される試みを行った。ダイバータ排気実施後は、外側ストライク点付近の中性子圧力が減少、外側ストライク点付近がアタッチ(接触)状態に戻り、X点MARFEが消滅した。これより、ダイバータ排気はダイバータデタッチメント発生及びX点MARFE発生の制御に有効であるとの結果を得た。
石島 達夫
JAERI-Research 2000-015, p.94 - 0, 2000/03
核融合炉においては、非接触ダイバータが標準シナリオと考えられている。しかしながら、非接触ダイバータの運転領域は不純物が炉心プラズマに混入してしまう局所的に放射損失が高くなる現象(MARFE)に近接しており、MARFEの回避法が課題となっていた。本論文は、分光学的な解析から境界プラズマ層のプラズマ流がダイバータ領域に不純物を留めMARFEを回避するために重要であることを初めて明らかにした。通常のトカマク放電では異常拡散が支配的であり、新古典拡散理論で予測される不純物の選択的な中心への蓄積は観測されない。閉じ込めのよい負磁気シア放電においては、電子密度、電子温度、イオン温度が中心領域で増大し、この時、炭素密度及び放射パワーも中心領域で増大していることに着目し、分光学的な計測及び解析を行った。その結果、炭素不純物の増加量は、新古典拡散理論でほぼ説明できることを明らかにした。閉じ込め改善度が高い負磁気シア放電の場合、~1秒程度の定常維持が続くと中心において不純物が蓄積することにより閉じ込め性能に影響を与える可能性がある。また本研究では炉心のパワーバランスの理解のために重要である放射パワーの解析を行い、不純物と重水素イオンによる制動放射で説明が可能であることを明らかにした。
玉井 広史; 朝倉 伸幸; 逆井 章; 細金 延幸; 伊丹 潔; 木島 滋; JT-60グループ
26th European Physical Society Conference on Controlled Fusion and Plasma Physics, 23J, p.409 - 412, 1999/00
高い放射冷却状態と高性能コアプラズマとの両立を実現させるために必要な両側ダイバータデタッチ状態では、プライベートドーム内側と外側の中性粒子圧力バランスが一定であることを内側排気付きW型ダイバータで発見した。この圧力バランスの領域は、ダイバータ形状・排気の有無により大きく異なり、ダイバータ中性粒子のX点への逆流をいかに抑制するかで決まる。最近改造した両側排気では、外側も排気されるとともに、ドームとセパラトリクス間の空隙をより小さくできるため、中性粒子の遮蔽効果が高まるとの予測通り、X点への逆流抑制が顕著であり、この結果、デタッチ状態が出現する圧力バランスの領域が、内側排気のみのときと比べて大きく拡張した。これは、今後、予定しているガスパフを用いた中性粒子圧力比の帰還制御による両側デタッチ状態の維持の可能性をより明確に支持する実験結果である。
伊丹 潔; 細金 延幸; 木島 滋; 櫻井 真治; 朝倉 伸幸; 東島 智; 逆井 章; 玉井 広史; 嶋田 道也
Journal of Nuclear Materials, 266-269, p.1097 - 1102, 1999/00
被引用回数:14 パーセンタイル:70.16(Materials Science, Multidisciplinary)ITERをはじめとした大型核融合プラズマ装置において、高いダイバータ熱流束密度条件下で放射冷却ダイバータプラズマを生成するためには不純物ガスの注入が必須であると、考えられている。JT-60Uに新たに設置されたW型ポンプダイバータを用いた実験において、注入不純物であるネオンが効果的に排気制御できることが実証された。従来までのダイバータ実験では、注入不純物を排気してしまうと放射冷却ダイバータを維持できなかったが、JT-60Uにおいては、炭素不純物によるMARFEを維持しながらネオンを排気することに成功した。ELMy H-modeプラズマにおいて最大NB加熱パワー25MWで実験が行われた。
玉井 広史; 朝倉 伸幸; 細金 延幸
プラズマ・核融合学会誌, 74(11), p.1336 - 1339, 1998/11
X点MARFE発生時のダイバータ領域における中性粒子圧力を、高速応答イオンゲージを用いて測定し、解析した。この結果、X点MARFE発生時にダイバータ部の中性粒子圧力の内外非対称性が逆転することを、初めて明らかにした。更に、この性質を利用して、内外圧力比を一定に保つことにより、X点MARFEの発生を抑えつつ、ダイバータデタッチ状態を維持できる可能性を示した。
玉井 広史; 木島 滋; 細金 延幸; 朝倉 伸幸; 坂田 信也; 齋藤 直之; 秋葉 賢一*; 赤坂 博美; 川俣 陽一; 栗原 研一
Fusion Engineering and Design, 39-40, p.163 - 167, 1998/00
被引用回数:9 パーセンタイル:59.93(Nuclear Science & Technology)ダイバータ部のボロメータ信号を用いてダイバータ領域に注入するガスパフ量のフィードバック制御を行い、放射冷却ダイバータを定常に維持した。このとき、全加熱入力の40%に当たる6MWのダイバータ放射損失が、約3秒間ほぼ一定値に保たれた。一方、放射損失を加熱入力の50%以上にすると、MARFEが発生して急激に増加し、帰還制御が困難となった。放射損失量の制御領域を広げるためには、パフするガスの種類や入力に用いるボロメータ信号の選択など、各種のパラメータの最適化を行う必要がある。来年度予定されている改造ダイバータでは、ガスの補給だけでなく排気も組み合わせた広範な圧力領域での運転制御が可能になると考えられる。
朝倉 伸幸; 小出 芳彦; 伊丹 潔; 細金 延幸; 清水 勝宏; 飯尾 俊二*; 櫻井 真治; 逆井 章
Journal of Nuclear Materials, 241-243, p.559 - 563, 1997/02
被引用回数:65 パーセンタイル:96.39(Materials Science, Multidisciplinary)JT60Uの高密プラズマ放電中でのスクレイプ・オフ層(SOL)におけるプラズマ分布を初めて計測し、ダイバータがデタッチ状態になるまでの磁力線に平行、半径方向のプラズマ輸送について実験・解析結果をまとめた。電子温度、密度分布は可動静電プローブを用い、イオン温度分布は荷電交換分光装置(CXRS)を用い、高空間分解のデータを得た。特に、電子温度、密度分布とも主プラズマ境界付近に、勾配の急な領域(第1SOL)とその外側に勾配の緩い領域(第2SOL)が存在し、密度上昇と共に第1SOLの幅が狭くなり、第2SOLが広がっていくことを明らかにした。さらに高密度ではダイバータ部でMARFEが発生すると同時に、第1SOLがなくなり、主プラズマ内部でも境界から10cm程度内部まで閉込めが劣化するため、MARFEが主プラズマ内部へ浸行したことを実験的に確認した。さらに、イオン温度と分布の勾配の比較結果も示した。
熊谷 晃*; 朝倉 伸幸; 伊丹 潔; 嶋田 道也; 永見 正幸
Plasma Physics and Controlled Fusion, 39(8), p.1189 - 1196, 1997/00
被引用回数:12 パーセンタイル:40.83(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uでは、スクレイプオフ層の磁力線に沿った電流(SOL電流)が観測されている。オーミック加熱中ではSOL電流は内側ダイバータ部と外側ダイバータ部の電子温度及びプラズマ圧力の違い(非対称性)により誘導されるモデルによって説明できる。SOL電流は、電子温度の高い側から低い側へと流れる。今回、ディタッチメントやMARFEが発生する高密度放電について、SOL電流の特性を調べた。高密度放電においては、密度(メイン)の上昇とともに、ダイバータ板上の密度も上昇する。密度が低いときは、外側ダイバータ部の電子温度が内側ダイバータ部の電子温度より高いが、密度の上昇とともにこの温度の内側非対称性が反転する。このとき、SOL電流の方向も反転する。SOL電流の方向は、モデルと一致するが、電流値はモデルから計算される値より大きい、外側ダイバータ部で5倍程度大きいことがわかった。
玉井 広史; 木島 滋; 朝倉 伸幸; 伊丹 潔; 逆井 章; 細金 延幸; 東島 智; JT-60チーム
Proc. of 24th European Physical Society Conf. on Controlled Fusion and Plasma Physics, 21A, p.493 - 496, 1997/00
JT-60Uの放射冷却ダイバータプラズマにおいて、放射冷却のためにパフするガスの種類を変えてダイバータ放射損失量を比較した。冷却効率もリサイクリング率も高いネオンを用いた場合、最も少ないパフ量でダイバータ放出損失量を高めることができたが、同時に主プラズマ領域へのネオンの流入による主プラズマの放射損失の増大が観測された。通常シアのELM付Hモードでは、ダイバータ領域での放射損失増加に伴い分布のピークはX点の方向に移動し、やがてMARFEの発生による周辺プラズマの不安定性をもたらす。一方、逆転シア配位では、分布のピークがX点を越えてセパラトリクスの内側まで移動した状態でダイバータ放射損失量の高い状態で安定に維持される。一方、閉じ込めの改善度はダイバータ放射冷却の増加とともにいずれの配位でも劣化しており、改造ダイバータの重要課題の一つとして解明が期待される。
JT-60チーム
JAERI-Research 96-018, 231 Pages, 1996/03
プラズマ電流を増大し、ITERと等価なq3の領域での立上げの最適化を行い、高I
-Hモードの領域を4.5MAまで拡大した。高三角度実験では、三角度を0.1から0.3~0.4に上昇させることでELM発生時の周辺圧力勾配を約2倍改善した。電流立上げ中のNB加熱により負磁気シアを形成し、電子及びイオンの輸送障壁を確認し、最大Hファクタ2.6、高
Hモードと同程度の規格化ベータ2.4を得た。この負磁気シアをLHRFを用いた電流分布制御により、約7.5秒間維持することに成功した。ネオンと重水素の複合注入の手法により放射冷却ダイバータを形成し、重水素単独注入に比べて高密度でのHファクタの減少が緩和できることを確認した。接線NBによりトロイダル回転速度を制御することで、TAEモードの発生を制御することに成功した。
清水 勝宏; 細金 延幸; 滝塚 知典; 嶋田 道也; 辻 俊二; 久保 博孝; 杉江 達夫; 朝倉 伸幸; 伊丹 潔; 竹永 秀信*; et al.
IAEA-CN-60/D-P2, 0, p.431 - 439, 1996/00
核融合炉のデザインで大きな問題となっているダイバータ板への熱負荷低減の方法の一つは、高密度低温ダイバータ・プラズマによる遠隔放射冷却である。しかし、そうしたプラズマにおいて、不純物による放射損失が局所的にX点近傍で増大し、MARFEを引き起こし、時にディスラプションを誘起する。従って、MARFEを生じることなく、高密度低温ダイバータ・プラズマを形成する条件を明らかにする必要がある。本論文では、モンテカルロによる不純物輸送のモデリングを行い、それを用いてJT-60Uの高密度プラズマにおける不純物の挙動を調べた。高密度プラズマになると、ダイバータ板近傍のイオン温度減少によって、それまでの不純物発生の主因であった物理スパッタが減少する。一方、private領域への中性粒子のフラックス増大によって、化学スパッタでメタンが発生し、これが直接主プラズマに混入することを明らかにした。
朝倉 伸幸; 細金 延幸; 辻-飯尾 俊二*; 伊丹 潔; 清水 勝宏; 嶋田 道也
Nuclear Fusion, 36(6), p.795 - 813, 1996/00
被引用回数:42 パーセンタイル:76.59(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60UのLモード高密度放電における放射冷却ダイバータで、トロイダル磁場反転がもたらすダイバータ・プラズマ(イオン電流、電子温度、イオン化領域、放射損失分布)への影響を解明した。トロイダル磁場の方向はスクレイプオフ層での熱・粒子の輸送に大きく影響を及ぼし、内外ダイバータでの非対称性を決定する。ダイバータ部でMARFEが発生しない領域での運転に限っては、ダイバータ部での放射損失は同程度であり、ダイバータ板上で内外対称な熱流束分布を得る磁場反転運転が有利である。これに対しMARFE中は、エネルギー閉じこめの劣化や不純物の主プラズマへの混入は同程度であるが、順方向運転の場合だけ放射損失ピータがセパラトリクス・ヌル点付近に維持でき、ダイバータプラズマが完全なデタッチメントに至らないため、ダイバータ部で粒子排気を行うためには有利である。
清水 勝宏; 滝塚 知典; 細金 延幸
プラズマ・核融合学会誌, 71(12), p.1227 - 1237, 1995/12
閉じ込め性能と両立する低温高密度ダイバータ・プラズマを実現するため、JT-60Uにおいて、現在のオープン型から、W型のダイバータに改造する計画がすすめられている。新しいダイバータ配位における中性粒子と不純物の挙動について解析した。中性粒子の輸送解析で、密度制御に必要な粒子排気が可能なこと、中性粒子の主プラズマへの流入量がオープン型に比べて半分程度にまで下げられることが明らかになった。不純物に関しては、オープン型では、プライベイトの壁から発生するメタンが、X点近くの放射損失を増大させることが以前の解析で示されていた。W型にすることで、こうした炭素不純物の上流のSOLへの混入が、ドームによって抑えられることが明らかになった。更に、放射損失の温度依存性が、オープン型とは逆に、W型の場合安定(温度が低くなれば、放射損失が減少)であることが明らかになった。
清水 勝宏; 滝塚 知典
プラズマ・核融合学会誌, 71(11), p.1135 - 1146, 1995/11
モンテカルロ法を用いた2次元不純物輸送コード(IMPMC)を開発した。モデリングには、・各種スパッタリングによる不純物の発生、・中性不純物の電離、・磁力線方向の運動、・クーロン散乱、・磁気面を横切る異常拡散、・原子過程が含まれる。本コードの特徴は、実平衡配位での不純物の軌道追跡、不純物の発生量の絶対値をコンシステントに決めていることである。また化学スパッタリングで発生するメタンの解離過程が取り入れられている。これを用いて、JT-60UのNB加熱時における炭素不純物の発生についてシミュレーション解析を行った。高密度プラズマでは、プライベイト領域の壁への中性粒子のフラックスが増大し、化学スパッタリングによるメタンの発生が重要となる。このメタンを起源とする不純物がX点近傍での放射損失を増大させ、局所的な放射冷却による熱的不安定性であるMARFEを引き起こすと考えられる。
朝倉 伸幸; 伊丹 潔; 細金 延幸; 辻 俊二; 清水 勝行*; 久保 博孝; 杉江 達夫; 滝塚 知典; 嶋田 道也
Journal of Nuclear Materials, 220-222, p.395 - 399, 1995/00
被引用回数:33 パーセンタイル:92.99(Materials Science, Multidisciplinary)ITERなどの実験炉ではダイバータ板付の損耗を防ぐとともに粒子排気の観点から低温ダイバータの実現が要求され、粒子輸送機構の解明は重要課題である。JT-60Uでトロイダル磁場方向を反転し、イオンBドリフトがダイバータ板と反対方向を向けることにより、ダイバータ部での熱負荷分布の内外非対称を軽減するとともに、粒子および不純物リサイクリング制御を試みた。磁場反転時、高密度Lモード放電中で重水素, 炭素のリサイクリングが外側ダイバータ顕著になることが観測され、その結果、ダイバータ部の電子温度は内外セパラトリクス付近でほぼ対称で20eV程度まで減少する。熱流束分布についても均等分布に近づく。この現象により、SOLあるいはダイバータ部で粒子流束の方向が逆転する成分があることが示唆され、古典輸送によるモデルと定量的に比較する。また、遠隔放射冷却の効率とMARFE発生の過程も議論をおこなう。
久保 博孝; 杉江 達夫; 細金 延幸; 辻-飯尾 俊二*; 逆井 章; 東島 智; 朝倉 伸幸
Plasma Physics and Controlled Fusion, 37, p.1133 - 1140, 1995/00
被引用回数:19 パーセンタイル:58.85(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uにおいて、38チャンネルの光ファイバー・アレイを用いて、ダイバータ領域から発せられるDI,CII-IVのスペクトル線強度の空間分布を同時に観測した。その線強度からダイバータ領域の放射損失を求めた。MARFEを伴わないLモード放電では、重水素および炭素による放射損失がダイバータ領域の全放射損失の36%および64%であった。物理スパッタリングによる炭素不純物の発生を仮定して炭素イオンの閉じ込め時間を評価することによって、炭素不純物の発生量と放射損失量を簡単な不純物モデルで関係づけた。MARFEの発生に伴う放射損失の増加が炭素不純物によることを明らかにした。