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入江 健太; 寺田 宏明; 川村 英之; 高野 公秀
Journal of Environmental Radioactivity, 299, p.108140_1 - 108140_20, 2026/09
被引用回数:0本研究では、爆発に伴う初期条件を大気拡散シミュレーションに明示的に導入するため、Explosive-release Particle Tracking Model(EPTM)を開発し、Worldwide version of System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information(WSPEEDI)と結合した。開発したモデルは、爆発直後の粒子挙動を解像するとともに、その後の大気輸送計算に対して物理的に妥当な初期条件を与えることを目的としている。EPTMの有効性と影響を検証するため、理想化した気象場を用いた数値実験を実施した。その結果、爆発による初期運動の影響は爆発地点近傍における濃度および地表沈着に対して顕著である一方、輸送距離の増加とともに次第に小さくなることが示された。爆発直後には、爆発ケースにおいて放射性物質の急速な鉛直再分配が生じる。この鉛直再分配により、非爆発ケースと比較して、放出源近傍では地表付近の濃度および地表沈着量が増加した。その結果、爆発地点近傍における大気中濃度の極大値や地表沈着パターンは、EPTMによって表現される爆発駆動型の初期条件に強く支配されることが分かった。一方、風下域では、爆発ケースと非爆発ケースの間の大気中濃度および地表沈着の差は小さくなった。これは、水平移流および乱流拡散が濃度分布と沈着分布を支配することで、プルームの発達に伴い初期爆発の相対的な影響が低下するためである。さらに、爆発エネルギーが増加すると、爆発地点近傍における大気中濃度および地表沈着のコントラストは増幅される一方で、風下域の濃度および沈着分布への影響は限定的であることが示された。
廃炉環境国際共同研究センター; 高エネルギー加速器研究機構*
JAEA-Review 2026-006, 53 Pages, 2026/07
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和元年度から英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(1F)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、さまざまな分野の知見や経験を従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究および人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和6年度に採択された研究課題のうち、「高放射線耐性を有する無線データ伝送用チップセットの要素開発(ベースバンド回路開発)」の令和6年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、1Fの原子炉格納容器および圧力容器内において使用可能な無線通信システムの構築を目的とし、耐放射線性を有する回路技術の要素開発を行うものである。要素開発は「高周波アナログ回路開発」と「ベースバンド回路開発」の二つのサブテーマの連携により実施される。本研究では、ベースバンド回路開発を担当し、耐放射線性を有するシリコンCMOS集積回路技術を用いて各種回路を設計・実装する。アナログベースバンド回路では、可変利得増幅器、データコンバータ、位相同期回路、基準クロック発生回路などのアナログ信号処理回路を開発する。デジタルベースバンド回路では、誤り訂正や符号化などのデジタル信号処理回路と耐放射線性をもつランダムアクセスメモリを開発する。また、これらの回路動作を検証するため、ソフトウェアとハードウェアを統合した設計環境を構築する。発振回路については、低消費電力で高安定性をもつ振動子の開発と放射線耐性の評価を行う。最終的には、通信速度2.5Mbps以上、積算線量1MGy以上に耐える無線通信用チップセットの試作部品の実現を目指す。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京科学大学*
JAEA-Review 2026-005, 51 Pages, 2026/07
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和元年度から英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(1F)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、さまざまな分野の知見や経験を従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究および人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和6年度に採択された研究課題のうち、「高放射線耐性を有する無線データ伝送用チップセットの要素開発(高周波アナログ回路開発)」の令和6年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、1Fの原子炉格納容器および圧力容器内において使用可能な無線通信システムの構築を目的とし、耐放射線性を有する回路技術の要素開発を行うものである。要素開発は「高周波アナログ回路開発」と「ベースバンド回路開発」の二つのサブテーマの連携により実施される。本研究では、高周波アナログ回路開発を担当し、耐放射線性を有するシリコンCMOS集積回路技術に加え、ダイヤモンド半導体を用いて各種回路を設計・実装する。シリコンCMOS高周波アナログ回路では、電力増幅器、低雑音増幅器、ミキサ、可変利得増幅器などの高周波アナログ信号処理回路を開発する。ダイヤモンド半導体では、電力増幅器および電源回路についてデバイスから開発する。最終的には、通信速度2.5Mbps以上、積算線量1MGy以上に耐える無線通信用チップセットの試作部品の実現を目指す。
古野 朗子; 大森 隆太*; 舘岡 永憲*; 皆川 友哉*; 栗原 寿幸; 山本 洋一; 冨田 豊
Pure and Applied Geophysics, 182(12), p.5175 - 5188, 2025/12
被引用回数:2 パーセンタイル:23.61(Geochemistry & Geophysics)包括的核実験禁止条約(CTBT)沖縄核種監視所(JPP37)は、沖縄本島中部の東シナ海に面した丘の上にあり、島内には原子力施設はないが、時折Cs-137が検出される。本研究では、JPP37におけるCs-137の検出に焦点を当て、近隣の観測点における同時検出の比率や、東アジア内陸部から飛来する黄砂との関係を調べた。解析対象であるJPP37における2020年から2023年までのCs-137検出は春に高頻度であった。東アジアのCTBT放射性核種観測点9カ所のうち、北京、蘭州、モンゴルのウランバートルの検出値も春に高かった。このことから、東アジアにおける黄砂の検出との高い関連性が示唆された。そこで、日本のいずれかの地点で黄砂が観測された場合に、近隣の包括的核実験禁止条約準備機関(CTBTO)の国際監視システム(IMS)9地点でCs-137の検出を確認した。また、高崎、北京、蘭州、ウランバートルで高い検出率を示した。このことから、日本周辺の東アジア地域のIMS粒子状放射性核種観測点で主に春に観測されたCs-137は、黄砂により運搬されるグローバルフォールアウトの影響を拾っている可能性が高いと推察される。さらに、日本近海に飛来する黄砂について予備的な放出源推定解析を行った。大気拡散シミュレーションでは、Cs-137が黄砂の放出源である砂漠から放出されたと仮定して、近傍のIMS粒子状核種観測点でCs-137が検出されたことを説明した。
安全研究センター 原子炉安全研究ディビジョン リスク評価・防災研究グループ
JAEA-Data/Code 2024-006, 40 Pages, 2024/07
日本原子力研究開発機構安全研究・防災支援部門安全研究センター原子炉安全研究ディビジョンリスク評価・防災研究グループでは、原子力施設等で発生する可能性のある広範な事故を対象に、確率論的事故影響評価コードOSCAARの開発を進めてきた。OSCAARコードの機能のうち、大気拡散モデルによる大気中放射性物質濃度の計算機能では、入力データとして風速、降水量、大気安定度等の気象データを必要とする。ただし、気象データとして気象庁による数値予報データを利用するためには、事前にデータフォーマットをOSCAARコードに合わせて変換しておく必要がある。そこでOSCAARの前処理プログラムとして、気象庁の数値予報データから対象地域及び期間におけるOSCAARの入力形式の気象データを作成するプログラムGPV2OSCを作成した。本レポートでは、GPV2OSCの概要及び使用方法について解説する。
永井 晴康; 古田 禄大*; 中山 浩成; 佐藤 大樹
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(11), p.1345 - 1360, 2023/11
被引用回数:6 パーセンタイル:65.02(Nuclear Science & Technology)放射性プルームの3次元分布を定量的に可視化するとともに放射性核種の放出量を推定する革新的なモニタリング手法を提案し、その実現性を予備的な試験により確認した。提案する手法は、電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)によるガンマ線画像分光測定とドップラーライダーによる3次元風速測定に基づくリアルタイム高分解能大気拡散シミュレーションを組み合わせている。複数箇所に設置したETCCで測定された放射性プルーム中の個々の放射性核種からのラインガンマ線画像とリアルタイム大気拡散計算による大気中濃度分布情報を融合した逆解析により、放射性核種ごとの3次元濃度分布を再構成する。大気拡散シミュレーションと放射線輸送計算で生成した仮想的な実験データを用いた試験により、試作した解析手法が十分な性能を有することを示した。
小野 礼人; 高柳 智弘; 不破 康裕; 篠崎 信一; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 杉田 萌; 山本 風海; 金正 倫計; 生駒 直弥*; et al.
Proceedings of 20th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.871 - 876, 2023/11
J-PARCでは、直線型加速器の加速用高周波を増幅する真空管型高周波増幅器(クライストロン)電源の短絡保護装置(クローバー装置)に水銀整流器(イグナイトロン)を用いている。イグナイトロンは、世界的に使用が制限されている水銀を使用しており、将来的に製造中止が見込まれる。そこで、大電力半導体素子(MOSゲートサイリスタ)を用いたクライストロン短絡保護用の半導体クローバー装置を開発している。基板1枚当たり、3kV, 40kA, 50usの動作出力を実現するオーバル型基板モジュールを製作した。120kVの高電圧を想定した各基板モジュールへの制御電源供給は、各基板モジュール1枚に分担充電される電圧(3kV)から高圧DCDCコンバータで制御電源を作り出す自己給電方式を採用した。この基板モジュール20枚を20直列で接続し、既設機器(120kV, 40kA)の電圧に対して1/2スケール(60kV, 40kA)での動作性能を確認することができた。その出力試験結果について報告する。また、今後実施予定である3/4スケール(90kV, 40kA)での動作性能を確認するにあたり、超高圧試験回路の検討を行った。
Cs occurring near the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant太田 雅和; 高原 省五; 吉村 和也; 長久保 梓; 廣内 淳; 林 奈穂; 阿部 智久; 舟木 泰智; 永井 晴康
Journal of Environmental Radioactivity, 264, p.107198_1 - 107198_15, 2023/08
被引用回数:4 パーセンタイル:20.88(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所(FDNPP)事故時に環境中に放出され、陸面に沈着した放射性核種について、大気中に再浮遊した
Csの吸引は現在における主要な被ばく経路の一つである。再浮遊では、風による土壌粒子の巻き上げが主なメカニズムとされてきた。一方、FDNPP事故後の研究から、帰宅困難区域(DRZ)などの農村部においては、真菌類による胞子放出が大気中
Cs濃度に影響を及ぼす可能性が示唆されてきた。本研究は、土壌粒子および真菌類胞子としての
Cs再浮遊を計算するモデルを開発し、これをDRZ内に適用することで、これら再浮遊過程の大気中濃度への影響評価を試みた。モデル計算の結果から、土壌粒子の再浮遊は冬から春に観測された大気中
Csの主要因となったものの、夏から秋に観測された高濃度を再現できないことが示された。真菌類からの胞子状
Csの放出を考慮することで、この夏から秋の高濃度事象は概ねモデルで再現された。解析結果から、真菌類胞子への
Csの蓄積と、農村部に特徴づけられる高い胞子放出率が夏から秋の大気中
Csに寄与している可能性が見出された。DRZ内には依然として未除染の森林が存在しているため、この真菌類胞子の大気中
Csへの寄与は今後将来も継続する可能性がある。
寺田 宏明; 永井 晴康; 門脇 正尚; 都築 克紀
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(8), p.980 - 1001, 2023/08
被引用回数:9 パーセンタイル:80.10(Nuclear Science & Technology)原子力事故により大気放出された放射性核種の放出源情報と環境中時間空間分布の再構築手法の確立が緊急時対応に必要である。そこで、大気拡散シミュレーションと環境モニタリングデータを用いたベイズ推定に基づく放出源情報推定手法の様々な環境モニタリングデータの利用可能性に対する依存性を調査した。さらに、事故直後に実施するリアルタイム推定への本手法の適用性を調査した。様々な環境モニタリングデータの組み合わせに対する福島第一原子力発電所(1F)事故の放出源情報推定結果の感度解析から、正確な放出源情報推定には高い時間空間分解能のデータの利用と大気中濃度と地表沈着量の両方のデータの利用が有効であることが示された。また、1F事故時の環境モニタリングデータ取得状況に適用された仮想的なリアルタイム推定実験により、本手法は、地表汚染の概況の早期把握とおおよその事故規模の評価に必要な放出源情報を推定可能であることが明らかとなった。環境モニタリングデータの即時オンライン取得と、計算出力データベース蓄積のための大気拡散計算の運用システムが整備されれば、本手法により放出源情報の準リアルタイム推定が可能となる。
高柳 智弘; 小野 礼人; 堀野 光喜*; 植野 智晶*; 杉田 萌; 金正 倫計; 徳地 明*; 生駒 直弥*; 中田 恭輔*; 亀崎 広明*; et al.
Proceedings of 20th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.235 - 239, 2023/08
加速ビームの入射や取り出しに用いるキッカーシステムには、指定したビームのバンチのみに作用する短パルスの高速性と高繰り返し性に優れたパルス電源が必要である。J-PARC/JAEAでは、次世代パワー半導体の一つであるSiC-MOSFETを用いて、サステナブルな半導体スイッチ電源の開発に取り組み、定格出力40kV/2kAの半導体スイッチ電源を開発した。そして、本半導体スイッチ電源を20kV/2kA出力の2台に組み替え、実機のキッカー電磁石を用いた通電試験も実施した。また、本電源のフラットトップ補正機能を用いて、波形に生じるリンギングを半分以下に抑制できることを磁場波形で実証した。この成果により、ビームロスの要因となるリンギングに起因した蹴り角差を低減することができる。発表では、開発したSiC半導体スイッチ電源の仕様、試験装置、及び、評価結果について報告する。
2021年度)阿部 智久; 舟木 泰智; 吉村 和也; 尻引 夏*; 眞田 幸尚
JAEA-Data/Code 2023-001, 38 Pages, 2023/05
本調査では内閣府からの委託を受けて、特定復興再生拠点区域の内部被ばく評価に資するため、福島県の3市町村(双葉町、大熊町、富岡町)において、大気浮遊塵中の放射性物質に関する調査を実施した。対象とした市町村にダストサンプラーを設置し、大気放射能濃度を調査するとともに、実測値に基づく内部被ばく線量を評価した。本報告書は、当該受託事業が開始した2018年度から2021年度までの測定結果をとりまとめたものである。大気放射能濃度及び実測値に基づく内部被ばく線量評価結果、基礎データとして気象観測データなどをデータベース化した。
小野 礼人; 高柳 智弘; 不破 康裕; 篠崎 信一; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 杉田 萌; 山本 風海; 金正 倫計; 生駒 直弥*; et al.
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.395 - 399, 2023/01
J-PARCでは、直線型加速器の加速用高周波を増幅する真空管型高周波増幅器(クライストロン)電源の短絡保護装置(クローバー装置)に水銀整流器(イグナイトロン)を用いている。イグナイトロンは、世界的に使用が制限されている水銀を使用しており、将来的に製造中止が見込まれる。そこで、大電力半導体素子(MOSゲートサイリスタ)を用いたクライストロン短絡保護用の半導体クローバー装置を開発している。基板1枚当たり、3kV, 40kA, 50
sの動作出力を実現するオーバル型基板モジュールを製作した。120kVの高電圧を想定した各基板モジュールへの制御電源供給は、基板ごとに高圧トランスが必要となり、トランスの設置場所や部分放電(コロナ放電)を考慮する必要がある。本機器では、高圧トランスを用いず、各基板モジュール1枚に分担充電される電圧(3kV)から高圧DCDCコンバータで制御電源を作り出す自己給電方式を採用した。この基板モジュール20枚を20直列で接続し、既設機器(120kV, 40kA)の電圧に対して1/2スケール(60kV, 40kA)での動作性能を確認することができた。その出力試験結果について報告する。
高柳 智弘; 小野 礼人; 不破 康裕; 篠崎 信一; 堀野 光喜*; 植野 智晶*; 杉田 萌; 山本 風海; 小栗 英知; 金正 倫計; et al.
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.242 - 246, 2023/01
J-PARCでは、放電管のサイラトロンを用いたビーム取り出し用キッカー電磁石電源を代替する半導体短パルススイッチ電源、および既設のクライストロン電源システムを小型化・省電力化する半導体長パルス電源の高度化を進めている。キッカー用半導体スイッチ電源においては、誘導電圧重畳回路(LTD)方式を採用した40kV/2kA/1.2
sの実機仕様のユニット電源を製作し、必要な性能を確認した。そこで、本電源のメンテナンス性の向上と更なる安定化を目的とし、絶縁油を使わず、絶縁体構造のみでコロナ放電を抑制する高耐圧絶縁筒碍子の製作を進めている。また、クライストロン用半導体パルス電源においては、MARX方式を採用し、8kV/60A/830
sの矩形パルス出力用主回路ユニットと、矩形波電流の一様性を10%から1%に改善する800V/60Aの補正回路ユニットを製作した。さらに、本MARX電源用に2.2kV/2.4kWの高耐圧SiCインバータ充電器を製作し、組み合わせ試験による特性評価を進めている。発表では各試験の評価結果と、パルス電源の半導体化について今後の展望を報告する。
小田 航大; 高柳 智弘; 小野 礼人; 堀野 光喜*; 植野 智晶*; 杉田 萌; 森下 卓俊; 飯沼 裕美*; 徳地 明*; 亀崎 広明*; et al.
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.610 - 614, 2023/01
J-PARCのキッカー電源は、取り出すビームのバンチ長に合わせ、フラットトップ幅が約1
sの矩形パルスを数十nsの短時間で瞬間的に出力する。現在、放電スイッチのサイラトロンの代替を目的に、次世代パワー半導体を用いた新キッカー電源の開発を進めている。パワー半導体のスイッチ動作のタイミングは、外部からのトリガ信号の入力で決まる。そのタイミングの時間軸方向に対するブレ(ジッタ)が大きいと、出力パルスの再現性が低下し、ビームロスの要因となる不安定なビーム軌道偏位を引き起こす。そのため、キッカー用半導体スイッチ電源には、
1.0ns以下の高再現性を実現する低ジッタ回路が求められる。ジッタの成分にはトリガ信号の揺らぎと半導体スイッチ動作のばらつきが含まれる。そこで、制御回路を構成する種々のデバイスに対する評価試験を実施し、最適なデバイスの選定、かつ、温度とノイズ対策を施した低ジッタ回路の試験機を製作した。発表では、制御回路を構成するアナログ回路とデジタル回路のデバイスに対し、環境とデバイスの温度、サンプリングクロックの周波数、パルスエッジのブレに対する評価試験の結果と、構築した低ジッタ回路の構成について報告する。
Maurer, C.*; Galmarini, S.*; Solazzo, E.*; Ku
mierczyk-Michulec, J.*; Bar
, J.*; Kalinowski, M.*; Schoeppner, M.*; Bourgouin, P.*; Crawford, A.*; Stein, A.*; et al.
Journal of Environmental Radioactivity, 255, p.106968_1 - 106968_27, 2022/12
被引用回数:10 パーセンタイル:39.88(Environmental Sciences)2015, 2016年のモデル比較演習を経て、2019年に包括的なXe-133大気輸送モデル比較試験を企画した。欧米の医療用RI製造施設であるIREやCNLからの排出の影響が大きいヨーロッパと北米にある4つのCTBT国際モニタリングシステム局を対象とし、約30の参加モデルの結果の比較とアンサンブルを実施した。第2回ATMチャレンジの教訓により、参加者は事務局の指定する条件に基づいて計算を実施した。その結果、IREとCNLからの正確な日別スタック排出量を使用しても、拡散過程における誤差、残存排出源の適切な特性化、長いIMSサンプリング時間(12
24時間)のデメリットと相殺され、平均すればスコアの改善が見られないことが確認された。一方、任意のモデル計算結果を用いたアンサンブルを実施したところ、今回対象とした4つの観測所でのXe-133バックグラウンドを十分に予測できることが確認できた。有効なアンサンブルのサイズは5以下であった。
門馬 悠一郎*; 坂入 正敏*; 上野 文義; 大谷 恭平
材料と環境, 71(5), p.133 - 137, 2022/05
薄い液膜下における鋼の腐食に及ぼす腐食抑制剤の影響を調査した。試料上に1.0-0.2mmの厚さの液膜を形成し、モリブデン酸ナトリウムと乳酸アルミニウム混合液を腐食抑制剤として添加し電気化学測定を実施した結果、腐食抑制剤はアノード反応を抑制すること、および液膜中では完全浸漬に比べて腐食抑制剤による保護層の形態が液量に応じて変化することが示唆された。
門馬 悠一郎*; 坂入 正敏*; 上野 文義; 大谷 恭平
材料と環境, 71(4), p.121 - 125, 2022/04
3Dプリンタを用いて作製した装置で炭素鋼の大気腐食に及ぼす液膜厚さの影響を調査した。新たに作製した装置により、液膜厚さを正確に保持することが可能となった。異なる厚さの液膜で酸素の拡散限界電流密度(
)とアノード電流密度(
)を測定した。液膜が薄くなると、
は増加し
は減少した。
と拡散距離の関係から酸素の拡散係数を3.20
10
cm
s
と算出した。この結果を用いて、溶存酸素の拡散に影響を与え始める臨界厚さは0.87mmと求められた。
廃炉環境国際共同研究センター; 東北大学*
JAEA-Review 2021-044, 58 Pages, 2022/01
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和2年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、平成30年度に採択された「アルファダストの検出を目指した超高位置分解能イメージング装置の開発」の令和2年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、廃炉のある段階から作業員が実際に炉内に立ち入る際に、体内被曝の影響が指摘されるアルファ線を放出する核種を含むダストやデブリについての、形状や核種を観測するための装置や素材の開発を目的としている。さらに、作業員が立ち入る前の高線量率場での分布測定についても計測するための装置や素材についても、その開発を目的とする。令和2年度には、これらの目的に対して、前者は撮像カメラ、エネルギー測定部位、および、それらを統合したシステム開発と実証を行うことができた。また、後者についても、令和元年度に引き続き、新しい赤色・近赤外発光シンチレータ材料の開発と実証試験を行うことができた。
外川 織彦; 大倉 毅史; 木村 仁宣; 永井 晴康
JAEA-Review 2021-021, 61 Pages, 2021/11
東京電力(株)福島第一原子力発電所事故を契機として、原子力防災への大気拡散モデルの利用について、様々な状況とレベルで論争は続いた。しかし、計算モデルによる予測は原子力災害対策に使用可能かどうかといった二者択一の極端な議論が多く、緊急時対応の科学的検証に基づいて丁寧に議論されてきたとは言い難かった。一方、日本原子力研究開発機構(原子力機構)内外には、大気拡散モデルやその解析結果の潜在的利用希望者が少なからず存在することが分かったが、複数の種類がある大気拡散モデルについて、その目的と用途に応じた使い分けに関して理解不足と誤解があることが見受けられた。本報告書では、原子力防災に利用される大気拡散モデルについて、原子力機構で開発または使用されているモデルを中心として、モデルの概要や計算手法等を比較するとともに、それらのモデルを利用した解析例を記述した。これにより、原子力機構内外における大気拡散モデルの潜在的利用希望者に対して、今後の検討や活動に参考となることを目的とした。
小野 礼人; 高柳 智弘; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 山本 風海; 金正 倫計
Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.831 - 834, 2021/10
J-PARCでは、直線型加速器の高周波加速用クライストロン電源のクライストロン短絡保護装置(クローバー装置)に水銀整流器(イグナイトロン)を用いている。イグナイトロンは、世界的に使用が制限されている水銀を使用しており、将来的に製造中止が見込まれる。そこで、大電力半導体素子(MOSゲートサイリスタ)を用いたクライストロン短絡保護用半導体クローバースイッチを開発している。1枚当たり、3kV, 40kA, 50
sの動作出力を実現するオーバル型基板モジュールを製作した。制御電源供給には、120kVを想定し、各基板モジュールに充電される高電圧を利用する自己給電システムを採用している。このオーバル型基板モジュール10枚を10直列で接続し、既設機器(120kV, 40kA)の電圧に対して1/4スケール(30kV, 40kA)での動作性能を確認することができた。その出力試験結果について報告する。