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長尾 誠也*; 藤嶽 暢英*; 児玉 宏樹*; 松永 武; 山澤 弘実
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 255(3), p.459 - 464, 2003/03
被引用回数:8 パーセンタイル:49.17(Chemistry, Analytical)腐植物質のような高分子の有機物は環境中において微量元素及び放射性核種との錯体の配位子として重要であることは広く認識されている。腐植物質は生成される環境によりその構造,官能基等の特性が異なるため、放射性核種等との錯形成,錯体の特性が変動する可能性が考えられる。しかしながら、腐植物質は天然水中には微量にしか存在しないこと、分離精製には大量の天然水の処理が必要なために多くの労力と時間がかかること、さらに腐植物質の特性分析には各種の分析法が必要なために、放射性核種等と腐植物質との錯体特性に関する検討はそれほど進んではいない。本研究では、水質の異なる4つの河川水から分離精製した腐植物質を用いて、Amとの錯体特性を分子サイズの観点より比較検討した。その結果、Amの分子サイズ分布は、フミン酸共存下では2つのパターン、フルボ酸存在下では3つのパターンに分類された。この分類は、フミン酸及びフルボ酸自体の分子サイズ分布のパターンに相当していた。このことは、腐植物質の特性がAmとの錯形成を支配していることを示唆している。
田中 忠夫; 長尾 誠也; 坂本 義昭; 小川 弘道
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.524 - 527, 2002/11
Puの吸着に及ぼすフミン酸の影響について、フミン酸を吸着しない海岸砂及びフミン酸を良く吸着するクロボク土を用いてフミン酸の分子サイズとの関連から検討した。Puの海岸砂への吸着能はフミン酸濃度が高くなるにしたがって低下した。一方、クロボク土への吸着能は極低濃度のフミン酸を共存する場合に最も高くなり、フミン酸濃度の増加とともに減少した。また、吸着前後における液相中のPuとフミン酸の分子サイズを限外濾過法によって調べた結果、フミン酸のPuとの錯形成能と土壌への吸着能は分子サイズによって異なり、これらに支配的な分子サイズはフミン酸濃度が高くなるにしたがって小さなサイズ領域にシフトすることを明らかにした。
長尾 誠也; 松永 武; 鈴木 康弘*; 平木 敬三*
地球化学, 35(3), p.107 - 120, 2001/08
天然水における放射性核種の移行挙動に影響を及ぼす要因の1つとして高分子の有機物が考えられる。この影響を定量的に把握するには、有機物そのものの特徴を検討する必要がある。本研究では、溶存有機物の濃縮等の複雑な前処理を行わずに、河川水を直接、高速液体ゲル浸透クロマトグラフィー紫外検出で測定し、これまでの方法に比べて簡便迅速に有機物の分子サイズ特性を調べた。溶存有機炭素濃度0.7~2.6mg/1の久慈川河川水中の紫外吸収有機物は、濃縮・精製した河川水フルボ酸のクロマトグラムとほぼ同じ特徴を有し、大部分がみかけの分子サイズ10,000daltons以下のフルボ酸様物質により構成されていることが明らかとなった。また、フルボ酸様物質の濃度は、溶存有機炭素濃度と同様に上流から下流に向けて増加し、溶存有機物の大部分を占めていると考えられる。
長尾 誠也; 田中 忠夫; 中口 譲*; 鈴木 康弘*; 村岡 進; 平木 敬三*
Understanding and Maraging Organic Matter in Soils, Sediments and Waters, p.525 - 532, 2001/00
地下水に存在する有機物はアクチニド元素と錯形成し、地層中における放射性核種の移行挙動に影響を及ぼす可能性が指摘されている。本研究では、アクチニド元素(Np,Pu及びAm)を対象に地下水に存在する有機物との錯体の特性を分子サイズの観点から考察した。実験には有機物濃度が高く、海水の化学組成に近い地下水を用いた。地下水にアクチニド元素を添加し、有機物と錯体を形成させた後、限外ろ過により5つの分子サイズフラクションに分離し、上記核種の分子サイズ分布を見積もった。その結果、地下水中のNp,Pu及び有機物は分子サイズ3,000以下のフラクションに70~80%存在した。一方、Amについては分子サイズ10,000~5,000と3,000以下のフラクションにそれぞれ33%と29%存在した。これらの結果は、核種による有機物と重炭酸との錯体の選択性の違い、有機物の分子サイズフラクションとの錯体の選択性の違いを反映している。
長尾 誠也; 中口 譲*; 藤嶽 暢英*; 小川 弘道
Proceedings of 10th International Meeting of the International Humic Substances Society (IHSS10), p.1143 - 1146, 2000/07
地下水に存在する高分子電解質の有機酸である腐植物質は、溶存有機物の大部分を占め、放射性核種との錯形成能が高いため、地中における放射性核種の行移行に影響を及ぼすと考えられている。有機物の影響を定量的に行うには、地下水から腐植物質(フミン酸、フルボ酸)を分離精製し、影響評価実験を行うとともにその特性を調べる必要がある。本研究では、比較的有機物濃度の高い海水地下水から腐植物質を分離精製し、各種の分析法により腐植物質の特性を調べた。海水系地下水のフミン酸は地表水のフミン酸に比べて芳香族炭素の割合が低く、より低分子の有機物で構成されていた。フルボ酸では、構成有機物の組成はフミン酸ほどの変動は認められなかったが、窒素含量が2.5%と地表水(0.7-1.8%)に比べて高かった。これらの結果より、海水系地下水の腐植物質が地表水の腐植物質とは異なる特性を有することが明らかとなった。
長尾 誠也; 松永 武; 藤嶽 暢英*; 天野 光
Proceedings of the International Workshop on Distribution and Speciation of Radionuclides in the Environment, p.162 - 168, 2000/00
環境中における放射性核種の挙動を予測するためには、天然水中の放射性核種の溶存形態を調べる必要がある。本研究では、ウクライナのチェルノブイル地域を流れる有機物濃度が高いpH7-8の河川水を対象に、放射性核種の溶存形態を分子サイズの観点より調べ、無機及び有機コロイドとの親和性を検討した。1996年3月と9月に採取した河川水は、限外濾過法により分画分子サイズ1万以上とそれ以下に分別した。分子サイズ1万以上に存在するSr,
Pu,
Amの割合は、それぞれ2-20%,68-79%,57-62%であった。有機物の有機炭素は25-36%存在したが、アルミノ珪酸塩鉱物の主成分であるケイ素は3%しか検出されなかった。また、河川水から分離した高分子の有機物の腐植物質存在下で、
amは河川水と同様な分子サイズ分布を示した。以上の結果より、上記の河川水中でアクチノイドは有機物との擬似コロイドとして溶存していると考えられる。
長尾 誠也; 坂本 義昭; 田中 忠夫; 小川 弘道
Proceedings of OECD/NEA Workshop on Evaluation of Speciation Technology, p.181 - 188, 1999/00
天然水中において、重金属やアクチノイドはさまざまな分子サイズ、電荷等の複雑な物理化学的な溶存形態を有している。地圏におけるこれらの元素の動態は土壌、岩石との複雑な物理化学的反応に支配され、元素の溶存形態によりその反応が異なる。そのため、これらの元素の移行挙動を予測するためには、溶存形態を把握することが重要となる。本研究では、アクチノイドの溶存形態の支配因子の1つと考えられている有機物に着目し、有機物濃度及びイオン強度が異なる3つの地下水にPuとAmを添加し、形成される疑似コロイド及び錯体の特性を検討した。その結果、腐植物質に富む地下水では、加水分解を起こすpH領域にもかかわらず、PuとAmは腐植物質と疑似コロイドを形成した。また、腐植物質の濃度が低く、タンパク質が存在する地下水では、Amは粒子として沈着するが、Puはタンパク質様物質とコロイドを形成することが確認された。
長尾 誠也; 田中 忠夫; 坂本 義昭; 妹尾 宗明
Radiochimica Acta, 74, p.245 - 249, 1996/00
高分子の有機物であるフミン酸はTRU元素等の放射性核種と比較的高い錯体形成能を有しているため、地層中における放射性核種の移行挙動を支配する要因の1つと考えられている。本研究では、TRU元素とフミン酸の錯体形成及びフミン酸共存下におけるTRU元素の土壌への収着に及ぼすフミン酸の影響を明らかにするため、分子量分布及び官能基組成が異なる4つのフミン酸を用い、Eu(III)とフミン酸の錯体形成及びそれら錯体の土壌への収着挙動をバッチ実験により調べた。その結果、フミン酸は砂質土壌へほとんど収着しないが、Eu(III)はフミン酸が共存しない場合、約95%収着した。一方、Eu(III)-フミン酸錯体の収着実験において、Eu(III)は85-96%、フミン酸は50-97%土壌へ収着した。これらの結果は、Eu-フミン酸錯体が砂質土壌へEuを介して収着していることを示唆している。