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林 博和; 湊 和生*
Electrochemistry (Internet), 92(4), p.043020_1 - 043020_5, 2024/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Electrochemistry)NaCl-2CsCl溶融塩中のネプツニウムの挙動をサイクリックボルタンメトリ法やディファレンシャルパルスボルタンメトリ法などの電気化学的手法によって823から923Kにおいて測定した。NaCl-2CsCl溶融塩中において、Npイオンは、LiCl-KCl共晶溶融塩中と同様に、Np
イオンを経てNpに還元されることを明らかにした。また、サイクリックボルタモグラムから、Np
及びNp
イオンの拡散係数を導出した。さらに、Np
/Np
及びNp
/Np
酸化還元反応の式量電位が、E
(Np
/Np
) = -3.353 + 7.67
10
T及びE
(Np
/Np
) = -1.175 + 4.99
10
T vs. Cl
/Cl
(V)であることを示し、Np
及びNp
イオンの活量係数を、NpCl
及びNpCl
の過冷却液体状態のギブス自由エネルギーの文献値を用いて導出した。
菅原 隆徳; 国枝 賢
Proceedings of International Conference on Mathematics and Computational Methods Applied to Nuclear Science and Engineering (M&C 2023) (Internet), 7 Pages, 2023/08
本研究は、核データライブラリをJENDL-4からJENDL-5に変えることによる核変換システムの核解析への影響を検討した。核変換システムとして、JAEAが検討している鉛ビスマス冷却型加速器駆動システム(ADS)と溶融塩塩化物ADSであるMARDSを対象とした。JAEA-ADSの解析では、JENDL-4からJENDL-5に変更することで、実効増倍率が189pcm増加した。様々な核種の改訂が影響していたが、例えばNに着目した場合、その弾性散乱断面積や弾性散乱微分断面積の改訂が大きな影響を与えていた。MARDSに関しては、
Clおよび
Clの断面積改訂が、実効増倍率の大きな違いの原因となっていた。例えば、天然の塩素組成を用いた場合、JENDL-5に変更することで3819pcm実効増倍率が増加した。本研究を通じて、核変換システムの解析結果は、核データライブラリの違いによって、未だに大きな違いが生じることを示した。
植田 祥平; 佐々木 孔英; 有田 裕二*
日本原子力学会誌ATOMO, 63(8), p.615 - 620, 2021/08
日本原子力学会誌の連載講座「多様な原子燃料の概念と基礎設計」の第5回として「高温ガス炉と溶融塩炉の燃料」の題目で解説を行う。高温ガス炉の燃料である被覆燃料粒子は、高温ガス炉の高温の熱供給や優れた固有の安全性を支える鍵となる技術の一つである。本稿では高温ガス炉燃料の設計,製造技術,照射性能,実用化並びに高度化開発について述べる。一方、溶融塩炉で用いる溶融塩燃料は燃料自体が液体という特殊なものである。安全性や事故時の環境への影響など優れた性能が期待されているが、まだまだ明らかにすべき課題も多い。その現状について概説する。
菅原 隆徳
Annals of Nuclear Energy, 149, p.107818_1 - 107818_7, 2020/12
被引用回数:4 パーセンタイル:37.85(Nuclear Science & Technology)余剰プルトニウムの扱いは、日本における原子力利用の最重要課題の一つである。本研究では、この課題に取り組むため、超ウラン元素(TRU)核種の核変換をするための溶融塩加速器駆動システム(ADS)の検討を行った。MARDS(Molten salt Accelerator Driven System)と名付けられたこの概念は、硬いスペクトルを実現するため、鉛塩化物とTRU塩化物の混合物を燃料塩として用いる。この燃料塩は核破砕ターゲットとして用いられ、専用のターゲットを必要としない。さらに、ビーム窓が燃料塩と接しない設計にすることで、ADS検討で最も困難なビーム窓設計の設計条件を大きく緩和する。本研究では、この概念について核設計を行い、400MW熱出力、800MeV-7mA陽子ビームを用いることで、約4400kg/40年のプルトニウムを核変換できることを示した。この概念では、加速器としてLINACに代わり円形加速器を用いることができ、従来のJAEA-ADSに比べてより柔軟な設計が可能となる。
Alcaraz, O.*; Trulls, J.*; 田原 周太*; 川北 至信; 武田 信一*
Journal of Chemical Physics, 145(9), p.094503_1 - 094503_7, 2016/09
被引用回数:3 パーセンタイル:9.48(Chemistry, Physical)The results of the structural properties of molten copper chloride are reported from high-energy X-ray diffraction measurements, reverse Monte Carlo modeling method, and molecular dynamics simulations using a polarizable ion model. The simulated X-ray structure factor reproduces all trends observed experimentally, in particular the shoulder at around 1 related to intermediate range ordering, as well as the partial copper-copper correlations from the reverse Monte Carlo modeling, which cannot be reproduced by using a simple rigid ion model. It is shown that the shoulder comes from intermediate range copper-copper correlations caused by the polarized chlorides.
深谷 裕司
Annals of Nuclear Energy, 81, p.301 - 305, 2015/07
被引用回数:1 パーセンタイル:9.11(Nuclear Science & Technology)多重燃料装荷炉心におけるトリウム転換に対する炉外冷却効果を考慮するための簡易手法と炉外冷却効果の特性の研究を行った。溶融塩増殖炉やぺブルベット高温ガス炉のような多重燃料装荷炉心では、燃料は炉内を移動し炉外へ排出される。炉外滞在時には核種の減衰が起こるため、その特性が顕著な場合は考慮される必要がある。本研究ではトリウム転換を正確に評価するためPaの炉外冷却を考慮する。本研究では、この効果を考慮するために、炉外冷却の模擬を行わなくても炉外冷却時と同等の
Paの平衡濃度を実現できる実効崩壊定数を提案する。この実効崩壊定数により、炉外冷却の効果がセル燃焼計算により生成されるマクロ断面積を用いるコードシステムでも、システムの変更を一切行うことなく考慮することができる。また、トリウム転換に対する炉外冷却効果の特性を溶融塩増殖炉とぺブルベット高温ガス炉について検討した。その結果、炉内の燃料塩流速の早い溶融塩増殖炉の転換性能の向上には適している一方で、炉内滞在期間が100日程度であり、
Paの半減期の27日よりも長いぺブルベット高温ガス炉ではその効果は顕著ではなく、転換比の劇的な改善につながらないことがわかった。
アクチノイド科学研究グループ
JAERI-Conf 2005-008, 216 Pages, 2005/09
この報告書は、2004年12月20日に日本原子力研究所(JAERI)の東海研究所で開催された第4回「溶融塩技術と計算シミュレーション」ワークショップの講演報文集である。このワークショップの目的は、国内の専門家間で溶融塩技術と計算シミュレーションに関する情報及び意見を交換し、この研究分野での現状,将来の研究について議論することにある。講演発表は14件(基調講演1件含む)であり、ワークショップ参加者は約55名であった。本報文集はこれら発表論文を収録するとともに、パネルディスカッションの議事録をまとめたものである。
Kuznetsov, S. A.*; 林 博和; 湊 和生; Gaune-Escard, M.*
Journal of Nuclear Materials, 344(1-3), p.169 - 172, 2005/09
被引用回数:29 パーセンタイル:85.12(Materials Science, Multidisciplinary)使用済み燃料の乾式再処理プロセスの検討では溶融塩中のアクチニドとランタニドの分離係数が重要である。723から823KにおいてUClとLaCl
を含んだLiCl-KCl共晶溶融塩試料のボルタンメトリを行い、ウランとランタンの還元ピークからそれぞれの式量電位を求め、ウランとランタンの分離係数を導出した。また、U
イオンの拡散係数,U(III)/U(0)電極反応の電子授受速度など速度論的定数を測定した。
加藤 徹也*; 飯塚 政利*; 井上 正*; 岩井 孝; 荒井 康夫
Journal of Nuclear Materials, 340(2-3), p.259 - 265, 2005/04
被引用回数:24 パーセンタイル:81.47(Materials Science, Multidisciplinary)溶融塩電解精製で回収した、ウランを2.9wt.%、プルトニウムを8.7wt.%含むウラン-プルトニウム-カドミウム三元合金中のカドミウムを蒸留して、ウラン-プルトニウム二元合金を得た。約10gの三元合金を用い、蒸留は減圧下で行った。1073Kで蒸留した後の回収物中のカドミウム残留量は0.05wt.%未満であり、物質収支もよく一致した。回収物は緻密なウラン-プルトニウム二元合金であることを、SEM観察で確認した。また、蒸発したカドミウムのほぼ全量を回収することができた。
塩飽 秀啓; 岡本 芳浩; 矢板 毅; 鈴木 伸一; 湊 和生; 谷田 肇*
Zeitschrift fr Naturforschung, A, 60a(1-2), p.81 - 84, 2005/01
第三世代放射光施設であるSPring-8のアンジュレータ放射光を利用して、溶融したCdBrの局所構造を、高温状態におけるX線吸収微細構造(XAFS)分析によって解析した。SPring-8の高輝度・高エネルギー特性を生かした実験である。測定試料は吸湿性のある高温融解塩であるため、溶融塩専用に設計した石英セルを使用することによって、測定を成功することができた。測定の結果、Cd
-Br
の最近接距離は、室温固体状態中の2.71
から、溶融の状態の2.60
まで減少した。また融解により、配位数は6から4まで減少した。得られた構造パラメータは、四面体構造(CdBr
)
が溶融したCdBr
が優勢な構造をとることを示している。
石塚 悦男; 河村 弘; 田中 知*
JAERI-Conf 2004-006, 347 Pages, 2004/03
本報告集は、 国際エネルギー機関(IEA)主催の「第6回核融合炉用ベリリウム技術に関する国際ワークショップ」の報告を収録したものである。本ワークショップは、2003年12月2日から5日まで、宮崎市のシーガイヤにおいて、欧州,ロシア,カザフスタン,ウクライナ,中国,米国及び日本から69名の出席のもとに開催された。本ワークショップの発表件数は49件であり、各地域におけるベリリウム研究開発の概要,ベリリウムとプラズマ/トリチウムの相互作用研究,ITERへのベリリウム応用研究開発(成形技術,接合技術など),ベリリウムの中性子照射効果に関する研究,照射済ベリリウムの廃棄物処理/リサイクルに関する技術開発,ベリリウム安全衛生,ベリリウム溶融塩(液体ブランケット)に関する研究,ベリリウム金属間化合物に関する研究,パネルディスカッション等の多岐に渡る議論がなされた。パネルディスカッションでは、ベリリウムの中性子照射効果,ベリリウム金属間化合物の応用,廃棄物処理/リサイクルに関し、国際協力を視野に入れた研究の進め方についての議論が行われ、必要な国際協力の項目が提案された。
白井 理; 魚住 浩一*; 岩井 孝; 荒井 康夫
Journal of Applied Electrochemistry, 34(3), p.323 - 330, 2004/03
被引用回数:29 パーセンタイル:53.05(Electrochemistry)723, 773及び823Kにおいて、NpClを含むLiCl-KCl共晶溶融塩中での液体Cd及びBi電極上におけるNp
/Npの電極反応をサイクリックボルタンメトリ-により検討した。溶融塩中のNp
濃度が1wt.%以下で、溶融金属相中のNpが飽和していない場合には、Npの析出反応は、溶融塩中のNp
の電極表面への拡散が律速段階となっていた。723, 773あるいは823Kにおける液体Cd電極上でのNp
/Np系の酸化還元電位は、Mo電極でのそれに比べて、それぞれ0.158, 0.140及び0.126V正側の電位であった。これらの電位シフトは、NpCd
(723K)及びNpCd
(773及び823K)形成のためにCd相中のNpの活量が低下したためと考えられる。また、723, 773あるいは823Kにおける液体Bi電極上でのNp
/Np系の酸化還元電位は、Mo電極でのそれに比べて、それぞれ0.427, 0.419及び0.410V正側の電位であった。Np-Cd系と同様に、これらの電位シフトは、NpBi
形成のためにBi相中のNpの活量が低下したためと考えられる。
加藤 徹也*; 魚住 浩一*; 井上 正*; 白井 理*; 岩井 孝; 荒井 康夫
Proceedings of GLOBAL2003 Atoms for Prosperity; Updating Eisenhower's Global Vision for Nuclear Energy (CD-ROM), p.1591 - 1595, 2003/11
液体カドミウム陰極中にプルトニウム及びウランを高電流密度で回収する溶融塩電解試験を実施した。陰極電流密度101mA/cmの電解では、陰極中に10.4wt.%のプルトニウム及びウランをほぼ100%の電流効率で回収できた。陰極電流密度156mA/cm
の電解では、8wt.%まで回収したところで陰極電流が上昇し、るつぼの外周部に電析物が観察された。
湊 和生; 荒井 康夫
原子核研究, 47(6), p.31 - 38, 2003/06
長寿命核種の分離変換技術に関して、マイナーアクチノイドを主成分とする窒化物燃料と溶融塩を用いた高温化学再処理に基づく、核変換専用燃料サイクル概念を提案している。核変換専用窒化物燃料及び高温化学再処理技術の特長,研究開発状況、及び今後の展望について述べる。
Mehmood, M.*; 河口 展明*; 前川 英己*; 佐藤 譲*; 山村 力*; 川合 將義*; 菊地 賢司
Materials Transactions, 44(2), p.259 - 267, 2003/02
被引用回数:9 パーセンタイル:51.55(Materials Science, Multidisciplinary)タングステン固体ターゲットの弱点である腐食を克服するため、タンタルをコーテングする技術を開発した。電解液としてLiF-NaF-CaF溶解K
TaF
を用いて電気化学的に皮膜形成過程を調べた結果、金属タンタルがタングステン表面に生成されることがわかった。タンタルをタングステン上に直接コーテングするのではなく、ニッケル基盤上にする場合には、短時間で金属間化合物として成長することがわかった。
栗原 良一
Fusion Engineering and Design, 61-62, p.209 - 216, 2002/11
被引用回数:4 パーセンタイル:28.74(Nuclear Science & Technology)高い核融合出力を達成するために、ダイバータは10MW/m以上の高熱流束に耐えなければならない。20MW/m
以下の熱流束であれば、タングステンを構造材とした固体壁ダイバータでも除熱可能である。しかし、固体壁ダイバータでは、熱応力のような厳しい機械力学的状態の観点から、20MW/m
を超える高熱流束を除去するのは極めて困難である。そのため、固体壁上を流れる液膜により熱を除去する液体ダイバータ概念がオプションとして検討されている。本論文は、液体材料としてFLiBe溶融塩を採用した場合に、高熱流束を受ける自由表面液体の熱流動解析について記述した。有限要素法解析コードADINA-Fにより、45度傾けたSiC/SiC複合材第一壁上をFLiBeが厚さ10mm,初速度0.5m/s,初期温度600
で流入するとして計算した。流体の上部表面には、熱流束として25~100MW/m
を与えた。液膜内に水車などを設置して二次流れを生じさせることにより伝熱の向上可能性を評価するため、二次流れの効果を等価熱伝導率10kW/mKで模擬した。解析結果から、二次流れを生じさせることにより3~4倍伝熱特性が改善し、100MW/m
の熱流束も除熱可能であることがわかった。さらに、液体ダイバータとして固液混相流を使用することで固相の融解熱を利用した熱除去可能性を検討した。
林 博和; 小林 紀昭; 小川 徹; 湊 和生
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.624 - 627, 2002/11
窒化物燃料の再処理に溶融塩を用いた高温化学法を適用することによって、高価なN-15をリサイクルすることができる。この概念の検証を目的として、ウラン窒化物(UN及びUN
)を塩化リチウム-塩化カリウム共晶溶融塩中で塩化カドミウムと反応させることによって溶解し、放出される窒素ガスを定量した。その結果、大部分の窒素がN
として放出されることが確認された。窒素ガス放出の見られる温度は、これまでの報告にあるTRU窒化物の模擬物質として使われた希土類窒化物の場合よりも高温であった。
岡本 芳浩; 塩飽 秀啓; 矢板 毅; 成田 弘一; 谷田 肇*
Journal of Molecular Structure, 641(1), p.71 - 76, 2002/10
被引用回数:43 パーセンタイル:71.42(Chemistry, Physical)溶融LaCl3の局所構造をK吸収端XAFSによって調べた。最近接La-Cl間距離と配位数は、2.89$及び$7.4
であった。6よりも大きな配位数は、融体の局所構造が、今まで報告されてきたような単純に(LaCl
)
八面体構造からのみからなるのではなく、7配位の(LaCl
)
や8配位の(LaCl
)
といった錯体の存在もあることを示唆する。La-La対に対応する第2近接の相関が約
付近に見られた。これは、錯体イオンどうしが1つClイオンを共有するいわゆる頂点共有が歪んだ形に対応する。2つのClイオンを共有する辺共有が大勢をしめるYCl
融体とは対照的であることがわかった。
岡本 芳浩; 本橋 治彦*
Zeitschrift fr Naturforschung, A, 579(5), p.277 - 280, 2002/05
LiCl-KCL共晶塩融体中のZrClの局所構造について、ZrのK吸収端XAFS測定によって調べた。カーブフィッティング解析の結果、最近接Zr-Cl対の距離が2.51
0.02Åで配位数が5.8
0.6であることが判明した。これらの結果は、この混合系融体中では(ZrCl
)
6配位錯体が主に存在することを示唆する。
林 博和; 小川 徹; 湊 和生
Proceedings of Japan-Korea Workshop on Nuclear Pyroprocessing, p.301 - 303, 2002/00
原研では窒化物燃料の再処理に溶融塩を用いた高温化学法である乾式再処理法を適用することを提唱している。このプロセスを検討するためにU-N-Cl系などの電位-窒素分圧図を既存の熱力学データを用いて作成した。溶融塩中でのアノード溶解や酸化剤を用いた溶解といった実験データは、ここで作成した電位-窒素分圧図によって説明されることを示した。