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廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2024-013, 48 Pages, 2024/07
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「非接触測定法を用いた燃料デブリ臨界解析技術の高度化」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、非接触のアクティブ中性子法により燃料デブリの臨界安全上の特性を評価する測定システムの開発と、燃料デブリ取出し作業員の安全確保方策の確立に資する基盤技術として多領域積分型動特性解析コードの開発により燃料デブリ臨界解析技術を高度化することを目的としており、令和3年度から令和5年度の3年計画の2年目として東京工業大学、産業技術総合研究所、長岡技術科学大学が連携して実施した。検出器設計最適化のために新たに基礎実験を行って取得したデータを用いて、中性子輸送計算コードの妥当性及び不確かさを評価することで解析精度の向上を図った。この基礎データを基にした輸送計算コードを用いたパラメトリックサーベイにより、検出器の配置やHeガス圧、減速材、遮蔽材、中性子源配置の最適化を実施することにより検出器を設計した。遅発中性子による核分裂も考慮可能な多領域積分型動特性解析コードMIK2.0-MVPを開発し、予備検証としてGODIVA炉超臨界実験の再現解析を実施した。この結果より、MIK2.0-MVPコードでは、MIK1.0コードが有する計算機能に加えて、遅発中性子による核分裂の効果を考慮することができるようになり、MIK2.0-MVPコードと粒子法コードの弱連成解析の土台となる新たな機能を確立することができた。以上の活動により本研究の令和4年度の目的を達成することができた。
福田 航大; 山根 祐一
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(12), p.1514 - 1525, 2023/12
被引用回数:1 パーセンタイル:41.04(Nuclear Science & Technology)粒子状の固体燃料デブリが水中に分散した場合のデブリ粒子径に着目し、粒子径が核分裂数や出力推移といった臨界挙動に与える影響を明らかにすることを目的とした動特性解析を行った。その結果、燃料から水への熱伝達量が大きい条件下で、燃料粒子径を1桁小さくすると核分裂の回数が10倍になること等が明らかとなった。この結果より、燃料粒子径を適切に設定しなければ、核分裂数が過大又は過少評価される可能性が示唆された。
福田 航大
Proceedings of 4th Reactor Physics Asia Conference (RPHA2023) (Internet), 4 Pages, 2023/10
水減速燃料粒子分散体系(例:燃料デブリ体系)における熱膨張フィードバックが即発超臨界時の出力ピーク値や放出エネルギーに与える影響を定量的に明らかにすることを目的とした解析を行った。熱膨張を考慮する場合/しない場合の燃料温度反応度係数を仮想的な体系に対して計算し、Nordeheim-Fuchモデルを用いた評価を行った。その結果、熱膨張の影響を無視することで出力ピーク値や放出エネルギーに数十パーセントの誤差が生じうることが明らかとなった。この誤差は臨界事故解析の多くの場面では問題となる大きさではないものの、解析の目的によっては(例えば、事故後の被ばく量やRI放出量の検証のため精度よく結果を得たい場合)熱膨張反応度フィードバックの影響を考慮すべきであることが示された。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2022-043, 52 Pages, 2023/01
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和3年度に採択された「非接触測定法を用いた燃料デブリ臨界解析技術の高度化」の令和3年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、非接触のアクティブ中性子法を用いた燃料デブリ臨界特性測定システムと多領域積分型動特性解析コードの開発による燃料デブリ臨界解析技術の高度化を目的とし、令和3年度から令和6年度の4年計画の1年目として日本側は東京工業大学(東工大)、産業技術総合研究所(産総研)が連携して実施し、ロシア側はロシア国立原子力研究大学(MEPhI)が実施した。日本側とロシア側でそれぞれが開発する臨界特性測定システムについて、計算精度向上のために、これまでの実験データの整理と予備解析を実施した。多領域積分型動特性解析コードの開発については、開発環境として開発専用メニーコアマルチノード並列計算・データサーバーを構築した。ロシア側が令和5年度に実施予定のコード検証に用いる代表的な解析条件を決定した。また、東工大とMEPhI間でオンラインによるワークショップを開催し、研究の今後の進め方に関する意見交換を行った。日本側の3機関は緊密に連携して研究を実施した。以上の活動により本研究の令和3年度の目的を達成することができた。
山根 祐一
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(11), p.1331 - 1344, 2022/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)反応度または外部中性子源強度の瞬時変化の後で生じる準定常状態における中性子計数率もしくはそのシミュレーションデータの経時変化に基づいて体系の反応度を評価した。その評価は準定常状態における出力の方程式に基づいて行った。研究の目的は中性子計数率の複雑な経時変化から適時に反応度を評価する方法を開発することである。開発した手法を中性子計数率のシミュレーションデータに適用した。そのデータは一点炉動特性コードAGNESによる計算とポワソン分布を持つ乱数によって作成したものである。さらにTRACYを用いて取得された未臨界実験データにも適用した。その結果、反応度の評価値と基準値の差は-10$以上の条件でのシミュレーションデータに対しては5%程度以下の差であり、-1.4$と-3.1$での実験データに対しては、7%程度以下であった。条件変化の数十秒後に反応度を評価できる可能性がこれにより示された。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2021-037, 61 Pages, 2022/01
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和2年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下、「1F」という)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和元年度に採択された「燃料デブリ取出し臨界安全技術の高度化」の令和元年度と令和2年度の研究成果について取りまとめたものである。本課題は令和2年度が最終年度となるため2年度分の成果を取りまとめた。本研究の目的は、臨界解析に多くの経験を有するロシアの大学と連携して燃料デブリ取出しの際の臨界安全解析の高度化を図ることである。本研究は、令和元年度及び令和2年度の2年度計画として日本側は東京工業大学、東京都市大学が連携して実施し、ロシア側はロシア国立原子力研究大学(MEPhI)が実施した。令和元年度は、東京工業大学では高度な燃料デブリ水中落下臨界解析を行うのに必要な高速メモリを搭載したGPUサーバーの整備と導入したサーバーを用いた予備解析を行った。また東京都市大学では、ベンチマーク解析の解析条件を東京工業大学、MEPhIと協議して設定した。また、小型サーバーを導入しベンチマーク解析の予備解析を実施した。令和2年度は、東京工業大学では1Fの燃料デブリ取出し作業を想定した現実的な規模の体系において、粒子法を用いた燃料デブリの水中落下挙動のシミュレーションを実施し、さらに水中での燃料デブリの動きと最終的な堆積状態の計算結果を用いてモンテカルロ中性子輸送計算コードMVP3.0により臨界解析を行った。また東京工業大学、東京都市大学、MEPhIの3者でベンチマーク解析ケースの本解析を実施し、解析精度及び解析の高速化に関する知見を得た。ロシア側共同研究機関であるMEPhIとは、モスクワでワークショップを開催し、
柳澤 宏司
JAEA-Technology 2021-023, 190 Pages, 2021/11
燃焼による燃料の損耗が少ない低出力の試験研究炉の燃料棒と水減速材で構成される非均質格子体系の臨界特性の解析を、連続エネルギーモンテカルロコードMVP Version2と評価済み核データライブラリJENDL-4.0によって行った。解析では、定常臨界実験装置STACY及び軽水臨界実験装置TCAの二酸化ウラン燃料棒、並びに原子炉安全性研究炉NSRRのウラン水素化ジルコニウム燃料棒の非均質体系についての中性子増倍率の計算結果から最小臨界燃料棒本数を評価した。さらに中性子増倍率の成分である六種類の反応率比をあわせて計算し、単位燃料棒セルの水減速材と燃料の体積比に対する中性子増倍率の変化について説明した。これらの解析結果は、臨界安全ハンドブックでは十分に示されていない試験研究炉実機の燃料棒からなる水減速非均質格子体系の臨界特性を示すデータとして、臨界安全対策の合理性、妥当性の確認に利用できるものと考えられる。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2020-041, 30 Pages, 2020/12
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和元年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、「燃料デブリ取出し臨界安全技術の高度化」の令和元年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、ロシアの大学と連携して燃料デブリ取出しの際の臨界安全解析の高度化を図ることを目的とし、2年計画の1年目として東京工業大学,東京都市大学,ロシア国立原子力研究大学(MEPhI)が実施した。東京工業大学では高度な燃料デブリ水中落下臨界解析を行うのに必要な高速メモリを搭載したGPUサーバーの整備と導入したサーバーを用いた予備解析を行った。また東京都市大学では、ベンチマーク解析の解析条件を東京工業大学,MEPhIと協議して設定した。またモスクワで3機関によるワークショップを開催し、研究に関する意見交換を行い緊密に連携して研究を実施した。以上の活動により本研究の本年度の目的を達成することができた。
山根 祐一
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(8), p.926 - 931, 2020/08
被引用回数:1 パーセンタイル:10.11(Nuclear Science & Technology)中性子計数率の複雑な履歴から適時に反応度を評価する手法の開発に資することを目的として、準定常状態における出力の方程式を一点炉動特性方程式に基づいて導出した。その方程式は出力を新しい変数(出力の時間微分の関数)に線形的に関係づけている。一点炉動特性コードAGNESを用いた計算により点()はこの新しい方程式により示される直線に完璧に乗っていることが示された。また、TRACYを用いた未臨界過渡実験のデータから計算した点()はこの方程式が示す傾きを持つ直線を形作ることを確認した。
外池 幸太郎; 山根 祐一; 梅田 幹; 井澤 一彦; 曽野 浩樹
Proceedings of International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC 2015) (DVD-ROM), p.20 - 27, 2015/09
安全規制の観点で、福島第一原子力発電所における燃料デブリの臨界管理は、臨界を防止する決定論的な管理ではなく、臨界の影響を緩和するリスク管理の形態をとることになろう。原子力規制委員会・規制庁はこの課題に取組むために研究計画を策定した。日本原子力研究開発機構の安全研究センターでは、同規制委員会・規制庁の委託を受け、燃料デブリの臨界特性の解析、臨界リスク評価手法の開発、及びこれらを支援する臨界実験の準備を開始した。
中島 健*; 板原 國幸*; 奥野 浩
Proceedings of International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC 2015) (DVD-ROM), p.496 - 502, 2015/09
本論文では、2015年4月に日本原子力学会から発刊された「再処理施設の臨界安全管理における燃焼度クレジット適用手順:2014」(AESJ-SC-F025: 2014)の概要を述べる。同学会からは、既に60を超える標準が発刊されたが、その多くは、原子炉または廃棄物に対するものであった。また、10年前に同学会から発刊された「臨界安全管理の基本事項: 2004」(AESJ-SC-F004: 2004)では、臨界安全に関する基本的な考え方、核燃料を取り扱う施設の一般的な臨界安全の管理について記していたが、燃焼度クレジット採用の手順は含まれていなかった。この標準では、燃焼度クレジットを再処理工場に適用する上でこれら施設及び設備の設計、管理及び運転・保守に関わる者に対して具体的な手順を明確にして、臨界の防止に役立てることを目的にしている。
奥野 浩; 高田 友幸
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(4), p.481 - 492, 2004/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)「臨界安全ハンドブック」の「データ集」改訂のため、核特性パラメタを計算し、未臨界判定図を作成した。核特性パラメタは、無限中性子増倍率,移動面積及び拡散係数で、核燃料サイクル施設の臨界安全評価に用いられる11種類の典型的な燃料についてであった。これらの燃料には「データ集」に記載のなかったADU-HO, UF6-HF及びPu(NO)-UO(NO)溶液が含まれる。計算は、日本の評価済核データJENDL3.2及び一連の臨界計算コードSRAC,POST及びSIMCRIを用いて実施した。未臨界判定図は、中性子増倍率がkinf=0.98を満たす領域を(a)ウラン濃縮度,239Pu/Pu比、あるいはプルトニウム富化度と(b)H/(Pu+U)比という2つの変数間において、無限媒質での同じ燃料(UF6-HFを除く)について描いた。未臨界判定図の制限についても議論した。
奥野 浩; 龍福 進*; 須山 賢也; 野村 靖; 外池 幸太郎; 三好 慶典
JAERI-Conf 2003-019, p.116 - 121, 2003/10
この論文は、臨界安全ハンドブック・データ集第2版のために準備しているデータの概要について記す。これらのデータは、目次案に沿って議論されている。燃料サイクルの臨界安全評価においてしばしば遭遇する11種類の燃料について核的パラメタ(k, M, D)を導き、未臨界判定図を描いた。臨界データの計算にあたっては、連続エネルギーモンテカルロ臨界計算コードMVPと日本の評価済核データJENDL-3.2の組合わせを用いたベンチマーク計算を行った。この組合わせに対する計算誤差を評価した。NUCEF施設を用いて得られた実験結果のデータ集第2版への採用は討議中である。このため、関連データを言及するに留めている。改訂データの探索が容易なようにデータベースを準備している。
NUCEF2001ワーキンググループ
JAERI-Conf 2002-004, 714 Pages, 2002/03
本報文集は、2001年10月31日-11月2日に開催された第3回NUCEF国際シンポジウム「NUCEF 2001」における基調講演論文,研究発表論文(口頭及びポスター)を収録したものである。今回のシンポジウムは1995年の第1回(報文集JAERI-Conf 96-003)及び1998年の第2回(報文集JAERI-Conf 99-004)に引き続いて開催されたもので、今回のテーマは「臨界安全性、分離プロセス及び放射性廃棄物処分に関する科学的基盤」である。基調講演及び研究発表は(1)臨界安全性,(2)分離プロセス,(3)放射性廃棄物処分,(4)TRU化学の各分野から計94件であった。
小室 雄一
日本原子力学会誌, 42(12), p.1301 - 1310, 2000/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)1995年から1999年までに出版された文献やインターネットのホームページ等を参考に、米国における臨界安全性に関わる動きの一部をまとめた。臨界安全性に関わる文献からは、米国エネルギー省(DOE)発行の3つの文献及び核的臨界安全ガイドLA-12808を紹介する。続いて、ANSI/ANS-8.15作業部会の活動、新しい臨界計算コードの中から連続エネルギー版KENO V.aコード、臨界実験群からZeus、及びDOEの海外協力の一つについて紹介する。
小室 雄一
Journal of Nuclear Science and Technology, 37(6), p.548 - 554, 2000/06
1992年、米国エネルギー省は臨界安全ベンチマーク評価プロジェクトを開始した。その後、本プロジェクトは経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)の下での国際的な活動に形態を改め、活動を続けている。活動の成果は「国際臨界安全ベンチマーク実験ハンドブック」と題する文献にまとめられ、その内容は年々更新されている。ハンドブックには世界中のたくさんの施設で行われた臨界実験のデータが収められており、おもに、臨界安全評価手法の検証のための活用が期待されている。しかし、濃縮度20wt%のウラン燃料を用いて臨界実験のデータはまだない。本稿では、この濃縮度ギャップを埋めるため、濃縮度20wt%のウラン燃料炉心を有するアジアの研究炉の研究者に、実験データの提供を訴える。
NUCEF'98企画ワーキンググループ
JAERI-Conf 99-004, 712 Pages, 1999/03
本報文集は、1998年11月16-17日に開催された第2回NUCEF国際シンポジウム(NUCEF'98)における基調講演論文、研究発表論文(口頭及びポスター)を収録したものである。今回のシンポジウムは1995年の第1回(報文集JAERI-Conf 96-003)に引き続いて開催されたもので、今回のテーマは「核燃料サイクルにおける安全研究と基盤技術開発」である。基調講演及び研究発表は(1)臨界安全、(2)再処理・群分離、(3)廃棄物管理の各分野から計68件であった。
桜井 聡; 荒川 拓也*; 奥野 浩
Journal of Nuclear Science and Technology, 35(5), p.365 - 369, 1998/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)均質硝酸プルトニウム溶液体系の無限中性子増倍率(k)に与える有機溶媒の影響をMNCP-4Aを用いた数値計算によって調べた。その結果、硝酸プルトニウム-30vol%リン酸トリブチル-ドデカン有機溶媒系のkは硝酸プルトニウム水溶液系のkとほぼ等しいことを確認した。しかし、結果をより子細に眺めると、有機溶媒系のkは70gPu/l以下では水溶液系の対応値よりも僅かに大きくなった。それゆえ、Pu(NO)水溶液系の推定臨界下限濃度が6.9gPu/lであるのに対して、有機溶媒系の推定臨界下限濃度は6.8gPu/lとなった。また、有機溶媒系のリン酸トリブチル濃度が上昇するとkが増加する傾向も見出した。
奥野 浩; 酒井 友宏*
Criticality Safety Challenges in the Next Decade, 0, p.150 - 155, 1997/00
燃料棒配列の不均一性を考慮した上での最大中性子増倍率を求める計算方式を開発した。用いた原理は、燃料セル面積の重要度関数を一定にする配列を求めるものである。この計算方式を、まず水に漬かった二酸化ウラン燃料棒の1次元配列に適用した。水反射体側の数ピッチを狭めた燃料棒配列において、中性子増倍率は相対的に約1%k/k増加した。次に、単純化したBWR燃料集合体、即ち88燃料棒配列で中心に太い水の棒を配置した体系に適用した。薄い水反射体の外側に課した境界条件に依存して、1から3%k/kの中性子増倍率の増加が得られた。この計算方式は近似を含むが、最適燃料棒配列を計算する最初の試みで、燃料貯蔵及び輸送の臨界安全評価に適用可能である。
奥野 浩; 野村 靖
日本原子力学会誌, 39(10), p.832 - 841, 1997/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)「臨界安全ハンドブック第2版」の作成も臨界安全性実験データ検討ワーキンググループにおいて最終の検討段階に入っている。第2版は、日本における最新の研究成果を取り入れた。本稿では、第1版(1988年に発刊)の継続課題として検討されたものの中から、(1)非均質な体系であっても均質と見なせる燃料粒径の大きさ、(2)均質燃料で燃料分布が不均一になったときの反応度効果、(3)水没を仮定しない臨界安全評価の方法、(4)燃料の燃焼を考慮したときの臨界データ、について内容を解説する。さらに、第1版ではもともと範囲外としていた化学プロセスの臨界に関する事項及び臨界事故関連事項について概要を紹介する。最後に、第3次版を目指した準備状況についても触れる。