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郡司 智; 荒木 祥平; 井澤 一彦; 須山 賢也
Annals of Nuclear Energy, 209, p.110783_1 - 110783_7, 2024/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)燃料デブリの組成や性状は不確実であるため、臨界安全性評価に使用される計算コードや核データを検証するには臨界実験が必要である。このため、原子力機構は、臨界集合体STACYの改造を行っている。STACY更新炉の初臨界は2024年春に予定されている。本稿では、STACY更新炉の初臨界時の基本炉心構成仕様の特性について事前解析の結果を報告する。初臨界時には中性子減速条件の異なる2種類の格子板(格子間隔は1.50cmと1.27cm)を用意される。一方で、利用可能なUO燃料棒の数には制限がある。これらの実験的制約を満たす最初の臨界のための炉心構成は、計算解析によって設計された。最適減速条件に近い1.50cmピッチの格子板を備えた円柱形の炉心構成では、臨界に達するには253本の燃料棒が必要となる。1.27cmピッチの格子板については、ピッチを2倍にして2.54cmピッチの炉心構成を検討した。この場合、臨界に達するには213本の燃料棒が必要となる。さらに、燃料デブリの様態をシミュレートするために、鉄またはコンクリート模擬棒を使用した実験炉心構成についても検討した。本稿では、これらの炉心構成と炉心特性の解析結果を示す。
郡司 智
炉物理の研究(インターネット), (77), 11 Pages, 2024/06
炉物理国際会議PHYSOR2024に参加し、会議の概要や感想等をまとめた。STACY更新炉におけるコンクリート模擬体を用いた実験に関する自発表の内容、質疑についてもあわせて示す。(本原稿は日本原子力学会炉物理部会編集小委員会からの執筆依頼に基づくものである)
郡司 智; 荒木 祥平; 井澤 一彦; 須山 賢也
Proceedings of International Conference on Physics of Reactors (PHYSOR 2024) (Internet), p.227 - 236, 2024/04
東京電力福島第一原子力発電所事故では大量の燃料デブリが発生したと考えられている。特に、溶融炉心-コンクリート相互作用(MCCI)の生成物であるコンクリート成分を含む燃料デブリの臨界特性はこれまで十分に調査されていない。本研究では、コンクリートを含む模擬燃料デブリ試料を用いた臨界集合体での臨界実験を計画するため、コンクリート成分におけるSi断面およびCa断面の実効増倍率に対する感度を、試作試料の元素分析に基づき計算解析を用いて評価した。これらの感度計算は、試料の装荷方法および組成ごとに実施・評価された。我々は、Ca捕捉反応の感度のエネルギープロファイルに注目し、試料組成や中性子減速条件によって感度エネルギープロファイルの形状が変化することを確認した。異なる実験ケースで得られた感度の傾向を明らかにすることで、各実験法の特徴を知見として得た。試料中のコンクリートの量を増やし、実験炉心構成における中性子減速条件を変更した場合にも、同様に感度エネルギープロファイルの形状に変化が生じることがわかった。この結果は、核分裂性物質を含まないコンクリート試料を用いた実施可能な臨界実験により、MCCI製品の核的特性を再現できる可能性を示す。
郡司 智; 荒木 祥平; 新垣 優; 井澤 一彦; 須山 賢也
Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 9 Pages, 2023/10
原子力機構は、東京電力福島第一原子力発電所の事故で発生した燃料デブリの臨界特性の解析結果を検証するために、STACYと呼ばれる臨界集合体を溶液体系から軽水減速非均質体系に更新している。燃料デブリの組成や特性を実験的に模擬するために、特定の中性子減速条件を作る格子板や、棒状のコンクリートやステンレス鋼材を複数用意する予定である。これらの装置や材料を用いて、燃料デブリの臨界特性を評価する実験が予定されている。この一連のSTACY実験では、燃料デブリを模擬した試料の反応度測定、コンクリートやステンレス鋼などの構造材を含む炉心構成の臨界量測定、それらの配置が不均一になった場合の臨界量変化などが含まれている。さらに、燃料デブリの落下を静的に模擬した2つの分割炉心実験と、部分的に異なる中性子減速条件での未臨界測定実験などを予定している。これらの実験計画は、いくつかの実験的制約を考慮して検討された。本論文では、これらの実験のスケジュール、最適化された炉心構成の計算結果、及び各実験で期待される結果について示す。
川口 真穂*; 柴 茂樹*; 岩橋 大希*; 大川 剛*; 郡司 智; 井澤 一彦; 須山 賢也
Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 8 Pages, 2023/10
原子力規制委員会は、2014年から日本原子力研究開発機構(JAEA)と共同で、福島第一原子力発電所事故で発生した燃料デブリの臨界性を評価するための実験的アプローチに取り組んでいる。その一環として、擬似燃料デブリの特性を評価する臨界実験を実施するため、原子力機構は臨界実験装置STACY(STAtic experiment Critical facilitY)を改良した。予備解析として、提案した炉心配置パターンについて、主要な核データライブラリを用いて臨界特性を検証した。3次元連続エネルギーモンテカルロ中性子・光子輸送コードSERPENT-V2.2.0と最新のJENDL-5を用いた。その結果、STACY更新炉の炉心配置パターン全てにおいてJENDL-5による中性子増倍率は、他のライブラリを使用した結果と比較して大きく評価された。また、JENDL-5のH散乱反応及びU核分裂反応断面積の感度係数は他のライブラリとは異なっていた。これらのライブラリとの比較から、JENDL-5の更新されたS(, )は、STACY更新炉の臨界特性の評価結果に影響を与える可能性があることがわかった。
郡司 智; 荒木 祥平; 渡邉 友章; Fernex, F.*; Leclaire, N.*; Bardelay, A.*; 須山 賢也
Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 9 Pages, 2023/10
フランス放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)と日本原子力研究開発機構(JAEA)は、臨界安全分野において長年のパートナーシップを築いている。今回の共同研究でIRSNとJAEAは、JAEAが更新する新しい臨界実験装置STACYを用いた共同実験を計画している。STACY実験の計画で両機関が使用するコード(MVP3, MORET6など)や核データ(JENDL, JEFF)を比較するため、両機関がかつて所有していた臨界集合体であるApparatus BとTCAのICSBEPハンドブックからのベンチマーク、新しいSTACYの計算モデルについて計算結果の比較が実施された。新STACYの計算モデルを含め、数種類の中性子減速条件と臨界水高さを含む計算を行い、その計算結果には、核データライブラリの処理や形式に起因すると思われるわずかな系統的な差異があった。しかし、新しいコードと新しい核データを含む計算結果は、概して実験値とよく一致することがわかった。したがって、双方の有する計算ツールを新STACYの実験設計に利用することに問題はない。加えて、JENDL-5に含まれる新しいTSLデータが実効増倍率に与える影響についても計算解析で調査した。これらの計算結果に対する実験的検証は、両研究機関共同による新STACYの臨界実験によって行われる予定である。
須山 賢也; 植木 太郎; 郡司 智; 渡邉 友章; 荒木 祥平; 福田 航大; 山根 祐一; 井澤 一彦; 長家 康展; 菊地 丈夫; et al.
Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 6 Pages, 2023/10
2011年の福島第一原子力発電所の事故により発生した燃料デブリの臨界安全性評価において採用される手法の妥当性を臨界実験で得られたデータに基づいて検証するため、NRAからの委託により原子力機構は2014年から関連研究開発プロジェクトを実施している。このプロジェクトにおいては、i)燃料デブリの臨界特性の網羅的計算とデータベース化(燃料デブリ臨界マップの開発)、ii)新しい連続エネルギーモンテカルロコードの開発、iii)臨界事故の評価、iv)臨界安全性評価手法の検証実験のための臨界集合体STACYの改良などが行われている。前回のICNC2019以降、本プロジェクトは2024年5月に正式運転を開始するSTACYの改造やパワースペクトルに準拠した空間ランダム分布を持つ物質の臨界計算に適したモンテカルロコード「Solomon」の開発で大きな進展があった。本発表では、この研究開発プロジェクトの全体像と各技術トピックの状況について紹介する。
郡司 智; 吉川 智輝; 荒木 祥平; 井澤 一彦; 須山 賢也
Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 8 Pages, 2023/10
燃料デブリの組成や特性は不確かであるため、安全評価に用いる計算コードや核データの妥当性を検証するための臨界実験が必要である。このため、原子力機構は「STACY」と呼ばれる臨界実験装置の更新改造を進めてきた。新STACYの初臨界は、2024年春に予定されている。本論文では、新STACYの初臨界時の炉心構成について検討した結果を報告する。初臨界時には、中性子減速条件の異なる2組の格子板(間隔は1.50cmと1.27cm)が用意される。しかし、使用可能なUO燃料棒の本数には400本までの制限がある。また、初臨界の臨界水高さを95cm程度に設定したい。これは、アルミニウム合金製の中間格子板(高さ約98cm)の有する反応度影響を回避するためである。この条件を満たす初臨界の炉心配置を計算機解析で構築した。最適な減速条件に近い1.50cmの格子板を用いた正方形の炉心構成では、臨界に達するまでに261本の燃料棒が必要である。1.27cmの格子板については、1.80cm間隔で市松模様に燃料棒を配置した2つの炉心配置を検討した。一つは1.27cmと1.80cmの2つの領域を持つ炉心配置で、もう一つは1.80cmのみの炉心配置である。臨界に必要な燃料棒は、それぞれ341本と201本である。本論文では、これら3つの炉心構成とその計算モデルについて示す。
荒木 祥平; 郡司 智; 新垣 優; 吉川 智輝; 村上 貴彦; 小林 冬実; 井澤 一彦; 須山 賢也
Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 8 Pages, 2023/10
福島第一原子力発電所で発生した燃料デブリの臨界管理に資するため、STACY更新炉においてデブリ模擬炉心の検討を進めている。燃料輸送の問題から実験に利用可能な燃料棒本数に制限がある中で、低減速条件の炉心を構成するため、テスト領域とドライバ領域からなる2領域炉心を検討した。中性子スペクトル及びコンクリート模擬体を装荷した際の感度をMCNPとENDF/B-VIIを用いて計算した。テスト領域が1717の炉心は1313サイズの領域において低減速条件のスペクトルをRMSPEが5%以下で模擬できることを明らかにした。
曽野 浩樹; 井澤 一彦; 頼経 勉; 須山 賢也; 外池 幸太郎
Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 7 Pages, 2023/10
原子力機構にはこれまで9つの臨界実験装置が建設・運転され、2023年現在、4施設が解体済み、4施設が廃止措置に移行し、原子炉運転を前提に現存するのはSTACYのみである。STACYは「ウラン硝酸溶液燃料を用いる臨界実験装置」から「軽水減速材及びウラン棒状燃料を用いる臨界実験装置」に炉心改造され、2024年の運転再開を予定している。STACY更新炉では、福島第一原子力発電所の燃料デブリ取出しに向けた燃料デブリ臨界データ取得が当面の目的であるが、その後も次世代軽水炉開発ほか、その他教育訓練運転など様々な利用も見込まれる。これらの活動は、日本だけでなく、国際的な共同研究や共同利用にも役立つものである。
小林 冬実; 深谷 洋行; 井澤 一彦; 木田 孝; 曽野 浩樹; 須山 賢也
Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 7 Pages, 2023/10
STACY更新炉の臨界実験では、模擬燃料デブリのサンプルを用いて、福島第一原子力発電所(1F)事故デブリ臨界安全性評価に使用するシステムの検証用データを取得する。模擬燃料デブリは、酸化ウランと構造材(鉄、シリコン、ジルコニウムなど)を含む直径8mm、高さ10mmのペレットである。ペレットは、二酸化ウラン粉末と構造材料粉末を混合、加圧、焼結して製造される。UO粉末は、燃料組成の誤差を減らすために、STACYのドライバ燃料と同じ組成のウランを使用する。BECKYには、模擬燃料デブリの臨界特性を高精度に評価及び分析するために、模擬燃料デブリ調製設備や分析設備が設置されている。これらの設備は同じ実験室に設置されており、模擬燃料デブリの調製や照射前後の分析などの実験ニーズに迅速に対応できる。
荒木 祥平; 郡司 智; 新垣 優; 村上 貴彦; 吉川 智輝; 長谷川 健太; 多田 裕太; 井澤 一彦; 須山 賢也
Proceedings of 4th Reactor Physics Asia Conference (RPHA2023) (Internet), 4 Pages, 2023/10
STACY更新炉における熱出力校正試験に向けて、放射化箔を用いた積算出力の評価方法の妥当性を検証するため、溶液系STACYで測定された放射化実験データを用いて、積算出力を評価した。放射化法による評価結果と溶液系STACYにおいて出力評価に用いられていた核分裂生成物の測定による評価結果とを比較し両者がよく一致することを確認した。
郡司 智; 荒木 祥平; 須山 賢也
Nuclear Science and Engineering, 197(8), p.2017 - 2029, 2023/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)東京電力福島第一原子力発電所の事故で発生した燃料デブリには、非均質な組成だけでなく、不均一な組成も予想される。同様に原子炉容器内に残っている損傷した燃料集合体も一部の燃料棒が欠損しているため組成が不均一になっている。これらの不均一性は中性子増倍率の変化を引き起こす可能性がある。このような不均一性が中性子増倍率に及ぼす影響を計算により明らかにして、臨界管理に用いる計算の実験的検証の可能性を検討する。本研究では、日本原子力研究開発機構の新臨界集合体STACYにおいて、ウラン酸化物燃料棒,コンクリート棒,ステンレス鋼棒を不均一に配置した複数の炉心構成の臨界効果を調べ、ベンチマーク化の可能性を確認した。これらの配置の違いによって、中性子増倍率は1$以上変化し、局所的な中性子減速条件の変化と特定の部材のクラスター化がこの効果をもたらすことを確認した。さらに不均一配置のベンチマーク実験炉心の実現可能性も評価した。このような実験のベンチマークデータ化を実現できれば、計算コードの妥当性の検証、計算コードの検証、及び機械学習による臨界管理手法の開発に役立つと考えられる。
柴 茂樹*; 岩橋 大希*; 大川 剛*; 郡司 智; 井澤 一彦; 須山 賢也
Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 9 Pages, 2023/05
原子力規制委員会は2014年より日本原子力研究開発機構と共同して実際の燃料デブリを模擬した模擬燃料デブリの臨界性を判断するための実験に取り組んでいる。日本原子力研究開発機構は模擬燃料デブリの特性を解明することを目的とした燃料デブリを模擬した臨界実験を実施するためSTACY(STAtic experiment Critical facilitY)を改造した。そこでは3種類のSTACY更新炉の炉心構成が提案されている。STACY更新炉での臨界実験では、提案した炉心構成が溶融炉心-コンクリート相互作用デブリを代表するものかどうかを判断することが重要である。本研究では、擬似燃料デブリと減速材の体積比(V/V)を考慮した擬似燃料デブリ・モデルを構築し、SCALE6.2の感度及び不確かさ解析手法の実装のためのツール-指標及びパラメータ(Tools for Sensitivity and Uncertainty Analysis Methodology Implementation-Indices and Parameters: TSUNAMI-IP)を用いて、修正STACY炉心形状と疑似燃料デブリ・モデルの間の不確かさに基づく類似性値(C)の算出を行った。その結果、我々が提案したSTACY更新炉の炉心に装荷される構造材棒は、V/V値を通じて疑似燃料デブリ模型と高い類似性を持つことが示された。C値への主な寄与は、極めて高いコンクリート成分を含む疑似燃料デブリモデルを除き、U , U , Fe (n,)であった。
郡司 智; 外池 幸太郎; Clavel, J.-B.*; Duhamel, I.*
Journal of Nuclear Science and Technology, 58(1), p.51 - 61, 2021/01
被引用回数:2 パーセンタイル:20.42(Nuclear Science & Technology)新しい臨界実験装置STACY更新炉は、燃料デブリに関連する臨界計算の検証に貢献することができ、原子力機構(JAEA)と仏IRSNの共同研究として実験炉心設計が進行中である。この論文では、燃料デブリの溶融炉心コンクリート相互作用(MCCI)を模擬した模擬燃料デブリの臨界特性を測定するための新しいSTACYの炉心設計を最適化するために適用される方法を示す。炉心設計がコード検証に関連していることを確認するには、関心のある主要な同位体が持つ反応度価値と、断面積に対する実効増倍率kの感度を評価することが重要である。この研究で説明されている燃料デブリの場合、特にそのコンクリート組成では、ケイ素が断面に対するk感度が最も高くなる核種である。最適なアルゴリズムを使用して評価に最適な炉心設計を効率的に見つけ、ケイ素の捕獲断面積の高い感度を得るために、格子ピッチや炉心の寸法などのいくつかのパラメーターを調整した。これらの最適化手法の適用結果に基づいて、MCCIの興味深い感度フィードバックを得るための新しいSTACYでの燃料デブリの現実的な一連の実験を定義できた。この方法論は、新しいSTACYの他の実験条件を設計するのに役立てることができる。
荒木 祥平; 郡司 智; 外池 幸太郎; 小林 冬実; 井澤 一彦; 小川 和彦
Proceedings of European Research Reactor Conference 2020 (RRFM 2020) (Internet), 7 Pages, 2020/10
原子力機構では、定常臨界実験装置STACYを更新することにより、ウラン燃料棒と軽水減速材で炉心を構成する新たな臨界実験装置を整備している。ウラン燃料棒はロシアのNCCP社で製造された。更新後、最初の実験キャンペーンとして、燃料デブリ模擬臨界実験を予定しており、そこで得られる実験データは、福島第一原子力発電所燃料デブリ取出しに係る臨界解析手法の検証に用いられる。STACY更新炉は汎用の臨界実験装置であり、軽水炉の炉心・燃料設計の高度化、臨界安全評価・管理の高度化、基礎的な炉物理研究、人材育成など、広い用途に供される。
井澤 一彦; 石井 淳一; 大久保 卓哉; 小川 和彦; 外池 幸太郎
Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC 2019) (Internet), 9 Pages, 2019/09
日本原子力研究開発機構は臨界実験装置STACYを非均質体系に変更する更新計画を進めている。更新されたSTACYでは、福島第一原子力発電所事故によって生成された燃料デブリを想定した臨界解析結果の検証のための実験が計画されている。STACY更新炉の初臨界は2021年初めに予定されている。初臨界後は、STACYでは「基本炉心」を構成し、運転員の習熟と実験結果の不確かさを把握するための一連の運転が行われる。STACY更新炉の初臨界に先立ち、基本炉心の核特性を把握するための一連の核特性解析を行った。本発表では、基本炉心の炉心構成条件を示すとともに、新規制基準のもとで炉心に課される諸条件をあきらかにする。
郡司 智; Clavel, J.-B.*; 外池 幸太郎; Duhamel, I.*
Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC 2019) (Internet), 11 Pages, 2019/09
臨界実験施設STACY更新炉は、燃料デブリに関する臨界計算の検証に貢献することができる。実験炉心設計はJAEA/IRSNの共同研究で進行中である。本論文では、溶融炉心コンクリート相互作用(MCCI)デブリの擬似燃料デブリの臨界特性を測定するためのSTACY更新炉の実験炉心構成の設計を最適化するために適用した方法を示した。炉心構成がコード検証に資することを確認するために、模擬デブリに含まれる同位体の反応度価値と反応断面積に対するkeff感度を評価することが重要である。Siの捕獲反応の感度を最大化するために、例えば格子ピッチまたはコア寸法などのコア構成の複数のパラメータを最適化するアルゴリズムを使用して最適な炉心構成を効率的に研究した。
関 真和; 前川 知之; 井澤 一彦; 曽野 浩樹
JAEA-Technology 2017-038, 52 Pages, 2018/03
日本原子力研究開発機構では、溶液燃料を用いるSTACY(定常臨界実験装置)施設を「棒状燃料と軽水減速材を用いる熱中性子炉用臨界実験装置(STACY更新炉)」に更新する計画を進めている。これまでのSTACYは、炉心タンクへ供給する溶液燃料の体積を調整する液位制御方式を採用していたが、STACY更新炉は、炉心タンクへ減速材の給水量を調整する水位制御方式を採用する。この水位制御について、これまでに行った基本設計の妥当性を検証するため、実機とほぼ同一構造の設備・機器を用いた給排水系モックアップ試験装置を製作した。モックアップ試験では、最大給水流量の制限、給水流量の調整、給水停止等の性能確認を行った。本書では、STACY更新炉給排水系のモックアップ試験の結果について報告する。
郡司 智; 外池 幸太郎; 井澤 一彦; 曽野 浩樹
Progress in Nuclear Energy, 101(Part C), p.321 - 328, 2017/11
被引用回数:3 パーセンタイル:26.88(Nuclear Science & Technology)燃料デブリ、特にMCCI(溶融炉心コンクリート相互作用)生成物の臨界安全性は、福島第一原子力発電所廃炉における主要な安全課題のひとつである。燃料デブリが臨界なのか未臨界であるのかは依然として不確かである。その組成、位置、中性子減速条件などは未だ確認できていない。燃料デブリの臨界制御にあたって、冷却水中に混ぜる中性子毒物の有効性は不確実である。そこで日本原子力研究開発機構(JAEA)では、そのような組成・中性子減速など取りうる条件を広くカバーし、燃料デブリのサンプルが取得され、その条件が判明した場合の臨界特性の評価に寄与する解析データベースを構築する。この計算モデルには、臨界実験によって明らかにされるべき不確かさも含まれる。これらの実験は、改造されたSTACY(定常臨界実験装置)と燃料デブリ組成を模擬したサンプルを用いて実施される予定である。各々のサンプルは、その外形はSTACYの燃料棒と同等で同じくジルカロイ被覆されたものである。この論文では、MCCI生成物を模擬したサンプルの反応度価値を測定するための実験炉心構成の研究について報告している。一連の実験における計算モデルで考慮されるパラメータは次のとおりである:(1)3, 4, 5wt.%のU濃縮度を持つ二酸化ウラン、(2)0, 20, 40, 60及び80%のコンクリート体積割合、並びに(3)0-80%のサンプルの空隙率。この測定実験は、減速不足および加減速の条件で実施できると結論付けられた。また、実験に必要なサンプル量が推定された。