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報告書

福島原子力発電所事故由来の難固定核種の新規ハイブリッド固化への挑戦と合理的な処分概念の構築・安全評価(委託研究); 令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業

廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*

JAEA-Review 2024-012, 122 Pages, 2024/09

JAEA-Review-2024-012.pdf:6.31MB

日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下、「1F」という)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「福島原子力発電所事故由来の難固定核種の新規ハイブリッド固化への挑戦と合理的な処分概念の構築・安全評価」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、1F事故で発生した多様な廃棄物を対象とし、固定化が難しく長期被ばく線量を支配するヨウ素(I)、$$alpha$$核種のマイナーアクチノイド(MA)に注目し、これらのセラミクス1次固化体を、更に特性評価モデルに実績を有するSUSやジルカロイといったマトリクス材料中に熱間等方圧加圧法(HIP)等で固定化した"ハイブリッド固化体"とすることを提案する。核種閉じ込めの多重化、長期評価モデルの信頼性の向上により実効性・実用性のある廃棄体とし、処分概念を具体化する。潜在的有害度及び核種移行の観点から処分後の被ばく線量評価を行い、安全かつ合理的な廃棄体化法、処分方法の構築を目的としている。2年目の令和4年度は、1F模擬廃棄物の合成実験、各種放射線照射実験、浸出試験、ハイブリッド固化体の構造解析、固化元素の電子状態変化の放射光分析を行った。種々の計算でI固化体の固溶エネルギー、マトリクスと1次固化体との相互作用を解明した。実験と計算検討により、ヨウ素廃棄物にはマトリクスとしてSUSが適すると結論付けた。ハイブリッド固化体からの核種移行、被ばく線量に対する人工バリア、天然バリア機能の感度解析により、廃棄体寿命を長くすることが長半減期かつ難固定性のI-129には効果的であることが明らかとなった。以上により、廃棄物合成から廃棄物処分時の安全評価までの結節が達成された。

論文

Enhancing mechanical properties of medium Mn steel by warm rolling based on laminated elemental segregation

Chen, H. F.*; Liu, B. X.*; 徐 平光; Fang, W.*; Tong, H. C.*; Yin, F. X.*

Journal of Materials Research and Technology, 32, p.3060 - 3069, 2024/09

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)

The hot-rolled microstructure of medium Mn steel has coarse grains and severe elemental segregation, resulting in low strength and plasticity. Constructing a multiphase structure, refining the microstructure, and regulating elemental segregation enhance the mechanical properties. In this study, liquid nitrogen treatment created a layered distribution of austenite and martensite. Warm rolling was then used to reduce layer thickness and refine grain structure. After liquid nitrogen and warm rolling treatments, the strength and plasticity of medium Mn steel increased to 1270 MPa and 23.3%, respectively, far exceeding the hot-rolled state (724 MPa, 12.8%). Warm rolling also triggers austenite reverted transformation (ART) and introduces high-density dislocations, further improving austenite stability. This strengthening effect is higher than that from intercritical annealing alone. Improved austenite stability delays the transformation induced plasticity (TRIP) effect, preventing brittle fracture and enhancing deformation coordination between layers, significantly increasing the plastic deformation capacity of medium Mn steel.

論文

Thermal stability of retained austenite with heterogeneous composition and size in austempered Fe-2Mn-1.5Si-0.4C alloy

渡邊 未来*; 宮本 吾郎*; Zhang, Y.*; 諸岡 聡; Harjo, S.; 小林 康浩*; 古原 忠*

ISIJ International, 64(9), p.1464 - 1476, 2024/07

The mechanical properties of TRIP steels depend on heterogeneities of chemical composition and grain size in the retained $$gamma$$ structure, although these heterogeneities have not been characterized in detail. Therefore, in this study, we quantitatively investigate the inhomogeneous carbon concentration and grain size distribution, and its effects on the thermal stability of the retained $$gamma$$ in Fe-2Mn-1.5Si-0.4C (mass%) TRIP steel using FE-EPMA, EBSD, M$"o$ssbauer spectroscopy, and in-situ neutron diffraction during bainitic transformation at 673 K. In-situ neutron diffraction experiments detects high-carbon $$gamma$$ evolving during bainite transformation, in addition to the original $$gamma$$, and the time variation of the volume fraction of highcarbon $$gamma$$ agrees well with the fraction of $$gamma$$ retained at room temperature. Williamson-Hall analysis based on peak width suggests that heterogeneity of carbon content exists even within the high-carbon $$gamma$$. Compositional analysis using FE-EPMA and three-dimensional atom probe directly revealed that fine filmy $$gamma$$ was highly enriched with carbon compared to larger blocky $$gamma$$, and the carbon content in blocky $$gamma$$ decreases with increasing blocky $$gamma$$ size. DICTRA simulation qualitatively reproduces the size dependency of carbon enrichment into $$gamma$$. It was also found that $$gamma$$ tends to be retained at higher carbon content and smaller $$gamma$$ grain size since the smaller grain size directly improves thermal stability and the smaller $$gamma$$ size further contributes to the thermal stability via enhanced carbon enrichment.

論文

The Effects of unburned-gas temperature and pressure on the unstable behavior of cellular-flame fronts generated by intrinsic instability in hydrogen-air lean premixed flames under adiabatic and non-adiabatic conditions; Numerical simulation based on the detailed chemical reaction model

Thwe Thwe, A.; 門脇 敏; 永石 隆二

Journal of Nuclear Science and Technology, 60(6), p.731 - 742, 2023/06

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)

本研究では、詳細な化学反応を考慮した非定常反応流れの数値計算を遂行し、固有不安定性による水素-空気希薄予混合火炎の不安定挙動を調べ、未燃ガス温度と圧力の影響を明らかにした。広い空間における火炎の不安定挙動をシミュレートし、セル状火炎の燃焼速度を求めた。そして、火炎不安定挙動に及ぼす熱損失および火炎スケールの効果を精査した。平面火炎の燃焼速度は、未燃ガスの温度が上昇すると増加し、未燃ガスの圧力と熱損失が上昇すると減少する。平面火炎の燃焼速度で標準化したセル状火炎の燃焼速度は、圧力(温度)の上昇と共に増大(減少)する。熱損失が存在する場合、標準化したセル状火炎の燃焼速度は、断熱の場合より大きくなる。これは、未燃ガスの高圧力と熱損失は、火炎の不安定挙動と不安定性をプロモートするからである。

報告書

福島原子力発電所事故由来の難固定核種の新規ハイブリッド固化への挑戦と合理的な処分概念の構築・安全評価(委託研究); 令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業

廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*

JAEA-Review 2022-072, 116 Pages, 2023/03

JAEA-Review-2022-072.pdf:6.32MB

日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(1F)の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和3年度に採択された「福島原子力発電所事故由来の難固定核種の新規ハイブリッド固化への挑戦と合理的な処分概念の構築・安全評価」の令和3年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、1F事故で発生した多様な廃棄物を対象とし、固定化が難しく長期被ばく線量を支配するヨウ素(I)、$$alpha$$核種のマイナーアクチノイド(MA)に注目し、これらのセラミクス1次固化体を、更に特性評価モデルに実績を有するSUSやジルカロイといったマトリクス材料中に熱間等方圧加圧法(HIP)等で固定化した"ハイブリッド固化体"とすることを提案する。核種閉じ込めの多重化、長期評価モデルの信頼性の向上により実効性・実用性のある廃棄体とし、処分概念を具体化する。潜在的有害度及び核種移行の観点から処分後の被ばく線量評価を行い、安全かつ合理的な廃棄体化法、処分方法の構築を目的としている。初年度の令和3年度は、1次固化体の合成と物性評価、核種浸出性の評価、放射線影響の解明、1次固化体の構造解析、放射光を用いた固化元素の電子状態、結合性、局所構造解析、計算科学を用いた1次固化体ならびにハイブリッド固化体物性の解明、溶出モデルの検討、ハイブリッド固化体の検討、処分概念・安全評価の検討について準備が完了し、リファレンスの1次固化体とHIP試料の作製、その物性評価、放射線照射実験、放射光実験、第一原理計算の成果が得られている。

論文

J-PARC 3GeVシンクロトロン1MW運転状況,2

山本 風海; 山本 昌亘; 山崎 良雄; 野村 昌弘; 菅沼 和明; 藤来 洸裕; 神谷 潤一郎; 仲野谷 孝充; 畠山 衆一郎; 吉本 政弘; et al.

Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.277 - 281, 2023/01

J-PARC 3GeVシンクロトロン(3GeV Rapid Cycling Synchrotron, RCS)は物質生命科学実験施設(Materials and Life science experimental Facility: MLF)および主リング(Main Ring: MR)に最大1MW相当のビームを供給している。RCSは改良を重ねつつ徐々にビーム出力を上げていき、2015年に1MW相当の試験運転に成功した。その後、供用運転としても段階的にビーム出力を増加しながら、1MWの連続運転試験を断続的に行ってきたが、2020年6月に二日間の連続運転試験を実施した際には、最終的に冷却水温度が上昇し、機器の温度を下げることが出来なくなりインターロックが発報する事態となった。その後冷却水設備の熱交換器の洗浄を実施し、2022年6月に再度1MWビーム連続運転試験を行った。2022年6月の試験時は猛暑日となり、熱交換器の性能は改善されていたにも関わらず、1MWでは運転を継続できなかった。一方、600kWであれば猛暑日であっても運転できることを確認した。

報告書

ウラニル錯体化学に基づくテーラーメイド型新規海水ウラン吸着材開発(委託研究); 令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業

廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*

JAEA-Review 2022-028, 54 Pages, 2022/11

JAEA-Review-2022-028.pdf:2.97MB

日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和元年度に採択された「ウラニル錯体化学に基づくテーラーメイド型新規海水ウラン吸着材開発」の令和元年度から令和3年度の研究成果について取りまとめたものである。本課題は令和3年度が最終年度となるため3年度分の成果を取りまとめた。本研究では、海水中におけるウラン支配種であるウラニルイオンが他の金属にはまず見られない平面5座配位を好むというユニークな錯体化学的特徴を示すことに基づいて海水ウラン吸着材の吸着部位となる配位子構造をデザインし、海水ウラン回収技術における既存課題の解決およびまったく新しい海水ウラン吸着材の開発を行う。その第1フェーズとして、本研究ではウラニルイオンに対して特異的配位能を有する平面5座開環キレート配位子の開発およびその基本性能評価を行うことを目的とし各種研究開発を行った。「平面5座配位子の開発と性能評価」、「UO$$_{2}$$$$^{2+}$$-平面5座配位子錯体の合成および錯形成挙動の解明」、「UO$$_{2}$$$$^{2+}$$-平面5座配位子錯体に対する計算化学的アプローチ」および「夾雑イオンに対するUO$$_{2}$$$$^{2+}$$選択性の評価」について検討を行った結果、「pH8付近でUO$$_{2}$$$$^{2+}$$と支配的に錯形成し、かつpH1付近でUO$$_{2}$$$$^{2+}$$から解離する平面5座配位子の開発」、「平面5座配位子を有するUO$$_{2}$$$$^{2+}$$錯体の分子構造および電子状態の解明」および「代表的夾雑イオンに対するUO$$_{2}$$$$^{2+}$$分離係数10以上」という当初目標すべてを達成することに成功した。

論文

Instability phenomena of lean hydrogen/oxygen/inert-gas premixed flames on a flat burner

勝身 俊之; Thwe Thwe, A.; 門脇 敏

Journal of Visualization, 25(5), p.1075 - 1083, 2022/10

 被引用回数:2 パーセンタイル:25.09(Computer Science, Interdisciplinary Applications)

希薄燃焼と不活性ガス添加は、水素予混合火炎の燃焼速度を制御するのに有用であり、固有不安定により希薄水素火炎の前面にセル状構造が形成されることはよく知られている。しかし、希薄水素予混合火炎の不安定現象に対する不活性ガス添加の影響は十分に理解されていないため、火炎の不安定性を実験的に調査する必要がある。実験では、不安定現象の特性を解明するために、フラットバーナー上の水素/酸素/不活性ガス(Ar, N$$_{2}$$, CO$$_{2}$$)予混合火炎のセル状構造と変動を、直接観察,レーザー診断および発光強度を使用して取得した。その結果、不活性ガス添加量,当量比,総流量とセル状火炎の特性との相関関係が明らかになり、これらのパラメータが火炎の不安定性に及ぼす影響が議論された。

論文

Structure, stability, and actinide leaching of simulated nuclear fuel debris synthesized from UO$$_{2}$$, Zr, and stainless-steel

桐島 陽*; 秋山 大輔*; 熊谷 友多; 日下 良二; 中田 正美; 渡邉 雅之; 佐々木 隆之*; 佐藤 修彰*

Journal of Nuclear Materials, 567, p.153842_1 - 153842_15, 2022/08

 被引用回数:5 パーセンタイル:72.25(Materials Science, Multidisciplinary)

福島第一原子力発電所事故では、UO$$_{2}$$やZr,ステンレス鋼(SUS)の高温反応により燃料デブリが形成されたとみられる。この燃料デブリの化学構造や安定性を理解するため、UO$$_{2}$$-Zr-SUS系模擬デブリ試料の合成と物性評価を行い、より単純な組成の試料と比較した。模擬デブリ試料の合成では、不活性雰囲気(Ar)もしくは酸化雰囲気(Ar + 2% O$$_{2}$$)において1600$$^{circ}$$Cで1時間から12時間の加熱処理を行った。$$^{237}$$Npおよび$$^{241}$$Amをトレーサーとして添加し、浸漬試験ではUに加えてこれらの核種の溶出を測定した。試料の物性評価は、XRD, SEM-EDX,ラマン分光法およびメスバウアー分光法により行った。その結果、模擬デブリの主なU含有相は、加熱処理時の雰囲気に依らず、Zr(IV)およびFe(II)が固溶したUO$$_{2}$$相であることが分かった。模擬デブリ試料の純水もしくは海水への浸漬試験では、1年以上の浸漬の後も主な固相の結晶構造には変化が観測されず、化学的に安定であることが示された。さらに、U, Np, Amの溶出率はいずれも0.08%以下と、溶出は極めて限定的であることが明らかとなった。

報告書

ウラニル錯体化学に基づくテーラーメイド型新規海水ウラン吸着材開発(委託研究); 令和2年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業

廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*

JAEA-Review 2021-041, 42 Pages, 2022/01

JAEA-Review-2021-041.pdf:2.03MB

日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和2年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和元年度に採択された「ウラニル錯体化学に基づくテーラーメイド型新規海水ウラン吸着材開発」の令和2年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、海水中におけるウラン支配種であるウラニルイオンが他の金属にはまず見られない平面5座配位を好むというユニークな錯体化学的特徴を示すことに基づいて海水ウラン吸着材の吸着部位となる配位子構造をデザインし、海水ウラン回収技術における既存課題の解決およびまったく新しい海水ウラン吸着材の開発を行う。その第1フェーズとして、本研究ではウラニルイオンに対して特異的配位能を有する平面5座開環キレート配位子の開発およびその基本性能評価を行うことを目的とする。

論文

Dependence of charge-exchange efficiency on cooling water temperature of a beam transport line

山本 風海; 畠山 衆一郎; Saha, P. K.; 守屋 克洋; 岡部 晃大; 吉本 政弘; 仲野谷 孝充; 藤来 洸裕; 山崎 良雄; 菅沼 和明

EPJ Techniques and Instrumentation (Internet), 8(1), p.9_1 - 9_9, 2021/07

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は最大1MWの高出力陽子ビームを中性子ターゲットに供給している。稼働率を向上し実験成果の最大化を図るために、RCSではさまざま運転パラメータの履歴を記録しているが、そのデータのうち入射効率と入射ビームラインの磁石を冷却している冷却水温度が同期していることを発見した。RCS入射時に、入射負水素(H$$^{-}$$)ビームは炭素薄膜を通過し陽子に変換されるので、入射効率が変動しているという事は陽子への変換効率が冷却水温度に依存していることを示している。ビーム形状,薄膜の条件等から、入射ビームのフォイルへの入射位置が0.072mm程度振動していて、それが磁石磁場の変動に換算して1.63$$times$$10$$^{-5}$$となることを求めた。この値は、単純に磁石が冷却水の温度変動に従って伸び縮みするとして評価した結果とファクタ程度で一致し、変換効率の変動の主要因は磁場変動であることが確認できた。

論文

The Effects of addition of carbon dioxide and water vapor on the dynamic behavior of spherically expanding hydrogen/air premixed flames

勝身 俊之; 吉田 康人*; 中川 燎*; 矢澤 慎也*; 熊田 正志*; 佐藤 大輔*; Thwe Thwe, A.; Chaumeix, N.*; 門脇 敏

Journal of Thermal Science and Technology (Internet), 16(2), p.21-00044_1 - 21-00044_13, 2021/00

 被引用回数:8 パーセンタイル:43.65(Thermodynamics)

水素/空気予混合火炎の動的挙動の特性に及ぼす二酸化炭素と水蒸気の添加の影響を実験的に解明した。シュリーレン画像により、火炎面の凹凸が低い当量比で明瞭に観察された。火炎半径が大きくなると共に伝播速度は単調に増加し、火炎面の凹凸の形成に起因する火炎加速が生じた。不活性ガスの添加量を増やすと、特にCO$$_{2}$$添加の場合、伝播速度が低下した。さらに、マークスタインの長さと凹凸係数が減少した。これは、CO$$_{2}$$またはH$$_{2}$$Oの添加が水素火炎の不安定な動きを促進したことを示してあり、拡散熱効果の強化が原因であると考えられる。水素火炎の動的挙動の特性に基づいて、火炎加速を含む伝播速度の数学モデルで使用されるパラメータが得られ、その後、さまざまな条件下での火炎伝播速度が予測された。

論文

Effects of pressure and heat loss on the unstable motion of cellular-flame fronts caused by intrinsic instability in hydrogen-air lean premixed flames

門脇 敏; Thwe Thwe, A.; 古山 大誠*; 河田 一正*; 勝身 俊之; 小林 秀昭*

Journal of Thermal Science and Technology (Internet), 16(2), p.20-00491_1 - 20-00491_12, 2021/00

 被引用回数:8 パーセンタイル:43.65(Thermodynamics)

水素-空気予混合火炎の固有不安定により生じるセル状火炎面の不安定運動に及ぼす圧力と熱損失の影響を数値的に調査するために、水素-酸素燃焼の反応機構を採用し、8つの活性種と希釈剤の17の可逆反応をモデル化した。二次元非定常反応流れの基礎方程式が処理され、圧縮率,粘度,熱伝導,分子拡散、および熱損失が考慮された。圧力が高くなると、最大成長率が増加し、不安定な範囲が広がった。これらは主に火炎の厚さの減少によるものだった。圧力が高く、熱損失が大きくなると共に平面火炎の燃焼速度で標準化したセル状火炎の燃焼速度は増加した。これは、圧力と熱損失が細胞炎面の不安定な動きに強く影響したことを示している。また、フラクタル次元が大きくなり、炎の形状が複雑になったことを示している。

論文

Re-evaluation of radiation-energy transfer to an extraction solvent in a minor-actinide-separation process based on consideration of radiation permeability

樋川 智洋; 津幡 靖宏; 甲斐 健師; 古田 琢哉; 熊谷 友多; 松村 達郎

Solvent Extraction and Ion Exchange, 39(1), p.74 - 89, 2021/00

 被引用回数:2 パーセンタイル:8.54(Chemistry, Multidisciplinary)

マイナーアクチノイド分離プロセスの放射線に対する成立性を評価するうえで、抽出溶媒の吸収線量の予測は不可欠である。本論文では、溶媒抽出時に現れるエマルションなどの構造を考慮した吸収線量評価手法を提案する。モンテカルロ法に基づいた放射線輸送コードであるPHITSを活用し、高レベル放射性廃液からのマイナーアクチノイド一括回収するプロセスを対象として、抽出溶媒への放射線エネルギー付与シミュレーションを行った。シミュレーションの結果、アルファ線によるエネルギー付与量はエマルション構造に、ベータ線及びガンマ線については抽出に用いる装置サイズに依存することを示した。さらにこれまでの線量評価では評価されてこなかった透過力の高いガンマ線によるエネルギー付与がマイナーアクチノイドの大量処理を考えるうえで重要になることを示唆した。

報告書

ウラニル錯体化学に基づくテーラーメイド型新規海水ウラン吸着材開発(委託研究); 令和元年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業

廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*

JAEA-Review 2020-026, 41 Pages, 2020/12

JAEA-Review-2020-026.pdf:3.25MB

日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和元年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEA とアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、「ウラニル錯体化学に基づくテーラーメイド型新規海水ウラン吸着材開発」の令和元年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、海水中におけるウラン支配種であるウラニルイオンが他の金属にはまず見られない平面5座配位を好むというユニークな錯体化学的特徴を示すことに基づいて海水ウラン吸着材の吸着部位となる配位子構造をデザインし、海水ウラン回収技術における既存課題の解決およびまったく新しい海水ウラン吸着材の開発を行う。その第1フェーズとして、本研究ではウラニルイオンに対して特異的配位能を有する平面5座開環キレート配位子の開発およびその基本性能評価を行うことを目的とする。

報告書

地質環境の長期安定性に関する研究 年度報告書(令和元年度)

石丸 恒存; 尾方 伸久; 國分 陽子; 島田 耕史; 花室 孝広; 島田 顕臣; 丹羽 正和; 浅森 浩一; 渡邊 隆広; 末岡 茂; et al.

JAEA-Research 2020-011, 67 Pages, 2020/10

JAEA-Research-2020-011.pdf:3.87MB

本報は、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第3期中長期目標期間(平成27年度$$sim$$令和3年度)における令和元年度に実施した研究開発に係る成果を取りまとめたものである。第3期中長期目標期間における研究の実施にあたっては、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針等の検討・策定に研究成果を適宜反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで進めている。本報では、それぞれの研究分野に係る科学的・技術的背景を解説するとともに、主な研究成果等について述べる。

論文

Development of a multiphase particle method for melt-jet breakup behavior of molten core in severe accident

Wang, Z.; 岩澤 譲; 杉山 智之

Proceedings of 2020 International Conference on Nuclear Engineering (ICONE 2020) (Internet), 12 Pages, 2020/08

In a hypothetical severe accident in a light water reactor (LWR) nuclear power plant, there is a possibility that molten core released from the reactor vessel gets in contact with water in the containment vessel. In this so-called fuel-coolant interactions (FCIs) process, the melt jet will breakup into fragments, which is one of the important factors for a steam explosion, as a potential threat to the integrity of the containment vessel. In order to investigate the melt-jet breakup with solidification processes, a multiphase particle method is developed in this study. Benefiting from its Lagrangian description and meshless framework, the large deformed interfaces could be directly and easily captured by the particle motions. A simple transient heat conduction test is firstly carried out. Two important multiphase instabilities, namely the Rayleigh-Taylor instability and the Kelvin-Helmholtz instability, are studied since they play important roles during the melt-jet breakup. After that, a bubble rising benchmark is performed to show the feasibility of modelling for deformation and collapse. The results achieved so far indicates that the developed particle method is capable to analyze the melt-jet breakup with solidification processes.

論文

Estimation of synthesizing new superheavy elements using dynamical model

有友 嘉浩*; 天野 翔太*; 奥林 瑞貴*; 栁 漠*; 西尾 勝久; 太田 雅久*

Physics of Atomic Nuclei, 83(4), p.545 - 549, 2020/07

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Nuclear)

For the success of synthesis of the superheavy elements Z $$>$$ 118, it is indispensable to clarify the fusion-fission mechanism, which includes a role of the nuclear structure of colliding nuclei and the deformation in the fusion process. We develop the dynamical model to estimate the probability to produce new superheavy nuclei. To approach Island of Stability and synthesize new elements, we propose a new idea, which takes advantage of the shell structure in fusion and fission process.

報告書

幌延深地層研究センターの地下施設における坑道安定性の長期モニタリング

青柳 和平; 櫻井 彰孝; 宮良 信勝; 杉田 裕

JAEA-Research 2020-004, 68 Pages, 2020/06

JAEA-Research-2020-004.pdf:6.4MB
JAEA-Research-2020-004-appendix1(DVD-ROM).zip:636.84MB
JAEA-Research-2020-004-appendix2(DVD-ROM).zip:457.72MB
JAEA-Research-2020-004-appendix3(DVD-ROM).zip:595.19MB

本報告書では、数km$$times$$数kmにわたる広大な範囲で施工される高レベル放射性廃棄物の地層処分場の建設の視点で、数十年にわたり長期的かつ効率的に坑道安定性をモニタリングする技術の検証を目的として、幌延深地層研究センターに設置した支保工応力計および岩盤応力計のデータを分析した。具体的には、幌延深地層研究センターの水平坑道および立坑掘削時の力学的安定性のモニタリングのために設置した光ファイバー式および従来型の電気式の計測器のデータ取得可能期間(耐久性)を分析し、長期的な岩盤および支保工のモニタリングに適した手法について検討した。結果として、幌延のような坑道掘削による変形は大きいが湧水は少ない環境においては、岩盤変位の計測には光ファイバー式の変位計の設置が適しており、コンクリート中に埋設されるコンクリート応力計や鋼製支保工応力計といった計測器については、従来型の電気式のものでも長期的な耐久性が見込めることを示した。さらに、断層部を対象とした計測では、350m東周回坑道の計測断面において、吹付けコンクリートおよび鋼製支保工応力が、ひび割れ等の発生により耐久性が損なわれる状態に相当する使用限界と定義された基準値を超過していた。しかしながら、現時点ではクラック発生等の変状は認められなかったことから、定期的な目視点検等を実施すべきであると提案した。それ以外の計測断面については、断層部付近において一部注意を要する値を逸脱する計測値はあったものの、施工時に壁面の崩落が著しかった領域や、立坑と水平坑道の取り付け部付近では、坑道は安定した構造を保っていると判断した。

報告書

珪質泥岩(稚内層)を対象とした多孔質弾性パラメータ取得試験

青木 智幸*; 谷 卓也*; 坂井 一雄*; 古賀 快尚*; 青柳 和平; 石井 英一

JAEA-Research 2020-002, 83 Pages, 2020/06

JAEA-Research-2020-002.pdf:8.25MB
JAEA-Research-2020-002-appendix(CD-ROM).zip:6.63MB

日本原子力研究開発機構は、新第三紀堆積軟岩を対象とした高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発を目的として、北海道天塩郡幌延町において幌延深地層研究計画を進めている。幌延深地層研究所周辺の地質は、珪藻質泥岩の声問層や珪質泥岩の稚内層で構成され、どちらも珪藻化石を多量に含んでいる。これらの岩石は高い空隙率と低い透水性を示すことから、多孔質弾性論に基づく岩盤挙動の検討が重要であると考えられる。しかしながら、幌延深地層研究所周辺に特徴的な珪藻質泥岩や硬質頁岩については、低透水性であるという岩石の特徴や試験時の制御が容易ではないこと等を要因に、多孔質弾性パラメータの測定実績は多いと言えない状況である。そこで、珪質泥岩(稚内層)を対象として、多孔質弾性パラメータの測定実績を蓄積し、既往の研究で示唆されている拘束圧に対する依存性を確認することを目的として、多孔質弾性パラメータを取得するための岩石三軸試験を実施した。その結果、多孔質弾性パラメータのうち、排水体積弾性係数は拘束圧の増加に伴い大きくなる関係性が確認された。一方、Biot-Wills係数およびSkemptonの間隙水圧係数は、拘束圧の増加に伴い小さくなる傾向が確認された。また、岩石供試体の葉理方向によって拘束圧依存の程度が若干異なることが示唆された。

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