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Li, Y.; 長谷川 邦夫; 勝又 源七郎; 小坂部 和也*; 岡田 裕*
Journal of Pressure Vessel Technology, 137(5), p.051207_1 - 051207_8, 2015/10
被引用回数:8 パーセンタイル:40.4(Engineering, Mechanical)近年、原子力発電所で確認されたき裂の多くは、その長さの半分よりも深さが大きい高アスペクト比表面き裂である。供用期間中検査でき裂が確認された場合は、日本機械学会の維持規格等を用いてき裂を有する設備の健全性を評価する必要があるが、現状の維持規格には高アスペクト比き裂に対する応力拡大係数の解が整備されていない。本研究では、き裂を有する構造物の健全性を評価することを目的に、平板中に存在する高アスペクト比表面半楕円き裂の応力拡大係数を有限要素解析により提案した。提案解の一部について比較可能な既存解とよく一致したことから、本提案解の有効性及び実用性を明確にした。
峰原 英介
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 557(1), p.16 - 22, 2006/02
被引用回数:10 パーセンタイル:58.18(Instruments & Instrumentation)原研は世界で現在運転中の2台のエネルギー回収型リニアック(ERL)の一つを独力で開発し、もう1台の施設であるジェファーソン国研のERLとともに世界のERL開発及び将来のERL応用研究を切り開いてきた。現在のアップグレード開発研究と応力腐食割れ防止技術開発研究、さらにERLの主要開発要素でもある光陰極,電子励起陰極などの大電流光電子銃技術に関して報告する。
杉野 英治*; 伊藤 裕人*; 鬼沢 邦雄; 鈴木 雅秀
日本原子力学会和文論文誌, 4(4), p.233 - 241, 2005/12
本研究の目的は、既存の軽水炉原子力発電プラントの長期利用の観点から、安全上重要な機器構造物の経年変化事象を適切に考慮した地震時構造信頼性評価手法を確立することである。そこで、1次冷却系配管における応力腐食割れや地震荷重による疲労き裂進展などの経年変化事象に着目し、確率論的破壊力学に基づいた配管破損確率評価コードPASCAL-SCと、プラントサイトの地震発生確率及び地震発生確率レベルに応じた地震動を算出するための確率論的地震ハザード評価コードSHEAT-FMを開発し、これらを組合せた経年配管の地震時構造信頼性評価手法を提案した。この手法を用いてBWRモデルプラントの再循環系配管溶接線の1つについて評価した。その結果、経年配管の破損確率は、運転時間がある時期を過ぎると急激に増加する傾向にあり、相対的に地震荷重よりも経年変化による破損の影響が大きいことがわかった。
柴田 勝之*; 鬼沢 邦雄; 鈴木 雅秀; Li, Y.*
日本機械学会M&M2005材料力学カンファレンス講演論文集, p.299 - 300, 2005/11
改正電気事業法及び改正省令62号等が平成15年から施行され、構造機器の健全性に影響しない欠陥を残したまま運転継続が可能な維持基準が適用されている。運転継続にあたっては、欠陥の進展評価と健全性確認を行うことが必要である。応力腐食割れ等の進展には溶接残留応力が大きく影響するので残留応力の影響評価が重要である。現行規格では、影響関数により求めた応力拡大係数(K値)を用いて残留応力の影響を評価しているが、き裂進展とともに残留応力が解放されき裂先端には塑性域が生じるので、残留応力を荷重制御型の荷重として扱う影響関数法で求めたK値による進展解析が最適かどうかは疑問である。そこで、残留応力中をき裂が進展するときの残留応力の挙動を弾塑性解析し、残留応力の再分布の様子やき裂進展とK値との関係を求め、影響関数法によるK値と比較した。数種類の溶接残留応力中におけるき裂進展シミュレーションを行い残留応力の再分布及びK値の解析結果から、モデル長さの影響,端部拘束条件の影響,き裂先端部の塑性変形の影響を検討し、影響関数法によるK値を裂進展解析に適用した場合はき裂進展を過大評価することを明らかにした。
加治 芳行
Proceedings of KNS-AESJ Joint Summer School 2005 for Students and Young Researchers, 2, p.221 - 228, 2005/08
炉内構造物に対しては、主な研究項目は、BWRの炉心シュラウドや再循環系配管における低炭素ステンレス鋼の粒界型応力腐食割れ(IGSCC)と中性子や線,高温水による腐食及び応力の同時作用効果により発生する照射誘起応力腐食割れ(IASCC)である。本講演では、IGSCC及びIASCCの機構論的理解のための基礎的な研究,経済産業省の国家プロジェクトの一環として実施している照射後IASCC試験データに基づくBWRプラントのIASCC評価技術開発及び照射下IASCC試験の現状と主な成果について紹介する。
峰原 英介; 羽島 良一; 飯島 北斗; 菊澤 信宏; 永井 良治; 西森 信行; 西谷 智博; 沢村 勝; 山内 俊彦
Proceedings of 27th International Free Electron Laser Conference (FEL 2005) (CD-ROM), p.305 - 308, 2005/00
原研高出力ERL-FELは10kWよりも高出力高効率FELに拡張された。これは原子力エネルギー産業、とその他の重工業たとえば防衛,造船,化学工業,環境科学,スペースデフリ処理,エネルギー伝送などのために開発されたものである。波長可変,高効率,高平均出力,高ピーク出力,極短パルスを実現するために、エネルギー回収配位を持つ原研独自のコンパクト,自立式,無蒸発型超伝導リニアックによって駆動される効率的な高出力のFELが必要である。このERL-FELに関する議論はこの10kWアップグレードの現状と原子力発電所の廃炉措置を行うための非熱剥ぎ取り,切断,穿孔などの応用と、また小さな立方体の低炭素ステンレス鋼を用いて、定常運転状態での原子力発電所における冷間加工応力腐食割れ故障予防の原理検証を成功裏に実行できたことについて述べられる。
天谷 政樹; 更田 豊志
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(11), p.1091 - 1099, 2004/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)未照射ジルカロイ被覆管の応力腐食割れ(SCC)感受性に及ぼす吸収水素の影響を調べた。文献から得られたデータは、ジルカロイ-2及び-4の種類によらず、SCCしきい応力()に対する0.2%耐力(
)が60ppm以下の水素濃度において水素濃度の増加とともに増加することを示している。ヨウ素ガスと水素を含むジルコニウムとの間に生じる反応について、熱力学計算を行った。その結果、水素濃度が増加すると反応が生じにくくなること、及び水素濃度が90ppm以下でのみジルコニウムとヨウ素ガスとが反応することが示唆された。これらの傾向は、水素濃度に対する
と
の比の傾向と一致していることから、水素がヨウ素ガスとジルコニウムとの間の反応に影響を及ぼし、ジルカロイ被覆管のSCC感受性を低下させていると考えられる。
中野 純一; 三輪 幸夫; 高野 利夫; 塚田 隆
Journal of Nuclear Materials, 329-333(Part1), p.643 - 647, 2004/08
被引用回数:7 パーセンタイル:45.85(Materials Science, Multidisciplinary)照射誘起応力腐食割れ(IASCC)における微量元素の影響を調べるために、高純度のSUS304及び316ステンレス鋼を製作し、SiまたはCを添加した。3.510
n/m
(E
1MeV)の中性子照射後、照射材に対して低ひずみ速度引張試験(SSRT)を561Kの高温水中で行った。SSRT後に試験片の破面観察を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて行った。中性子フルエンスの増加とともに、ステンレス鋼の降伏応力は増加し、伸びは減少した。SiあるいはMoを含有するステンレス鋼では、6.7
10
n/m
の照射後のSSRTにおいて20%以上の全伸びを示したが、3.5
10
n/m
まで照射した全ての試料が降伏応力の増加と10%以下の伸びの低下を示した。SSRT後の破面の粒界型応力腐食割れ(IGSCC)の破面率は中性子フルエンスの増加とともに増加した。Cを含む高純度ステンレス鋼においては、照射硬化が全試料中最大であったにもかかわらず、IGSCC破面率が全試料中最小となり、Cの添加によりIGSCCが抑制された。
福島第二3号機シュラウドサンプル調査実施チーム
JAERI-Tech 2004-044, 92 Pages, 2004/05
本報告は、福島第二原子力発電所3号機炉心シュラウド下部リングH6a溶接部外側から採取したき裂を含む材料サンプル(東京原子力株式会社が平成13年度に実施した調査の際に日本核燃料開発株式会社に保管した試料の一部)について、日本原子力研究所が第三者機関として東海研究所の照射後試験施設(ホットラボ等)において各種の検査・評価を実施し、き裂発生の原因究明に資する知見を取得することにより、調査結果の透明性を確保することを目的として実施した。本調査の結果、以下のことが明らかとなった。(1)き裂は溶接金属から約3~9mm離れた位置に3箇所観察され、最大深さは約8mmであった。(2)2箇所のき裂破面を観察した結果、き裂破面のほぼ全面が粒界割れであったが、き裂開口部には約300m範囲に粒内割れが観察された。(3)表面から約500
m深さまで、最高Hv400を超える硬化層が形成されていた。また、溶接金属から約3mmまでの表面層には溶接熱影響による軟化が見られた。(4)き裂の内部には、開口部からき裂の先端までほぼ全体にわたり酸化物が観察され、その酸化物は主として鉄の酸化物であった。(5)合金中に主要元素濃度の揺らぎが見られたが、き裂との間に相関性は認められなかった。本調査の結果と、溶接によりき裂付近に発生していたと考えられる引張残留応力及び炉水の溶存酸素濃度等を考慮すると、き裂は炉心シュラウド下部リング外表面の加工層において主として粒内型の応力腐食割れ(SCC)により発生後、SCCとして結晶粒界を経由して進展したと結論される。
シュラウド・再循環系配管サンプル調査チーム; 中島 甫*; 柴田 勝之; 塚田 隆; 鈴木 雅秀; 木内 清; 加治 芳行; 菊地 正彦; 上野 文義; 中野 純一; et al.
JAERI-Tech 2004-015, 114 Pages, 2004/03
東京電力(株)福島第二原子力発電所2号機においては、原子力安全・保安院の指示によりシュラウド溶接部の目視点検を実施し、炉心シュラウド中間胴/中間部リング溶接線H3外面にひび割れを発見した。本調査は、東京電力(株)が日本核燃料開発(株)にて実施するき裂を含む材料サンプルの調査・評価に関して、原研が第三者機関として調査計画の策定段階から加わり、調査中には随時試験データの評価や試験現場への立会を実施し、最終的に得られた調査データを入手し原研独自の調査報告書を作成することにより、調査の透明性を確保することを目的として実施した。本調査の結果と溶接により発生する引張残留応力及び炉水中の比較的高い溶存酸素濃度を考慮すると、このき裂は応力腐食割れ(SCC)であると考えられる。応力腐食割れの発生原因については、さらに施工法の調査などを行い検討する必要がある。
シュラウド・再循環系配管サンプル調査チーム
JAERI-Tech 2004-012, 62 Pages, 2004/02
東北電力(株)女川原子力発電所1号機(沸騰水型)では、第15回定期検査の際に、炉心シュラウド中間部リングH2及び下部リングの溶接線近傍にき裂が確認された。本調査は、東北電力(株)が日本核燃料開発(株)にて実施するき裂を含む材料サンプルの調査・評価に関して、原研が第三者機関として加わり、最終的な調査データを入手し、原研独自の報告書を作成することにより、調査の透明性を確保することを目的として実施した。本調査により、以下のことが明らかになった。(1)中間部リングの外表面近傍には150250
m程度の深さまで硬化層が存在した。(2)き裂の内部には腐食生成物が付着しており、腐食が粒内へ進行した部位も見られた。(3)中間部リング外表面近傍から100
m程度の深さの領域では主として粒内割れが観察され、200
m程度の深さより内部の領域では、粒界割れが観察された。(4)結晶粒界には、熱鋭敏化材に見られるようなCr濃度の顕著な低下傾向がなかった。(5)中間部リング材料の化学組成は、JIS規格SUS304Lに相当する組成であった。本調査の結果と、溶接によりき裂部付近に発生していたと考えられる引張残留応力及び炉水中の溶存酸素濃度等を考慮すると、き裂は応力腐食割れ(SCC)であると結論される。
シュラウド・再循環系配管サンプル調査チーム
JAERI-Tech 2004-011, 64 Pages, 2004/02
東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所1号機では、第13回定期検査中に、原子力安全・保安院の指示でシュラウド溶接部の目視点検を実施し、原子炉圧力容器内のシュラウド中間部胴溶接部H4にひび割れが確認された。本調査は、東京電力(株)が日本核燃料開発(株)にて実施するき裂を含む材料サンプル調査・評価に関して、原研が第三者機関として調査計画の策定段階から加わり、調査中には随時試験データの評価や試験現場への立会を実施し、最終的に得られた調査データを入手し、原研独自の調査報告書を作成することにより、調査の透明性を確保することを目的として実施した。本調査の結果、溶接残留応力及び炉水中の溶存酸素濃度を考慮すると、き裂は、浅い加工層を有する表面で応力腐食割れ(SCC)により発生した後、SCCとして内部へ分岐しながら結晶粒界を経由して3次元的に成長し、き裂の一部は溶接金属内部へ進展していったと結論される。
シュラウド・再循環系配管サンプル調査チーム
JAERI-Tech 2004-004, 74 Pages, 2004/02
東京電力(株)福島第一原子力発電所4号機(沸騰水型,定格出力78.4万kW)において、第12回定期検査(平成5年9月平成6年2月)の自主点検の際に、炉心シュラウド中間部胴H4溶接部にき裂が発見された。本研究は、東京電力(株)が日本核燃料開発(株)にて実施するき裂を含むSUS304Lの材料サンプルの調査・評価に関して、原研が第三者機関として加わり、最終的に得られた調査データを入手し、原研独自の調査報告書を作成することにより、調査の透明性を確保することを目的として実施した。本研究により、以下の結論が得られた。(1)観察したき裂のほぼ全体が粒界割れであった。き裂内部には腐食生成物が付着し、一部は粒内に成長していた。また、2次き裂の一部は溶接金属に達していた。(2)表面近傍のビッカース硬さは300程度に高くなっていた。また、照射による母材の硬化が認められた。(3)結晶粒界ではCr濃度の低下とNi及びSi濃度の増加が観察された。これら合金元素の濃度変化は照射により誘起された拡散,偏析過程により生じたものと考えられる。本研究の結果と、溶接によりき裂付近に発生していたと考えられる引張残留応力及び炉水中の溶存酸素濃度等を考慮すると、このき裂は応力腐食割れ(SCC)であると結論される。
中野 純一; 塚田 隆; 辻 宏和; 寺門 正吾; 高野 利夫; 遠藤 慎也
JAERI-Tech 2003-092, 54 Pages, 2004/01
照射誘起応力腐食割れ(Irradiation Assisted Stress Corrosion Cracking, IASCC)は中性子照射,応力及び高温水等の腐食環境が複雑に作用して生じる炉内構造材料の損傷現象であり、軽水炉の高経年化に伴う重要な検討課題となっている。IASCCにおけるき裂の発生・成長のメカニズムを解明するにはき裂成長のプロセスとき裂発生のプロセスを分離して検討することが必要である。そのため、照射材を用いて高温高圧水中での低ひずみ速度試験(Slow Strain Rate Test, SSRT)を無人で長時間連続して行いながら、試験片表面のその場観察が可能な装置を開発した。本装置の性能確証試験として、未照射のSUS304ステンレス鋼試験片を用いて561K, 9MPaの高温高圧水中において、試験片表面のその場観察を実施しながらの引張試験と未観察でのSSRTを行った。それらの結果から以下のことを確認した。(1)ホットセル内での遠隔操作による試験片の取扱・観察,データの記録が可能であること。(2)高温水中でのその場観察が可能であり、試験片形状は平板型が観察に適していること。(3)長期の試験期間において、試験条件を一定に制御可能であるとともに無人で安全にデータ取得が可能であること。
加藤 千明
JAERI-Research 2003-013, 143 Pages, 2003/08
本論文は核燃料再処理環境中におけるジルコニウムの応力腐食割れ(SCC)に関する研究成果をまとめたもので、全文7章から成っている。1章では背景及び目的を述べた。2章では試験装置を説明した。3章では沸騰伝熱面においては硝酸の酸化力が高まり沸騰伝熱面においてSCCが生じる可能性を示した。4章ではSSRT試験からSCC感受性は硝酸濃度と温度により大きくなり、切り欠き部でSCC感受性が大きくなることを示した。また、SCC感受性は結晶配向性に影響され、圧延方向と割れ進展面が一致する面で大きくなることを示した。5章では、溶接部のSCC感受性に関して(0002)面の存在量が多いHAZ/母材境界部にてSCC感受性は高くなることを示した。6章では、硝酸の高い酸化力発生機構に関して考察し、沸騰伝熱面における酸化還元電位の上昇は、沸騰バブル相にNO等のガス状窒素酸化物成分が移行し溶液から絶えず排除されることでHNO
の熱分解が加速されることにより生じることを明らかにした。7章では、総括を述べた。
塚田 隆
材料と環境, 52(2), p.66 - 72, 2003/02
軽水炉の炉内構造材料は、高レベルの中性子・線の照射を伴う約300
Cの高温高圧水中という他の工業プラントにはない環境で使用され、照射と化学環境の作用により特有の劣化損傷を生じる。中性子照射を受けると、合金のミクロ組織や粒界近傍等の局所的な化学組成は、格子原子のはじき出しに始まる照射損傷過程により刻々と変化する。ここで紹介する照射誘起応力腐食割れ(IASCC: Irradiation Assisted Stress Corrosion Cracking)は、炉内中性子照射の影響により発生するSCC現象である。IASCCの研究は、1980年代中頃に軽水炉高経年化・長寿命化の検討に伴い各国で本格化した。重大な問題へつながるIASCC損傷はこれまで経験されていないが、IASCCの発生と進展のメカニズムについてはまだ十分解明されておらず、さらに基礎的な研究が必要な状況にある。また、IASCCは軽水炉のみならず照射場に水冷却系を有するシステムに共通の材料損傷要因となり得る。例えば、国際熱核融合実験炉ITERの第1壁ブランケット構造物の材料についてもIASCCの検討が行われている。本解説では、IASCCについてこれまでに得られた主な知見と研究の動向を紹介する。
根本 義之; 三輪 幸夫; 辻 宏和; 塚田 隆
第12回MAGDAコンファレンス(大分)講演論文集, p.191 - 196, 2003/00
現在、軽水炉の高経年化との関連において重要な検討課題とされているオーステナイト・ステンレス鋼の照射誘起応力腐食割れ(IASCC: Irradiation Assisted Stress Corrosion Cracking)の基礎的な研究のため、照射材における腐食挙動の評価方法の開発及び解析を行った。イオン照射を適用し、照射温度,照射損傷量,ヘリウム(He)注入量を変化させて照射を行った。照射材の腐食挙動の評価には原子間力顕微鏡(AFM: Atomic Force Microscope)を適用し、その評価のために最適な腐食条件などについて検討した。その結果、照射材の腐食挙動の評価方法を開発し、粒界及び粒内の腐食挙動について評価を行った。方位像顕微鏡(EBSP: Electron Backscatter Diffraction Pattern)による観察結果との組合せにより、粒界性格と腐食挙動の相関について検討した。また照射条件と腐食挙動の相関について検討した。
本岡 隆文; 木内 清
Corrosion, 58(8), p.703 - 709, 2002/08
被引用回数:9 パーセンタイル:52.96(Materials Science, Multidisciplinary)硝酸に対して優れた耐食性を有するTi-5Ta合金とジルコニウムは、再処理機器材料に使用されている。しかし、ジルコニウムは応力腐食割れ感受性を有する。応力腐食割れが疲労亀裂成長に与える影響を明らかにするため、17%硝酸溶液中で、Ti-5Ta合金とジルコニウム の疲労亀裂成長挙動を調べた。Ti-5Ta合金は、硝酸中でも大気中とほとんど同じ亀裂成長挙動を示した。破面には、延性ストライエーションが見られた。ジルコニウムは、著しく硝酸中で亀裂が速く進展した。亀裂成長は、擬劈開と塑性変形が相互に関与した割れ形態に影響されていた。硝酸溶液中でのTi-5Ta合金とジルコニウムの疲労亀裂成長の違いは、すべり系と耐食性の違いによるものと考えられた。
本岡 隆文; 木内 清
Corrosion, 58(6), p.535 - 540, 2002/06
被引用回数:5 パーセンタイル:40.03(Materials Science, Multidisciplinary)ジルコニウムの疲労亀裂成長挙動を、沸騰硝酸中と室温大気中で荷重制御下で研究した。大気中での疲労亀裂成長は金属組織に強く影響を受けた。これはジルコニウム特有のHCP構造に起因する機械的強度の異方性が原因であった。硝酸中では大気中に比べて約4倍亀裂成長が速かった。硝酸中では、亀裂成長は特徴的な機構で行われていることが破面観察からわかった。つまり、破面形態は、応力腐食割れ時に見られる擬劈開面と大気中で見られる疲労ストライエーションが混在したものであった。亀裂成長速度が低いところでは 擬劈開面が支配的であり、亀裂成長が速いところでは延性破面が支配的であった。
本岡 隆文; 木内 清
Materials Transactions, 43(5), p.1220 - 1224, 2002/05
被引用回数:1 パーセンタイル:15.43(Materials Science, Multidisciplinary)沸騰硝酸中で優れた耐食性を示すジルコニウム,ニオブ及びチタン合金のようなリフラクトリー金属は、使用済燃料再処理施設の構造材料として使用されている。本研究では、沸騰3N硝酸中と室温大気中で、荷重制御の試験によりこれらの金属の疲労き裂進展速度を応力拡大係数範囲の関数として調査した。破断面は走査型電子顕微鏡により観察した。ジルコニウムとニオブのき裂成長速度は、空気中のそれと比較して沸騰硝酸中で加速した。腐食疲労によるき裂進展の加速現象は、Ti-5Ta合金では認められなかった。Ti-5Ta合金の破断面は両環境中で延性ストライエーションを示した。他方、ニオブの破断面は、空気中では疲労ストライエーション,硝酸中では脆性ストライエーションを示した。硝酸中のジルコニウムの破断面は脆性破壊と応力腐食割れに関連した延性破壊を示した。