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林 巧; 伊藤 剛士*; 小林 和容; 磯部 兼嗣; 西 正孝
Fusion Engineering and Design, 81(8-14), p.1365 - 1369, 2006/03
被引用回数:19 パーセンタイル:76.75(Nuclear Science & Technology)核融合炉では高濃度のトリチウム水が発生し一次保管される。トリチウム水は、自己放射線分解により水素や酸素ガスを発生するうえに過酸化トリチウム水となると考えられる。しかし、トリチウム水を用いた系統的実験の報告例は少なく、発生量は線による放射線分解のG値(100eVのエネルギーを吸収した時の特定化学種分子の生成率)とは異なっている。本報告では、高濃度トリチウム水溶液を製造後、長期保管した結果を整理し、気相発生成分については、実効的なG値のトリチウム濃度及び温度依存性データから、防爆上必要な設計上の配慮(想定トリチウム水濃度/量とタンク容積及びその換気回数など)を議論する。また、液相発生成分については、トリチウム水の液性(水素イオン濃度や酸化還元電位など)に影響をあたえる(トリチウム濃度に依存する)ことを見いだし、その理由を考察するとともに、タンクの腐食防止に必要な設計上の配慮について議論する。
横山 須美; 野口 宏; 黒澤 直弘*
保健物理, 40(4), p.376 - 384, 2005/12
事故時にトリチウムが放出された場合の公衆被ばく線量評価コードとして、ACUTRIコードの開発を行った。本コードは、大気中に放出されたトリチウムガス(HT)及びトリチウム水(HTO)について評価することができ、1次プルーム及び2次プルームの大気拡散,HT及びHTOの土壌への沈着,HTの土壌での酸化,土壌からのHTOの再放出などを計算することができる。さらに、わが国の原子力安全委員会の指針に基づいた従来の線量評価手法と整合性のある線量評価が可能である。このコードを用いて、さまざまな条件下で線量を計算し、計算結果に対する入力パラメータの影響を調べるとともに、野外実験結果を用いて計算値と実験値を比較し、コードの検証を行った。
横山 須美; 野口 宏; 一政 祐輔*; 一政 満子*
Journal of Environmental Radioactivity, 71(3), p.201 - 213, 2004/01
被引用回数:11 パーセンタイル:23.99(Environmental Sciences)核融合施設では、大量のトリチウムを扱うため、周辺の公衆の被ばく線量評価を行ううえでは、施設から放出されたトリチウムの環境中での挙動を調べておく必要がある。特に施設から放出されたトリチウムが土壌に沈着した後、再放出される過程については、あまりデータが得られていないことから明らかにしておく必要がある。本報告書では、特にトリチウム水(HTO)の土壌からの再放出を調べるために、HTOの代わりに重水(HDO)を用いて、土壌に沈着したHTOの再放出過程を模擬した野外実験を行った結果について報告する。実験には、ビニールハウス内でHDOに上面をばく露した土壌(ばく露土壌)及びあらかじめ重水を均一に混合した土壌(重水混合土壌)を用い、土壌を薄く分割して、任意の時間ごとにこれらの土壌水分中HDO濃度の深さ分布の時間変化を調べた。その結果、ばく露土壌及び重水混合土壌の両方の表層土壌水分中重水濃度の低下が著しいものの、ばく露土壌の方が重水混合土壌に比べて、低下割合が大きかった。さらに、交換,蒸発及び拡散過程を考慮した簡易なHTO環境移行モデルを用いて本実験結果の解析を行った結果、モデルは比較的実験結果と良い一致を示すことがわかった。
横山 須美; 野口 宏; 龍福 進*; 佐々木 利久*; 黒澤 直弘*
JAERI-Data/Code 2002-022, 87 Pages, 2002/11
D-T燃焼核融合炉の燃料として使用されるトリチウムは、国際熱核融合実験炉(ITER)のような核融合実験炉の安全評価上最も重要な核種である。そこで、我が国における核融合実験炉の許認可申請や安全評価法の検討に資するため、施設の事故時に大気中に放出されるトリチウムに対する公衆被ばく線量評価コードACUTRIを開発した。ACUTRIは、トリチウム特有の環境中移行モデルと国際放射線防護委員会(ICRP)の線量評価モデルに基づき個人のトリチウム線量を評価するコードである。本コードは、従来の原子力施設に対する安全評価法との整合性を図るため、原子力安全委員会の指針に準じた気象に関する統計計算も可能となっている。トリチウムガス(HT)とトリチウム水(HTO)の大気拡散モデルにはガウスプルームモデルを使用した。本コードで考慮した内部被ばく経路は、施設から大気中に放出されたトリチウムの1次プルームからの吸入被ばく及び地表面に沈着した後、大気へ再放出したトリチウムの2次プルームによる吸入被ばくである。本報告書は、ACUTRIコードの概要,使用マニュアル,試算結果等についてまとめたものである。
小嵐 淳*; 飯田 孝夫*; 安藤 麻里子; 山澤 弘実; 天野 光
Fusion Science and Technology, 41(3), p.464 - 469, 2002/05
環境中に放出されたトリチウムの影響を評価するためのモデル構築の一環として、地表面に近い不飽和土壌中でのHTO輸送モデルの開発と、モデル検証のためのトリチウム水を模擬した重水を用いた土壌カラム実験を行った。モデルには、土壌水分についてRichardsの式とVan Genuchtenタイプの土壌水分特性曲線の組み合わせを用い、HTO輸送については移流拡散方程式を用いた。実験では、重水を添加した水盤上に砂質土壌を均質に詰めた0.5m高のカラムを設置し、一定時間後の土壌中の重水濃度と堆積含水率の分布を測定した。実験で得られた土壌中での重水の拡散係数及び分散係数と、実験で得られた濃度分布とモデル計算結果の比較によるモデル検証結果について議論する。
山澤 弘実
Environmental Modelling & Software, 16(8), p.739 - 751, 2001/12
不飽和土壌中での熱、水及びトリチウム水の輸送と大気との交換を評価対象とする1次元数値モデルを開発した。このモデルは土壌温度、含水率、土壌空気の比湿、土壌水中のHTO濃度及び土壌空気中のHTO濃度に関する5個の予報方程式から構成される。このモデルを用いて、土壌中HTO輸送及び大気の交換に対して気象・水文条件がどのように影響するのかについて数値実験を行った。その結果、降水と土壌の水分特性が最も重要であり、その他の気象条件も緩速の二とおりの影響を示すことがわかった。また、時間平均した気象・水分条件を用いると、HTOの輸送料及び大気への蒸発量を過小評価することが示された。
野口 宏; 福谷 哲*; 横山 須美*; 木内 伸幸
Radiation Protection Dosimetry, 93(2), p.167 - 172, 2001/00
被引用回数:7 パーセンタイル:48.26(Environmental Sciences)大気中トリチウム水蒸気の水表面への沈着を、12日間にわたって大気中にトリチウム水蒸気が存在してきた野外環境下で調べた。トリチウム水蒸気の大気と水間の交換速度が大気中及び水中トリチウム濃度などから求められた。その結果、野外での平均交換速度は以前の室内実験での値の約3倍であることがわかった。さらに野外での交換速度と気象条件との関係を解析するため、重回帰式を導出し、風速と気温が影響していることを明らかにした。
山澤 弘実
KURRI-KR-61, p.100 - 105, 2000/00
大気-地表面間でのHTO移行の数値実験のためのモデル及び大気モデルの地表面モジュールの二つの目的で、地表面の数値モデルを開発した。1次元多層モデルで、土壌水分、温度、HTO濃度等を地上気象データを入力として予報的に求める。このモデルを用いて、土壌中のHTO移行の素過程である気相拡散、液相拡散、移流、分散の相対的重要性と降水等の外的条件、土壌種類及び時間スケールとの関連を調べた。その結果、各素過程の相対的重要性は、着目する時間スケールによって大きく異なることが示された。例えば、気相及び液相拡散は数ヶ月以下の短い時間スケールに比べ1年以上の長い時間スケールで重要な過程であることが示された。
野口 宏; 福谷 哲*; 横山 須美; 木内 伸幸
KURRI-KR-61, p.18 - 25, 2000/00
1994年のカナダにおけるHT野外連続放出実験において小容器内に入れた水への空気中HTOの沈着挙動を調べた。空気及び水中HTO濃度と蒸発速度の観測値から、空気-水間のHTO交換速度を求めた。また、交換速度は日変動があること、その平均値は室内で測定された交換速度の約3倍であることなどを明らかにした。交換速度の変動に影響する気象因子を解析したところ、風速が大きく影響することがわかったが、温度については明確ではなかった。このため室内実験を行い、これらの因子の影響を調べた結果、温度も影響することを確認した。これらの結果から、空気中HTOの環境モニタリングに対する水サンプラの適用性についての基礎資料が得られた。
横山 須美; 野口 宏; 木内 伸幸; 山本 英明; 加藤 正平; 友岡 仁*; 江田 邦臣*
保健物理, 34(1), p.57 - 66, 1999/00
トリチウムを取り扱う場合、作業者は防護具を着用する。この防護具のトリチウムに対する防護性能を評価するために、基礎的なデータである、素材に対するトリチウム水蒸気の透過パラメータ(透過係数、拡散係数及び溶解度)を把握しておく必要がある。このパラメータを、5種類のプラスチック膜、6種類のゴム膜及び5種類のラミネート膜について測定した。この結果、透過係数は使用予測範囲の温度や湿度では、ほぼ一定であること、膜の厚さにも依存しないことが明らかになった。また、ラミネート膜は、内側に挟んだ膜の溶解度が大きい場合、これらの膜を構成する個々の膜の透過係数より小さくなることがわかった。さらに、HTOで汚染した膜を3~4日乾燥すると、膜の性能は元の状態に戻ることが明らかとなった。
野口 宏
プラズマ・核融合学会誌, 74(7), p.712 - 715, 1998/07
核融合施設の放射線安全に関する特集の一部として、トリチウムの環境中挙動と被ばく評価についての最新の知見をまとめた。特に、核融合施設の許認可申請等に必要な安全評価用の被ばく線量評価コードの要件と評価上重要な環境中トリチウム挙動に焦点を当てた。コードの要件として、トリチウムガスとトリチウム水が扱えること、被ばく経路として1次プルームからの内部被ばくと地表沈着トリチウムの再放出による2次プルームからの内部被ばくが扱えること、年間実気象データによる被ばく線量の統計計算ができることなどを挙げた。
横山 須美
プラズマ・核融合学会誌, 73(12), P. 1354, 1997/12
トリチウムの代わりに重水を用いた野外実験において、土壌沈着重水の大気への再放出を調べた結果をまとめたものである。トリチウム水(HTO)が大気へ放出された場合、土壌への沈着及び再放出は公衆被ばく線量を評価する上で重要である。実験では、重水を土壌試料にばく露し、ばく露時間及び再放出開始時間(日中または夜間)が土壌水分中重水濃度の深さ分布及び再放出率の時間変化にどのような影響を与えるかを調べた。この結果、重水ばく露終了直後の土壌水分中重水濃度は深さ方向に指数関数的に減少すること、ばく露時間が短い方が重水濃度分布の勾配が大きいこと、再放出率は、日中か夜間に開始したかに関係なく、初期に最も高くなること、このときの再放出率は、ばく露時間が短く、日中に再放出を開始した方が大きくなること等がわかった。
野口 宏; 横山 須美
日本原子力学会誌, 39(11), p.931 - 933, 1997/00
特集「トリチウムの影響と安全管理」の第IV-5章である。本章では大気放出トリチウムに対する安全評価モデルと研究用モデルの現状と課題をまとめた。事故時評価モデルは原研のTRIDOSEをはじめとして、いくつかのコードが開発されている。いずれのコードもHTとHTO放出に対応しており、HTとHTOの土壌-大気間の移行等がモデル化されている。しかし、これらのコードはわが国の指針との整合性の点で不十分であるため、原研では安全評価用コードの開発に着手した。平常時評価モデルについては、より精度の高い線量評価のために、HTとHTOの化学形に対応したコードの開発が必要と考えられる。モデルの検証については、BIOMOVS計画が終了し、現在IAEA主催のBIOMASS計画が開始したところである。
野口 宏; 横山 須美; 木内 伸幸; 村田 幹生; 天野 光; 新 麻里子; 一政 祐輔*; 一政 満子*
Fusion Technology, 28, p.924 - 929, 1995/10
1994年7~8月にカナダチョークリバー研究所において、カナダと日本の協力でトリチウムガス(HT)の野外連続放出実験が実施された。本実験の目的は、大気中にHTを連続放出した時の環境媒体(空気、土壌、植物)中におけるトリチウム水(HTO)の挙動に関する知見、特に定常状態に到達するまでの時間とその濃度、環境媒体間のHTO移行挙動等を明らかにすることである。放出開始から30時間までの結果から、実験場内の空気中HT濃度は、夜間は高く、日中は低かったが、空気中HTO濃度はこのようなHT濃度の変動にもかかわらず、徐々に増加すること、及び小松菜の組織自由水中HTO濃度の時間変化は、空気水分中HTO濃度の時間変化と同じ動きをすること等が明らかとなった。
P.A.Davis*; W.J.G.Workman*; B.D.Amiro*; F.S.Spencer*; 野口 宏; 天野 光; 一政 祐輔*; 一政 満子*
Fusion Technology, 28, p.840 - 845, 1995/10
1994年7月27日から8月8日までの12日間、カナダチョークリバー研究所においてトリチウムガス(HT)の野外連続放出実験を行った。本報告では、実験概要を述べるとともに、主にカナダと日本が測定した空気、土壌、植物中のトリチウム濃度の結果をまとめた。空気中へHTを12日間ほぼ一定濃度で放出した結果、土壌表面層でトリチウム水(HTO)が生成されること、土壌、植物及び空気中のHTO濃度は時間とともに増加したが、放出期間の終り頃(約10日目以降)にはほぼ定常状態に到達したこと、植物中の有機結合型トリチウムは定常状態には到達せず、増加を続けたこと等が明らかとなった。
野口 宏
Fusion Technology, 27(2T), p.56 - 61, 1995/03
トリチウム水の人体に対する線量寄与は、トリチウムガスに比べて、約4桁も大きい。したがって、核融合炉施設等の作業者の被ばく線量評価を行う上で、トリチウムガスからトリチウム水への転換反応を明らかにすることは重要である。このため、空気中における低濃度トリチウムガスの転換反応に及ぼすトリチウムガスの同位体組成割合、すなわち全トリチウムガス(T+DT+HT)に対するT
割合の影響を実験的に調べた。その結果、転換反応の1次の速度定数はT
の割合に比例することがわかった。このことから、低濃度トリチウムガスの転換反応に対しては、T
のみが寄与することが明らかとなった。
村田 幹生; 木内 伸幸; 横山 須美
JAERI-M 94-065, 93 Pages, 1994/03
草地土壌や湿地などに存在するHTOが人の被ばくに至るプロセスおよび移行のパラメータ等を明らかにすることを目的として、IEA/OECD核融合環境、安全性、経済性に関する研究協力協定のもとで、HTOの野外挙動実験をカナダとの協力のもとに実施した。本報告は、カナダのチョークリバー研究所廃棄物処理場周辺、およびピッカリング発電所敷地周辺での、1)準平衡状態にある環境媒体中(空気、土壌、植物、プール水)におけるHTOレベルの短期変動とその相関関係、2)空気中HTOの地表高分布、地表と大気間の水蒸気交換速度、HTOフラックスおよび土壌中HTOの大気への放散率、3)植物有機結合トリチウムの生成、植物葉からの空気中HTOの取入れ速度等に関して得られたデータをまとめたものである。なお、3)等に関する成果は野外実験データ集(2)として別に報告される予定である。
前川 藤夫; 前川 洋
JAERI-M 93-017, 53 Pages, 1993/02
現在の技術によるトリチウム生成率の測定精度評価を目的として、第2回核融合中性子工学実験のためのトリチウム生成率測定法の国際比較が実施された。原研FNSとローザンヌ工科大学(スイス)のLOTUSの2つの14MeV中性子源施設が使われた。単純幾何形状からなる核融合模擬ブランケット体系内の均一中性子場で、7ヶ国の9機関から送られたリチウム化合物の試料が照射され、試料中のトリチウム生成率が各機関独自の方法で測定された。また、未知ではあるが同一濃度のトリチウム水試料が配布され、その濃度を各機関が測定して共通の基準とした。測定されたトリチウム生成率の機関内のバラつきは、FNS,LOTUS照射共に標準偏差で約10%であり、期待していた値である5%を越えた。このバラつきは主に、照射試料からのトリチウム水抽出過程における各機関依存の系統的な誤差に原因の多くがあると推察された。
野口 宏; 村田 幹生
日本原子力学会誌, 33(4), p.360 - 362, 1991/04
被引用回数:2 パーセンタイル:50.60(Nuclear Science & Technology)乾燥空気中におけるトリチウムガスの同位体組成比、すなわち全トリチウムガス放射能濃度に対するT放射能濃度の割合をパラメータとして、トリチウムガスからトリチウム水への転換反応の速度定数を調べた。その結果、速度定数とT
放射能濃度の割合との比はほぼ一定値となり、その値はトリチウムの崩壊定数に近い値であった。このことから、乾燥空気中における低濃度トリチウムガスのトリチウム水への転換反応は、T
分子の
崩壊によって生じた
HeT
にもとづく反応が支配的であり、HTとDTは反応にほとんど寄与していないことが明らかとなった。
藤根 幸雄; 内山 軍蔵; 杉川 進; 前田 充; 辻野 毅
JAERI-M 89-152, 14 Pages, 1989/10
トリチウム分配比を30%TBP-nDD/硝酸ウラニル-硝酸-水系で測定した。トリチウムは、トリチウム水(HTO)とトリチウム硝酸(TNO)の化学形でTBPに抽出され、その分配比は、水相中の硝酸濃度が0~6mol/l、トリチウム濃度が0.5~800mCi/l、有機相中のウラン濃度が0~125g-U/lの範囲で0.002から0.005の間で得られた。また、このトリチウムの2相間同位体分配係数は、約0.95と求められた。