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坂場 成昭; 大橋 弘史; 武田 哲明
Journal of Nuclear Materials, 353(1-2), p.42 - 51, 2006/07
被引用回数:11 パーセンタイル:59.42(Materials Science, Multidisciplinary)HTTRの中間熱交換器(ハステロイXR製)におけるトリチウム透過の防止は、高温ガス炉に化学プラントを接続する際の重要な課題の一つである。本報では、HTTRに水素製造装置を接続する際に化学プラントであるISシステムの非原子力級可に資するため、HTTRの高温試験運転における実測値をもとに水素透過を保守的に評価した。ハステロイXRの活性化エネルギー及び頻度因子は、707Kから900Kにおいて、それぞれ、65.8kJ/mol, 7.810
m
(STP)/(m
s
Pa
)と評価された。これらの値は、従来の値と同程度である。また、最確値による評価の結果から、トリチウム透過を妨げる酸化膜が伝熱管表面に形成されていることが示唆された。
河村 繕範; 榎枝 幹男; 山西 敏彦; 西 正孝
Fusion Engineering and Design, 81(1-7), p.809 - 814, 2006/02
被引用回数:14 パーセンタイル:67.42(Nuclear Science & Technology)核融合炉固体増殖ブランケットで生成されたトリチウムは、ヘリウムスイープガスを流通させることによりブランケットから取り出す。取り出されたトリチウムは、ブランケットトリチウム回収システムにおいてヘリウムから分離される。ブランケットトリチウム回収システムに対して適用が提案されているプロセスの一つが、パラジウム合金膜を用いた膜分離システムである。パラジウム拡散器は高濃度水素同位体純化に対して実績があり、ITERのプラズマ排ガス処理装置にも採用されている。一方で、低水素分圧の系では透過における律速過程の変化が報告されており、ブランケット系への適用を本格的に検討した例は少ない。今回、原研で行われた実証炉の概念設計に基づき、パラジウム拡散器を用いたブランケットトリチウム回収システムの可能性について検討を行った。一例としてシェル-チューブ型熱交換器のような拡散器を想定し、スイープガスを大気圧でシェル側に受入れるとする。この場合、サイドカットを0.95程度とするには、チューブ側線流速をシェル側の6倍にしなければならない。これは透過したトリチウムを薄めることになり、回収システムとしての機能を果たさないことを意味する。
中村 博文; 林 巧; 小林 和容; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 48(1), p.452 - 455, 2005/07
被引用回数:2 パーセンタイル:17.30(Nuclear Science & Technology)トリチウムに汚染した炉内機器等を取り扱うITERホットセルに関し、セル内に放出されたトリチウムの挙動を解析・評価した。解析は、コンクリートとエポキシ塗装の多層構造壁中におけるトリチウムの1次元拡散モデルと完全混合下での換気によるトリチウム濃度の減衰モデルを組合せて行った。解析の結果、ホットセル内のトリチウム濃度は、トリチウム放出源を取り除いた後すみやかに低下し、数日で300DAC(240Bq/cm)から1DAC(0.8Bq/cm
)まで低下することを明らかとした。また、ホットセル壁中のトリチウムインベントリは20年間の運転後約0.1PBqとなり、壁材の数10%はクリアランスレベルを超えるが、壁から外部へのトリチウム透過は無視し得る量であるとの結果を得た。さらに、コンクリート壁へのエポキシの塗布は、トリチウムの透過やインベントリを数桁低減する効果があることを明らかにした。
河村 繕範; 岩井 保則; 中村 博文; 林 巧; 山西 敏彦; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 48(1), p.654 - 657, 2005/07
被引用回数:3 パーセンタイル:23.81(Nuclear Science & Technology)核融合炉固体増殖ブランケットにおいて水素添加ヘリウムスイープガスをトリチウム回収に使用した場合、冷却系へのトリチウム透過漏洩が懸念される。原研で行われた実証炉に関する設計研究では、典型的な水素添加スイープガス条件で、透過漏洩量が生成トリチウム量の約20パーセントに上ると試算されている。これらのトリチウムをITER規模の水処理システムで回収しようとすれば、何らかの透過防止措置により透過量を0.3パーセント以下に低減する必要がある。有力な透過防止措置の一つとして、水素に代わり水蒸気を添加したスウィープガスを使用する場合について検討した。水蒸気添加では、同位体交換の反応速度は水素より大きく、平衡定数はほぼ1.0であると予想される。水素添加同様H/T比を100として増殖領域でのトリチウムインベントリーを比較すると、水蒸気分圧の増加に伴いインベントリーは増加するもののそれほど大きくないことがわかった。トリチウム回収システムとしてはトリチウムを含む水蒸気をヘリウムから分離するのは比較的容易であるが、燃料として利用するために分解して水素同位体に戻すプロセスが必要である。
松廣 健二郎; 中村 博文; 林 巧; 中村 博雄; 杉本 昌義
Fusion Science and Technology, 48(1), p.625 - 628, 2005/07
被引用回数:6 パーセンタイル:39.82(Nuclear Science & Technology)IFMIFの安全評価やトリチウム処理システムの設計に必要となるIFMIFターゲットシステムのリチウムループでのトリチウム透過量及びインベントリについて詳細な評価を行った。その結果リチウムループからのトリチウム透過量は1.010
Bq/hとなり、その内約95%が窒素除去用ホットトラップ(873K)からのものであることがわかった。透過したトリチウムはリチウムループエリアに放出されアルゴン排ガス処理システムでテストモジュールから発生したトリチウム(6
10
Bq/h)とともに処理される。また、アルゴン雰囲気調整装置で分離された空気中に最大3.5
10
Bq/cm
混入する可能性があるが、空気排ガス処理システム(最大処理トリチウム濃度5Bq/cm
)で処理されることからリチウムループからのトリチウム透過は問題とならない。一方リチウムループ機器材料中のトリチウムインベントリは5
10
Bqであり、ターゲットシステムにおけるリチウム中(9 m
)のトリチウムインベントリ(5
10
Bq)に比べ問題とならない。
坂場 成昭; 松澤 孝治*; 平山 義明*; 中川 繁昭; 西原 哲夫; 武田 哲明
Proceedings of 2005 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '05) (CD-ROM), 8 Pages, 2005/05
HTTRの中間熱交換器伝熱管に使用されているハステロイXRにおける水素同位体の透過は、HTTRの熱利用系として近い将来HTTRへの接続が計画されている水素製造装置における懸案の一つである。HTTRの初めての950C運転となった高温試験運転における実測水素濃度をもとに、中間熱交換器伝熱管における1次系から2次ヘリウム系への水素透過を評価した。保守的に高く行った評価の結果、伝熱管平均温度735Kから940Kにおける、水素透過の活性化エネルギーE
及び前指数部F
は、それぞれ、E
=62kJ/mol及びF
=3.6
10
cm
(NTP)/(cm s Pa
)であった。本評価結果と従来報告されている値とを比較した結果、活性化エネルギーはほぼ一致した。また、本評価における前指数部は従来値より低く、これは、中間熱交換器伝熱管表面に酸化被膜が形成されている可能性を意味しており、水素同位体透過の低減につながることが示唆された。
中村 博雄; 井田 瑞穂*; 松廣 健二郎; Fischer, U.*; 林 巧; 森 清治*; 中村 博文; 西谷 健夫; 清水 克祐*; Simakov, S.*; et al.
JAERI-Review 2005-005, 40 Pages, 2005/03
国際核融合材料照射施設(IFMIF)は、核融合炉材料の開発のために、十分な照射体積(500cm)を有し照射量200dpaまで照射可能な強力中性子束(2MW/m
)を発生可能な加速器型中性子源である。このような中性子を発生させるために、最大エネルギー40MeV,最大電流250mAの重水素ビームを、最大流速20m/sの液体リチウム流ターゲットに入射させる。ターゲット系では、7Be,トリチウムや放射化腐食生成物等が発生する。また、背面壁は、年間50dpaの中性子照射下で使用する必要がある。本報告では、平成16年度の原研におけるターゲット系の活動主要なトピックスとして、ターゲットアセンブリの熱・熱応力解析、放射化腐食性生物によるリチウムループ近接性の影響評価,トリチウムインベントリと透過量評価を取りまとめた。
吉田 肇; 古作 泰雄*; 榎枝 幹男; 阿部 哲也; 秋場 真人
JAERI-Research 2005-003, 13 Pages, 2005/03
核融合炉におけるトリチウム漏洩量見積りの高精度化に資するため、低放射化フェライト鋼の水素透過速度を真空熱天秤法で測定した。本測定法では、水素ガスを封入した低放射化フェライト鋼F82H製の試料カプセルを用意し、試料カプセルを真空中で等温加熱して、試料カプセルを透過しカプセル表面から脱離する水素を以下の2つの独立した方法で測定する。すなわち、試料カプセルの正味の重量減少量と、試料カプセルからの水素脱離による排気ガス分析である。このような手法で測定の信頼性を増すことが可能である。本実験条件で、正味の重量減少量から求めた水素透過速度と排気ガス分析から求めた値の比は、1/4から1/1であった。本実験を通して、真空熱天秤法がF82Hの水素透過速度を評価するために有効な手段であることが示された。
中村 博文; 西 正孝
Journal of Nuclear Materials, 329-333(Part1), p.183 - 187, 2004/08
被引用回数:26 パーセンタイル:82.24(Materials Science, Multidisciplinary)ITERの熱交換器ステンレス配管を通じた1次冷却水から2次冷却水へのトリチウム透過量を正確に把握するために模擬実験を実施した。実験には、直径6mm,肉厚0.5mm,長さ30cmの316Lステンレス鋼の細管37本を集合させた試験体を用意し、細管の内側に1次冷却水を模擬した7.4MBq/cmのトリチウム水を、外側には純水を充填して、0.9MPa-423Kの条件でトリチウム透過量を測定した。その結果、100時間経過後に有意なトリチウムの透過が観察されはじめ、その後直線的な純水中トリチウム濃度の上昇が観察された。本実験結果から評価される定常状態におけるトリチウムの透過率は、3.4
10
C
A/d(Bq/hr)である。ここで、
C, A, dは、それぞれトリチウム濃度差,細管の表面積及び肉厚である。今回得たトリチウム透過率は、従来用いられてきたガス透過の結果に基づく評価値より約3桁小さい。これは、ガス状態で接した場合の材料表面のトリチウム濃度がSievert's則で規定されるのに対し、水状態で接した場合の表面トリチウム濃度が水中の水素イオンもしくは水酸イオン濃度に規定されているためであると推察される。以上の結果は、これまで評価されてきたITERの2次冷却水中のトリチウム濃度が十分保守的であることを証明するものである。
武田 哲明; 岩月 仁*
Nuclear Technology, 146(1), p.83 - 95, 2004/04
被引用回数:14 パーセンタイル:65.28(Nuclear Science & Technology)高温工学試験研究炉(HTTR)に接続する水素製造システムにおいては、中間熱交換器や水蒸気改質器に使用されている高温耐熱材料中の水素同位体透過は重要な問題である。本研究では管の外側に存在する水素が重水素の透過量に及ぼす影響を調べることが目的である。管内の重水素の分圧が100Paより低く、外側の水素分圧が10kPaより高いとき、管外の水素分圧が増大すると重水素の透過量が減少した。対向透過における重水素透過量は、金属表面での水素,重水素,HD分子の平衡状態を考慮し、重水素拡散係数に対する効果係数を用いた解析により定量的に予測することができた。これより、HTTRの1次系から水素製造システムへ移行するトリチウム量は、改質器反応管内の高分圧水素の存在により、少なくすることができると予想できる。
松廣 健二郎; 安堂 正己; 中村 博雄; 竹内 浩
JAERI-Research 2004-003, 12 Pages, 2004/03
IFMIFターゲット背面壁の候補材である低放射化フェライト鋼(F82H鋼)におけるトリチウム透過量に与える中性子照射損傷の影響について評価を行った。その結果、照射損傷により実効拡散係数は1020%減少することが予想され、透過開始後数百秒までの範囲では照射損傷によりトリチウム透過量は10
20%以上減少する。またIFMIFターゲット背面壁のF82H鋼における一日あたりのトリチウム透過量は1.3x10
g/d(4.7x10
Bq/d)であり、316ステンレス鋼を用いた場合に比べ約30倍であり、この量はIFMIFの主ループでのトリチウム透過量の約8%に相当する。
中村 博文; 西 正孝
JAERI-Research 2003-024, 24 Pages, 2003/11
ITERダイバータ部におけるトリチウムの冷却水への透過量の再評価を行った。本評価は、ITERの設計緒元を用い、著者らが近年の実験研究で得てきたタングステンや銅における水素同位体の輸送物性値(拡散係数,トラップ因子,表面再結合係数等)を用いて行ったものである。比較のためにこれまでの評価で用いられてきたタングステンや銅等の輸送物性値を用いた評価も同様に実施した。ダイバータは、アーマ材領域とアーマ材が存在しないスリット領域に分類し、それぞれの領域について評価した。解析の結果、著者らの新知見に基づくトリチウム透過の評価値は、従来の輸送物性値の報告値を使用した結果よりもダイバータ供用期間末期において1桁以上低い値となった。また、新知見によるトリチウム透過はダイバータタイルのスリット領域からの透過が支配的となる可能性を見いだした。このような冷却水への少ないトリチウム透過量は、冷却水の直接排水の可能性をも示唆するように、現行のITERの運転期間中におけるダイバータ冷却水中トリチウム濃度の評価値が十分な安全裕度を有していることを確認するものである。
中村 博文; 西 正孝; 杉崎 昌和*
JAERI-Research 2003-018, 32 Pages, 2003/09
核融合炉の安全評価上必要な材料中のトリチウム輸送挙動の評価は、トリチウム輸送物性値、もしくは、軽水素,重水素輸送特性の同位体効果理論によるトリチウムへの外挿値により評価される。しかしながら、トリチウム輸送物性値の測定例は稀少であり、また、同位体効果理論の外挿性についてもトリチウムデータの稀少さゆえに完全に確証されておらず、材料中トリチウム挙動予測に不確実性が存在する。そこで本研究では、この材料中におけるトリチウムの輸送特性を評価するために、イオン駆動透過法を用いて、水素透過挙動がよく知られたニッケルに対するトリチウムの拡散係数及び表面再結合係数を測定し、全く同じ条件で実施した重水素の結果との比較により拡散と表面再結合のトリチウム-重水素間の同位体効果を評価した。その結果、拡散係数の同位体間効果に関しては、古典拡散理論から予測される同位体効果を示さず、トリチウムが重水素よりも大きな拡散係数を持つこと及び拡散の活性化エネルギーがトリチウムの方が小さいという傾向を得た。これらの結果は、振動温度を従来報告値より若干高く仮定することにより、既存の修正拡散モデルで説明可能であることを明らかにした。さらに、表面再結合に関する同位体効果に関しても、修正溶解モデルにより同様に説明可能なことを示した。
榎枝 幹男; 小原 祥裕; 秋場 真人; 佐藤 聡; 秦野 歳久; 古作 泰雄; 黒田 敏公*; 菊池 茂人*; 柳 義彦*; 小西 哲之; et al.
JAERI-Tech 2001-078, 120 Pages, 2001/12
本報告書は、経済的競争力の強化と技術的な堅実さの維持を両立する原型炉ブランケットの概念構築を目的として行われた平成12年度の原型炉ブランケット設計会議での作業内容をとりまとめたものである。平成11年度の核融合会議戦略検討分科会の議論等から、原型炉の果たすべき使命に関して見直しがなされ、経済的な競合性を有する実用炉の原型であり、それと同じ材料と設計を使用して商業的に魅力ある動力炉の原型であるから、原型炉で、実用化に必要な技術はすべて開発し実証する、と結論付けられた。この見直しを受けて、過去数年にわたるプラズマ研究や炉工学技術開発の進展を勘案して、開発目標として再設定をし、原型炉としてA-SSTRで提案された超臨界水冷却方式の固体増殖ブランケットを目標とし、その概念検討を行った。本概念検討の結果、除熱,発電,燃料増殖,遮蔽などの基本的な性能に関して、超臨界水冷却固体増殖ブランケットの実現可能性が示された。また、電磁力に関する検討,超臨界水による腐食防止に関する予備調査,トリチウム生成挙動と回収方式の検討,冷却発電システムの検討,モジュール製作性の検討,遠隔保守着脱機構,交換計画の検討などを行い、今後解決するべき検討課題を明らかにした。
中村 博文; 林 巧; 大平 茂; 西 正孝
JAERI-Research 2001-042, 21 Pages, 2001/09
国際熱核融合炉(ITER)の第1壁におけるトリチウム透過評価のための研究の一環として、ベリリウム中に打ち込まれた重水素のイオン注入透過挙動の測定を実施した。試料には焼鈍処理をしていない試料及び1173Kで焼鈍した試料の2種類を用いた。透過量は試料温度及び入射イオンフラックスをパラメータとして測定した。透過実験後のベリリウム試料の表面分析も行った。今回の透過実験の範囲(最高温度:685K,検出感度:110
原子/m
s)においては、透過は焼鈍処理を行った試料にのみ観測され、非焼鈍試料では観測されなかった。これは透過を阻害する試料内部欠陥の減少に起因することが推定された。イオン注入透過の定常挙動、過渡挙動及び表面分析を元に焼鈍ベリリウム中にイオン注入された重水素の透過の律則過程は、透過側表面に存在する酸化膜の影響を受けて表面再結合律速であると評価した。
中村 博文; 林 巧; 西 正孝; 有田 誠; 奥野 健二*
Fusion Engineering and Design, 55(4), p.513 - 520, 2001/09
被引用回数:10 パーセンタイル:58.52(Nuclear Science & Technology)核融合炉プラズマ対向材料からのトリチウム透過に関する知見を得るために、純タングステン中に打ち込まれた重水素の透過挙動を測定した。実験は25m厚のタングステン膜を使用し、重水素過程の定常状態及び過渡状態での挙動を測定した。実験の結果、定常状態の透過挙動のパラメータ依存性は、透過が入射側拡散-透過側拡散律速(DD律速)過程により律速されていることを示した。また、タングステン中の重水素の透過はほかの材料に比較して極めて小さいことも明らかとなった。過渡状態における透過挙動の解析の結果、重水素透過は、試料内部に存在すると考えられるトラップサイトによるトラップの影響を強くうけていることが観察される。
中村 博文; 林 巧; 角田 俊也*; 鈴木 卓美; 西 正孝
Journal of Nuclear Materials, 297(3), p.285 - 291, 2001/09
被引用回数:19 パーセンタイル:77.43(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉の安全を考えるうえで重要なトリチウムの金属透過挙動研究の一環として、ニッケル中のトリチウム及び重水素のイオン注入透過挙動を測定し、その同位体効果を検証した。同位体効果の検証に先立ち、重水素及びトリチウムの透過の律速過程を同定し、各々、550K以下の低温領域では入射側再結合律速-透過側拡散律速であり、550K以上の高温領域では入射側、透過側共に表面再結合律速であることを明らかとした。低温側の透過の過渡解析により、ニッケル中の重水素、トリチウムの拡散係数を求め、重水素との文献値との良い一致を得た。一方、拡散の同位体効果に関しては、拡散の活性化エネルギーに同位体依存性があることを見いだした。表面再結合係数に関しても重水素、トリチウムそれぞれに対して導出し、これも文献値との一致を見ると共に、重水素-トリチウム間の同位体効果の存在を明らかにした。得られた結果より、ニッケル中の重水素、トリチウムのイオン注入透過で観察された同位体効果に関しては、拡散係数よりも、表面再結合係数の寄与が大きいことが判明した。
西原 哲夫; 羽田 一彦
日本原子力学会誌, 41(5), p.571 - 578, 1999/05
被引用回数:5 パーセンタイル:40.16(Nuclear Science & Technology)高温ガス炉水素製造システムでは、原子炉で発生したトリチウムの製品水素への移行を可能な限り低減する必要がある。さらに、水素製造システムでは、過剰に供給する水蒸気を再利用することによりトリチウム水が蓄積され、さらに製品水素のトリチウム量を増加させる可能性がある。そこで、製品水素を非放射性物質として位置づける観点から製品水素のトリチウム濃度の目標値を5Bq/g-Hと定めた。そして、その目標値を満足させるためには、水素を生成する反応器のみならず、原子炉1次系と水素製造システムの間に設ける中間熱交換器もトリチウム透過量を抑制する必要があり、この手段として酸化膜やコーティングが有効であること、並びに、水素製造システムでリサイクル水のトリチウムを回収する必要はないことを明らかにした。
舒 衛民; 大平 茂; 西 正孝
Trends in Physical Chemistry, 7, p.115 - 121, 1999/00
金属中の水素透過の素過程である拡散と再結合に対して透過抵抗と透過ポテンシャルという新しいパラメータを定義し、透過に対する拡散と再結合の寄与を統合した。この透過回路の考え方により、定常状態での水素透過(ガス駆動透過、プラズマ駆動透過及びガス・プラズマ共存系の透過)に対する解析的な一般式を導出した。拡散の透過抵抗と再結合の透過抵抗の比較により、従来の個別の律速過程を識別でき、また一般式より個別の律速過程の式を完全に再現できた。導出した一般式を用いれば、任意の物性定数(拡散係数、溶解度係数、材料の表面状態にも依存する再結合係数)と外部条件(水素の圧力、入射フラックス、入射エネルギー、温度、厚み等)を与えることにより、解析的にトリチウム透過量を計算することができた。
山本 英明; 友岡 仁*; 加藤 正平; 村田 幹生; 木内 伸幸; 山本 峯澄
Proc. of the Int. Radiation Protection Association,Vol. 1, p.467 - 470, 1992/00
トリチウム取り扱い時に被ばく防護のために用いられる防護具(グローブ、スーツ等)の性能評価等に資するため、防護具用素材のうち、高分子膜(ポリエチレン、ポリ塩化ビニル及びポリ酢酸ビニル)及びゴム膜(ウレタン、クロロプレン、ハイパロン、ブチル及び天然ゴム)の酸化トリチウム透過率パラメータ(透過係数・拡散係数及び溶解度)を測定した。これらの素材のうちでは、ポリエチレン及びブチルゴムの透過係数が比較的小さい値を示し、透過に対するバリアとしては秀れた素材であることがわかった。また、このような透過性能は、膜を乾燥することによって維持できることを明らかにした。