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千葉 敦也; 宇野 定則; 大越 清紀; 山田 圭介; 齋藤 勇一; 石井 保行; 酒井 卓郎; 佐藤 隆博; 水橋 清
JAEA-Review 2005-001, TIARA Annual Report 2004, p.358 - 360, 2006/01
TIARA静電加速におけるビーム発生・照射技術の開発に関する4つのテーマについて報告する。(1)透過型ビーム減衰器と透過型ビームモニターを組合せ、試料へのイオンビームの注入量を自動制御して一定に保つビーム電流安定化技術の開発を行い、ビーム電流を2%程度の誤差で長時間維持することに成功した。(2)シングルエンド加速器のマイクロビームラインに、新たな機能としてビーム走査制御用PCに設定したパターンを任意の倍率で試料上に描画照射できるシステムを開発し導入した。(3)シングルエンド加速器の電圧測定抵抗を放電の影響を受け難いと考えられる無誘導型の精密高抵抗に置き換えた。電圧測定精度や電圧安定度に変化が生じていないことを共鳴核反応を用いた測定電圧の校正及びビームエネルギー幅の測定により確認した。(4)Feイオンの生成試験を、イオン注入装置に搭載されたECRイオン源によりMIVOC法を用いて行った。その結果、6価までを1eA以上の電流で生成及び加速することに成功した。
箱田 照幸
放射線と産業, (106), p.4 - 8, 2005/06
大気汚染防止法の改正に伴い、揮発性有機化合物(VOC)であるトルエン,キシレンや塩化メチレンなどの塗料溶剤類の大気環境中への排出基準濃度が新たに設けられようとしている。この規制の結果、VOC量の取扱量の多い事業者にとっては、大流量換気ガス中の低濃度のVOCの処理が必要となる。そこで、本稿では、このようなガス処理条件に適している電子ビーム照射技術の全般について述べる。また、これとともに環境保全プロセス研究グループで現在、開発を行っている、照射によりVOCから生成する粒子状有機物を照射場で帯電させ、かつ電場で捕集除去する技術についてキシレンを例として紹介する。
小嶋 拓治
真空, 47(11), p.789 - 795, 2004/11
排煙や排ガスに電子ビームを照射すると、その主成分である空気中の窒素, 酸素, 水及び炭酸ガスなどから反応性に富んだ水酸化ラジカル, 活性酸素などの活性種が生成する。紫外線やプラズマ放電でも同様の反応を起こさせることが可能だが、放射線ではこれらの活性種を高密度に生成させることができるため、石炭/石油燃焼火力発電所排煙中の硫黄酸化物及び窒素酸化物, ごみ燃焼排煙中のダイオキシン類、及び換気ガス中の有害揮発性有機化合物(VOC)などと、それらが極微量であっても効率よく化学反応を起こさせて、それら環境汚染物質を分解または除去しやすい化学物質に変えることができる。ここでは、この原理に基づく電子ビームを用いた排煙・排ガスの浄化技術に関して日本原子力研究所における研究開発例を述べる。
廣田 耕一; 酒井 洋樹*; 鷲尾 方一*; 小嶋 拓治
Industrial & Engineering Chemistry Research, 43(5), p.1185 - 1191, 2004/03
被引用回数:49 パーセンタイル:80.19(Engineering, Chemical)電子ビーム技術はVOC処理として有望な方法である。この技術の実用化のため、その指標となる90%以上の分解処理に必要なエネルギー(吸収線量)を求めた。実験室レベルで20種のVOCに対して電子ビーム照射を行った結果、そのエネルギーは、化学構造に関係し、OHラジカルとの速度定数から推測できることがわかった。この結果をもとに仕様を決めて行ったコスト分析では、自己遮蔽型の電子加速器と反応器を1つのユニットにすることにより、電子ビーム処理システムの設備コストを低減できることを明らかにした。
廣田 耕一; 箱田 照幸; 新井 英彦; 橋本 昭司
Radiation Physics and Chemistry, 65(4-5), p.415 - 421, 2002/11
被引用回数:25 パーセンタイル:81.01(Chemistry, Physical)空気雰囲気において、脂肪族系及び芳香族系揮発性有機化合物(VOC)に電子ビームを照射し、その分解挙動を調べた。脂肪族系では、クロロエテンがClラジカルによる連鎖反応を起こす一方、クロロメタンは熱電子によって分解することがわかった。また、主な生成物は一酸化炭素と二酸化炭素であった。芳香族系では、キシレンが最も分解しやすく、次いでクロロベンゼン,ベンゼンの順になった。これには、OHラジカルとの速度定数の大小関係のほか、分解によって生成する粒子状物質が関与していることがわかった。また、ガス状の分解生成物はカルボン酸やエステルなどの酸化物であることがわかった。
廣田 耕一
放射線と産業, (92), p.76 - 79, 2001/12
「第10回空気汚染に関する国際会議(Air Pollution 2001)」がイタリアマルケ州アンコナにおいて行われた。本稿では、各国における空気汚染の現状や対策などの紹介とともに、日本原子力研究所で行った電子ビームによる揮発性有機化合物処理に関する研究の概要を記した。電子ビーム照射した芳香族及び脂肪族化合物の分解生成物や反応に関与する活性種についての解析結果と現在行っているダイオキシン類分解試験で得られた成果について発表した。
廣田 耕一; 箱田 照幸; 橋本 昭司
Air Pollution 9 (Advances in Air Pollution Vol.10) 2001, p.439 - 446, 2001/00
脂肪族(四塩化炭素,酢酸ブチル,クロロエテン)及び芳香族系(ベンゼン,キシレン,クロロベンゼン)揮発性有機化合物に電子ビーム照射し、その分解挙動について調べた。その結果、芳香族系の場合照射分解率の大きさはOHラジカルとの速度定数の大小関係と一致したことから、芳香族系の化合物はOHラジカルとの反応により分解することがわかった。また、照射による主なガス状生成物はカルボン酸であるほか、粒子状の物質を生成することがわかった。これに対して脂肪族化合物は、例えば四塩化炭素はe及びO、酢酸ブチルはOH、クロロエテンはCl
による連鎖反応など化学構造により分解に関与する活性種が異なることを明らかにした。照射では粒子状物質はほとんど生成せず、CO、CO
やホスゲンなどのガス状物質が観察された。
廣田 耕一; 新井 英彦; 橋本 昭司
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 73(12), p.2719 - 2724, 2000/12
被引用回数:7 パーセンタイル:38.11(Chemistry, Multidisciplinary)空気及び窒素雰囲気中で、電子線による四塩化炭素の分解率を水分有り無しの場合について調べた。その結果、四塩化炭素10ppmで水分無しの場合、両雰囲気ともに分解率はおよそ90%であった。ところが水分有りの場合、窒素雰囲気では分解率にあまり変化が見られなかったのに対し、空気雰囲気ではその値は70%となった。これには酸素が関与していることがわかった。すなわち、窒素雰囲気ではおもにeにより四塩化炭素が酸化分解を起こすが、空気雰囲気ではeは酸素分子とも反応し、Oとなる。しかし、このO
も四塩化炭素を酸化分解するため、見かけ上水なしの場合では、両雰囲気ともに分解率に大きな差は見られなかった。これに対し、水有りの場合O
は水分子と反応しクラスターイオン(O
(H
O))を形成し、O
による四塩化炭素の酸化分解を阻害するため、空気雰囲気で水分有りの場合、四塩化炭素の分解率が低下したことがわかった。
橋本 昭司; 新井 英彦
電気学会技術報告, (810), p.46 - 50, 2000/10
本報告書は、電子ビーム照射による(1)燃焼排煙中のSO及びNO
除去、(2)都市ごみ燃焼排煙の処理及び(3)揮発性有機物を含む排ガス処理技術の研究開発の現状及び今後の展望についてまとめた。即ち、(1)に関しては、現在中国で実用試験が進められており、また中部電力において本技術を採用したプラントが建設中である。(2)に関しては、松戸市焼却施設で実用試験が実施された。(3)に関しては、トリクロロエチレンなどを除去する研究が原研及び世界各地で進められている。今後、本技術はダイオキシンをはじめとする環境ホルモンの分解処理への発展が期待される。
橋本 昭司; 箱田 照幸; 広田 耕一; 新井 英彦
Radiation Physics and Chemistry, 57(3-6), p.485 - 488, 2000/03
被引用回数:26 パーセンタイル:82.18(Chemistry, Physical)種々の工業プロセスから環境中に放出される有機物は環境汚染の観点から問題となっている。原研では揮発性有機物を含むガスに放射線照射して分解する技術の開発研究を行っている。本研究ではベンゼンやトルエン等の芳香族化合物並びにトリクロルエチレンやテトラクロルエチレン等のクロルエテンへの放射線照射効果を調べた。その結果、芳香族化合物では分解のG値が1~2であり、濃度減少分の30~60%がエアロゾルに変換されることを明らかにした。一方、クロルエテンの場合では、エアロゾルはほとんど生成しなかったが、分解のG値は芳香族化合物の数十から百倍も大きく、その値は処理濃度が高いほど大きくなった。
松田 誠; 竹内 末広; 小林 千明*
KEK Proceedings 99-22, p.17 - 27, 2000/01
タンデム加速器の高電圧端子に永久磁石で構成される小型のECRイオン源を設置し、それから得られる大電流の正多価イオンを直接加速することでビームのエネルギー、強度を増強することに成功した。これまでにH,N,O,Ne,Ar,Kr,Xeイオンの加速に成功しビーム電流はいずれも従来の加速方式に比べ1桁あまり増強することができた。エネルギーについてはXeビームにおいて270MeVを達成している。ECRイオン源の設置場所は高圧絶縁ガス中の放電にさらされる過酷な環境であるのでイオン源、入射系を簡略化し複雑な制御は行わない方針をとった。特にガス流量が重要であるがこれをバルブの開閉操作のみとした。それによって性能はある程度抑えられているが、それでもなお十分な性能を発揮できている。今後はガス流量の調整やMIVOC法による金属イオンの加速を試みる予定である。
平松 洋一*; 島田 太平*; 宮原 義一*
JAERI-Tech 99-082, p.274 - 0, 1999/12
SPring-8の23番セルに設置された原研軟X線ビームライン用挿入光源の制御系を開発した。この挿入光源は、平面型可変偏光アンジュレータ(APPLE型)であり、上下に設置された2対の磁石列を相対的に動かして、水平直線偏光、垂直直線偏光、だ円偏光、左右円偏光の放射光を発生する装置である。本制御系では、磁石列のギャップ駆動と位相駆動に伴って、蓄積リングの電子ビーム軌道が変動するのを制御するために、10台の補正電磁石で速い(周期=24msecの)軌道修正をかけることができる。一定の周期(2secで、バラツキ誤差0.1%以下)の位相駆動を実現することにも成功した。開発したシステムは、SPring-8全体の制御系で採用されている「SVOCコマンド制御方式」に合致したものになっている。
新井 英彦
平成11年電気学会全国大会講演論文集, p.S.1.1 - S.1.4, 1999/03
現在、塗装工場や地下水浄化プラントなどからの排ガスの処理に電子ビームを利用しようとする研究が、原研を含め世界の各地で進められている。本報告では、これらの研究を概括し、今後の課題を整理した。研究の現状では、一部の排ガスについては、基礎実験から実地試験まで進み、反応メカニズムもある程度解明されてきている。しかし、今後実用化を推進するためには、(1)プロセスの最適化、(2)生成物の把握、(3)混合ガス系の基礎データ、(4)分解メカニズムの解明及び(5)現場試験の実施が課題となる。
橋本 昭司
廃棄物処理・再資源化の新技術, p.58 - 64, 1999/00
本件は月刊エコインダストリー誌に掲載された論文、「電子線による揮発性有機物処理技術の開発」(98年12月号、P.12~18)の技術成書への転載である。論文では、工場換気ガス等に含まれる揮発性有機物の電子線による分解処理の原理、モデルガスを用いての試験結果、今後の研究開発の展望を紹介したものである。
橋本 昭司
ECO INDUSTRY, 3(12), p.12 - 18, 1998/12
放射線は医療や工業等、日常生活で様々に利用されている。特に電子線源としての加速器は大出力化が進み、また取り扱いも容易であることから広く用いられるようになってきている。最近では、環境保全分野での利用の研究とその実用化も進みつつある。そこで、本稿では、日本原子力研究所が揮発性有機物の電子線処理技術の開発を目指して行っている研究の一部を紹介する。
箱田 照幸; M.Yang*; 広田 耕一; 橋本 昭司
J. Adv. Oxid. Technol., 3(1), p.79 - 86, 1998/00
放射線による揮発性有機物(VOC)の分解及びエアロゾル生成の可能性を検討するため、数種の芳香族VOCとクロルエテンを空気中で気化した状態で電子線及びガンマ線照射を行った。芳香族VOCについては、ガンマ線での分解のG値は電子線照射の値に比べて約1.5倍大きく、また分解したVOCのエアロゾルへの変換割合は、炭素変換で約30から60%であることが分かった。クロルエテンについては、分解のG値が芳香族VOCの値に比べて6から45倍大きく、また生成物はほとんどガス状物質であることが分かった。さらに、電子線照射では、分子中の塩素原子数が増加するにつれて大きくなるのに対して、ガンマ線照射ではほとんど一定となることが分かった。
C.Wu*; 広田 耕一; 箱田 照幸; 橋本 昭司
エアロゾル研究, 12(2), p.115 - 123, 1997/00
ガス状キシレンの分解並びにエアロゾル化への放射線照射効果の研究を行った。放射線としては電子ビームを主として用い、比較のためのガンマ線照射試験も行った。電子ビームによるキシレンの分解効果はガンマ線の場合の約70%であった。また、10kGy照射時における分解キシレンに対するエアロゾルとガス状生成物の生成化は電子ビーム照射では、それぞれ、55%、45%、ガンマ線照射では64%、36%であった。
H.Maetzing*; 広田 耕一; K.Woletz*; H.-R.Paur*
Journal of Aerosol Science, 25(SUPPL.1), p.S325 - S326, 1994/05
1000Nm/hの空気にブチルアセテイト及びキシレンを100mgC/Nm
の濃度になるように加え、これに電子線を照射した。照射は550keV/30mAの電子線加速器を備えたKfKのAGATE-IIパイロットプラントで、0~10kGyの範囲で行われた。その結果、ブチルアセテイトで約65%、キシレンで約90%の除去率が、FID及びGCにより測定された。ガス生成物の定性・定量はFT-IR及びイオンクロマトグラフィーで行い、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、CO及びCO
が、ブチルアセテイト及びキシレンの照射により観察された。また、キシレンの場合のみ見られたエアロゾルは10kGyの照射でC
H
O
なる化合物であることがわかった。また、VOCの分解について、AGATE-codeを用いて検討を行った。