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星屋 泰二; 後藤 一郎; 近江 正男; 安藤 弘栄; 江南 和幸*; 西川 雅弘*
Journal of Nuclear Materials, 212-215, p.818 - 822, 1994/00
被引用回数:3 パーセンタイル:35.66(Materials Science, Multidisciplinary)原子力関連機器設計において、構成材料の弾性力を利用した構成要素の拘束・支持機構の設計が数多くなされてきた。最近、こうした構造材料の弾性力が、照射中に急激に低減・消滅する照射誘起応力緩和現象の存在が深刻な課題となっている。母相の弾性力を形状回復力として利用する形状記憶合金においても、同現象は不可避の問題である。本報告では、JMTRにおいてTiNi及びTiPd系形状記憶合金の中性子照射実験を実施し、照射誘起応力緩和機構を解明するとともに、TiPd系合金の中性子照射挙動について明らかにすることを目的とした。照射後の応力緩和実験結果から、照射下における形状記憶合金の応力緩和機構は、格子間原子以外の空孔の挙動に大きく左右され、空孔依存型の現象であること、さらに、環境温度を制御することによって、この応力緩和が抑制できることを見出した。
星屋 泰二; 後藤 一郎; 近江 正男; 安藤 弘栄; 江南 和幸*; 山内 清*
Shape Memory Materials and Hydrides (Trans. of Materials Research Soc. Jpn., Vol. 18B), 0, p.1025 - 1028, 1994/00
TiPd系形状記憶合金は、Fe,Cr,Vなど第三元素を添加することによって、変態開始温度を800Kから室温まで任意に調整できることから、高温作動型の実用形状記憶合金として期待されている。本報告では、TiPd系形状記憶合金の変形挙動に及ぼす中性子照射効果を解明することを目的とした。JMTRにおいて、TiPd系合金の中性子照射実験後、照射後高温引張試験を実施した。その結果、TiPd-3Cr,TiPd-4Cr合金では、中性子照射によるMs温度及びAs温度変化は小さいこと、さらに、照射したTiNi合金の場合と同様の照射誘起擬弾性を呈することを見出した。また、照射後のヤング率に関する温度依存性から、TiPd系合金のマルテンサイト変態に及ぼす照射の影響は小さく、同合金特有の損傷回復の大きさと関連することを明らかにした。
田次 邑吉
Journal of the Physical Society of Japan, 48(4), p.1237 - 1244, 1980/00
被引用回数:7 パーセンタイル:55.46(Physics, Multidisciplinary)放射線照射によって材料中に生じた空孔が安定に存在し得る理由を明らかにする事は、損傷の計算機シミュレーションの基本の一つであるが、また充分解明されていない。ここでは、ダイヤモンド晶系のSiやGeにおける空孔の形成が古典的な多体問題としてシミュレーションにより研究される。原子間相互作用として、原子間距離のみに依存する中心力ばかりでなく、ボンドの曲りにも依存する非中心力も扱う。完全結晶の中央部より1原子を除去し、その周囲の原子を緩和させる時、中心力相互作用のみでは結晶の表面を固定しても安定した空孔は得られない。非中心力相互作用の場合は、結晶表面を自由にしておいても、安定した空孔が形成され、形成エネルギーも相互作用に固有になる。これは、空孔の周辺に「硬い殻」がつくられるためである。SiとGeに対して、1空孔の形成,移動エネルギー,2空孔の形成エネルギーが示される。