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朝倉 伸幸; 竹永 秀信; 櫻井 真治; 逆井 章; 玉井 広史; 清水 勝宏; Porter, G. D.*
Plasma Physics and Controlled Fusion, 44(10), p.2101 - 2119, 2002/10
被引用回数:21 パーセンタイル:55.68(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uでは、プライベート領域から排気を行うW型ダイバータを利用して、粒子制御実験を行っている。両側排気実験では、外側排気溝を塞いだ内側排気実験と比較し、粒子排気量が低下する傾向が見られた。この理由として、両側排気ダイバータではドーム下の共通排気溝をとおり、外側の排気溝からのリークが考えられる。非接触ダイバータでは、粒子排気量は内側排気実験と同程度に増加する。内外リサイクリングの非対称性が大きい場合、内外排気溝における圧力を均等にする運転あるいは、排気設備の内外分離が望まれる。マッハ・プローブ測定により、主プラズマ周辺部のプラズマの流れが明らかになった。プラズマ流の発生機構は、トーラス形状におけるイオン・ドリフトを考慮すると説明できる。新たに高磁場側(内側)境界層でマッハプローブにより、内側ダイバータ方向へのプラズマ流を測定した。低磁場側境界層から高磁場側への磁力線に沿うプラズマ流の存在を見いだし、ドリフト効果の可能性を検討中である。この効果の導入により、ダイバータプラズマの実験結果をより定量的に説明できることが期待され、ダイバータ設計の最適化に寄与できると考える。
竹永 秀信; 久保 博孝; 東島 智; 朝倉 伸幸; 杉江 達夫; 木島 滋; 清水 勝宏; 仲野 友英; 伊丹 潔; 逆井 章; et al.
Fusion Science and Technology (JT-60 Special Issue), 42(2-3), p.327 - 356, 2002/09
被引用回数:10 パーセンタイル:15.15(Nuclear Science & Technology)JT-60Uでは、開ダイバータ及びより先進的なW型ダイバータにおいて高パワー加熱条件下での熱・粒子制御に関する研究を行ってきた。熱・粒子制御は、(1)ダイバータ板への熱負荷低減、(2)主プラズマの密度制御、(3)ヘリウム排気、(4)不純物低減の観点から重要である。本論文では、JT-60Uのこれまでの研究成果に関して、(1)-(4)に着目して報告する。(1)スクレイプオフ層及びダイバータでの熱・粒子輸送の理解をもとに放射損失ダイバータを開発してきた。これは、ITERのダイバータ設計に大きく貢献した。不純物入射により、高密度・高放射損失・高閉じ込めを得た。(2)粒子閉じ込め時間のスケーリングを中心・周辺供給粒子の2つの閉じ込め時間を用いて導出した。また、高磁場側ペレットを用いて、高閉じ込めが得られる密度領域を拡大した。(3)W型ダイバータにおいて、ITERでの要求値を満足するヘリウム排気性能を実現した。(4)パフ&ポンプ効果により主プラズマ内の不純物を低減出来ることを示した。の発生を考慮して化学スパッタリング率を導出した。また、不純物輸送コードの開発を行い、実験結果をよく再現できることを示した。
伊丹 潔; 玉井 広史; 櫻井 真治; 久保 博孝; 木島 滋; 朝倉 伸幸
プラズマ・核融合学会誌, 77(10), p.1027 - 1034, 2001/10
JT-60Uでは、不純物ガスの注入による、主プラズマ閉じ込め性能とダイバータ熱流束の低減という研究課題に取り組んだ。高三角度のELMy H-modeプラズマ(Ip=1.2MA,BT=2.5T,NB加熱パワー=18MW)において、Ar注入を行い、放射損失パワーを加熱入射パワーの約80%まで増加させるとともに、H~1.6の閉じ込め改善度を維持することに成功した。Ar注入により全放射損失率(放射損失パワー/NB加熱パワー)が上昇するとともにELM周波数は低くなるが、ELM熱流束には影響が少なかった。負磁気シアプラズマ放電における不純物注入では、プラズマ中心部を冷却しにくい点でArより優れている、Neを用いて負磁気シアプラズマの閉じ込め改善度(約2)を維持したまま、ダイバータデタッチ状態を実現してダイバータ熱流束を低減できた。
朝倉 伸幸; 櫻井 真治; 玉井 広史; 小出 芳彦; 坂本 宜照; 内藤 磨; 久保 博孝; 伊丹 潔; 正木 圭
Journal of Nuclear Materials, 290-293, p.825 - 828, 2001/03
被引用回数:8 パーセンタイル:52.25(Materials Science, Multidisciplinary)スクレイプオフ層(SOL)を磁力線方向に流れるプラズマ流(SOL流)は、ダイバータにおける高密度プラズマ生成や不純物の遮蔽効果に影響し、その発生機構の解明や制御方法について研究が進められている。平成11年よりJT-60UのW型ダイバータにおいて、両側ダイバータで粒子排気を行っているが、排気によるSOL流(赤道面とダイバータ・ヌル点においてマッハ・プローブで測定)への影響を定量的にまとめた。粒子排気を行ったにもかかわらず、SOL流の速度は増加しない。この理由が、(1)おもに磁力線方向よりポロイダル方向への粒子輸送が支配的であり、また(2)粒子拡散により主プラズマ周辺部で粒子リサイクリングが発生する、ためであると思われる。高閉じ込めプラズマ(ELMyHモード)において、プラズマ周辺部でELMにより発生し、SOLに流れ出た粒子流の分布と時間変化に関する解析結果(主プラズマ赤道面では外側へ拡散し、ヌル点付近ではダイバータ方向へ輸送される)を発表する。この結果は、現在ITER設計で緊急課題となっているELMによるダイバータ板への熱負荷を理解するための貴重なデータとなる。
逆井 章; 竹永 秀信; 久保 博孝; 秋野 昇; 東島 智; 櫻井 真治; 玉井 広史; 伊丹 潔; 朝倉 伸幸
Journal of Nuclear Materials, 290-293, p.957 - 961, 2001/03
被引用回数:12 パーセンタイル:64.62(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60UではW型ダイバータの外側に新たに排気溝を設け両側排気に変更し、99年2月から実験を開始した。実効的な排気速度はガスを真空容器内に満たす方法により評価し、両側排気への改造により25%増大した。両側排気に変更後、粒子排気率が著しく改善し、ELMyHモードプラズマでの効率的なヘリウム排気を実現した。Lモード及びHモードともに粒子排気率は内外側ギャップ(内/外側ストライクポイントと内/外側排気溝までの距離)に強く依存することがわかった。両側ストライクポイントを両側排気溝に近づけたELMyHモードプラズマでのヘリウムの滞留時間(実効的な粒子閉じ込め時間)は0.4sであり、97年の内側排気の0.67sに比べて、ヘリウム排気性能は40%向上した。ヘリウムの滞留時間/エネルギー閉じ込め時間の比は3(97年は4)を達成し、両側排気による大きな改善が見られた。
逆井 章; 竹永 秀信; 東島 智; 久保 博孝; 仲野 友英; 玉井 広史; 櫻井 真治; 秋野 昇; 藤田 隆明; 朝倉 伸幸; et al.
IAEA-CN-77 (CD-ROM), 9 Pages, 2001/00
JT-60Uでは、W型ダイバータの外側に新たに排気溝を設け両側排気に変更後、両側ストライクポイントを両側排気溝に近付けた配位で高い電子密度領域で粒子排気率を内側排気の場合の2%から両側排気の4%に向上させた。同様なダイバータ配位でELMyHモードプラズマでのヘリウム排気性能を調べた結果、ヘリウムの滞留時間は*~0.4sであり、97年の内側排気に比べて40%向上し、両側排気による大きな改善が見られた。また、先進トカマク運転シナリオとして注目される負磁気シアプラズマのヘリウム排気を調べた。ガスパフやペレット入射を用いて、ダイバータ領域での粒子リサイクリングを増大させ、ヘリウム排気効率を上げた。加えて、ガスパフと有効なダイバータ排気によって生じる強制フローによる炭素不純物の低減が内側排気に比べて、両側排気の方が大きいことがわかった。
朝倉 伸幸; 櫻井 真治; 細金 延幸; 嶋田 道也; 伊丹 潔; 小出 芳彦; 内藤 磨
Nuclear Fusion, 39(11Y), p.1983 - 1994, 1999/11
被引用回数:50 パーセンタイル:80.69(Physics, Fluids & Plasmas)ダイバータ板上流のスクレイプオフ(SOL)層でのプラズマ分布を測定するため、重要な4ヶ所(赤道面、X点・内外ダイバータ板上)に静電プローブを設置した。特に、赤道面とX点付近に取り付けたマッハプローブで、それぞれの場所でのプラズマ流速を評価した。(1)W型ダイバータでは、中性粒子をストライク点付近に効率的に集め、低温高密度ダイバータを生成しやすくできる。(2)トロイダル磁場の方向により、主プラズマ周辺部での磁力線に沿うプラズマ流が逆転する現象を観測し、それが磁気面上での圧力を均等化するために発生することを、初めて証明した。また高閉込めモード(ELMyHモード)中で、その流れが断続的に発生することを初めて観測した。(3)ダイバータX点付近のセパラトリクス付近でのプラズマ流が、磁場の方向により逆転することを初めて観測し、それが(2)とほぼ同じ原理で発生することを初めて提案する。これは、内外ダイバータでの粒子の非対称性の発生を理解する有力な測定結果となる。
藤田 隆明; 鎌田 裕; 石田 真一; 閨谷 譲; 及川 聡洋; 井手 俊介; 竹治 智; 小出 芳彦; 諫山 明彦; 福田 武司; et al.
Nuclear Fusion, 39(11Y), p.1627 - 1636, 1999/11
被引用回数:93 パーセンタイル:91.81(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60U負磁気シア放電の運転領域を、高プラズマ電流、低安全係数領域へと拡張し、JT-60Uにおける等価エネルギー増倍率の記録1.25を2.6MAにて達成した。ビームパワーによる中性子発生率の帰還制御など、大きな半径の内部輸送障壁を保ちつつ低安全係数へと再現性良く到達するための運転手法を開発した。排気付きW型ダイバータ配位において不純物の低減を得た。Lモード境界の負磁気シア放電の性能の持続時間は、qの極小値が2近傍となったときに発生するベータコラプスにより制限された。トロイダル回転制御により一時的に内部輸送障壁を劣化させて熱パルスを誘起し、Hモードを得た。Hモード化により圧力分布を平坦化してqの極小値~2における安定性を改善し、内部輸送障壁を5.5秒間維持した。
西谷 健夫; JT-60チーム
Proceedings of 18th IEEE/NPSS Symposium on Fusion Engineering (CD-ROM), 20 Pages, 1999/10
1998年から1999年にわたるJT-60Uの成果を紹介する。JT-60Uでは定常トカマク運転の研究を目的として、W型のポンプ付ダイバータを1997年5月に取り付け、500keVの負イオンNBIとともに実験を進めている。高性能化プラズマ研究では、負磁気シアモードにより、過渡的ではあるがQ=1.25の核融合利得を1998年に達成した。1999年には中性子発生率や蓄積エネルギー等の実時間制御を積極的に使用し、Q0.5のプラズマを0.8秒間維持するのに成功した。また負磁気シアモードプラズマに負イオンNBIを入射することにより、ブートストラップ電流とNBI駆動電流によりほぼ100%の非誘導電流駆動を確認した。さらにダイアモンド窓を使用したジャイロトロンを導入し、1MW,1.6秒間のECH入射に成功した。
石田 真一; JT-60チーム
Nuclear Fusion, 39(9Y), p.1211 - 1226, 1999/09
被引用回数:40 パーセンタイル:74.89(Physics, Fluids & Plasmas)W型ダイバータへの改造後のJT-60Uにおける高性能化実験に関するレビュー論文である。プラズマ性能は、負磁気シアと高プラズマ領域にて大きく改善された。負磁気シアでは、等価核融合増倍率Qが世界最高値1.25を記録した。定常化に向けてLHとNBを組合せ、負磁気シア配位を保ったまま、内部輸送障壁を6秒間維持した。輸送解析は、内部輸送障壁の近傍で熱・粒子拡散係数が顕著に低下し、強い径電場シアが形成されていることを示した。W型ダイバータの効果として、中性粒子逆流や化学スパッタリング効果の低減を予測通り観測した。N-NBI実験では、駆動電流分布を実験的に評価し、高エネルギービーム入射による電流駆動の理論的予測を実証した。N-NBIはTAEモードを励起したが、高速イオンの損失は顕著ではなかった。定常高性能化を進めた高Hモード実験では、高三角度配位にてQ~0.16を4.5秒間維持することに成功した。
草間 義紀; JT-60チーム
Physics of Plasmas, 6(5), p.1935 - 1942, 1999/05
被引用回数:17 パーセンタイル:50.36(Physics, Fluids & Plasmas)W型ダイバータ付きJT-60Uにおいて行った高性能プラズマ実験及び定常化実験の最近の成果を報告する。主な成果は以下のとおり。(1)負磁気シアモードにおいて世界最大の等価Q=1.25を達成した。(2)高ポロイダルHモードにおいて、等価Q=0.16,Hファクター2.2を4.5秒間維持することに成功した。(3)低域混成波(LH)と中性粒子ビームにより輸送障壁付き負磁気シアモードを6秒間維持できた。(4)負イオン源中性粒子ビーム(NNB)入射による駆動電流が600kAに達した。(5)NNB入射によりHモードを生成・維持し電子加熱が有効に行われていることを実証した。(6)低シアプラズマにNNBを入射した場合に約0.1%と低い高速イオンにおいてもトロイダルアルヴェン固有モード(TAE)が発生し得ることを明らかにした。(7)負磁気シアの内部輸送障壁の物理的解明など、物理研究が大きく進展した。
櫻井 真治; 朝倉 伸幸; 細金 延幸; 伊丹 潔; 嶋田 道也; 内藤 磨
Journal of Nuclear Materials, 266-269, p.1191 - 1196, 1999/03
被引用回数:7 パーセンタイル:49.57(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60UではW型排気式ダイバータへの改造時に外側ダイバータ部のX点近傍のプラズマを測定するために、高速往復可動静電プローブ装置を設置した。プローブ先端部には上流(主プラズマ)側、下流(ダイバータ板)側、それぞれの電子温度、密度、イオン飽和電流を測定するダブルプローブと、浮遊電位測定用電極が設けられ、マッハプローブとしてプラズマ流速測定も可能である。OH加熱及び低パワーNB加熱放電において、主プラズマの密度、配位、安全係数等に対するダイバータプラズマの依存性を調べた。低密度では赤道面付近のSOLと一致するが、MARFE発生密度の6割以上で、セパラトリクス近傍に、主プラズマ平均密度を大きく超える急峻な密度ピークが現れ、電子温度も低下し始める。密度、温度から求めた電子圧力も赤道面付近より増大し、特にプラズマ流速は密度ピークの流域でイオン音速近くまで急増している。
玉井 広史; 朝倉 伸幸; 逆井 章; 細金 延幸; 伊丹 潔; 木島 滋; JT-60グループ
26th European Physical Society Conference on Controlled Fusion and Plasma Physics, 23J, p.409 - 412, 1999/00
高い放射冷却状態と高性能コアプラズマとの両立を実現させるために必要な両側ダイバータデタッチ状態では、プライベートドーム内側と外側の中性粒子圧力バランスが一定であることを内側排気付きW型ダイバータで発見した。この圧力バランスの領域は、ダイバータ形状・排気の有無により大きく異なり、ダイバータ中性粒子のX点への逆流をいかに抑制するかで決まる。最近改造した両側排気では、外側も排気されるとともに、ドームとセパラトリクス間の空隙をより小さくできるため、中性粒子の遮蔽効果が高まるとの予測通り、X点への逆流抑制が顕著であり、この結果、デタッチ状態が出現する圧力バランスの領域が、内側排気のみのときと比べて大きく拡張した。これは、今後、予定しているガスパフを用いた中性粒子圧力比の帰還制御による両側デタッチ状態の維持の可能性をより明確に支持する実験結果である。
鈴木 慎悟*; 清水 勝宏; 久保 博孝; 白井 稔三; 逆井 章; 杉江 達夫; 朝倉 伸幸
Europhysics Conference Abstracts, 23J, p.477 - 480, 1999/00
ヘリウム排気のメカニズム、及び周辺プラズマにおけるヘリウムの挙動を明らかにするため、モンテカルロ法に基づいたヘリウム輸送コードの開発を行った。この開発においては、不純物輸送コードIMPMCをベースに、ヘリウム原子やイオンに対する衝突素過程の最新データを取り込んで行った。取り込んだ素過程は、電子衝突による電離と再結合、ヘリウム同士の衝突による電荷交換反応、重水素イオンと中性ヘリウムの衝突による弾性散乱などである。計算の結果、HeとHeの密度分布が互いによく似ていることや、ストライク点からの中性ヘリウムのフラックスが顕著に見られることがわかった。またJT-60UにおけるHeI(668nm)の分光観測との比較により、ダイバータ板におけるヘリウムの反射過程がかなり寄与していることがわかった。
逆井 章; 竹永 秀信; 細金 延幸; 久保 博孝; 櫻井 真治; 秋野 昇; 藤田 隆明; 東島 智; 玉井 広史; 朝倉 伸幸; et al.
Fusion Energy 1998 (CD-ROM), 8 Pages, 1999/00
ITER等の核融合炉でDT反応によって生じるヘリウム灰の排気を模擬するため、JT-60UにおいてELMyHモードプラズマにヘリウムビームを入射して、ヘリウムの排気性能を調べた。JT-60Uでは、ポンプ付きのW型ダイバータに改造し、排気用クライオポンプをアルゴンフロスト化して、ヘリウム排気実験を可能にした。その結果、ヘリウムビームによる粒子補給と排気がバランスして、ヘリウム濃度4%の状態を定常的に維持するのに成功した。排気性能の目安となるヘリウムの残留時間/エネルギー閉じ込め時間の比は4となり、ITERで要求されている比10を大きく下回る良好な排気性能が得られた。また、非接触状態のダイバータにおいても接触状態と同様に充分な排気効率があることを明らかにした。加えて、負磁気シアプラズマでは、内部輸送障壁の内側からのヘリウム排出は外側に比べて2倍程度残留時間が長いことが分かった。
朝倉 伸幸; 細金 延幸; 伊丹 潔; 逆井 章; 櫻井 真治; 嶋田 道也; 久保 博孝; 東島 智; 清水 勝宏; 竹永 秀信; et al.
Journal of Nuclear Materials, 266-269, p.182 - 188, 1999/00
被引用回数:66 パーセンタイル:96.64(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60Uにおけるオープン型ダイバータからW型ダイバータへの形状変化によるデタッチメントの発生とエネルギー閉じ込め特性への効果について調べた。(1)ダイバータ・デタッチメント時のプラズマ測定を精度よく行い、同じ主プラズマ密度でも、ダイバータで密度が増加し、温度から5eV程度まで低下することを観測した。(2)周辺部でのプラズマ流の方向について大型トカマクでは初めて測定した。放射損失分布の内外非対称性か、プラズマ流の方向に関係することを明らかにした。(3)ダイバータ部での粒子リサイクリングはW型が大きく、主プラズマ周辺部の粒子リサイクリングは、1/2程度に低下していることを観測した。ダイバータ部からの粒子の逆流を低減できた。(4)密度増加に伴いELMy Hモードの閉じこめ改善度は依然と同様低下する。W型改造により周辺部での中性粒子密度を1/2~1/3に低下できたが、閉じこめ改善効果は少ない。今後、ダイバータ部からの逆流やバッフル部からの粒子源を減少させることが必要である。
逆井 章; 竹永 秀信; 細金 延幸; 櫻井 真治; 秋野 昇; 久保 博孝; 東島 智; 玉井 広史; 朝倉 伸幸; 伊丹 潔; et al.
Journal of Nuclear Materials, 266-269, p.312 - 317, 1999/00
被引用回数:18 パーセンタイル:77.19(Materials Science, Multidisciplinary)ITER等の将来のトカマク型核融合炉では、D-T反応で生じるヘリウム灰の制御及び連続的な排出が重要な課題となる。JT-60Uでは、ポンプ付きのW型ダイバータに改造し、排気用クライオポンプをアルゴンフロスト化して、ヘリウム排気実験をできるようにした。ELMy Hモードプラズマ中に6秒間のヘリウムビーム入射を行い、ヘリウムの排気性能及び輸送について調べた。その結果、ヘリウムビーム入射開始後1.2sで粒子補給と排気がバランスして、ヘリウム濃度4%の状態を定常的に維持するのに成功した。排気性能の目安となるヘリウムの残留時間/エネルギー閉じ込め時間の比は4となり、ITERで要求されている比10を大きく下回る良好な排気性能が得られた。また、ヘリウム濃縮係数は1.1が得られ、ITERで要求されている0.2を大きく上回り、ITERの設計を大きく支持する結果が得られた。
朝倉 伸幸; 櫻井 真治; 細金 延幸; 嶋田 道也; 伊丹 潔; 小出 芳彦; 内藤 磨
Nuclear Fusion, 39(11Y), p.1983 - 1994, 1999/00
JT-60Uで、デタッチ・ダイバータ生成機構やプラズマ流の発生機構を研究するために、SOL/ダイバータ領域の4ヶ所(赤道面、X点付近、内外ダイバータ板上)で静電プローブ計測を行った。特に、赤道面とX点付近に取り付けたマッハ・プローブで、磁力線に沿うプラズマ流を評価した。2ヶ所での流速計測のデータベースは少なく、大型トカマクでは初めてである。結果:(1)W型ダイバータでは、中性粒子をストライク点付近に効率的に集め、ダイバータ・デタッチメントがW型の方が開放型ダイバータより20%低い主プラズマ密度で発生する。(2)トロイダル磁場が順方向の場合、主プラズマ周辺部でプラズマ流が逆流する現象を観測し、解析の結果、磁気面上での圧力を均等化にするために逆流が発生するモデルを示した。(3)ダイバータX点付近で、プラズマ流がトロイダル磁場の方向により逆流することを観測した。これまでシミュレーション等には取り入れてなかったプラズマのイオン・ドリフトによる効果が、SOL/ダイバータ領域における粒子輸送に関係することを指摘した。
正木 圭; 森本 将明*; 逆井 章; 竹永 秀信; 笹島 唯之; 児玉 幸三; 宮地 謙吾; 細金 延幸
Proceedings of the 18th IEEE/NPSS Symposium on Fusion Engineering (SOFE '99), p.123 - 126, 1999/00
JT-60Uでは、1997年にオープンダイバータからW型ダイバータ(内側排気)に改造しており、既に良好な実験結果を得ている。パフ&ポンプによる炭素不純物の減少や、ヘリウム炭の連続的な排気等を実証している。しかし、これらは低密度プラズマでの実験結果であり、高密度プラズマでは外ダイバータの中性粒子圧力が上昇してダイバータプラズマの制御が困難になり、良好な結果が得られていなかった。そこで、高密度領域のプラズマ性能を向上させるために、新たに外側排気溝を設け、両側排気とした。この改造に伴い、ダイバータ、ドームタイルの高熱負荷に対する熱応力評価及びディスラプションに対する強度評価を実施し、その健全性を確認した。この両側排気W型ダイバータでの初期実験結果では、排気速度が30%程度改善され、Hモード遷移加熱しきい値においても30%以上低減することに成功している。
児玉 幸三; 正木 圭; 笹島 唯之; 森本 将明*; 高橋 昇龍*; 櫻井 真治; 岸谷 和広*; 西堂 雅博; 井上 雅彦*; 河内 俊成*; et al.
JAERI-Tech 98-049, 151 Pages, 1998/11
JT-60のダイバータは、エネルギー閉じ込めと放射ダイバータの両立とダイバータ機能の向上を図ることを目的としてW型ダイバータに改造された。W型ダイバータの改造は、平成7年度から設計作業が開始され、平成9年の5月の据付作業の完了をもって終了した。本報告書は、W型ダイバータの設計、据付け及び平成9年の運転状況が含まれる。