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論文

Development of a user-friendly interface IRONS for atmospheric dispersion database for nuclear emergency preparedness based on the Fukushima database

El-Asaad, H.*; 永井 晴康; 相楽 洋*; Han, C. Y.*

Annals of Nuclear Energy, 141, p.107292_1 - 107292_9, 2020/06

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Nuclear Science & Technology)

大気拡散シミュレーションは、原子力緊急時対応の事前検討において環境中の放射性プルームを評価するための重要な情報を提供する。しかし、様々な条件の計算を実行し膨大な計算結果からデータを引き出すには労力と時間を要する。そこで、シミュレーション結果から放射性プルームの特徴を引き出す際にユーザーを補助するインターフェイスを開発した。このインターフェイスは、福島第一原子力発電所からの20日間の放射性物質の放出についてのWSPEEDI-IIの計算結果のデータベースを使用し、ユーザーに重要な定量的データを提示する。ユーザーは、インターフェイスの補助により、放出条件を変えて様々なケースシナリオを作成し、感度解析を行うことができる。

論文

Atmospheric-dispersion database system that can immediately provide calculation results for various source term and meteorological conditions

寺田 宏明; 永井 晴康; 田中 孝典*; 都築 克紀; 門脇 正尚

Journal of Nuclear Science and Technology, 57(6), p.745 - 754, 2020/06

 被引用回数:2 パーセンタイル:100(Nuclear Science & Technology)

世界版緊急時環境線量情報予測システムWSPEEDIを用いて福島第一原子力発電所事故時に放出された放射性物質の放出源情報と大気拡散過程の解析を実施してきた。この経験に基づき、原子力緊急時の様々なニーズに対応し緊急時対応計画に有用な情報を提供可能な大気拡散計算手法を開発した。この手法では、原子力施設のような放出地点が既知の場合、放出源情報を特定せず事前に作成しておいた拡散計算結果のデータベースに、提供された放出源情報を適用することで、即座に予測結果を取得することが可能である。この機能により、様々な放出源情報を適用した計算結果と測定データの容易な比較と最適な放出源情報の探索が可能である。この解析手法は、福島事故の放出源情報の推定に適用された。この計算を過去の気象解析データを用いて実施することで、様々な放出源情報と気象条件に対する拡散計算結果を即座に取得することが可能となる。このデータベースは、環境モニタリング計画の最適化や、緊急時対応計画において想定すべき事象の理解等の事前計画に活用可能である。

論文

Refinement of source term and atmospheric dispersion simulations of radionuclides during the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station accident

寺田 宏明; 永井 晴康; 都築 克紀; 古野 朗子; 門脇 正尚; 掛札 豊和*

Journal of Environmental Radioactivity, 213, p.106104_1 - 106104_13, 2020/03

 被引用回数:5 パーセンタイル:4.81(Environmental Sciences)

福島第一原子力発電所事故(特に測定値が利用できない事故初期)の公衆の被ばく線量評価には、大気輸送・拡散・沈着モデル(ATDM)シミュレーションによる放射性核種の環境中時間空間分布の再構築が必要である。このATDMシミュレーションに必要な放射性物質の大気中への放出源情報が多くの研究で推定されてきた。本研究では、ベイズ推定に基づく最適化手法により、これまでに推定した放出源情報とATDMシミュレーションの改善を行った。最適化では、新たに公開された大気汚染測定局で収集された浮遊粒子状物質(SPM)分析による$$^{137}$$Cs大気中濃度を含む様々な測定値(大気中濃度,地表沈着量,降下量)を使用し、拡散計算と測定の比較結果のフィードバックにより放出源情報だけでなく気象計算も改善させた。その結果、ATDMシミュレーションはSPM測定点の大気中濃度と航空機観測による地表沈着量を良く再現した。さらに、最適化放出率とATDMシミュレーションにより主要核種の大気中および地表における時間空間分布(最適化拡散データベース)を構築した。これは、避難者の行動パターンと組み合せた包括的な線量評価に活用される。

論文

Estimation of environmental releases of radioactive materials

茅野 政道*; 永井 晴康

Environmental Contamination from the Fukushima Nuclear Disaster; Dispersion, Monitoring, Mitigation and Lessons Learned, p.50 - 61, 2019/00

福島第一原子力発電所事故により大気中に放出された放射性物質の放出量の時間推移及び大気拡散状況は、事故による環境影響と公衆の被ばく線量を評価するために重要である。原子力機構は、環境モニタリングと大気拡散モデルの解析結果を比較することにより、事故により放出された放射性物質の放出量を推定した。国連科学委員会(UNSCEAR)は、いくつかの放出源推定結果を比較し整理するとともに、原子力機構の推定結果を陸域環境における放射性物質の濃度レベルと公衆の被ばく線量の評価に利用した。その後、原子力機構は、新たに公開されたモニタリングデータを用いて、沈着プロセスを改良したWSPEEDIの解析により放出源の詳細な推定を行った。

報告書

北朝鮮による地下核実験に対する大気拡散予測の対応活動

石崎 修平; 早川 剛; 都築 克紀; 寺田 宏明; 外川 織彦

JAEA-Technology 2018-007, 43 Pages, 2018/10

JAEA-Technology-2018-007.pdf:5.67MB

北朝鮮が地下核実験を実施した際、原子力緊急時支援・研修センターは、原子力規制庁からの要請に基づき、国による対応への支援活動として、原子力基礎工学研究センターの協力を得て、WSPEEDI-IIシステムを用いて放射性物質の大気拡散予測計算を実施し、予測情報を原子力規制庁に提出する。本報告書は、北朝鮮による地下核実験に対する国及び原子力機構の対応体制を説明するとともに、平成28年9月及び平成29年9月に実施された5回目及び6回目の地下核実験を主たる対象として、原子力緊急時支援・研修センターが実施した大気拡散予測に関する一連の対応活動を記述する。さらに、予測計算に使用した計算プログラムシステムの概要について説明するとともに、北朝鮮地下核実験対応における今後の計画と課題を記述する。

論文

山地の雲や霧がもたらした放射能汚染を解明; 航空機モニタリングと数値シミュレーションによる解析

眞田 幸尚; 堅田 元喜*; 兼保 直樹*

Isotope News, (759), p.18 - 21, 2018/10

福島第一原子力発電所事故直後から継続的に行われてきた、東日本における有人ヘリを用いたモニタリングのデータを活用し、地上からの観測が難しい山岳地域の高線量地帯での標高と空間線量率との関係をWSPEEDI-II(大気拡散シミュレーション)による再現計算結果と比較しながら、地形と放射性セシウム沈着過程の関係について解説する。

報告書

過去解析から短期予報まで任意の期間及び放出源情報に対する大気拡散計算結果を即座に提供可能な大気拡散データベース計算手法の開発(共同研究)

寺田 宏明; 都築 克紀; 門脇 正尚; 永井 晴康; 田中 孝典*

JAEA-Data/Code 2017-013, 31 Pages, 2018/01

JAEA-Data-Code-2017-013.pdf:9.52MB

原子力緊急時の様々な大気拡散予測のニーズに対応するとともに、事前の環境モニタリング等の事故対応計画の策定に有効な情報をデータベースとして整備することが可能な大気拡散計算手法の開発を行った。本手法では、放出源情報のうち放出点以外の放射性核種、放出率、及び放出期間を特定することなく拡散計算を実施してデータベース化しておき、放出源情報を与えた際にその条件に基づく予測結果を即座に得ることが可能である。この計算を気象解析・予報データの更新に合わせて定常的に実行し、過去から数日先までの連続的なデータベースを整備することで、過去解析から短期の将来予測まで任意の期間及び放出源情報に対する計算結果を即座に作成可能である。この機能は、過去の様々な気象条件に対する拡散解析結果の分析により、モニタリング計画の最適化等の事前計画の立案に利用できる。また、様々な仮想放出源情報を用いた拡散解析により、緊急時対策を検討する上で想定すべき事象の把握が可能である。さらに、本手法に基づきモニタリング結果から放出源情報を逆推定して放射性物質の時空間分布を再現することで、モニタリングの補完として活用可能である。

論文

User interface of atmospheric dispersion simulations for nuclear emergency countermeasures

Hamuza, E.-A.; 永井 晴康; 相楽 洋*

Energy Procedia, 131, p.279 - 284, 2017/12

 被引用回数:1 パーセンタイル:25.31

本研究では、WSPEEDIによる大気拡散シミュレーションを原子力発電所から放射性核種が放出された際の緊急時対応の検討に活用する方法を提案する。WSPEEDIは原子力緊急時対応に不可欠な環境中核種分布や気象パターンなどの情報を計算し出力することができることから、その出力を用いて放射性核種の拡散に対して避難計画を策定するために有効な情報を作成し示すことを目指す。まず、ある原子力施設について1年間のWSPEEDI拡散計算を実行し、出力をまとめてデータベースを作成する。次に、データベースを用いた解析から、WSPEEDIの出力データをユーザーが容易に理解できるような拡散状況の特徴を示す数値情報に変換し、原子力緊急時対応に有効な情報として整理する。

論文

Examination of $$^{131}$$I and $$^{137}$$Cs releases during late phase of Fukushima Daiichi NPP accident by using $$^{131}$$I/$$^{137}$$Cs ratio of source terms evaluated reversely by WSPEEDI code with environmental monitoring data

日高 昭秀; 横山 裕也

Journal of Nuclear Science and Technology, 54(8), p.819 - 829, 2017/08

AA2016-0500.pdf:0.44MB

 被引用回数:8 パーセンタイル:15.68(Nuclear Science & Technology)

福島第一原子力発電所事故の評価では、炉内事象と環境モニタリング測定との結びつきの議論が重要であるが、事故から6年近く経過した現在でも、両者の事象を統合的に扱った研究は必ずしも進んでいない。WSPEEDIコードと環境モニタリングデータから逆算で詳細化された$$^{131}$$I/$$^{137}$$Cs比に基づき、福島事故後期における原子炉建家等の地下汚染水からの気液分配に基づく$$^{131}$$I放出量を再評価するとともに、これまで検討が行われなかった$$^{137}$$Cs放出挙動に関して化学形や放出機構等について検討した。原子炉建屋等の地下汚染水からの$$^{131}$$I放出量に関する再評価では、全ソースタームに対する地下汚染水からの$$^{131}$$I放出の寄与分は約10%となった。また、3/21$$sim$$3/23及び3/30$$sim$$3/31の$$^{131}$$I放出量に対する$$^{137}$$Cs放出量の超過は、炉心冷却水がわずかに不足したことに伴う炉心温度の再上昇により、制御材を起源として生成するCsBO$$_{2}$$の放出でほぼ説明できる見通しを得た。

論文

Corrigendum; Examination of $$^{131}$$I and $$^{137}$$Cs releases during late phase of Fukushima Daiichi NPP accident by using $$^{131}$$I/$$^{137}$$Cs ratio of source terms evaluated reversely by WSPEEDI code with environmental monitoring data, J. Nucl. Sci. Technol. 2017, Corrected vertical axis of Figure 6

日高 昭秀; 横山 裕也

Journal of Nuclear Science and Technology, 54(8), P. i, 2017/08

AA2017-0194.pdf:0.44MB

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Nuclear Science & Technology)

以前に発表した論文(Examination of $$^{131}$$I and $$^{137}$$Cs releases during late phase of Fukushima Daiichi NPP accident by using $$^{131}$$I/$$^{137}$$Cs ratio of source terms evaluated reversely by WSPEEDI code with environmental monitoring data [Journal of Nuclear Science and Technology, vol.54(8), pp.819-829 (2017)])における図6の縦軸の訂正である。

論文

Development of a short-term emergency assessment system of the marine environmental radioactivity around Japan

小林 卓也; 川村 英之; 藤井 克治*; 上平 雄基

Journal of Nuclear Science and Technology, 54(5), p.609 - 616, 2017/05

 被引用回数:5 パーセンタイル:30.87(Nuclear Science & Technology)

東京電力福島第一原子力発電所事故により環境中に放出された放射性物質は、北太平洋、特に本州北東部の沿岸海域に深刻な海洋汚染を引き起こした。このようなシビアアクシデントにより海洋に放出される放射性物質の海洋中移行を調べるために、日本原子力研究開発機構は日本周辺海域における放射性物質濃度を予測する緊急時海洋環境放射能評価システム(STEAMER)を開発した。STEAMERを緊急時環境線量情報予測システム(世界版)WSPEEDI-IIと結合して用いることで、大気および海洋環境中における正確な放射能汚染予測が可能となる。本論文では、STEAMERに海洋データの入力として用いる2種類の3次元海流場、海洋中放射性物質拡散モデル、モデルの適用例、そしてSTEAMERの機能について記述した。

論文

Utilization of $$^{134}$$Cs/$$^{137}$$Cs in the environment to identify the reactor units that caused atmospheric releases during the Fukushima Daiichi accident

茅野 政道; 寺田 宏明; 永井 晴康; 堅田 元喜; 三上 智; 鳥居 建男; 斎藤 公明; 西澤 幸康

Scientific Reports (Internet), 6, p.31376_1 - 31376_14, 2016/08

 被引用回数:23 パーセンタイル:2.64(Multidisciplinary Sciences)

This paper investigates the reactor units of Fukushima Daiichi Nuclear Power Station which generated large amounts of atmospheric releases during the period from 12 to 21 March 2011. The $$^{134}$$Cs/$$^{137}$$Cs ratio measured in the environment can be used to determine which reactor unit contaminated specific areas. Meanwhile, atmospheric dispersion model simulation can predict the area contaminated by each dominant release. Thus, by comparing both results, the reactor units which contributed to dominant atmospheric releases was determined. The major source reactor units from the afternoon of 12 March to the morning of 15 March corresponded to those assumed in our previous source term estimation studies. A new possibility found in this study was that the major source reactor from the evening to the night on 15 March was Units 2 and 3 and the source on 20 March temporally changed from Unit 3 to Unit 2.

論文

Development of a long-range atmospheric transport model for nuclear emergency and its application to the Chernobyl nuclear accident

寺田 宏明; 茅野 政道

Proceedings of 2nd International Conference on Radioactivity in the Environment, p.15 - 18, 2005/10

原子力緊急時において放射性物質の大気拡散のリアルタイム予測を行う計算モデルは非常に有用である。発表者らはこれまで緊急時環境線量情報予測システムSPEEDIとその世界版WSPEEDIを開発してきた。従来のWSPEEDIは質量保存風速場モデルWSYNOPと粒子拡散モデルGEARNから構成されていた。WSYNOPは診断型モデルであり気象場を予測することは不可能であるため、予測精度及び解像度が入力気象データに依存し、また鉛直拡散及び降雨沈着過程の詳細な考慮が不可能であった。これを改良するために大気力学モデルMM5を導入した。この改良版WSPEEDIを1986年に発生したチェルノブイリ原子力事故に適用し、数値モデルの予測性能の検証を行った。CASE-1:ヨーロッパ全域を含む広域計算と、CASE-2:広域とチェルノブイリ周辺域での2領域ネスティング計算の2ケースの計算を行った。CASE-1の計算結果より$$^{137}$$Csの大気中濃度と地表沈着量を水平分布図及び統計解析で測定データと比較した結果、ヨーロッパスケールでの輸送の挙動をよく予測できていた。CASE-2の計算では、領域ネスティング計算によりCASE-1の広域計算では計算不可能であった詳細な沈着量分布を予測することができた。

論文

Research activities for development of CTBT-related technologies in JAERI

篠原 伸夫; 浅野 善江; 広田 直樹*; 伯耆田 貴憲; 井上 洋司; 熊田 政弘; 中原 嘉則*; 小田 哲三*; 打越 貴子*; 山本 洋一

Proceedings of International Conference on Nuclear Energy System for Future Generation and Global Sustainability (GLOBAL 2005) (CD-ROM), 3 Pages, 2005/10

本国際会議では、包括的核実験禁止条約(CTBT)検証体制に関連する原研の研究活動を報告する。その主題は、(1)CTBT検証制度の概要,(2)沖縄放射性核種監視観測所RN37,高崎放射性核種監視観測所RN38並びに東海実験施設RL11の整備及び運用,(3)放射性核種データのための国内データセンター(JAERI NDC)の整備である。RN38はCTBT機関/準備委員会によって認証され、毎日観測データを国際データセンター(IDC)に送っている。RN37及びRL11では、基盤整備と運用マニュアルを整備中である。JAERI NDCでは、世界中の観測所で測定されたデータをIDCから受信して試験的に解析評価するとともに、核実験あるいは原子力事故に対応するための大気拡散モデルコード(WSPEEDI: Worldwide Version of System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information)を用いた放出源情報推定のためのシステム開発を行っている。

論文

Improvement of Worldwide version of System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information (WSPEEDI), 2; Evaluation of numerical models by $$^{137}$$Cs deposition due to the Chernobyl nuclear accident

寺田 宏明; 茅野 政道

Journal of Nuclear Science and Technology, 42(7), p.651 - 660, 2005/07

 被引用回数:14 パーセンタイル:28.35(Nuclear Science & Technology)

本研究の第1報(Terada ${it et al.}$ 2004)では、世界版緊急時環境線量情報予測システム「WSPEEDI」の改良版が大気力学モデルMM5とラグランジュ型粒子拡散モデルGEARN-newとのモデル結合により開発され、チェルノブイル原子力事故への適用計算によって大気中$$^{137}$$Cs濃度の予測性能について数値モデル(MM5/GEARN-new)の妥当性が示された。第2報である本論文では、このMM5/GEARN-newの予測性能評価をチェルノブイル原子力事故時のヨーロッパ域における降水量及び地表$$^{137}$$Cs沈着量の測定値を用いて行った。計算結果が測定値と比較された結果、MM5/GEARN-newは氷相過程を考慮した雲物理スキームにより高精度な降水量が予測された場合、ヨーロッパスケールでの沈着量分布を良い精度で予測することができた。さらに、ネスティング機能を用いてチェルノブイル周辺域についての高解像度計算が行われた。この結果、MM5/GEARN-newは従来の計算モデルでは計算できなかったチェルノブイル周辺での詳細な$$^{137}$$Cs沈着量分布を現実的に予測することができた。

論文

原研におけるCTBT関連技術開発研究の状況

篠原 伸夫; 井上 洋司; 打越 貴子*; 小田 哲三*; 熊田 政弘; 黒沢 義昭; 広田 直樹*; 伯耆田 貴憲; 中原 嘉則*; 山本 洋一

第25回核物質管理学会日本支部年次大会論文集, p.51 - 58, 2005/00

原研は、核兵器を究極的に廃絶し、原子力の平和利用を推進する国の基本的な政策に基づき、包括的核実験禁止条約(CTBT)に関して、条約遵守を検証するための国際・国内体制のうち放射性核種にかかわる施設・システム等の整備・開発を行っている。条約議定書に記載された国際監視システム(IMS)のうち、原研では沖縄監視観測所(RN37),高崎監視観測所(RN38),東海公認実験施設(RL11)、及び国内データセンター(NDC)にかかわる技術開発研究と整備・運用を行っている。本発表では、原研におけるCTBT検証制度に関連する核不拡散技術開発研究の状況について報告する。発表の主題は、(1)CTBT検証制度の概要,(2)RN37, RN38並びにRL11の整備及び運用,(3)放射性核種データのためのNDCの整備である。このうちNDCでは、国際データセンター(IDC)から世界中の観測所で測定されたデータを受信して試験的に解析評価するとともに、大気拡散モデルコード(WSPEEDI: Worldwide Version of System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information)を用いた放出源情報推定のためのシステム開発を行っている。

論文

Experimental verification for real-time environmental emergency response system; WSPEEDI by European tracer experiment

古野 朗子; 寺田 宏明; 茅野 政道; 山澤 弘実*

Atmospheric Environment, 38(40), p.6989 - 6998, 2004/12

 被引用回数:20 パーセンタイル:54.05(Environmental Sciences)

WSPEEDIは、万一の事故時に環境中に放出された放射性物質の長距離移動を予測するために開発された緊急時システムである。WSPEEDIの1次版は既に完成されており、高い評価を得ているが、大気境界層の水平・時間変化を極めて単純にパラメタライズしているという欠点を持っている。この欠点を改良するため、大気境界層内の乱流拡散を計算することができる大気力学モデルを導入した新しいシステムの開発を行った。本研究では、ヨーロッパ拡散実験データを用いたシステム性能の検証結果について述べる。検証の結果、大気力学モデルで計算した高い水平分解能及び時間分解能の気象場はシステムの性能を大幅に向上させたことがわかった。また大気境界層についての単純なパラメタリゼーションの代わりに導入した乱流拡散モデルは、システムの精度向上に大きく寄与していることが明らかになった。

論文

Improvement of Worldwide Version of System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information (WSPEEDI), 1; New combination of models, atmospheric dynamic model MM5 and particle random walk model GEARN-new

寺田 宏明; 古野 朗子; 茅野 政道

Journal of Nuclear Science and Technology, 41(5), p.632 - 640, 2004/05

 被引用回数:20 パーセンタイル:20.43(Nuclear Science & Technology)

国外の原子力事故によって放出された放射能の国内の公衆への影響を予測するために、世界版緊急時環境線量情報予測システム「WSPEEDI」が開発されてきた。WSPEEDIは、3次元風速場診断モデル「WSYNOP」と粒子拡散モデル「GEARN」によって構成されている。この従来版WSPEEDIの短所は以下の通りである。(1)多様なスケールを持つ複数の領域についての同時計算が不可能である。(2)大気境界層の取り扱いが単純であり、混合層の時・空間変化が考慮されていない。(3)降水の3次元構造が湿性沈着過程に考慮されていない。これらの問題を改善するため、複数領域の詳細な気象場を同時に予測して粒子拡散モデル「GEARN-new」に提供することが可能な大気力学モデル「MM5」が導入された。この改良版WSPEEDIを検証するため、1986年にチェルノブイリ原子力発電所で発生した事故への適用計算が行われた。地表$$^{137}$$Cs濃度の計算結果と測定値を比較したところ、ヨーロッパ域での放射能の拡散が精度よく再現されたことが示され、改良版WSPEEDIの妥当性が確認された。

論文

緊急時環境線量情報予測システムSPEEDIの現状と今後の展開

茅野 政道; 安達 武雄

日本原子力学会誌, 45(5), p.296 - 301, 2003/05

緊急時環境線量情報予測システムSPEEDIは1979年の米国スリーマイル島原子炉(TMI-2)事故を契機に開発が進められた。これが第1世代SPEEDIであり、国内原子力施設の事故に対応する文部科学省のシステムとして実運用されている。第2世代のSPEEDIである世界版SPEEDI(WSPEEDI)は、国外事故の我が国への影響をリアルタイムで評価することを目的としたもので、その開発はチェルノブイリ事故起因の放射性物質が我が国でも検出されたことがきっかけとなっている。また、WPSEEDIの開発と並行して、気象予報機能の改良を主目的としたSPEEDIの高度化も行われている。現在、SPEEDIは第3世代のSPEEDIであるSPEEDI-MPの開発に進展している。ここでは、大気中での問題を対象としていた従来版を、海洋拡散や土壌面への放射性物質の移行まで包括的に扱えるように改良することを目的としている。このような研究開発の間、チェルノブイリ事故,旧動燃再処理施設の火災爆発事故,JCO事故,三宅島の火山ガス噴出等、さまざまな事故放出にSPEEDIを適用し事故調査に貢献するとともに、信頼性の検証を行ってきた。本解説では、以上の研究開発の歴史や、実事故への適用例について概説するとともに、SPEEDI-MPを中心にした今後の展開について述べる。

論文

Real-time environmental contamination assessment system during nuclear emergency

寺田 宏明; 古野 朗子; 茅野 政道

Proceedings from the International Conference on Radioactivity in the Environment (CD-ROM), 4 Pages, 2002/09

われわれは国内と海外における原子力事故に備えて緊急時環境線量情報予測システムSPEEDIとその世界版WSPEEDIを開発してきた。本研究は、原子力事故だけでなくテロ攻撃についてもそれによる放射性物質の大気中への放出に対応できるようにWSPEEDIの機能を拡張することを目的としている。テロ攻撃はあらゆる時間,場所,空間スケールが想定される。WSPEEDIはすでに気象庁の全球気象予測データの取得や世界の任意地域の地形データの作成といった機能を有してはいたが複数スケールの予測を同時に行う機能はなかった。したがって非静力学気象モデルMM5と大気拡散モデルGEARNを結合してWSPEEDIに導入した。MM5は領域ネスティング計算機能を有しているので局所域と地域規模の気象場の同時予測が可能である。また以前からWSPEEDIで使用されているGEARNはラグランジュ型粒子拡散モデルで大気中濃度,沈着,被曝線量を計算できる。MM5で各ネスト領域について計算された三次元風速場,降水量,鉛直拡散係数を入力することで、GEARNは詳細な境界層過程や降水過程を考慮した複数スケールの環境放射能汚染を予測することができる。この改良版WSPEEDIを用いてアジア域での原子力事故あるいはテロ攻撃を想定した試験計算を行い、放出点近辺とアジア域全体での放射能汚染を同時に見積もった。

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