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報告書

連続エネルギーモンテカルロコードMVPとJENDL-4.0による低出力水減速試験研究炉の燃料棒で構成される非均質格子体系の最小臨界量評価

柳澤 宏司

JAEA-Technology 2021-023, 190 Pages, 2021/11

JAEA-Technology-2021-023.pdf:5.25MB

燃焼による燃料の損耗が少ない低出力の試験研究炉の燃料棒と水減速材で構成される非均質格子体系の臨界特性の解析を、連続エネルギーモンテカルロコードMVP Version2と評価済み核データライブラリJENDL-4.0によって行った。解析では、定常臨界実験装置STACY及び軽水臨界実験装置TCAの二酸化ウラン燃料棒、並びに原子炉安全性研究炉NSRRのウラン水素化ジルコニウム燃料棒の非均質体系についての中性子増倍率の計算結果から最小臨界燃料棒本数を評価した。さらに中性子増倍率の成分である六種類の反応率比をあわせて計算し、単位燃料棒セルの水減速材と燃料の体積比に対する中性子増倍率の変化について説明した。これらの解析結果は、臨界安全ハンドブックでは十分に示されていない試験研究炉実機の燃料棒からなる水減速非均質格子体系の臨界特性を示すデータとして、臨界安全対策の合理性、妥当性の確認に利用できるものと考えられる。

報告書

Data report of ROSA/LSTF experiment SB-SL-01; Main steam line break accident

竹田 武司

JAEA-Data/Code 2020-019, 58 Pages, 2021/01

JAEA-Data-Code-2020-019.pdf:3.85MB

ROSA-IV計画において、大型非定常実験装置(LSTF)を用いた実験(実験番号: SB-SL-01)が1990年3月27日に行われた。ROSA/LSTFSB-SL-01実験では、加圧水型原子炉(PWR)の主蒸気管破断(MSLB)事故を模擬した。このとき、両ループの蒸気発生器(SG)二次側への補助給水(AFW)とともに、非常用炉心冷却系である高圧注入(HPI)系から両ループの低温側配管内への冷却材注入を仮定した。MSLBにより、破断ループのSGは急減圧し、破断ループのSG二次側広域水位は低下した。しかし、破断ループのSG二次側へのAFWにより、破断ループのSG二次側広域水位は回復した。一次系圧力は、MSLB直後一時的に若干低下したが、SG主蒸気隔離弁の閉止に従い16.1MPaまで上昇した。一次系圧力が10MPa以下に低下した数分後、HPI系から両ループの低温側配管内へ冷却材を手動注入した。一次系圧力は、HPI系からの冷却材注入により上昇したが、加圧器逃し弁の開放により16.2MPa以下に維持された。実験中、炉心はサブクール水で満たされた。健全ループでは、流れが停滞し、HPI系からの冷却材注入時に低温側配管での温度成層が観察された。一方、破断ループでは、顕著な自然循環が継続した。HPI系からの冷却材の連続注入による継続的な炉心冷却を確認して実験を終了した。取得した実験データは、PWRのMSLBを伴う多重故障事故時の回復操作および手順の検討に役立てることができる。本報告書は、ROSA/LSTFSB-SL-01実験の手順、条件および実験で観察された主な結果をまとめたものである。

報告書

Status of study of long-term assessment of transport of radioactive contaminants in the environment of Fukushima (FY2018) (Translated document)

長尾 郁弥; 新里 忠史; 佐々木 祥人; 伊藤 聡美; 渡辺 貴善; 土肥 輝美; 中西 貴宏; 佐久間 一幸; 萩原 大樹; 舟木 泰智; et al.

JAEA-Research 2020-007, 249 Pages, 2020/10

JAEA-Research-2020-007.pdf:15.83MB

2011年3月11日に発生した太平洋三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波により、東京電力(現東京電力ホールディングス)福島第一原子力発電所の事故が発生し、その結果、環境中へ大量の放射性物質が放出された。この事故により放出された放射性核種は、その大部分が森林に沈着している。これに対し、面積が広大であり大量の除去土壌などが生じる、多面的な森林の機能が損なわれる可能性があるなどの問題があり、生活圏近傍を除き、汚染された森林の具体的な除染計画はない。そのため、未除染の森林から放射性セシウムが流出し、既に除染された生活圏に流入することで空間線量率が上がってしまうのではないか(外部被ばくに関する懸念)、森林から河川に流出した放射性セシウムが農林水産物に取り込まれることで被ばくするのではないか、規制基準値を超えて出荷できないのではないか(内部被ばくに関する懸念)などの懸念があり、避難住民の帰還や産業再開の妨げとなる可能性があった。日本原子力研究開発機構では、環境中に放出された放射性物質、特に放射性セシウムの移動挙動に関する「長期環境動態研究」を2012年11月より実施している。この目的は、自治体の施策立案を科学的側面から補助する、住民の環境安全に関する不安を低減し、帰還や産業再開を促進するといった点にある。本報告書は、原子力機構が福島県で実施した環境動態研究におけるこれまでの研究成果について取りまとめたものである。

報告書

福島における放射性セシウムの環境動態研究の現状(平成30年度版)

長尾 郁弥; 新里 忠史; 佐々木 祥人; 伊藤 聡美; 渡辺 貴善; 土肥 輝美; 中西 貴宏; 佐久間 一幸; 萩原 大樹; 舟木 泰智; et al.

JAEA-Research 2019-002, 235 Pages, 2019/08

JAEA-Research-2019-002.pdf:21.04MB

2011年3月11日に発生した太平洋三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波により、東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生し、その結果、環境中へ大量の放射性物質が放出され、その大部分が森林に沈着している。これに対し、面積が広大であり大量の除去土壌等が生じる、多面的な森林の機能が損なわれる可能性があるなどの問題があり、生活圏近傍を除き、汚染された森林の具体的な除染計画はない。そのため、未除染の森林から放射性セシウムが流出し、既に除染された生活圏に流入することに対する懸念があり、避難住民の帰還や産業再開の妨げとなる可能性があった。原子力機構では、環境中に放出された放射性物質、特に放射性セシウムの移動挙動に関する「長期環境動態研究」を2012年11月より実施している。この目的は、自治体の施策立案を科学的側面から補助する、住民の環境安全に関する不安を低減し、帰還や産業再開を促進するといった点にある。本報告書は、原子力機構が福島県で実施した環境動態研究におけるこれまでの研究成果について取りまとめたものである。

報告書

STACY(定常臨界実験装置)施設の更新に係るモックアップ試験(給排水システムの性能確認)

関 真和; 前川 知之; 井澤 一彦; 曽野 浩樹

JAEA-Technology 2017-038, 52 Pages, 2018/03

JAEA-Technology-2017-038.pdf:4.6MB

日本原子力研究開発機構では、溶液燃料を用いるSTACY(定常臨界実験装置)施設を「棒状燃料と軽水減速材を用いる熱中性子炉用臨界実験装置(STACY更新炉)」に更新する計画を進めている。これまでのSTACYは、炉心タンクへ供給する溶液燃料の体積を調整する液位制御方式を採用していたが、STACY更新炉は、炉心タンクへ減速材の給水量を調整する水位制御方式を採用する。この水位制御について、これまでに行った基本設計の妥当性を検証するため、実機とほぼ同一構造の設備・機器を用いた給排水系モックアップ試験装置を製作した。モックアップ試験では、最大給水流量の制限、給水流量の調整、給水停止等の性能確認を行った。本書では、STACY更新炉給排水系のモックアップ試験の結果について報告する。

論文

Estimation of the inventory of the radioactive wastes in Fukushima Daiichi NPS with a radionuclide transport model in the contaminated water

柴田 淳広; 駒 義和; 大井 貴夫

Journal of Nuclear Science and Technology, 53(12), p.1933 - 1942, 2016/12

 被引用回数:20 パーセンタイル:86.31(Nuclear Science & Technology)

For planning and investigating on treatment and disposal of the wastes on Fukushima Daiichi NPS, it is necessary to quantify the radioactivity inventory of them. The secondary wastes from the water treatment system are one of the major wastes and the analysis of the water of the treatment system holds the promise of giving the useful information on the inventory of damaged fuel. Therefore, the inventories of the secondary wastes and damaged fuel were estimated with a radionuclide transport model in the contaminated water. The model was developed based on unknown factors that are initial concentration in the hypothetical volume assuming the instantaneous homogeneous mixing and continuous release rate from damaged fuels. In the numerical analysis using this model, the key parameters, initial concentration C$$_{0}$$, continuous release rate F and inventory of source of continuous release I$$_{S0}$$ were given by fitting the model with analysis data of the contaminated water. By using these parameter values, the nuclides inventories in the damaged fuel and secondary waste were calculated.

報告書

Data report of ROSA/LSTF experiment TR-LF-07; Loss-of-feedwater transient with primary feed-and-bleed operation

竹田 武司

JAEA-Data/Code 2016-004, 59 Pages, 2016/07

JAEA-Data-Code-2016-004.pdf:3.34MB

LSTFを用いた実験(実験番号: TR-LF-07)が1992年6月23日に行われた。TR-LF-07実験では、PWRの給水喪失事象を模擬した。このとき、一次系フィード・アンド・ブリード運転とともに、補助給水系の不作動を仮定した。また、蒸気発生器(SG)の二次側水位が3mまで低下した時点でSI信号を発信し、その後30分で加圧器(PZR)の逃し弁(PORV)開放による一次系減圧を開始した。さらに、SI信号発信後12秒でPZRの有るループの高圧注入系(HPI)の作動を開始し、一次系圧力が10.7MPaまで低下した時点でPZRの無いループのHPIの作動を開始した。一次系とSG二次側の圧力は、PZRのPORVとSGの逃し弁の周期的開閉によりほぼ一定に維持された。PORVの開放にしたがい、PZRの水位が大きく低下し始め、高温側配管では水位が形成した。HPIの作動により、PZRと高温側配管の水位は回復した。一次系圧力はSG二次側圧力を下回り、両ループの蓄圧注入系(ACC)が作動した。炉心露出が生じなかったことから、PORV, HPIおよびACCを用いた一次系フィード・アンド・ブリード運転は、炉心冷却に有効であった。本報告書は、TR-LF-07実験の手順、条件および実験で観察された主な結果をまとめたものである。

論文

ROSA/LSTF tests and RELAP5 posttest analyses for PWR safety system using steam generator secondary-side depressurization against effects of release of nitrogen gas dissolved in accumulator water

竹田 武司; 大貫 晃*; 金森 大輔*; 大津 巌

Science and Technology of Nuclear Installations, 2016, p.7481793_1 - 7481793_15, 2016/00

AA2016-0048.pdf:5.15MB

 被引用回数:1 パーセンタイル:10.07(Nuclear Science & Technology)

Two tests related to a new safety system for PWR were performed with ROSA/LSTF. The tests simulated cold leg small-break loss-of-coolant accidents with 2-inch diameter break using an early steam generator (SG) secondary-side depressurization with or without release of nitrogen gas dissolved in accumulator (ACC) water. The pressure difference between the primary and SG secondary sides after the actuation of ACC system was larger in the test with the dissolved gas release than in the test without the dissolved gas release. No core uncovery and heatup took place because of the ACC coolant injection and two-phase natural circulation. The RELAP5 code predicted most of the overall trends of the major thermal-hydraulic responses after adjusting a break discharge coefficient for two-phase discharge flow under the assumption of releasing all the dissolved gas at the vessel upper plenum.

論文

Investigation of characteristics of natural circulation of water in vessel cooling system in loss of core cooling test without nuclear heating

高田 昌二; 清水 厚志; 近藤 誠; 島崎 洋祐; 篠原 正憲; 関 朝和; 栃尾 大輔; 飯垣 和彦; 中川 繁昭; 沢 和弘

Proceedings of 23rd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-23) (DVD-ROM), 5 Pages, 2015/05

HTTRを使った炉心冷却喪失試験では、原子炉の固有の安全性を確認するとともに、自然現象によりより安全を確保できることを示すため、炉心に制御棒を挿入せず、また、VCSを停止させて原子炉の強制冷却を停止させる。試験では、VCSの熱反射板のついていない水冷管に、原子炉の安全上問題とはならないが、財産保護の観点から局所的な温度上昇が懸念された。非核加熱試験を通して、局所的な温度上昇点が確認され、最高使用温度よりは低いが運転上の管理制限値を超える可能性のあることが分かった。冷却水の自然循環による冷却効果は1$$^{circ}$$C以内であった。このため、再稼働後早期に試験を実施するための安全確実な試験方法を確立した。

論文

HTTR test programme towards coupling with the IS process

伊与久 達夫; 坂場 成昭; 中川 繁昭; 橘 幸男; 笠原 清司; 川崎 幸三

Nuclear Production of Hydrogen, p.167 - 176, 2006/00

来るべき水素社会では大量の水素が必要となるが、高温ガス炉の熱を熱化学IS法に用いれば、水分解により二酸化炭素を排出せずに大量の水素を製造することが可能である。これは原子炉による水素製造という新産業創出として期待されている。日本初の高温ガス炉HTTRは2004年4月に世界で初めて原子炉出口冷却材温度950$$^{circ}$$Cを達成し、ISプロセスに必要な原子炉側の準備は整いつつある。本報では、HTTRによる原子炉出口冷却材温度950$$^{circ}$$Cを達成するまでの試験実績を述べるとともに、ISプロセスを接続するために必要となるHTTRを用いた今後の試験計画及びHTTRにISプロセスを接続するHTTR-IS計画について報告する。

論文

Present status of energy in Japan and HTTR project

小川 益郎; 西原 哲夫

Nuclear Engineering and Design, 233(1-3), p.5 - 10, 2004/10

 被引用回数:27 パーセンタイル:83.16(Nuclear Science & Technology)

日本の1次エネルギー供給量は年々増加しており、大量のエネルギーが輸入されている。そのため、エネルギー自給率は原子力エネルギーを考慮しても20%しかない。大量のエネルギー消費の結果、大量の温暖化ガスが環境に放出されている。日本においては、原子力エネルギーがエネルギー供給に重要な役割を占めている。日本原子力研究所で進めているHTTRプロジェクトでは、高温ガス炉水素製造の確立を目指しており、高温ガス炉技術,熱化学法による水素製造技術及びシステムインテグレーション技術の開発を進めている。

報告書

受動的安全性を具備した低減速軽水炉に関する技術開発(受託研究)

岩村 公道; 大久保 努; 秋江 拓志; 久語 輝彦; 与能本 泰介; 呉田 昌俊; 石川 信行; 長家 康展; 新谷 文将; 岡嶋 成晃; et al.

JAERI-Research 2004-008, 383 Pages, 2004/06

JAERI-Research-2004-008.pdf:21.49MB

本報告書は、日本原子力研究所,日本原子力発電,日立製作所,東京工業大学が財団法人エネルギー総合工学研究所からの委託を受けて平成12$$sim$$14年度に実施した革新的実用原子力技術開発提案公募事業「受動的安全性を具備した低減速軽水炉に関する技術開発」の成果をまとめたものである。本提案公募事業では、エネルギーの長期安定供給を確保するとともに、コスト競争力の強化,プルトニウムの有効利用,使用済燃料蓄積量の低減など、原子力発電及び核燃料サイクルが直面する課題の解決、及び安全性・経済性にかかわる技術の一層の向上を図るため、既に実用化している軽水炉技術を最大限に活用し、中性子の減速を抑制して転換比を上げることにより燃料の増殖,高燃焼度・長期サイクル運転,プルトニウムリサイクルが可能となる低減速軽水炉の開発を実施した。 炉心設計,プラントシステム設計とともに、熱流動成立性,炉物理的成立性,燃料の安全性,燃料サイクルの検討を実施し、実用化へ向けた成立性の見通しを得た。

報告書

JMTR計測用配管のき裂発生原因の調査報告書; 配管部の振動解析と応力解析の結果

塙 悟史; 橘 幸男; 伊与久 達夫; 石原 正博; 伊藤 治彦

JAERI-Tech 2003-064, 25 Pages, 2003/07

JAERI-Tech-2003-064.pdf:2.84MB

材料試験炉(JMTR:Japan Materials Testing Reactor)は、第147サイクルの共同利用運転中に、一次冷却系統の精製系統充填ポンプNo.1の出口配管に取り付けられた圧力計導管からの水漏れが確認されたため、12月10日に原子炉を手動停止した。当該圧力計導管については、充填ポンプが加振源となり圧力計導管が振動し、その繰り返し荷重によりき裂が発生・進展した可能性がある。このため、当該部の振動解析と応力解析を実施した。振動解析の結果、充填ポンプNo.1圧力計導管の固有振動数は53$$sim$$58Hz程度と推定され、共振周波数である50Hz(充填ポンプ回転数)に近い状態にあった。応力解析の結果、振動により当該圧力計導管に発生する応力は固有振動数53Hzで63MPa,58Hzで25MPaと求められた。振動による応力と、自重と内圧による応力の合計値を計算すると、固有振動数53Hzで112.2MPa,58Hzで74.2MPaになる。これらの発生応力は使用材料の疲れ限度に近い値であり、充填ポンプNo.1の圧力計導管に生じたき裂は、充填ポンプの振動に起因する疲労によるものと推測された。

報告書

JMTR計測用配管のき裂発生原因の調査報告書; JMTRホットラボにおける圧力計導管の検査に関するデータ集

き裂発生原因の調査ワーキンググループ

JAERI-Tech 2003-060, 183 Pages, 2003/07

JAERI-Tech-2003-060.pdf:55.37MB

日本原子力研究所大洗研究所の材料試験炉(JMTR)において、平成14年12月10日に一次冷却系統の精製系統充填ポンプNo.1の出口配管に取り付けられた圧力計導管に水漏れが確認された。また、水漏れ停止後に行った外観観察及び浸透探傷試験の結果、当該圧力計導管にき裂が確認された。このため、水漏れ発生の原因と対策及び安全管理への取組みについて検討するために、日本原子力研究所内外の専門家から構成する「JMTR計測用配管水漏れ調査検討委員会」が平成14年12月16日に設置された。これを受けて、当該圧力計導管におけるき裂発生の原因を調査するためのワーキンググループを材料試験炉部に設置し、圧力計導管とその溶接部分を含む試料を切り出し、ホットラボ施設において外観検査,破面観察,金属組織観察,硬さ測定等を実施した。本報告書は、これらのデータをまとめたものである。

報告書

均圧注入系を模擬した体系に生じるカオスの研究; 受動的安全炉の特性解析,原子力基礎研究 H12-012(委託研究)

班目 春樹*; 岡本 孝司*; 田中 源太郎*; 森元 雄一郎*; 佐藤 聡*; 近藤 昌也

JAERI-Tech 2003-017, 156 Pages, 2003/03

JAERI-Tech-2003-017.pdf:5.31MB

原子炉圧力容器と格納容器気相部とを加圧管と注入管によって繋いだ均圧注入系の挙動をU字管内の液柱で模擬した実験と解析を行った。実験は、カバーガスをU字管内気相部に一定流量で注入してゆき、水位があるレベルに達するとガスを放出、水位が回復するとガス放出を停止することによって行った。実験の結果、ガス放出の周期は一定間隔とはならず、大きくばらつくことがわかった。そこで、圧力上昇時と下降時それぞれの挙動に対し線形方程式を立て、それをつないだ区分線形モデルを作成した。区分線形モデルは接線分岐,周期倍分岐,周期加算分岐といったカオス特有の性質を示したため、ガス放出の周期がばらついたのはカオスである可能性が高いことを示した。

報告書

超臨界水冷却固体増殖ブランケットシステムの概念検討

榎枝 幹男; 小原 祥裕; 秋場 真人; 佐藤 聡; 秦野 歳久; 古作 泰雄; 黒田 敏公*; 菊池 茂人*; 柳 義彦*; 小西 哲之; et al.

JAERI-Tech 2001-078, 120 Pages, 2001/12

JAERI-Tech-2001-078.pdf:8.3MB

本報告書は、経済的競争力の強化と技術的な堅実さの維持を両立する原型炉ブランケットの概念構築を目的として行われた平成12年度の原型炉ブランケット設計会議での作業内容をとりまとめたものである。平成11年度の核融合会議戦略検討分科会の議論等から、原型炉の果たすべき使命に関して見直しがなされ、経済的な競合性を有する実用炉の原型であり、それと同じ材料と設計を使用して商業的に魅力ある動力炉の原型であるから、原型炉で、実用化に必要な技術はすべて開発し実証する、と結論付けられた。この見直しを受けて、過去数年にわたるプラズマ研究や炉工学技術開発の進展を勘案して、開発目標として再設定をし、原型炉としてA-SSTRで提案された超臨界水冷却方式の固体増殖ブランケットを目標とし、その概念検討を行った。本概念検討の結果、除熱,発電,燃料増殖,遮蔽などの基本的な性能に関して、超臨界水冷却固体増殖ブランケットの実現可能性が示された。また、電磁力に関する検討,超臨界水による腐食防止に関する予備調査,トリチウム生成挙動と回収方式の検討,冷却発電システムの検討,モジュール製作性の検討,遠隔保守着脱機構,交換計画の検討などを行い、今後解決するべき検討課題を明らかにした。

報告書

有用金属捕集材実海域試験における海上設備の漂流防止対策; 海上設備位置監視装置と測定精度の向上

玉田 正男; 笠井 昇; 瀬古 典明; 長谷川 伸; 川端 幸哉*; 大沼 謙二*; 武田 隼人*; 片貝 秋雄; 須郷 高信

JAERI-Tech 2001-065, 39 Pages, 2001/11

JAERI-Tech-2001-065.pdf:5.24MB

有用金属捕集材の性能評価のために設置した実海域試験装置の海上設備の安全に配慮するため、その位置を監視する装置を設計・製作した。位置監視装置は海上設備の浮体である鋼管フレームに取付け、その測位情報をGPSにより取得したのち、衛星通信回線を経て、むつ事業所及び高崎へ送信することにより、位置をモニターできるようにした。位置監視装置は損傷を避けるため、捕集材の引上・浸漬作業の終了後、鋼管フレームのコーナー上方に設置した。実海域での20日間の特性試験で、2時間毎に262データを取得し、9回の誤信号が発生した。実測精度は、223.7mであった。測位精度を向上させるため、位置監視装置用ファームウェアの改良を行った。測位分解能を0.001$$^{circ}$$から0.00001$$^{circ}$$とするとともに、定時刻に連続5回の測位を行い緯度・経度毎に5回の測位結果から最大値、最小値を除いた計3回の測位結果を平均化することとした。この変更にともない、標体のサイズを大きくして電池容量を大きくし、ファームウエアの作動を可能にした。改良により、誤信号は計測されなくなり、測位の平均値は6.74mまで向上し、鋼管フレームの測位をおこなうことにより、事前に漂流などを阻止可能なレベルに達した。

論文

Three-dimensional computations of two-phase flow behavior in a simulated fusion reactor under water ingress

高瀬 和之; 小瀬 裕男*; 秋本 肇

Proceedings of the 1st International Symposium on Advanced Fluid Information (AFI-2001), p.227 - 232, 2001/10

核融合実験炉ITERの構成要素を約1/1600で模擬した試験装置を使って、冷却材侵入事象(ICE)下における沸騰二相流挙動を定量的に調べた、また、安全性評価解析コードTRAC-PF1を使って試験結果の検証計算を行い、プラズマチャンバー(PC)や真空容器(VV)に侵入した水の流動挙動を3次元的に把握した。本研究により次の成果を得た。(1)サプレッションタンク,リリーフ配管,ドレンタンク等から成るITER圧力抑制システムは圧力上昇の抑制に非常に有効であり、ITER圧力抑制システムの設計は妥当である。(2)圧力の上昇はPCやVVの内壁温度よりも侵入水温度の影響を強く受ける。(3)圧力抑制システムによる圧力上昇の抑制はリリーフ配管の断面積に依存する。(4)PC内に侵入した水の大部分はPCとサプレッションタンクの圧力が均圧するまでPC内に停滞する。その後PCの水はVVに停滞し、最終的にドレンタンクに移動する。(5)水浸入後300秒程度までの時間帯では、PC内の平均熱伝達率は水侵入とともに増大し水侵入終了時に最高値約1300W/m$$^{2}$$Kを示し、その後は低下する。VVの平均熱伝達率は最高でも150W/m$$^{2}$$K程度である。一方、PC底部に位置するダイバータ部の平均熱伝達率は水侵入終了時から顕著に上昇し300秒時に約1500W/m$$^{2}$$Kを示す。

論文

$$^{18}$$F used as tracer to study water uptake and transport imaging of a cowpea plant

中西 友子*; 田野井 慶太朗*; 横田 はる美*; Kang, D.-J.*; 石井 龍一*; 石岡 典子; 渡辺 智; 長 明彦; 関根 俊明; 松橋 信平; et al.

Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 249(2), p.503 - 507, 2001/08

マメ科の植物の中できわめて乾燥に強いと考えられるササゲ($it {Vigna unguliculata Walp.}$)を用いて水分吸収の計測を行った。ササゲは茎の下部に乾燥に耐えるための水分保持組織を発達させていると考えられている植物である。われわれは、中性子ラジオグラフィの手法を用いてこの組織が他の茎よりも水分量が多いことを確認した。またサイクロトロンによって製造された$$^{18}$$F標識水を用いてPETIS法によりササゲの水分吸収動態を測定した。インゲンマメとササゲで水分吸収を比較すると、乾燥処理でもササゲのほうが高い水分吸収活性を維持していることが示され、より乾燥に強い性質を有していることが示唆された。

論文

Vanadium uptake and an effect of vanadium treatment on $$^{18}$$F-labeled water movement in a cowpea plant by positron emitting tracer imaging system (PETIS)

古川 純*; 横田 はる美*; 田野井 慶太朗*; 上岡 志ほり*; 松橋 信平; 石岡 典子; 渡辺 智; 内田 博*; 辻 淳憲*; 伊藤 岳人*; et al.

Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 249(2), p.495 - 498, 2001/08

 被引用回数:16 パーセンタイル:72.77(Chemistry, Analytical)

ポジトロン放出核種を利用したイメージング装置であるPETIS(Positron Emitting Tracer Imaging System)を用いてササゲにおけるバナジウム(V$$^{5+}$$)吸収をリアルタイムで測定した。バナジウム-48は、日本原子力研究所高崎研究所のAVFサイクロトロンを用い、Sc箔に50MeVの$$alpha$$粒子を照射することにより製造した。$$^{48}$$Vを水耕液に添加し、PETISによりリアルタイム計測を行った。また$$^{48}$$V水溶液を添加してから3,6,20時間目の植物体を用いてバナジウム分布をラジオグラフィにより測定した。これらにより処理開始後20時間目には植物体全体にバナジウムが分布していることが明らかになった。植物に吸収されたバナジウムが及ぼす影響を見るために、同様にポジトロン放出核種であるフッ素-18で標識した水を用いてPETISによりササゲの水分吸収動態を測定した。計測前に20時時間バナジウムを吸収させると、標識水の吸収が極端に抑えられることが示された。これらの結果は植物体の地上部に移行したバナジウムが標識水の吸収を阻害する主な原因であることを示唆している。

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