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嶋田 道也; 宮澤 順一*
プラズマ・核融合学会誌, 92(2), p.119 - 124, 2016/02
能動対流型の液体金属ダイバータは、原型炉における熱負荷除去やディスラプション対策などの課題を解決する選択肢として有望である。この章では、研究の動機、これまでの経過、最近の動き、将来の展望、研究の課題について概説する。
Lukash, V.*; 杉原 正芳; Gribov, Y.*; 藤枝 浩文*
Plasma Physics and Controlled Fusion, 47(12), p.2077 - 2086, 2005/12
被引用回数:10 パーセンタイル:33.50(Physics, Fluids & Plasmas)ITERのディスラプション時における垂直移動の方向を、幅広い条件のもとでDINAコードにより調べた。(1)電流減衰率,(2)熱クエンチに伴う内部インダクタンスの変化量,(3)初期の垂直位置の三つの要因が、移動方向を決定する主要因であることを示し、移動方向を規定するパラメータ領域を明らかにした。これにより装置中心から55cm上方に設定された現在の標準配位においては、電流減衰率が200kA/msより大きく、内部インダクタンスの変化量が0.2より小さい場合には上方に移動することがわかった。
芳野 隆治
Nuclear Fusion, 45(11), p.1232 - 1246, 2005/11
被引用回数:41 パーセンタイル:76.40(Physics, Fluids & Plasmas)トカマクプラズマにおいてベータ限界時に発生するディスラプションを予測するニューラルネットワークをJT-60Uのデータを用いて開発した。ベータ限界ディスラプションでは数10ms前に予兆現象を観測できないので、まず、2msごとに規格化ベータの限界値を出力するサブネットワークを開発した。第一段階ではこの限界値の目標値を適当に与えて訓練し、第二段階では第一段階の訓練で得た出力を用いて限界値の目標値を調整し訓練した。これにより安定放電に対する誤り警報の発生率を大きく低減した。誤り警報の発生率をさらに低減するために、上記訓練で得たネットワークから出力する規格化ベータ限界値と実際の規格化ベータ値との差をほかの11種類のデータとともに主ネットワークに入力し、プラズマの安定度を出力するようにした。この安定度がある警報レベルより低下するとディスラプションの発生を予測する。この結果、ディスラプション発生の10ms前に、80%の予測成功率を4%の誤り警報で得られることを示した。80%は、誤り警報発生率4%における従来の予測成功率10%に比べて格段の性能向上である。さらに90%の予測成功率を誤り警報の発生率12%で得られることを示した。この12%は、従来得られていた誤り警報発生率の約半分である。
河野 康則; 仲野 友英; 朝倉 伸幸; 玉井 広史; 諫山 明彦; 近藤 貴; 波多江 仰紀; 竹永 秀信; 井手 俊介
プラズマ・核融合学会誌, 81(10), p.743 - 744, 2005/10
ディスラプションにより発生する逃走電子プラズマが急速に消滅する際の特性理解を目的として、JT-60Uにおいて、接線炭酸ガスレーザ干渉計を用いた電子密度計測を行った。その結果、1回目の逃走電子電流急速減衰時には、直後に電子密度が急増することを観測した。また、2回目の急速減衰時には、電子密度が周期約1ミリ秒のスパイク状電子密度変動を伴い増加する場合があることを見いだした。このとき、増加した電子密度により電流減衰が速まっている可能性が示唆された。
Bakhtiari, M.; Kramer, G. J.*; 武智 学; 玉井 広史; 三浦 幸俊; 草間 義紀; 鎌田 裕
Physical Review Letters, 94(21), p.215003_1 - 215003_4, 2005/06
被引用回数:47 パーセンタイル:82.83(Physics, Multidisciplinary)トカマクにおいて発生する逃走電子の制動輻射は逃走電子の最大エネルギーを制限することがわかった。逃走電子の取りうる最小、及び最大のエネルギーはそれぞれ衝突と制動輻射によって決められている。さらに、キセノンのような高Zガスを入射することによって、ディスラプションによって励起された逃走電子電流を逃走電子が第一壁に到達する前に停止しうることがわかった。
Bakhtiari, M.; 玉井 広史; 河野 康則; Kramer, G. J.*; 諫山 明彦; 仲野 友英; 神谷 健作; 芳野 隆治; 三浦 幸俊; 草間 義紀; et al.
Nuclear Fusion, 45(5), p.318 - 325, 2005/05
被引用回数:46 パーセンタイル:79.34(Physics, Fluids & Plasmas)これまで、われわれは、大量の水素ガスと小量のアルゴンガスを組合せて注入することにより、ディスラプション緩和のためにトカマク放電を急速にまた逃走電子の発生を回避しつつ停止することが可能であることを示している。今回は、アルゴンに加えて他のガス種を用いた同様の実験を実施した。具体的には、アルゴンガス,クリプトンガス,キセノンガスのそれぞれについて水素ガス注入の有る無しのケースをディスラプション緩和効果の観点から比較した。その結果、どのガス種についても、水素ガスと合わせて注入した場合には、水素ガス無しの場合と比べて逃走電子の発生が少なくまた放電停止がより早くなることを観測した。また、中でもクリプトンガス注入が(水素ガスの有る無しにかかわらず)、ダイバータ板への熱負荷低減や逃走電子の発生回避に最も効果的であったことから、放電停止のために用いるガス種の良い候補としてクリプトンが考えられることを見いだした。
嶋田 道也; Costley, A. E.*; Federici, G.*; 伊尾木 公裕*; Kukushkin, A. S.*; Mukhovatov, V.*; Polevoi, A. R.*; 杉原 正芳
Journal of Nuclear Materials, 337-339, p.808 - 815, 2005/03
被引用回数:66 パーセンタイル:96.43(Materials Science, Multidisciplinary)ITERは燃焼プラズマの研究と実現を目的とした核融合実験炉である。その特徴は、加熱パワーのほとんどがアルファ加熱によって供給されるということである。ITERは現在運転中の装置からの顕著なステップであり、かつ核融合炉開発において不可欠のステップである。ITERの成功は、プラズマ壁相互作用の制御のいかんにかかっていると言っても過言ではない。ITERは熱束,粒子束及び時間スケールにおいて現在の装置を一桁ないし二桁上回るからである。ITERにおけるプラズマ壁相互作用の制御の戦略として、セミクローズ・ダイバータ,強力な燃料補給と排気,ディスラプション及びELM制御,交換可能なプラズマ対向材料、及び段階を追った運転などを計画している。
大脇 浩和; 杉原 正芳; 河野 康則; Lukash, V. V.*; Khayrutdinov, R. R.*; Zhogolev, V.*; 小関 隆久; 畑山 明聖*
Europhysics Conference Abstracts (CD-ROM), 29C, 4 Pages, 2005/00
ディスラプション時のトカマク装置への電磁力負荷を評価するうえで最も重要な、プラズマ電流の減衰過程を評価する数値モデルを構築した。このモデルでは、粒子の輸送とリサイクルを考慮した密度の微分方程式によって密度を評価し、ジュール加熱パワーと不純物の混入による放射パワーとのバランスによって電子温度とプラズマ抵抗を決定する。加えてプラズマ平衡・輸送・回路方程式を解くコードDINAを用いることで、プラズマ電流減衰の時間発展を矛盾無く求める。不純物混入量,粒子の閉じ込め時間,リサイクリング率は、おおよそ実験で想定される値をパラメータとして与えることで、JT-60Uのプラズマ電流波形を模擬できた。また、この3つの物理量がプラズマ電流の減衰過程に与える影響を調べた。
嶋田 道也; Campbell, D.*; Stambaugh, R.*; Polevoi, A. R.*; Mukhovatov, V.*; 朝倉 伸幸; Costley, A. E.*; Donn, A. J. H.*; Doyle, E. J.*; Federici, G.*; et al.
Proceedings of 20th IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2004) (CD-ROM), 8 Pages, 2004/11
この論文では、物理基盤の最近の進展によって、ITERの性能予測がどのように影響されるかを要約する。これまで懸案であった課題についての進展、及びハイブリッド及び定常運転シナリオが新たに開発されたことによってITERの目標達成はより確実となった。安全係数が4付近において電流分布を調整することにより、標準のHモードよりも閉じ込めを改善し、壁無し条件でのベータ限界にまでベータを上昇させることが可能であることが実験で明らかになった。この結果をITERに適用すると、12MA程度の低いプラズマ電流で、ELMが小さく、Qが10以上で1000秒以上の長パルス運転が可能である。電流減衰時間及びハロー電流に関する指針を実験データベースから導出してディスラプションの解析を行った。保守的な仮定を用いても真空容器内機器の電磁力は設計目標を下回り、ITERの設計がディスラプションに伴う力に対して十分な耐性を持つことを明らかにした。
杉原 正芳; Lukash, V.*; Khayrutdinov, R.*; 閨谷 譲
Plasma Physics and Controlled Fusion, 46(10), p.1581 - 1589, 2004/10
被引用回数:12 パーセンタイル:36.78(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uにおいて、垂直位置移動中に熱クエンチが発生する時の境界安全係数q値を、FBI/FBEQU及びDINAコードで平衡配位を再構築することにより求めた。両者の結果は極めて類似しており、q値が1.5-2の範囲で熱クエンチが発生する結果が得られた。これにより、垂直位置移動シミュレーションにおいては、この範囲で熱クエンチが起こると仮定し、その後のプラズマの移動やハロー電流を求めることが妥当であることが示された。
林 孝夫; 西谷 健夫; 石川 正男
Review of Scientific Instruments, 75(10), p.3575 - 3577, 2004/10
被引用回数:13 パーセンタイル:55.58(Instruments & Instrumentation)ITERでは、核燃料物質を内蔵した小型円筒形の電離箱であるマイクロフィッションチャンバー(MFC)を中性子モニタとして真空容器内に設置する予定であり、そこでは強磁場中における中性子計測となる。今回、ITER運転期間中の中性子計測効率の変化が十分小さくなるように原研で設計開発したMFC(長さ:200mm, 直径:14mm, UO:12mg, U濃縮度:90%)を用いてJT-60U真空容器のすぐ外側(トロイダルコイルの内側)において中性子計測を行うことにより、強磁場中(2T)での中性子モニタとしての健全性を初めて評価した。MFCで計測された中性子発生率は、JT-60Uの既設の中性子モニタとの優れた線形性を示し、MFCの計測における磁場の影響は見られなかった。しかしNBI装置のブレークダウン時にノイズ信号が確認され、このノイズ信号はブレークダウンの発生場所に依存しなかった。またプラズマディスラプション時にはノイズ信号は確認されなかった。ノイズの発生原因はおそらく検出器からプリアンプまでの長いケーブル配線によるものであり、このノイズ信号を除いた場合の計測精度はITERで要求されている精度(10%)を満足した。その結果、ノイズ対策の強化によりITERでの中性子モニタとしての有用性を確認した。
芳野 隆治
Nuclear Fusion, 43(12), p.1771 - 1786, 2003/12
被引用回数:56 パーセンタイル:83.19(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60のデータを用いてニューラルネットによるディスラプション予測の研究を行った。「プラズマ安定度」という新しい基準を導入し、かつ従来の方法とは異なる2段階でニューラルネットを教育する新しい方式を開発した。これにより、密度限界,プラズマ電流低減時の高内部インダクタンス,低密度ロックドモードによって発生するディスラプションについて、30ms以前に約90%の予測成功率を約2%の予測失敗率のもとで得ることができた。「プラズマ安定度」を導入したことにより、初めて、各予測時点における予測成功率を評価し、予測成功率と予測失敗率との関係を明らかにした。この結果として、ディスラプション予測の高精度化への道を拓いた。
杉原 正芳; Lukash, V.*; 河野 康則; 芳野 隆治; Gribov, Y.*; Khayrutdinov, R.*; 三木 信晴*; 大森 順次*; 嶋田 道也
Proceedings of 30th EPS Conference on Controlled Fusion and Plasma Physics (CD-ROM), 4 Pages, 2003/07
ディスラプション時のプラズマ挙動に関して、JT-60などの実験結果を詳細に解析する。その結果を2次元自由境界平衡発展解析コード「DINA」に組み込み、ITERにおけるディスラプション挙動の予測解析を行う。
杉原 正芳; Lukash, V.*; 河野 康則; 芳野 隆治; Gribov, Y.*; Khayrutdinov, R.*; 三木 信晴*; 大森 順次*; 嶋田 道也
プラズマ・核融合学会誌, 79(7), p.706 - 712, 2003/07
トカマクのプラズマディスラプション時の電流減衰波形に関して、JT-60の実験解析を行い、ITER設計の物理ガイドラインを導出した。速い電流減衰は指数関数的波形でよく表され、遅い電流減衰は直線的波形でよく表される。
阿部 哲也; 金成 守康; 丹澤 貞光; 廣木 成治
JAERI-Tech 2002-093, 17 Pages, 2002/12
核融合炉内機器の結合部においては、プラズマ異常崩壊時に炉内機器内部に生ずる電磁力によって機器同士が相互に摺動し摩擦熱を発生する。このため、炉内機器の構造材料選定等のデータとして用いるために、各種金属やセラミックス膜などの真空雰囲気下における動摩擦特性を把握しておく必要がある。そのため、本研究では、回転式摩擦試験機を試作して、その性能を調べるとともに、この試験機を用いて各種金属の大気中における動摩擦係数を調べた。
中村 幸治; Pautasso, G.*; Gruber, O.*; Jardin, S. C.*
Plasma Physics and Controlled Fusion, 44(8), p.1471 - 1481, 2002/08
被引用回数:13 パーセンタイル:40.21(Physics, Fluids & Plasmas)軸対称MHDシミュレーションによって、ディスラプションの際発生する垂直移動現象(VDE)を支配している新しい機構を明らかにした。単一ダイバータ・プラズマで急激なプラズマ電流分布の平坦化が起きると、プラズマはダイバータ側に向かって大きく引き寄せられ、その際のダイバータ配位に応じて上下偏ったVDEが発生しやすくなる。リミター配位のプラズマは本来ダイバータを持たないため、この引き寄せ効果が存在せず、VDEは常に上下方向等しい確率で発生する。この新しい効果は、 ASDEX-Upgradeの実験でも確認することができ、これとこれまでの研究で明らかにしてきた「中立平衡点」による効果によって、ディスラプション挙動の全体像を初めて明らかにした。
中村 幸治; 芳野 隆治; Granetz, R. S.*; Pautasso, G.*; Gruber, O.*; Jardin, S. C.*
プラズマ・核融合学会誌, 78(4), p.347 - 355, 2002/04
トカマク・ディスラプションの際発生する垂直移動現象(VDE)を回避するうえで有利な「中立平衡点」を、国際共同研究によって、JT-60U,Alcator C-Mod及びASDEX-Upgrade トカマクで調べた。米国のAlcator C-Modトカマクでは、キラー粒子を入射することで強制的にディスラプションを発生させ、VDEの様子を調べた。その結果、計算機シミュレーションの結果通り、赤道面から数cm上に「中立平衡点」が存在することを確認した。一方、ドイツASDEX-Upgradeトカマクのディスラプション・データベースを解析し、トカマク装置によってVDEに個性があり明確な「中立平衡点」が存在しないことがわかった。その原因を計算機シミュレーションで調べた結果、ディスラプションの最中生じているプラズマ電流分布の変化が垂直移動現象に強く影響していることを明らかにした。
小関 隆久; 竹治 智; 飯尾 俊二*
プラズマ・核融合学会誌, 77(11), P. 1165, 2001/11
第13回ITER物理R&D「MHD,ディスラプション及びプラズマ制御」に関する専門家会合が、第28回欧州物理学会が開催されたポルトガル、マデイラ島、フンシャルにおいて、学会後の6月25-26日に開かれた。物理R&Dの専門家と国際共同設計チーム(JCT)からの合計18人の参加があり、おもにデスラプションデータベースの再検討,長時間運転時のMHD不安定性の発生機構,不安定性の閉じ込めへの影響など最近の進展と課題について討論し、ITERの設計に助言を行った。本報告は、当専門家会合の議論のまとめを述べる。
中村 幸治
プラズマ・核融合学会誌, 77(9), p.843 - 856, 2001/09
ディスラプションを無害化するうえで重要な、プラズマ対向機器の損傷と深く関わっている垂直移動現象(VDE: Vertical Displacement Event)の研究について、現状を解説した。まず、VDEがハロー電流の発生と深く関わるディスラプションの主要現象であることを述べている。さらに最近、VDEの発生機構が明らかにされ、またVDE回避に有利な中立平衡点と呼ぶプラズマ配置がJT-60Uで見つかったことを述べている。同時に、原研とAlcator C-ModやASDEX-upgradeとの間で、VDE回避に関する国際協力関係が進んでいることにふれ、今後期待されるVDE回避の研究について、将来を展望している。
芳野 隆治; D.J.Campbell*; E.Fredrickson*; 藤沢 登; N.Granetz*; Gruber, O.*; T.C.Hender*; D.A.Humphreys*; N.Ivanov*; S.Jardin*; et al.
Fusion Energy 2000 (CD-ROM), 4 Pages, 2001/05
ITER物理R&Dの専門家会合においてまとめたディスラプションの諸特性(熱消滅、電流消滅、ハロー電流、逃走電子、ディスラプション頻度、等)のデータベース群とそれに基づくITERでのディスラプション特性の予測を示す。加えて、最近、顕著な研究成果の得られているディスラプションの回避・緩和の研究について報告する。