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井戸村 泰宏
Physics of Plasmas, 26(12), p.120703_1 - 120703_5, 2019/12
被引用回数:5 パーセンタイル:32.68(Physics, Fluids & Plasmas)本論文では大域的full-fジャイロ運動論シミュレーションを用いてイオン温度勾配駆動(ITG)乱流が支配的な水素(H)および重水素(D)のLモードプラズマにおける水素同位体と規格化ジャイロ半径の影響を示す。断熱応答電子を用いたイオン加熱数値実験では、エネルギー閉じ込め時間はBohm的なスケーリングで決まり、水素同位体質量依存性は見られない。運動論的電子を用いた電子加熱数値実験は電子からイオンへの衝突性エネルギー移行に対する同位体効果に起因する明確な同位体質量依存性を示し、約1.4倍の加熱パワー比でH, Dプラズマは同様のイオン,電子温度分布を示す。H, Dプラズマの規格化無衝突イオンジャイロ運動論方程式はが同じ場合に等価となり、ITG乱流に対する衝突効果も弱い。このため、水素同位体質量依存性は主にスケーリングと加熱源によって決まる。
井戸村 泰宏
Physics of Plasmas, 24(8), p.080701_1 - 080701_5, 2017/08
被引用回数:10 パーセンタイル:49.09(Physics, Fluids & Plasmas)大域的full-fジャイロ運動論モデルに基づく電子加熱変調数値実験から、電子加熱によるイオン温度勾配駆動(ITG)乱流から捕捉電子モード(TEM)乱流への遷移が密度勾配の急峻化とプラズマ回転の変化をもたらすことを示した。回転変化時のトロイダル角運動量バランスをトロイダル角運動量保存則の直接観測によって明らかにし、イオン系の乱流応力に加え、イオン系の新古典応力、径方向電流、イオン系と電子系のトロイダル電場応力が重要となることを示した。ITGフェーズとTEMフェーズにおけるトロイダルトルクの反転はイオン系方向電流の反転によるものであり、これは粒子輸送と運動量輸送の相互作用であることを明らかにした。イオン系と電子系の径方向電流は両極性条件を満たすようにバランスし、電子系の径方向電流は電子系のトロイダル電場応力によって打ち消される。これは電子系のトロイダル電場応力が間接的にトロイダルトルクに影響していることを示す。
前山 伸也*; 井戸村 泰宏; 渡邉 智彦*; 仲田 資季*; 矢木 雅敏; 宮戸 直亮; 石澤 明宏*; 沼波 政倫*
Physical Review Letters, 114(25), p.255002_1 - 255002_5, 2015/06
被引用回数:92 パーセンタイル:95.26(Physics, Multidisciplinary)実イオン・電子質量比かつ実値のマルチスケールジャイロ運動論的乱流シミュレーションをはじめて実現した。ここで、値はプラズマ圧力と磁気圧の比によって与えられ、微視的不安定性に対する電磁効果を特徴付ける。電子・イオンスケールのスケール間相互作用を明らかにするために両スケールにおける数値解析を行った。実質量比のスケール分離があっても、イオンスケール乱流が電子スケールストリーマを消去し、イオンだけでなく電子の熱輸送も支配する。また、イオンスケールモードが有限効果によって安定化される場合には乱流輸送への電子スケールダイナミクスの寄与は無視できなくなり、イオンスケール乱流輸送を増大させることがわかった。
岸本 泰明
プラズマ・核融合学会誌, 80(5), p.390 - 395, 2004/05
近年の高性能の磁場閉じ込め核融合プラズマは、プラズマ中にさまざまな構造を形成することによって達成しており、そこでは時空間スケールの異なった物理過程が複合的に寄与している。そのような複雑かつ複合的な性質を持つプラズマの理解にあたっては大規模シミュレーションに基づく研究が本質的である。本論文では、このようなプラズマの構造形成を支配する物理的な素過程を論じるとともに、幅広いダイナミックレンジを包含する将来の数値シミュレーションの展望を提案する。
Bruskin, L. G.; 間瀬 淳*; 大山 直幸; 篠原 孝司; 三浦 幸俊
Plasma Physics and Controlled Fusion, 45(7), p.1227 - 1245, 2003/07
被引用回数:7 パーセンタイル:22.83(Physics, Fluids & Plasmas)密度揺動の非線形相互作用を評価するためのミリ波反射計の適応性について理論的な考察を行った。Coherentとrandomな密度揺動を扱う二次元full-wave反射計シミュレーションによる模擬データ群を作成し、bicoherence関数を求めた。そして、プラズマ密度分布,プラズマ配位,密度揺動のスペクトルと強度の依存性について議論した。その結果、JT-60U周辺プラズマの場合、反射計を用いてcoherentモードのbicoherencyを評価するためには、coherentモードとrandomモードの振幅の比が1より大きいという条件が必要であることがわかった。また、反射層の曲率は大きい方が感度が良いこともわかった。本解析手法を実際のミリ波反射計のデータに適用し、Hモードプラズマのセパラトリックス近傍に強い非線形相互作用を持つ密度揺動が存在することが明らかになった。
笹倉 浩
Progress of Theoretical Physics, 38(3), p.576 - 583, 1967/00
被引用回数:3抄録なし
河合 智賀; 井戸村 泰宏; 前山 伸也; 小川 雄一*
no journal, ,
核融合プラズマの閉じ込め特性を評価する上で乱流輸送をもたらす乱流スペクトルの理解が重要な課題となっている。本研究では、格子モデルに基づく高精度なジャイロ運動論シミュレーションによって電子乱流から帯状流が形成される自己組織化過程を詳細に解析し、帯状流の形成をもたらす乱流スペクトルの構造を明らかにした。
河合 智賀; 前山 伸也; 井戸村 泰宏; 小川 雄一*
no journal, ,
磁場閉じ込めプラズマ中における帯状流などの構造を形成する過程として、エネルギースペクトルの逆カスケードによる自己組織化現象がその候補として考えられている。一方、第一原理モデルに基づくプラズマ乱流シミュレーションにおいてこれまで乱流スペクトルと自己組織化の関連については検討が進んでいなかった。当研究では、高解像度のVlasovコードを用いたシミュレーションによって電子系乱流のスペクトル構造を明らかにし、その低波長側の構造と自己組織化現象の関連について調べた。
井戸村 泰宏
no journal, ,
核融合プラズマ乱流はしばしば帯状流のような自己組織化乱流構造を示す。この現象は長谷川-三間(H-M)方程式によって記述される自己組織化描像との類推によって議論されてきた。H-M方程式は乱流スペクトルの双カスケード、Rhinesスケール、断熱応答スケールといったいくつかの重要な特徴を予測するが、これまでにこれらの基礎的な特徴は核融合プラズマ乱流で検証されていない。本講演では電子温度勾配駆動乱流の自己組織化を示し、これらの基礎的な特徴を検証するとともに、その乱流輸送への影響を議論する。
井戸村 泰宏
no journal, ,
核融合プラズマ乱流を研究するために、ジャイロ運動論的5次元トロイダルfull-fオイラーコードGT5Dを開発した。京コンピュータにおいては、多次元/多階層領域分割や通信と計算の同時処理といったノード間並列技術を開発し、GT5Dの強スケーリングを73,728ノードまで向上した。しかしながら、運動論的電子や多種イオンを含む核燃焼プラズマへのGT5Dの拡張はより高い計算性能を必要とする。ポスト京重点課題では、GPUやMICといった次世代プラットフォームの計算技術を開発してきた。本講演ではメニーコアプロセッサにおけるノード内のメモリ階層構造や演算加速に比べて相対的に低いノード間通信性能といった計算機科学的な課題を議論する。
朝比 祐一; 藤井 恵介*; 前山 伸也*; 井戸村 泰宏
no journal, ,
第一原理的ジャイロ運動論的シミュレーションは理論,実験解析問わず、プラズマ乱流輸送解析に幅広く利用される。計算は空間3次元,速度2次元,時間1次元の合計6次元空間内で行われ、膨大なシミュレーションデータが生成される。本研究では、主成分分析(PCA)による次元削減によって頻出する位相空間内構造の抽出を行った。PCAにより64の主成分で83%の累積寄与率が得られた。主成分(つまり位相空間構造)の熱輸送への寄与解析により、位相空間の共鳴構造が突発的な熱輸送へ寄与していることを明らかにした。