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論文

緊急時海洋環境放射能評価システムの開発; 海洋拡散の迅速な予測を可能に

小林 卓也; 川村 英之; 上平 雄基

日本原子力学会誌ATOMO$$Sigma$$, 62(11), p.635 - 639, 2020/11

原子力事故により海洋へ放出される放射性物質の移行過程を予測することは、近年原子力施設の立地が進む東アジア諸国の周辺海域において重要なことである。原子力機構は、放射性物質の海洋拡散モデルを基盤とした緊急時海洋環境放射能評価システムを開発した。本システムは、海象予測オンラインデータを活用して、東アジア諸国の周辺海域における放射性物質の海洋拡散を迅速に予測するものである。これまでに、システムで実行される海洋拡散予測の精度を定量的に評価するとともに、アンサンブル予測手法を導入することで予測精度が向上することを示した。さらに、領域海洋モデリングシステムを用いて沿岸域を対象とした高分解能モデルを導入する等、システムの高度化を継続している。

論文

Predictability of a short-term emergency assessment system of the marine environmental radioactivity

川村 英之; 上平 雄基; 小林 卓也

Journal of Nuclear Science and Technology, 57(4), p.472 - 485, 2020/04

 被引用回数:3 パーセンタイル:28.63(Nuclear Science & Technology)

日本原子力研究開発機構は、原子力施設等から放出される放射性核種の日本近海における海洋拡散を予測するため、緊急時海洋環境放射能評価システムを開発した。本研究の目的は、これまでに蓄積した海況の予測データと再解析データを使用して、緊急時海洋環境放射能評価システムの予測精度を検証することである。再解析データは、データ同化により最適化されたものであり、過去の事象を解析するのに信頼性が高いため、再解析データを入力した海洋拡散シミュレーションの結果を真値と仮定した。予測精度の検証は、福島第一原子力発電所から放出されるセシウム137を想定した海洋拡散シミュレーションにより行った。複数の海洋拡散シミュレーションを実行することで統計的に予測精度を検証し、予測期間毎に変化する予測精度を定量的に評価した。さらに、アンサンブル予測を適用することで、予測精度を向上させることに成功した。

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