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論文

Dynamics of atomic hydrogen in palladium probed by neutron spectroscopy

古府 麻衣子; 山室 修*

Journal of the Physical Society of Japan, 89(5), p.051002_1 - 051002_12, 2020/05

金属中の水素の挙動は、基礎および応用研究の広い領域で古くから興味がもたれてきた。金属の中でもパラジウムは特別である。パラジウムは大量の水素を吸収し、またパラジウムのfcc格子中を水素は自由に拡散する。中性子分光は水素原子の微視的ダイナミクスを調べる最適な手法であり、パラジウム中の水素のダイナミクスが精力的に研究されてきた。本論文では、研究初期から最新のパラジウム水素化物の中性子散乱研究をレビューし、バルクおよびナノサイズのパラジウム中の水素ダイナミクスがどのように理解されているか示す。

論文

Electronic structure of trivalent compound EuPd$$_3$$ studied by soft X-ray angle-resolved photoemission spectroscopy

川崎 郁斗; 小畠 雅明; 藤森 伸一; 竹田 幸治; 山上 浩志; 仲村 愛*; 伊覇 航*; 辺土 正人*; 仲間 隆男*; 大貫 惇睦*

Journal of the Physical Society of Japan, 89(4), p.044704_1 - 044704_6, 2020/04

EuPd$$_3$$ is a rare Eu-based compound, whose Eu ions are in a trivalent state. The electronic structure of EuPd$$_3$$ was investigated by angle-resolved photoemission spectroscopy (ARPES) using soft X rays. Eu$$^{3+}$$ components arising from the 4f$$^5$$ final state multiplet were clearly observed in the valence spectra, and no Eu$$^{2+}$$ components were observed within an experimental accuracy, confirming a robust Eu$$^{3+}$$ state. The band structure and Fermi surfaces revealed by ARPES measurements were compared to the band structure calculations based on the density-functional theory for LaPd$$_3$$ andYPd$$_3$$. We found that the calculation for LaPd$$_3$$ provides a better description for our ARPES results. The effective electron masses estimated from the ARPES spectra near the Fermi level are in good agreement with the corresponding cyclotron effective masses in previous de Haas-van Alphen experiments.

報告書

新型コロナプローブの開発

中村 暢彦; 沓掛 健一; 松田 誠

JAEA-Technology 2019-022, 20 Pages, 2020/03

JAEA-Technology-2019-022.pdf:1.73MB

タンデム加速器(静電加速器)は、発生する電圧を制御することによって、連続した任意のエネルギーのイオンビームを容易に得ることができるという利点を持っている。したがって、当施設の加速器制御システムで運用しているスケーリング運転と連動制御を用いて、発生する電圧の制御を自動化することができれば、ビームエネルギーの制御も自動化できる。電圧制御を自動化するためには開発を進めるべき要素がいくつかある。重要な要素の1つとして、タンデム加速器の電圧を制御しているコロナプローブの位置調整を自動化しなければならない。しかしながら、旧型のコロナプローブでは、制御方式や精度の面で、自動化することは困難であった。そこで、我々はこれらの面を改良した新たなコロナプローブを開発した。新型コロナプローブは新たな制御方式, 駆動機構および位置検出機構を用いることで、位置調整の自動化、位置精度の向上、整備性の向上を達成することができた。本報告では、この新型コロナプローブの開発について詳細に述べる。

論文

Neutron emission spectrum from gold excited with 16.6 MeV linearly polarized monoenergetic photons

桐原 陽一; 中島 宏; 佐波 俊哉*; 波戸 芳仁*; 糸賀 俊朗*; 宮本 修治*; 武元 亮頼*; 山口 将志*; 浅野 芳裕*

Journal of Nuclear Science and Technology, 57(3-4), p.444 - 456, 2020/03

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Nuclear Science & Technology)

兵庫県立大学ニュースバル放射光施設ビームラインBL01において、$$16.6pm0.2$$MeVの単色直線偏光光子ビームを$$^{197}$$Auへ照射したときの中性子放出スペクトルを、飛行時間法により測定した。これより光核反応によって生成される2成分の中性子スペクトルを測定した。このうちの1つ成分(A)は、4MeVまでのエネルギーであり蒸発に類似したスペクトル形状を示した。もう一方の成分(B)は、4MeV以上のエネルギーでありバンプに類似したスペクトル形状を示した。中性子の放出強度において、成分(A)は角度依存は見られなかったが、成分(B)は偏光と検出器方向を成す角度$$Theta$$の関数として、$$a+bcos(2Theta)$$の関係を示すことがわかった。

論文

Manipulation of saturation magnetization and perpendicular magnetic anisotropy in epitaxial Co$$_{x}$$Mn$$_{4-x}$$N films with ferrimagnetic compensation

伊藤 啓太*; 安富 陽子*; Zhu, S.*; Nurmamat, M.*; 田原 昌樹*; 都甲 薫*; 秋山 了太*; 竹田 幸治; 斎藤 祐児; 小口 多美夫*; et al.

Physical Review B, 101(10), p.104401_1 - 104401_8, 2020/03

 被引用回数:0

Spintronics devices utilizing a magnetic domain wall motion have attracted increasing attention, and ferrimagentic materials with almost compensated magnetic moments are highly required to realize the fast magnetic domain wall motion. Here, we report a key function for this purpose in anti-perovskite Co$$_{x}$$Mn$$_{4-x}$$N films. Perpendicular magnetization emerges for $$0.8 leq x$$, and the saturation magnetization reaches a minimum value at $$x = 0.8$$.

論文

Microstructural features and ductile-brittle transition behavior in hot-rolled lean duplex stainless steels

高橋 治*; 渋井 洋平*; 徐 平光; Harjo, S.; 鈴木 徹也*; 友田 陽*

Quantum Beam Science (Internet), 4(1), p.16_1 - 16_15, 2020/03

The characteristics of texture and microstructure of lean duplex stainless steels with low Ni content produced through hot rolling followed by annealing were investigated locally with electron backscatter diffraction and globally with neutron diffraction. Then, the ductile-brittle transition (DBT) behavior was studied by Charpy impact test. It is found that the DBT temperature (DBTT) is strongly affected by the direction of crack propagation, depending on crystallographic texture and microstructural morphology; the DBTT becomes extremely low in the case of fracture accompanying delamination. A high Ni duplex stainless steel examined for comparison, shows a lower DBTT compared with the lean steel in the same crack propagating direction. The obtained results were also discussed through comparing with those of cast duplex stainless steels reported previously (Takahashi et al., Tetsu-to-Hagane, 100(2014), 1150).

論文

Role of retained austenite in low alloy steel at low temperature monitored by neutron diffraction

山下 享介; 諸岡 聡; Harjo, S.; 川崎 卓郎; 古賀 紀光*; 梅澤 修*

Scripta Materialia, 177, p.6 - 10, 2020/03

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Nanoscience & Nanotechnology)

${it In situ}$ neutron diffraction measurements during tensile tests at low temperatures of a low alloy steel containing retained austenite have been performed. Evolutions of phase fractions and phase stresses were analyzed and discussed with the progress of deformation. The role of austenite in the steel during deformation at low temperatures was observed not to directly in the contribution to the strengths but in the improvement of the elongation by transformation of austenite to martensite -and in the increasing of the work-hardening rate by an increase in the phase fraction of martensite and the work hardening of martensite.

報告書

J-PARC安全管理年報(2018年度)

J-PARCセンター 安全ディビジョン

JAEA-Review 2019-043, 147 Pages, 2020/02

JAEA-Review-2019-043.pdf:11.06MB

本報告書は、大強度陽子加速器施設(J-PARC)の安全管理(放射線安全及び一般安全)について2018年度の活動をとりまとめたものである。放射線管理については、施設及び周辺環境の放射線管理、個人線量の管理、放射線安全管理設備の維持・管理等の業務の概要、その他の関連業務について記述した。一般安全については、検討会及び各種専門部会、安全衛生会議、教育・講習会、訓練、さらに安全巡視等について記述した。また、安全文化醸成活動、及び、安全管理業務に関連して行った技術開発・研究についても、章を分けて記述した。

論文

Zeolitic vanadomolybdates as high-performance cathode-active materials for sodium-ion batteries

Zhang, Z,*; Wang, H.*; 吉川 浩史*; 松村 大樹; 畑尾 秀哉*; 石川 理史*; 上田 渉*

ACS Applied Materials & Interfaces, 12(5), p.6056 - 6063, 2020/02

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Nanoscience & Nanotechnology)

Developing new cathode-active materials for rechargeable batteries is important to fulfill the growing demands of energy transformation, storage, and utilization. Zeolitic transition-metal oxides based on vanadomolybdate, constructed by pentagon metal-oxygen clusters as building blocks and metal ions as linkers in a trigonal symmetry, are good candidates for cathodes of Na rechargeable batteries. The material is activated via amorphization of the crystal structure in the ab plane during discharging process, keeping the molecular structure of the building blocks stable, which causes high specific capacity and good cycle performance.

論文

Progress status in fabrication of HBC stripper foil for 3-GeV RCS at J-PARC in Tokai site

吉本 政弘; 山崎 良雄; 仲野谷 孝充; Saha, P. K.; 金正 倫計

EPJ Web of Conferences (Internet), 229, p.01001_1 - 01001_7, 2020/02

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、ハイブリッドボロン添加カーボンフォイル(HBCフォイル)を用いた荷電変換ビーム多重入射方式を採用している。高エネルギー加速器研究機構(KEK)で開発されたHBC荷電変換フォイルはビーム照射に対する寿命を飛躍的に向上させることに成功した。これまで荷電変換フォイルの準備作業は、第1段階としてKEKつくばサイトでフォイルの蒸着作業を実施し、次に原子力機構(JAEA)東海サイトでフォイルの調整作業を実施するという2段階に分けて行ってきた。フォイル準備作業を効率的に進めるためには同一場所での作業が望ましく、そのためにHBCフォイル用の蒸着装置をつくばサイトから東海サイトに移設した。蒸着装置の修理及び再立ち上げを行った後に、製作したHBCフォイルの性能評価試験を高崎量子応用研究所TIARAにおいて実施した。Ar照射試験による寿命評価、RBS法を用いた組成分析、$$mu$$PIXEによる不純物評価の結果、これまでのHBCフォイルと同等の性能を有することを確認した。そして実際にRCSにおけるビーム照射試験を実施し、10日間の利用運転に問題なく使えることを実証した。

論文

偏極スーパーミラーのさらなる高性能化を目指して

丸山 龍治

波紋, 30(1), p.45 - 50, 2020/02

サイエンスの様々な分野において偏極中性子散乱の果たす役割は益々増大しており、J-PARC MLFでの偏極中性子ビーム利用の高度化のため原子力機構では偏極スーパーミラーの高性能化に関する研究開発を進めている。本稿では、それらの研究において近年得られたいくつかの成果を報告する。

論文

中性子溶液散乱; 現在・過去・未来

杉山 正明*; 井上 倫太郎*; 中川 洋; 齋尾 智英*

波紋, 30(1), p.16 - 25, 2020/02

中性子は生体高分子の構造とダイナミクスを解析するためのプローブである。この総説では中性子がどのように活用されてきたかをまとめる。そして、溶液散乱により、統合構造生物学の最近のトレンドにどのように効果的に活用すべきかを議論する。

論文

「波紋」から先人に学ぶ

武田 全康

波紋, 30(1), p.7 - 8, 2020/02

JRR-3は2018年11月7日付けで原子炉設置変更許可を取得し、原子炉建屋の屋根などの耐震工事を経て、2021年の早期に運転再開を果たす。研究用原子炉を使った中性子科学の将来は、JRR-3の運転再開後にいかに社会的インパクトのある成果を創出できるかにかかっている。この状況において、我々は、波紋に掲載された過去の記事から多くのことを学ぶことができる。

論文

Mitigation of cavitation damage in J-PARC mercury target vessel

直江 崇; 木下 秀孝; 粉川 広行; 涌井 隆; 若井 栄一; 羽賀 勝洋; 高田 弘

JPS Conference Proceedings (Internet), 28, p.081004_1 - 081004_6, 2020/02

J-PARC核破砕中性子源の水銀ターゲット容器(SUS316L製)は、陽子線入射によって生じる水銀中の圧力波が引き起こすキャビテーションにより、ビームが入射する先端部厚さ3mmの壁が損傷する。キャビテーションによる損傷は、ビーム出力と共に増加するため、ターゲット容器の寿命を制限する因子となっている。J-PARCの目標である1MWにおける長期安定運転を実現するために、損傷低減化策として、圧力波抑制のための気泡注入に加えて、先端部に主流の4倍の流速を発生できる幅2mmの狭隘流路を有する先端部二重壁構造の容器を採用した。運転終了後に損傷低減化策の効果を確認するために、容器内壁を切り出して観察した。これまでの経験を踏まえ、確実に切出しを実施するためにコールド試験を通じて切出し条件を最適化して、2017年にターゲット2号機(損傷低減化策無し)、及び2018年に8号機(損傷低減化策有り)の切り出しを実施した。ワークショップでは、切出した試料の損傷観察結果を紹介すると共に、損傷低減化策の効果について報告する。

論文

Change in mechanical properties by high-cycle loading up to Gigacycle for 316L stainless steel

直江 崇; Harjo, S.; 川崎 卓郎; Xiong, Z.*; 二川 正敏

JPS Conference Proceedings (Internet), 28, p.061009_1 - 061009_6, 2020/02

J-PARCの核破砕中性子源に設置されている316L鋼製の水銀ターゲット容器は、陽子及び中性子照射環境により損傷する。照射損傷に加えて、陽子線励起圧力波により期待される設計寿命である5000時間の運転中に、約4.5億回の繰返し応力を受ける。これまでに容器構造材のギガサイクルまでの疲労挙動を調査するために、超音波疲労試験を実施し、疲労後の残強度を測定するなかで、繰返し硬化及び軟化現象を観測した。本研究では、ギガサイクルまでの繰返し硬化/軟化について調査するために、物質・生命科学実験施設(BL-19匠)で中性子回折により繰返し負荷後の試料の転位密度を測定した。その結果、受け入れ材は負荷の繰返し数の増加と共に転位密度が増加した。一方、照射による転位導入を模擬した冷間圧延材は、負荷の繰返し過程において転位の消滅と再蓄積が確認された。ワークショップでは、ターゲット容器構造材のギガサイクルまでの疲労試験の進捗と中性子回折の測定結果について報告する。

論文

Recent status of the pulsed spallation neutron source at J-PARC

高田 弘; 羽賀 勝洋

JPS Conference Proceedings (Internet), 28, p.081003_1 - 081003_7, 2020/02

大強度陽子加速器施設J-PARCの核破砕中性子源では、設計を見直した水銀ターゲット容器を使用して2017年10月から2018年7月までの間、500kWの陽子ビームで運転を行うとともに、1MW相当のビーム強度で1時間の運転も行った。このターゲット容器では、ビームが入射する尖頭部でのキャビテーション損傷を抑制する対策として微小気泡注入器を装備するとともに、尖頭部では流路幅2mmの狭隘流路に水銀流れを形成する形状を採用した。運転終了後の観察の結果、厚さ3mmの容器尖頭部の損傷は17.5$$mu$$mより浅い程度に抑制できたことがわかった。

論文

New design and fabrication technology applied in mercury target vessel #8 of J-PARC

涌井 隆; 若井 栄一; 粉川 広行; 直江 崇; 花野 耕平; 羽賀 勝洋; 高田 弘; 島田 翼*; 鹿又 研一*

JPS Conference Proceedings (Internet), 28, p.081002_1 - 081002_6, 2020/02

J-PARCの水銀ターゲット容器は、水銀容器と二重容器構造の保護容器(内側及び外側容器)からなる三重容器構造である。2015年の500kWビーム運転時、水銀ターゲット容器の保護容器からの微小な水漏れが2回発生した。この容器破損から得られた知見を基に、設計, 製作及び試験検査過程の改善を行った。ワイヤ放電加工を用いて、1つのステンレスブロックから切り出した一体化構造を採用することにより、水銀ターゲット容器前方の溶接線の長さは約55%まで大幅に減らすことができた。放射線透過試験や超音波探傷試験による徹底的な溶接検査を実施した。2017年の9月に水銀ターゲット容器8号機が完成し、8号機を使用したビーム運転が開始された。500kWの安定的なビーム運転が実現でき、ビーム試験時には、1MWの最大ビーム強度を経験することができた。

論文

Pseudo-triplet 5$$f$$ electron state in the heavy fermion superconductor NpPd$$_5$$Al$$_2$$

目時 直人; 青木 大*; Griveau, J.-C.*; 大槻 純也*

Journal of the Physical Society of Japan, 89(2), p.024707_1 - 024707_6, 2020/02

 被引用回数:1 パーセンタイル:5.35(Physics, Multidisciplinary)

重い電子系超伝導体NpPd$$_5$$Al$$_2$$の擬三重項5$$f$$電子基底状態を明らかにした。主に$$|0rangle$$からなる一重項基底状態$$Gamma_{t1}$$$$Delta E=49$$,K上に、$$|pm1rangle$$が主要な成分の二重項第一励起状態$$Gamma_{t5}$$を仮定することで帯磁率の温度依存性が説明できる。磁化曲線は擬スピン$$J$$=1の局所有効ハミルトニアン$$DJ_z^2$$($$D=Delta E$$)で説明でき、これは四極子演算子$$O_{20}$$と等価である。比熱は擬三重項を反映してエントロピーがR$$ln3$$となるように規格化した近藤モデルによって理解でき、近藤温度$$T_{rm K}=55$$,Kは分裂幅$$Delta E=49$$,Kと同程度であり、多チャンネル近藤効果を示しうる二重項$$Gamma_{t5}$$が含まれた擬三重項が重い電子状態と超伝導を担っていることが明らかになった。

論文

Weak-coupling mean-field theory of magnetic properties of NiGa$$_{2}$$S$$_{4}$$

野村 拓司*; 山本 裕史*; 吉井 賢資

Journal of the Physical Society of Japan, 89(2), p.024704_1 - 024704_10, 2020/02

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Physics, Multidisciplinary)

三角格子上のスピン系の磁性は物性物理の分野で古くから取り扱われている。スピン間に反強磁性的相互作用が存在する場合は、フラストレーションにより複雑な磁気状態が発生すること等から、様々な系の性質が調べられている。本系では、このような系の一つであるNiGa$$_{2}$$S$$_{4}$$の性質を平均場近似により調べた。バンド計算で求まった電子状態を基にしたHatree-Fock法により、中性子回折で観測されているインコメンシュレートなスピン秩序状態を再現することができた。Ni 3d電子間のクーロン相互作用は2eV程度と小さく、Niスピンの値もS=1.1ボーア磁子程度と小さいことから、弱相関系でありNi-Sの共有結合が強いことも判明した。スピン間の相関関数を求めたところ、中性子非弾性散乱の結果と矛盾しない結果も得られた。

論文

$$f$$-electron states of heavy-fermion superconductor NpPd$$_5$$Al$$_2$$ and rare-earth- and actinide-based isostructural compounds

目時 直人

Journal of the Physical Society of Japan, 89(2), p.025001_1 - 025001_2, 2020/02

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Physics, Multidisciplinary)

重い電子系超伝導体NpPd$$_5$$Al$$_2$$及び同じ結晶構造を持つ関連物質の$$f$$電子状態について、$$LS$$$$j$$-$$j$$結合描像の間に良い対応関係が成り立つことがわかった。これらの物質の希土類及びアクチノイド元素は正方晶の点群$$D_{4h}$$の対称性をもつ強い一軸的な点電荷ポテンシャルの影響を受けている。一連の化合物は$$f$$電子数$$n$$($$leq6$$)の増加に伴う$$^nf$$系として考えられ、その電子状態の系統的な変化は$$LS$$結合描像によってよく表現される。一方、この電子状態の変化は、$$^1f$$系のCePd$$_5$$Al$$_2$$の3つの$$f$$軌道$$Gamma_7^{rm; i}, Gamma_7^{rm; ii}$$,及び$$Gamma_6$$に、$$j=5/2$$$$f$$電子を$$n$$個詰める$$j$$-$$j$$結合描像によって説明でき、両者の間に物理的な関連が認められる。

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