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論文

Possible criticality scenario and its mechanism of the Windscale Works criticality accident in 1970 analyzed by computational fluid dynamics and Monte Carlo neutron transport

福田 航大

Annals of Nuclear Energy, 208(1), p.110748_1 - 110748_10, 2024/12

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)

The Windscale Works criticality accident in 1970 resulted from mixing an aqueous solution with an organic solvent with different plutonium concentrations and densities. Although this accident has been studied using improved computer capabilities in recent years, a precise criticality scenario has not yet been identified. This study aims to clarify a possible criticality scenario of the accident-the time variation of reactivity and its mechanism. The accident was simulated by combining the multiphase computational fluid dynamics solver of OpenFOAM and the delta-tracking-based Monte Carlo neutron transport code Serpent2. Consequently, the periodic uneven arrangement of fluids might have caused oscillations in neutron leakage and absorption, resulting in periodic wavy reactivity changes. Furthermore, the emulsion, which was thought to be the primary cause, might not be the dominant mechanism for reactivity change, although it contributed to the criticality of the accident.

論文

Thermal analysis of the hydrogen release behavior of sodium hydride and kinetic analysis using master plot methods

土井 大輔

International Journal of Hydrogen Energy, 91, p.1245 - 1252, 2024/11

 被引用回数:0

Hydrogen is a major nonmetallic impurity in the coolant of sodium-cooled fast reactors (SFRs) during normal operation. A higher hydrogen concentration than the gas-liquid equilibrium has been transiently detected in the gas space of actual SFR plants. The presence of several sodium compounds can increase hydrogen generation; however, a thorough understanding of the thermal behavior of candidate reactions is lacking. Herein, thermal analysis reveals the hydrogen release behavior of sodium hydride. Mass spectrometry indicates hydrogen generation with decreasing sample mass, indicating thermal decomposition. Detailed kinetic analysis based on master plot methods indicates that the hydrogen release reaction occurred through a mechanism involving random nucleation and growth of nuclei. Furthermore, the reaction rate was newly formulated based on a kinetic model function representing the above mechanism and the Arrhenius-type reaction rate constant comprising an activation energy of 119.0 $$pm$$ 0.8 kJ mol$$^{-1}$$ and a frequency factor of 1.8 $$times$$ 10$$^{7}$$ s$$^{-1}$$. These findings will enable the numerical simulation of the hydrogen release behavior in SFRs.

論文

Characterization of mineral composition using PIXE and EXAFS analyses to elucidate the Barium adsorption mechanism

小栗 香里; 羽倉 尚人*; 山口 瑛子; 奥村 雅彦; 松浦 治明*; 綱嶋 康倫; 青木 勝巳; 荒井 陽一; 渡部 創

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 556, p.165516_1 - 165516_8, 2024/11

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Instruments & Instrumentation)

人形峠は日本で操業されたウラン鉱山であり、鉱山の地下水にはウラン(U)、ラジウム(Ra)などの各種放射性元素が微量ながら依然として存在し、その挙動は十分に解明されていない。金属イオンと鉱さい中の土壌・粘土鉱物との相互作用により、金属の化学的形態や組成が変化したり、鉱物に金属が吸着したりすると考えられる。また、吸着により、地下水に流れ出た放射性元素は土壌中を移動する間に吸着し保持される。このような粘土鉱物との相互作用は金属漏出の予測に重要であるため、系内の種分化には基本的な化学相互作用の検証が必要である。本研究では、スラグ堆積物の土壌中の金属酸化物と粘土鉱物の組成を調査し、さまざまなイオンの吸着構造の系統性を調べた。スラグ・土壌に含まれる鉱物の組成や化学形態を特定することは、安全性評価や周辺環境への影響評価に有用な情報を提供する。金属(水)酸化物や一部の粘土鉱物に含まれる局所構造を解明するために、拡張X線吸収微細構造(EXAFS)解析を実施し、粒子誘起X線放出(PIXE)による各元素の定量分析を実施した。

報告書

高速炉燃料用SUS316相当鋼の高温強度及び照射特性評価

宮澤 健; 上羽 智之; 矢野 康英; 丹野 敬嗣; 大塚 智史; 鬼澤 高志; 安藤 勝訓; 皆藤 威二

JAEA-Technology 2024-009, 140 Pages, 2024/10

JAEA-Technology-2024-009.pdf:8.03MB

SUS316相当鋼を用いた高速炉燃料設計の高信頼性化に向けて、SUS316相当鋼被覆管及びラッパ管の高温強度及び照射データを材料学的及び統計学的な観点で評価・解析することで、高温強度及び高照射量までの照射特性に係る設計用強度式を導出した。異常な過渡変化の上限温度を超える900$$^{circ}$$CまでのSUS316相当鋼被覆管及びラッパ管(非照射材)の高温引張試験データ及び高温クリープ試験データを拡充し、0.2%耐力、引張強さ、クリープ破断強度の最適近似式と下限式並びに熱クリープひずみの最適近似式と上下限式を導出した。また、高速実験炉「常陽」、仏国・高速原型炉Phenix及び米国・FFTFで高照射量まで中性子照射したSUS316相当鋼被覆管及びラッパ管の照射後引張試験データ及びSUS316相当鋼被覆管の炉内クリープ破断試験データを解析することで、炉内Na中照射による引張強度及びクリープ強度の低下を表す強度補正係数を導出した。導出した式を実測値と比較することで、その妥当性を確認した。

報告書

Momentum exchange functions model for SIMMER-III and SIMMER-IV

飛田 吉春*; 近藤 悟; 鈴木 徹*

JAEA-Research 2024-011, 39 Pages, 2024/10

JAEA-Research-2024-011.pdf:1.67MB

日本原子力研究開発機構が開発したSIMMER-III及びSIMMER-IVは、2次元及び3次元の多速度場・多成分流体力学モデルを空間・時間依存の核動特性モデルと結合した計算コードであり、液体金属高速炉の炉心崩壊事故の解析に広く利用されている。多速度場の流動解析においては、流体速度場間及び流体・構造壁間の抵抗や摩擦をモデル化した運動量交換関数(MXFと呼ぶ)が必要となり、これにより溶融炉心物質間の相対運動や運動に伴う反応度効果が精度良く模擬される。SIMMER-III及びSIMMER-IVでは最大8の速度場を使用でき、各速度場は他の速度場及び構造材壁と運動量を交換する。多成分・多速度場流体における運動量交換に関する理論的・実験的知見は限られているため、MXFの定式化は定常二相流に関する工学的相関式に基づいて行った。また、プール流及びチャンネル流における多相流流動様式のモデル化においては、適切な内挿手順を採用することにより流動様式の遷移におけるMXFの連続性を維持した。MXFモデルは、多相流境界面積モデルと合わせて、コード検証(V&V)プログラムを通じて幅広くテストを行った結果、従来のコードにおける2速度場の制約や簡易モデルに伴う問題点の多くを解決できることが示された。

報告書

Multi-phase flow topology and interfacial area model for SIMMER-III and SIMMER-IV

飛田 吉春*; 近藤 悟; 守田 幸路*

JAEA-Research 2024-010, 77 Pages, 2024/10

JAEA-Research-2024-010.pdf:1.6MB

高速炉の炉心崩壊事故解析コードSIMMER-III及びSIMMER-IVの多相流動・境界面積モデルを開発した。複雑な多成分・多相流のトポロジーを体系的に模擬するため、プール流及びチャンネル流に対する流動様式をモデル化するとともに、流動様式の間の円滑な遷移を可能とした。コードの適用性と柔軟性を拡大するために境界面積対流モデルを導入することにより、各流体の境界面積の輸送と履歴を追跡し、それにより過渡現象をより適切に記述できるようになった。流体粒子の分裂・合体、液滴・気泡の生成等の結果生じる境界面積の時間変化は、境界面積対流方程式のソース項としてモデル化した。SIMMER-III及びSIMMER-IVの多成分系においては成分間の全ての可能な接触モードを考慮し、成分間の熱及び質量移行、運動量交換関数の計算に必要な流体-流体間、流体-構造材間の2成分間接触面積を計算する。本研究で開発した境界面積モデルは高速炉安全解析コードとしては世界初のものであり、コード検証(V&V)プログラムを通じて幅広くテストを行った結果、従来のコードにおける簡易モデルに伴う問題点の多くを解決できることが示された。

報告書

SIMMER-III and SIMMER-IV; Computer codes for LMFR core disruptive accident analysis

近藤 悟; 飛田 吉春*; 守田 幸路*; 神山 健司; 山野 秀将; 鈴木 徹*; 田上 浩孝; 曽我部 丞司; 石田 真也

JAEA-Research 2024-008, 235 Pages, 2024/10

JAEA-Research-2024-008.pdf:4.77MB

日本原子力研究開発機構が開発したSIMMER-III及びSIMMER-IVは、2次元/3次元、多速度場、多成分流体力学モデルを空間・時間依存の核動特性モデルと結合した計算コードであり、液体金属高速炉の炉心崩壊事故の解析に広く利用されている。従来コードに対して次のような高度化したモデルが採用されている。すなわち、安定かつ頑健な流体力学アルゴリズム、最大8までの多速度場モデル、構造材及び多相流幾何形状の取扱いの改善、熱及び質量移行過程の包括的取扱い、高精度の状態方程式、高精度かつ高効率の中性子束計算モデル、崩壊熱モデルなどである。本報告書ではSIMMER-III及びSIMMER-IVのモデル及び解法の詳細を記述する。別途詳細が報告されている個別モデルについてはその概要をまとめる。なお、コードの検証及び妥当性確認についてはすでに報告済みである。

報告書

汎用炉心解析システムMARBLE3の開発

横山 賢治; 羽様 平; 谷中 裕; 大木 繁夫

JAEA-Data/Code 2024-007, 41 Pages, 2024/10

JAEA-Data-Code-2024-007.pdf:1.1MB

汎用炉心解析システムMARBLEの第3版であるMARBLE3を開発した。MARBLEの開発ではオブジェクト指向スクリプト言語Pythonを用いており、これまでの開発ではPythonバージョン2(Python2)を用いていたが、Pythonのバージョンアップの後方非互換性の問題により、Pythonの最新版であるPythonバージョン3(Python3)では、MARBLEを動作させることができなくなっていた。このため、MARBLE3の開発では全面的に改修を行って、Python3で動作するように整備した。また、MARBLE3では、新しく開発された解析コードのカプセル化や新しく提案された計算手法等の組み込みを行うとともに、メンテナンス性や拡張性、柔軟性の観点からユーザインターフェースの拡張やソルバーの再実装等を行った。MARBLE3では、新規に開発された3次元六角/三角体系輸送計算コードMINISTRIVer.7(MINISTRI7)と3次元六角/三角体系拡散計算コードD-MINISTRIを利用できるように整備した。これらのコードは、MARBLEのサブシステムである核特性解析システムSCHEMEや高速炉燃焼解析システムOPRHEUSで利用できる。また、MARBLEに組み込まれている炉心解析システムCBGのユーザインターフェースを拡張して、CBGの2次元RZ体系の拡散計算ソルバーや輸送計算ソルバーをSCHEME上で利用できるように整備した。一方、計算手法についても改良を加えた。MARBLE3では、チェビシェフ有理関数近似法に基づく燃焼計算手法の改良に関する論文やミニマックス多項式近似法に基づく燃焼計算手法に関する論文で提案された計算手法を利用できるように、燃焼計算ソルバーの機能拡張を行った。また、メンテナンス性の観点から、MARBLE2で導入された一点炉動特性ソルバーPOINTKINETICSを廃止して、MARBLE3ではKINETICSソルバーとして新たに整備し直した。

論文

New analysis model of solid body formation in particle method for jet impingement and solidification in severe accidents of SFRs

今泉 悠也; 神山 健司; 松場 賢一

Annals of Nuclear Energy, 206, p.110658_1 - 110658_10, 2024/10

 被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)

In severe accidents of SFRs, molten core materials can discharge from the core, and the jet can impinge on the lower structure plate. After the jet impingement, fragmented discharged materials can form ring-shape solidification. A fundamental experiment was conducted to simulate the behavior. In order to simulate the behavior of solid body creation and motion, a new solid body formation model by inter-particle attraction force in particle method was developed. The advantage of the new model is that it can simulate creation, formation, and motion of solid bodies without any artificial treatment as solid bodies. The movable solid bodies by the new model have any size, shape, and number, and they are created and grown by solidification, and diminish and disappear by melting. The mechanism based on the inter-particle attraction force is common with that in real world where interatomic attraction force is the cause of solid body formation.

論文

Oxygen potential measurement of U$$_{0.85}$$Am$$_{0.15}$$O$$_{2}$$ at 1473, 1573, and 1673 K

渡部 雅; 横山 佳祐; Vauchy, R.; 加藤 正人; 菅田 博正*; 関 崇行*; 日野 哲士*

Journal of Nuclear Materials, 599, p.155232_1 - 155232_5, 2024/10

 被引用回数:2 パーセンタイル:82.00(Materials Science, Multidisciplinary)

本研究では熱重量法を用いて1473、1573及び1673 KにおけるU$$_{0.85}$$Am$$_{0.15}$$O$$_{2-x}$$の新たな酸素ポテンシャルデータを取得した。同じy及びO/M比で比較した場合、U$$_{1-y}$$Am$$_{y}$$O$$_{2-x}$$の酸素ポテンシャルは、U$$_{1-y}$$Pu$$_{y}$$O$$_{2-x}$$よりも高いことがわかった。また、hypostoichiometric領域のカチオン価数はNd含有UO$$_{2}$$と類似しており、定比組成では、Am$$^{3+}$$, U$$^{4+}$$, and U$$^{5+}$$となると推定された。実験データを欠陥化学モデルを用いて解析し、O/M比を温度と酸素分圧の関数として表すことができた。

論文

Oxide particles in oxide dispersion strengthened steel neutron-irradiated up to 158 dpa at Joyo

外山 健*; 丹野 敬嗣; 矢野 康英; 井上 耕治*; 永井 康介*; 大塚 智史; 宮澤 健; 光原 昌寿*; 中島 英治*; 大沼 正人*; et al.

Journal of Nuclear Materials, 599, p.155252_1 - 155252_14, 2024/10

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)

高速実験炉「常陽」で中性子照射した14Cr-ODS鋼(MA957)中の酸化物の安定性について3D-APとTEMを用いて評価を行った。中性子照射は、(502$$^{circ}$$C, 130dpa)、(589$$^{circ}$$C, 154dpa)及び(709$$^{circ}$$C, 158dpa)の3条件で実施した。709$$^{circ}$$C照射では僅かな数密度の減少が認められたが、酸化物は高い数密度を有しており、相対的に照射前後で顕著な変化は確認されず安定に存在していた。これらのことから、ODS鋼は、700$$^{circ}$$C照射で約160dpaまで照射されたとしても強度は維持されることが示唆された。本研究成果の一部は、文部科学省の原子力システム研究開発事業による委託業務(JPMXD0219214482)として実施した。

論文

Uranium-plutonium-oxygen phase diagram; Investigating the solvus of fluorite's exsolution

Vauchy, R.; 廣岡 瞬; 堀井 雄太; 小笠原 誠洋*; 砂押 剛雄*; 山田 忠久*; 田村 哲也*; 村上 龍敏

Journal of Nuclear Materials, 599, p.155233_1 - 155233_11, 2024/10

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)

U$$_{1-y}$$Pu$$_{y}$$O$$_{2-x}$$ (y=0.30および0.45)およびPuO$$_{2-x}$$における蛍石の溶出/再結合は、示差走査熱量測定を使用して調査された。結果は、プルトニアを除いて、文献データと比較的よく一致している。我々の値は、Pu-Oの混和ギャップの臨界温度が以前に報告されたものより30$$sim$$50K低いことを示している。最後に、体系的な実験手順により、低化学量論的U$$_{0.70}$$0Pu$$_{0.30}$$O$$_{2-x}$$、U$$_{0.55}$$Pu$$_{0.45}$$O$$_{2-x}$$、およびPuO$$_{2-x}$$二酸化物に存在するソルバスの軌跡を精密化することができた。

論文

Release behavior of gaseous ruthenium tetroxide during heating of high-level liquid waste simulant during simulated accident conditions

吉田 尚生; 大野 卓也; 天野 祐希; 吉田 涼一朗; 阿部 仁; 山根 祐一

Nuclear Technology, 210(10), p.1999 - 2007, 2024/10

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)

高レベル廃液(HLLW)の冷却システムの不具合とその対策の失敗は、HLLWの「蒸発乾固事故」につながる可能性がある。蒸発乾固事故では、ルテニウム(Ru)は気体状Ruを形成することにより、HLLW中の他の元素よりも初期量に対して大きな割合で放出される可能性がある。放出されうる気体状Ruの化学形態を特定することは、粒子形成、液相へのガス吸収、移行経路上への沈着など、本事故におけるRuのソースターム評価に影響を及ぼす事象を包括的に理解する上で重要である。本研究では、HLLW模擬物質の加熱中に発生したオフガスをUV/Vis分光分析し、スペクトル内の既知成分(四酸化ルテニウムRuO$$_{4}$$)、二酸化窒素、硝酸)の分離と、定量化を可能にするプログラムを用いて、発生したオフガス内の気体状Ruの組成分析を試みた。放出Ruの総量と分光分析で得たRuO$$_{4}$$放出量を比較した結果、RuO$$_{4}$$がオフガス中の気体状Ruの主成分であることが分かった。

論文

Effectiveness evaluation of the measures for improving resilience of nuclear structures against excessive earthquake, 1; Fragility evaluation of reactor vessel based on structural analysis

西野 裕之; 栗坂 健一; 二神 敏; 渡壁 智祥; 山野 秀将

Proceedings of Probabilistic Safety Assessment and Management & Asian Symposium on Risk Assessment and Management (PSAM17 & ASRAM2024) (Internet), 10 Pages, 2024/10

従来の地震PRAでは原子炉容器(RV)の座屈は炉心損傷に支配的に寄与していた。しかしながら現実的には、たとえRVが地震の揺れによって座屈したとしてもRVの破裂や倒壊のようなことになることはなくRV本来の機能を損なうようなことはないと期待できる。このような現実的な座屈後の挙動を考慮することを本研究ではレジリエンス向上策と考える。本研究の目的はRV座屈後の挙動を理解すること、及び疲労破損に基づくフラジリティ評価をすることである。RV座屈後の挙動を理解するために本研究ではひずみやその変位の時間履歴などを定量化するために有限要素法を使って構造解析を実施した。解析の結果、座屈のしわはRV液位よりも高い位置で現れた。最も大きなひずみの値もまたこの高さであることを示せた。この解析によって疲労損傷係数を評価し、座屈によるフラジリティに加えて疲労破損のフラジリティもこの解析結果を用いて評価した。この結果、我々が対象としたプラントに対して、疲労破損及び座屈のフラジリティの中央値(地震動の強さ)は、それぞれ設計基準地震動の6倍と5倍であり、疲労破損フラジリティの中央値の方が座屈フラジリティの中央値よりも1.2倍大きかった。これは座屈後の挙動の現実的な評価は構造のレジリエンス向上に寄与することを意味する。

報告書

Survey on research and development status of Japanese small modular reactors in OECD/NEA activities (2022-2023)

竹田 武司; 柴田 大受

JAEA-Review 2024-040, 29 Pages, 2024/09

JAEA-Review-2024-040.pdf:1.33MB

日本の第6次エネルギー基本計画では、2050年までのカーボンニュートラルを目指したエネルギー政策の道筋を示すことが重要なテーマとなっている。2030年に向けた日本の原子力研究開発(R&D)への政策対応には、国際連携による2030年までの小型モジュール炉(SMR)技術の実証が盛り込まれている。これを踏まえ、脱炭素化と経済成長を同時に達成するGreen Transformation (GX)の実現に向けて、今後10年を見据えた取組の基本方針が取りまとめられた。海外に目を向けると、米国、カナダ、欧州、中国、ロシアを中心に、重工メーカーやR&D機関のみならずベンチャー企業も含めて、国際的にSMRのR&D活動が活発である。このような状況下で、原子力機関(NEA)の原子力施設安全委員会(CSNI)は、SMRの安全性への影響評価を支援するために、SMRに関する専門家グループ(EGSMR)を招集した。EGSMRの取組として、SMRの導入や研究活動に関する最新情報の収集を主目的とした数回にわたるアンケートへの回答の提出が求められた。これに対して、筆頭著者から、JAEAに加えて日立GEニュークリア・エナジー株式会社、三菱重工業株式会社からの情報に基づき回答した。アンケートに対する日本の回答の多くは、CSNI Technical Opinion Paper No.21 (TOP-21)のベースとなる情報である。本報告書では、整理した公開可能な日本のアンケート回答と付加情報を示し、TOP-21の記載内容の一部を補完した。これにより、EGSMRの活動(2022-2023年)を中心とした日本におけるSMRに関するR&Dの調査結果をまとめた。本報告書は、SMRに関する今後の国際協力の議論や国内外の原子力分野の人材育成に役立てることを目的としている。この中で、日本の革新炉のR&Dの主なトピックスとして、高温ガス炉(HTGR)とナトリウム冷却高速炉(SFR)に関して、実用化に必要な技術と現状のギャップを同定している。また、HTGRと水素製造施設の相互接続に関連して、水素製造施設からの可燃性ガスの漏洩と異常発生が安全性に与える影響等について整理している。

論文

Quantifying uncertainty induced by scattering angle distribution using maximum entropy method

丸山 修平; 山本 章夫*; 遠藤 知弘*

Annals of Nuclear Energy, 205, p.110591_1 - 110591_13, 2024/09

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)

This study developed a new method for evaluating the uncertainty in reactor core/shielding characteristics attributable to the scattering angle distribution, employing a random sampling (RS) technique integrated with continuous energy Monte Carlo (CEMC) calculations. The impact of neutron scattering angle is not negligible in the analysis of fast reactor cores and shielding. Recent advancements have enabled the high-accuracy assessment of nuclear data-induced uncertainty by merging CEMC calculations and the RS technique. Nonetheless, a method to quantify uncertainty due to scattering angle distribution remains unestablished. This study introduces a new approach for uncertainty quantification related to scattering angle distribution in CEMC-RS, utilizing the maximum entropy method. The effectiveness of this method was verified through comparison with results from the classical deterministic uncertainty quantification approach based on generalized perturbation theory. Overall, this method offers a more accurate tool for nuclear engineers and researchers in evaluating and managing uncertainties in reactor design and safety analysis.

論文

Enthalpy measurement on (U$$_{1-x}$$Pu$$_{x}$$)O$$_{2}$$ (x = 0, 0.18, 0.45, and 1) and analysis of heat capacity

廣岡 瞬; 森本 恭一; 松本 卓; 小笠原 誠洋*; 加藤 正人; 村上 龍敏

Journal of Nuclear Materials, 598, p.155188_1 - 155188_9, 2024/09

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)

酸化物燃料の温度解析において重要な役割を持つ比熱は、特に高温領域において文献間でばらつきが大きい。さらに、UO$$_{2}$$のデータと比べてPuO$$_{2}$$やMOXのデータは報告例が少ないため、比熱においてPu含有率の依存性の評価が困難である。本研究では、UO$$_{2}$$、PuO$$_{2}$$、MOX (Pu=0.18, 0.45)を対象に、ドロップカロリメータを用いて最高2200Kのエンタルピーのデータを取得した。取得したエンタルピーの温度依存性を評価することで比熱を算出した。エンタルピー、比熱ともに、2000Kまでは温度とともにほぼ線形に上昇し、2000Kを超えると急激に上昇する結果が得られた。2000K以下のデータは文献値とよく一致し、2000K以上のデータは文献値と大きく異なる結果となった。この結果について、酸素及び電子正孔対の欠陥の観点で考察を行った。

論文

移流渦を伴うガス巻込み水流動試験解析へのAMR法の適用

松下 健太郎; 江連 俊樹; 藤崎 竜也*; 今井 康友*; 田中 正暁

日本機械学会2024年度年次大会講演論文集(インターネット), 5 Pages, 2024/09

ナトリウム冷却高速炉の炉上部プレナム部設計に向けて、自由表面渦によるガス巻込み現象の評価手法が開発されている。この評価手法では、評価対象領域における三次元流動解析から得られた流速場に渦モデルを適用することによって渦のくぼみを予測する。本研究では、解析メッシュを自動的に作成することを目的に、移流渦を伴う矩形流路におけるガス巻込み水試験を対象にAdaptive Mesh Refinement(AMR)法の適用を検討した。AMR法を適用する初期メッシュのサイズをパラメーターとして変更して、AMR法を適用して得られた解析メッシュを用いて過渡解析を実施した。その後、リファレンスとなる一様詳細メッシュでの過渡解析結果と、渦形成に関連する物理量と計算にかかる負荷について比較した。その結果、メッシュ数の変化がAMR法による詳細化の終了判定の指標にできる見通しが得られ、AMR法の適用によって過渡解析にかかる計算負荷を低減可能であることが確認された。

論文

自然循環崩壊熱除去時炉容器内熱流動解析評価手法の整備; 過渡解析への適用性検討

浜瀬 枝里菜; 三宅 康洋*; 今井 康友*; 堂田 哲広; 小野 綾子; 田中 正暁

日本機械学会2024年度年次大会講演論文集(インターネット), 5 Pages, 2024/09

ナトリウム冷却高速炉の設計において、浸漬型直接炉内冷却器を用いた自然循環崩壊熱除去時に生じる炉心-プレナム相互作用現象を評価するため、炉心部の熱流動解析の計算負荷を合理的に低減した原子炉容器内熱流動解析評価手法(RV-CFD)を整備している。本研究では、集合体内燃料ピンの熱容量を考慮した非熱平衡モデルを整備し、原子炉スクラムによる出力低下を模擬した過渡試験解析を実施して、RV-CFDの過渡解析への適用性を確認した。

論文

金属燃料ナトリウム冷却高速炉の安全解析に関する研究; プロジェクト全体概要

山野 秀将; 二神 敏; 堂田 哲広; 田上 浩孝; 内堀 昭寛; 尾形 孝成*; 太田 宏一*

日本機械学会2024年度年次大会講演論文集(インターネット), 5 Pages, 2024/09

Japan Atomic Energy Agency and Central Research Institute of Electric Power Industry have been conducting a project to develop safety analysis methodologies on metal fuel sodium-cooled fast reactors in the area of advanced reactors under the framework of the U.S.-Japan bilateral commission on civil nuclear cooperation since 2018. The project encompasses analysis methodology development and experiment on core bowing reactivity analysis, core damage accident analysis, and mechanistic source-term analysis. This report describes the project overview and the outcomes of five-year activities in Phase 1: 2018-2022.

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