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海老原 健一; 蕪木 英雄
ISIJ International, 52(2), p.181 - 186, 2012/02
被引用回数:17 パーセンタイル:38.1(Metallurgy & Metallurgical Engineering)原子炉やその他の構造材等の水素脆化研究において、鋼材中の水素存在状態の同定は必要不可欠である。水素存在状態の同定には、昇温脱離分析によって得られる、一定割合で熱せられた試料からの放出水素量と試料温度との関係である水素熱放出曲線が有用であるが、放出曲線には、試料の大きさ,昇温速度,水素拡散の速度,欠陥による水素のトラップ効果などのさまざまな因子が影響するため、水素放出過程のモデル化が必要となる。本論文では、水素放出曲線を数値的に再現できる既存のモデルを、水素放出の律速条件によって分類し、モデルの歴史的背景を含めて概観した。またそれぞれのモデルの適用範囲についても言及した。
海老原 健一; 板倉 充洋; 山口 正剛; 蕪木 英雄; 鈴土 知明
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 2, p.38 - 43, 2011/10
鉄鋼材料の水素脆化を説明するモデルとして、鉄鋼中の粒界に水素が偏析し粒界強度が低下するとした粒界剥離モデルが提唱されているが、このモデルの妥当性を検証するためには、実際の引張試験条件下において、粒界での応力と水素濃度を評価する必要がある。そこで、本研究では三次元多結晶体モデルを用い、その粒界において応力及び水素濃度の評価を行った。なお、多結晶は、乱数を用いたボロノイ分割により生成し、各粒には異なる結晶方向を与えた。また、計算の境界条件としては、引張試験条件の下で、切欠き付き丸棒試料モデルにおいて計算した結果から切り抜いたデータを用いた。得られた粒界応力の評価結果によると、評価した応力は評価した水素量の条件下で第一原理計算により見積もられた破断応力には達せず、結晶の異方性のみによる応力集中では粒界剥離は起こらないと考えられ、他の要因を考察する必要があることが明らかとなった。
海老原 健一; 板倉 充洋; 山口 正剛; 蕪木 英雄; 鈴土 知明
Proceedings of Joint International Conference of 7th Supercomputing in Nuclear Application and 3rd Monte Carlo (SNA + MC 2010) (USB Flash Drive), 6 Pages, 2010/10
鉄鋼材料の水素脆化を説明するモデルとして、鉄鋼中の粒界に水素が偏析し粒界強度が低下するとした粒界剥離モデルが提唱されているが、このモデルの妥当性を検証するためには、実際の引張試験条件下において、粒界での応力と水素濃度を評価する必要がある。そこで、本研究では三次元多結晶体モデルを用い、その粒界において応力及び水素濃度の評価を行った。なお、多結晶は、乱数を用いたボロノイ分割により生成し、各粒には異なる結晶方向を与えた。また、計算の境界条件としては、引張試験条件の下で、切欠き付き丸棒試料モデルにおいて計算した結果から切り抜いたデータを用いた。得られた粒界応力の評価結果によると、評価した応力は評価した水素量の条件下で第一原理計算により見積もられた破断応力には達せず、結晶の異方性のみによる応力集中では粒界剥離は起こらないと考えられ、他の要因を考察する必要があることが明らかとなった。
名越 正泰*; 河野 崇史*; 槇石 規子*; 馬場 祐治; 小林 克己*
Surface and Interface Analysis, 40(3-4), p.738 - 740, 2008/04
被引用回数:3 パーセンタイル:7.04(Chemistry, Physical)放射光の高エネルギーX線を用いた斜入射X線光電子分光法(XPS)を鏡面研磨したステンレス鋼及びシリコンウェハーの表面分析に応用した。斜入射X線を用いる利点は、斜入射X線の表面における進入深さが数ナノメーターと浅いため、XPSにおけるバックグラウンドを低減することができることである。実験は高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所放射光科学研究施設のBL-27Aで行った。1.8keVから3.6keVのエネルギーの放射光軟X線を種々の入射角で試料表面に照射した。光電子は3keVまで測定可能な半球型電子分光器により測定した。全反射条件下で光電子分光スペクトルを測定したところ、XPSのバックグラウンドが著しく低下することを確認した。この結果を、バックグラウンドの理論計算と比較したうえで、X線の進入深さと光電子の非弾性平均自由行程の関係において議論した。また、得られたスペクトルから、深さ方向の情報が得られるかどうかについても検討した。
山口 正剛; 海老原 健一; 板倉 充洋; 鈴土 知明; 蕪木 英雄
no journal, ,
鉄鋼材料の粒界水素脆性メカニズムにはさまざまな説があり、そのメカニズムが不明である。われわれは第一原理計算によって鉄の粒界に水素が室温においても十分偏析すること、偏析すると粒界の凝集エネルギーを低下させるので、リンや硫黄による低合金鋼の焼き戻し脆性と同様に粒界割れを引き起こしうることを示した。また、リンや硫黄の場合などとは異なり水素は室温でも十分に拡散が速いため、水素脆化の場合には粒界偏析できる以上の水素が粒界凝集エネルギーの低下に寄与できるため、粒界強度が最終的に70%程度減少することを示した。
蕪木 英雄; 門吉 朋子; 板倉 充洋; 山口 正剛
no journal, ,
多くの単結晶は、温度,ひずみ速度の変化により脆性-延性遷移を示す。すなわち、これらの物質は低温や高いひずみ速度下で脆性を示し、温度の上昇やひずみ速度の低下により延性を示すようになる。この遷移現象の微視的機構は明らかになっておらず、物質中の粒界,転位,微小き裂の存在が大きく影響することが実験結果から予測されている。ここでは分子動力学法により、鉄の破壊現象における脆性-延性遷移の微視的機構を明らかにするため、温度,ひずみ速度を従来の計算より幅広く変化させた結果を示す。その結果、原子論的手法による計算では遷移温度が高温側へ移動していることが明らかになった。
蕪木 英雄
no journal, ,
鉄等のBCC結晶構造を持つ金属の破壊現象においては、温度やひずみ速度の変化により延性から脆性破壊に遷移することが知られている。この延性-脆性遷移の原因を明らかにするために、実験,理論,数値シミュレーションによる解析が行われてきたが、き裂,転位等の振舞いをマクロからミクロに至る広範囲のマルチスケール的観点から追跡する必要があり、未だ根本的な理解が得られているとは言い難い。ここでは純鉄の延性-脆性遷移のメカニズムを原子のレベルから探るため分子動力学法を用い、粒界を導入し、温度,ひずみ速度等の幅広いパラメータ領域で数値シミュレーションを実施した。この結果、分子動力学法で設定するひずみ速度が大きいため、実験に比較して遷移温度が高温側へ移動していることを見いだした。
海老原 健一; 蕪木 英雄; 高井 健一*
no journal, ,
鉄鋼の水素脆化機構の理解のためには、鋼材中の水素存在状態に大きく影響する水素と格子欠陥の結合エネルギーを適切に評価する必要がある。近年、原子レベルの計算により結合エネルギーの見積もりが可能となった。また、低温からの昇温脱離解析(TDA)で比較的小さい結合エネルギーの欠陥の水素放出ピークが同定可能となったことから、そのような欠陥の結合エネルギーを実験的に評価できるようになった。そのため、両者の比較により実際の結合エネルギーを考察することが可能となると考えられる。しかし、TDAから結合エネルギーを評価できるChoo-Leeの手法は、水素放出過程が熱解離律速であることが前提であるため手法の適用条件は限定的である。よって、本研究では、Choo-Leeの手法の適用条件を数値解析によって考察し、その結果、結合エネルギーの算出精度は、昇温脱離解析の初期状態に大きく依存し、水素を吸蔵した試料を水素放出開始温度より低温で保持した場合、熱解離律速条件が緩和されることがわかった。この結果は、欠陥と水素の実際の結合エネルギーを同定するための知見を与え、水素脆化機構の理解に寄与すると考えられる。
山口 正剛; 亀田 純*; 海老原 健一; 板倉 充洋; 蕪木 英雄
no journal, ,
中強度から高強度の鉄鋼材料において、腐食環境等からの水素侵入が粒界割れを引き起こすことはよく知られているが、そのメカニズムはよくわかっていない。われわれはここ数年にわたって鉄の結晶粒界における水素の偏析とその脆化効果すなわち粒界凝集エネルギーを低下させる効果を第一原理計算によって調べてきた。今回、平衡偏析のマクリーン理論を偏析した水素原子間の相互作用を取り込めるように一般化することによって、水素のモバイル効果すなわちき裂の進展に伴って新たに生成される破壊表面に水素が次々と吸着することによる脆化効果の見積りが可能となり、水素による鉄の粒界凝集エネルギー低下の大部分はこのモバイル効果によってもたらされることを示した。
蕪木 英雄; 板倉 充洋; 山口 正剛
no journal, ,
bcc結晶の脆性-延性遷移と関連して、bcc鉄結晶のき裂先端からの転位射出は、原子論的手法から連続体の手法までいろいろな観点から研究されてきたが今だ明確になっていない。ここでは分子動力学法を用い、擬2次元及び3次元の大きな体系における温度による転位射出条件を調べた。低温50Kでは転位の射出は観測されず、き裂先端が波状に不安定化するのがみられた。一方高温500Kでは転位の射出が観測された。擬2次元,3次元の体系による結果より、き裂先端に生成されるfcc相が転位射出に関与していることがわかった。