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山田 進; 奥村 雅彦; 今村 俊幸*; 町田 昌彦
Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics, 28(1), p.141 - 151, 2011/04
被引用回数:2 パーセンタイル:21.31(Mathematics, Applied)本発表は、CREST及び科学研究費補助金研究の計画に従い実施した量子多体問題に対するシミュレーション手法である密度行列繰り込み群法(DMRG法)の並列化に関する研究成果である。特筆すべき成果は、本来1次元モデル用の手法であるDMRG法を直接2次元モデル用に拡張すると、計算量やメモリ量が増加するため一般の計算機では計算が困難であったが、発表者らが提案した問題の物理的性質(隠れた量子系特有の対称性)を利用した並列化手法を用いると、2次元モデルのシミュレーションが可能になるという点である。この成果の波及効果は大きく、今後、大規模並列計算機を用いると、2次元量子多体問題の高速かつ正確なシミュレーションが可能になる。なお、本成果は科学技術振興機構・受託研究「超伝導新奇応用のためのマルチスケール・マルチフィジックスシミュレーション基盤の構築」の研究成果である一方、原子力材料のマルチスケールシミュレーション研究開発にも資する成果である。
太田 幸宏; 町田 昌彦; 小山 富男*
Physica C, 470(Suppl.1), p.S489 - S490, 2010/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Applied)鉄砒素系超伝導体における粒間ジョセフソン電流をミクロな視点から考察する。特に、非コヒーレントトンネル過程が主たる寄与を与え、かつ2個あるバンド間について状態密度と超伝導ギャップの値それぞれが等しいとき、波対称性の結果として粒間ジョセフソン電流の著しい減少が発生することを明らかにする。さらには、粒間臨界電流を増大させるうえで重要な因子についても議論する。
山田 進; 奥村 雅彦; 町田 昌彦
Journal of the Physical Society of Japan, 78(9), p.094004_1 - 094004_5, 2009/09
被引用回数:11 パーセンタイル:56.99(Physics, Multidisciplinary)核燃料の主要物質である酸化プルトニウムなどの量子効果が大きい物質の物性を計算機シミュレーションで調査するには、ミクロレベルでの大規模な計算が必要であり、その有力な計算方法の1つに密度行列繰り込み群法(DMRG法)がある。DMRG法は本来1次元モデル用に開発された方法である。しかし、物質の興味深い性質の多くは、その2次元構造により発現すると考えられており、DMRG法を2次元モデル用に拡張することが望まれているが、その拡張により計算量は指数関数的に増加する。そこで、発表者らは計算量の多い部分が行列とベクトルの掛け算であることを見いだし、この演算を問題の物理的性質を利用する並列化手法を提案した。この並列化により、準2次元モデルを計算することが可能になり、実際、原子力機構のSGI Altix3700Bx2を利用することで、これまで高精度で計算することのできなかった420サイトの物理モデルを高精度で計算することに成功した。
山田 進; 今村 俊幸*; 町田 昌彦
日本計算工学会論文集(インターネット), 2009(15), 12 Pages, 2009/09
酸化プルトニウムなどの第一原理計算が有効でない物質をシミュレーションする有効な方法の1つに密度行列繰り込み群法(DMRG法)がある。DMRG法は本来1次元モデル用の方法であるが、発表者らがこれまでに提案した並列化により2次元モデルを高精度にシミュレーションすることが可能になった。この並列化ではall-to-all通信を利用しているが、この通信はすべてのプロセス間で通信するため、ネットワークに負担がかかる。現在主流の計算機であるマルチコアクラスタは、ネットワークの帯域に対するプロセス数が多いため、all-to-all通信には適しておらず、並列数を増やすと計算性能が低下する。そこで、問題の物理的性質を利用して通信データのパターンを適切に組合せることで、all-to-all通信を用いない通信アルゴリズムを提案した。この通信方法を用いた並列DMRG法をマルチコア計算機である東京大学のT2Kで実行したところ、これまでの方法と通信量はほぼ同じであるにもかかわらず、最大で4倍以上の通信性能の向上を実現した。
太田 幸宏; 町田 昌彦; 小山 富男*; 松本 秀樹*
Physical Review Letters, 102(23), p.237003_1 - 237003_4, 2009/06
被引用回数:61 パーセンタイル:88.93(Physics, Multidisciplinary)汎関数積分法に基づき、1ギャップ及び2ギャップ超伝導体間で構成されたヘテロ型SISジョセフソン接合に対する理論を構築する。構築された理論より、超伝導位相に関して同相型及び逆相型の集団励起モードの存在が示される。前者はジョセフソンプラズマ振動モードに対応し、その振動数は波ペア対称性のため劇的に減少する。一方、後者はバルク超伝導体におけるレゲットモードに対応する。われわれはまた、この接合の臨界電流やフラウンホーファー回折パターンが、2ギャップ超伝導体におけるペア対称性のタイプに強く依存することを明らかにする。
奥村 雅彦; 山田 進; 谷口 伸彦*; 町田 昌彦
Physical Review B, 79(18), p.184417_1 - 184417_5, 2009/05
被引用回数:2 パーセンタイル:11.75(Materials Science, Multidisciplinary)固体中の電子に対する量子相関と不純物(ランダムネス)の競合効果は興味深い未解決問題として盛んに研究されている。しかし、電子に対して両者が同じくらい強く効果を及ぼす場合の解析は難しく、あまり研究は進んでいない。特に、強相関領域において不純物効果が磁化に及ぼす影響はほとんど理解されていない。そこで、われわれは、密度行列繰り込み群法を用いて、この競合効果を調べるために標準的に用いられてきたアンダーソン・ハバード模型を解析した。その結果、強結合-強ランダムネス領域において、磁化が局在し、相分離が起こることを発見した。また、この磁化の局在現象は光学格子中原子気体の標準的な観測量である運動量分布を観測することにより、実験で確認可能であることを明らかにした。
奥村 雅彦; 山田 進; 町田 昌彦
素粒子論研究, 116(6), p.F69 - F71, 2009/02
時間依存密度行列繰り込み群法は1次元系に限られるが強相関量子多体系の時間発展を計算できる現在唯一のシミュレーション技法である。しかし、この方法は長時間の時間発展を計算するためにはメモリと計算時間が必要になることが問題であった。われわれはこの問題点を解決するべく、本室で開発済みであった並列化密度行列繰り込み群のプログラムをもとに、並列化された時間依存密度行列繰り込み群を開発した。このプログラムではこれらの問題点が解決されただけでなく、既存の時間依存密度行列繰り込み群のプログラムでは計算が難しかった2レッグラダー系の時間発展を計算することも可能になり、実際会議では2レッグラダー系の計算結果を発表した。また、近年注目を集めている1次元系におけるボース物質波の衝突実験に関連したシミュレーションとして、1次元フェルミ原子ガス塊の衝突のシミュレーションも行った。プログラムのチューニングが途中であり、十分な精度とは言えないものの、実験と同様に塊が衝突を繰り返す傾向が見られた。
今村 俊幸*; 山田 進; 町田 昌彦
情報処理学会研究報告2007-HPC-111, p.167 - 172, 2007/08
エルミート疎行列用の固有値計算アルゴリズムであるLOBPCGはブロック化することで、複数の固有状態を同時に計算することができるが、問題によっては計算が不安定になることが経験的に知られている。そのため、実装時に注目すべき項目を示し、それらの数学的な性質・振る舞い等を議論し、安定に計算するための方法を考察する。実際に、量子問題に対して、複数の固有状態のそれぞれの収束状況を考慮した方法を利用することで、安定に収束することを確認した。
大和田 謙二; 並河 一道; 水木 純一郎; 下村 晋*; 中尾 裕則*; 伊藤 和輝*; 松下 三芳*; 米田 安宏; 村上 洋一*; 廣田 和馬*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 32(1), p.7 - 10, 2007/03
第三世代放射光の登場によりコヒーレントX線回折(CXD)が現実的になってきた。その手法は固体物理に適用されることが期待されている。CXDによるX線スペックルパターンは物質内部の粒子やドメインの配列をよく反映する。そのような配列を理解することは誘電体,圧電体,フォトニック結晶など物質の機能発現を理解するうえで重要となる。われわれはスプリングエイトのBL22XUにおいてCXDができるように装置群を整備した。それらを使い、合金CuAu,誘電体PZN-9%PT,Sr-doped BaTiOのスペックルパターンの観測に成功した。それらの二次元フーリエ像は空間自己相関関数を与え、ミクロスケールのドメイン配列の情報を与える。
奥村 雅彦; 大西 弘明; 山田 進; 町田 昌彦
no journal, ,
近年光学原子気体の実験の進展は目覚ましく、ついにモット絶縁相と金属相の混合気体が実現した。この光学原子気体系は他の物性系と異なり、原子間相互作用の大きさ等を制御することにより強相関系の性質を系統的に調べることが可能であると期待されている。特にこの系は、絶縁体と金属の2相が共存する系であるので、最近酸化物等で注目が高まっている界面の物理を系統的に調べることが可能であると考えられる。そこで、われわれは、原子気体を閉じ込めているポテンシャル中心をずらしたときの原子気体の動的性質を時間依存密度行列繰り込み群法を用いて解析した。その結果、モット絶縁体のまわりに存在する金属相が減衰なしに振動することを発見した。金属相のみの場合の振動は減衰するため、二相が共存することに起因する永久振動現象と考えられる。
奥村 雅彦; 山田 進; 町田 昌彦
no journal, ,
近年光学格子フェルミ原子気体系の実験の進歩は目覚ましく、最近ではモット絶縁相と金属相の混合系が実現した。光学格子フェルミ原子気体系では格子の形状,相互作用の大きさ等を外部の操作で変えることができ、この特徴を活かして物質系での未解決問題にアプローチすることがこの系における大きな目標の一つとなっている。そこで、われわれは、スピン液体や1/3磁化プラトーの出現条件などが未解決問題として残っている幾何学的フラストレーションが存在する三角格子ハイゼンベルグ系が光学格子系で実現するか否かを検証するため、スピンインバランス三角光学格子系を考え、モット絶縁相のスピン分極の大きさを並列化密度行列繰り込み群法で評価した。その結果、モット絶縁相がまわりの金属相にスピンを押しのけることによってフラストレート系の特徴である1/3プラトーを実現することを示した。
奥村 雅彦; 大西 弘明; 山田 進; 町田 昌彦
no journal, ,
近年、光学格子中のフェルミ原子気体の実験は急速に発展しており、固体中の電子を光学格子中の中性フェルミ原子で模倣することが可能になってきている。特に、光学格子系は非平衡状態の生成と観測が容易なので、固体では観測が難しい非平衡状態に関する研究も始まっている。われわれは、光学格子系の非平衡状態の中でも特に、スピン偏極した場合の物質波の重心運動に着目し、スピンの偏極効果が重心運動に及ぼす影響について調べた。その結果、偏極していない場合に比べて重心運動が著しく減衰することがわかった。これは現在の実験技術で観測可能な現象である。この非自明な現象は、スピン偏極した超伝導と深く関係していると予想されるが、その原因については未だ明らかになっておらず、現在解析を進めている。
奥村 雅彦; 大西 弘明; 山田 進; 町田 昌彦
no journal, ,
近年、光誘起現象に基づいた金属-絶縁体総転移現象が注目を集めている。この現象は、絶縁体に光を照射して金属に転移させるという現象であるが、相転移を外場によって制御できるということだけでなく、光の照射後に超高速緩和が起こり、短時間で金属から絶縁体に戻るという特性も関心を集めている理由の一つである。この特性を活かすことができれば、電流オン・オフの超高速スイッチングが可能になるため、次世代デバイス開発につながる技術として研究が続けられている。しかし、数値シミュレーションを含む理論計算では超高速緩和を説明することはできていない。そこで、われわれは系の可積分性に着目し、閉じ込めポテンシャルによって可積分性が壊れている光学格子系における絶縁相の破壊と緩和を時間発展密度行列繰り込み群法を用いて評価した。その結果、可積分性が壊れている光学格子系では、緩和が早くなることがわかった。しかし、超高速緩和と呼べるほど早くはないので、さらに異なる可積分性の破り方が必要だと考えられる。
奥村 雅彦; 山田 進; 町田 昌彦; 青木 秀夫*
no journal, ,
近年、中性原子気体系における光学格子実験が急速に発達している。この実験では、固体中の電子の振る舞いを記述する基礎模型であるハバード模型が実現していることがわかっている。現在、この光学格子系でハバード模型のさまざまな性質を探ることにより、固体中の電子の振る舞いを知ろうとする研究が進んでいる。その中で、長年の問題である「ハバード模型は強磁性(磁石)を記述できるか」という問いに答えるべく、われわれは、光学格子系における強磁性発現条件を並列化密度行列繰り込み群法を用いて解析した。その結果、原子間相互作用がとても大きい場合に、磁化がない領域,少し磁化がある領域,強磁性を示す領域に相分離した基底状態を発見した。さらに、上向きスピンを持つ原子と下向きスピンを持つ原子の数を変えることによって、光学格子実験でよく用いられるin situ imaging法でその強磁性領域を観測することができることを発見した。
太田 幸宏; 中井 宣之; 中村 博樹; 町田 昌彦; 猪谷 大介*; 大橋 洋士*; 小山 富男*; 松本 秀樹*
no journal, ,
鉄砒素系超伝導体のペア対称性同定について多くの研究が行われている。われわれは多径路トンネル接合の理論を構築し、この課題に取り組みたい。ここではヘテロ型多径路SISトンネル接合に着目し、Ambegaokar-Baratoff関係式を導出し、波対称性と仮定した場合のの下限を求める。そして、現実的な物質パラメーターを用いることで、この下限が波対称性を仮定した場合についてはの上限に対応することを示す。さらにShapiroステップも議論する。得られた結果に基づき、ペア対称性の同定法を提案する。
太田 幸宏; 町田 昌彦; 小山 富男*; 青木 秀夫*
no journal, ,
鉄砒素系超伝導体の発見及び複数原子種からなる冷却原子系の実現可能性より、多バンド超伝導や多バンド超流動の研究、特にそのバンド数が2以上であるような場合に関して、重要性が増している。われわれは、バンドBCS理論に基づき多バンド超流動/超伝導を調べた。鉄砒素系超伝導体のように、の場合は、複数個のバンド間ジョセフソン電流が存在する。このため、集団励起モードにも複数のダイナミックスが発生する。これはバンド間ジョセフソン電流のパリティで分類できる。このように、多バンド超流動/超伝導を特徴付けるのに"dynamical class"の概念が重要であり、バンド間のギャップ関数の相対位相がconventionではなく本質的に効くことを提案する。
太田 幸宏; 町田 昌彦; 小山 富男*; 青木 秀夫*
no journal, ,
鉄砒素系超伝導体の発見及び複数原子種からなる冷却原子系の実現可能性より多バンド超伝導や多バンド超流動の研究、特にそのバンド数が3以上であるような場合に関して、重要性が増している。われわれはバンドBCS理論に基づき多バンド超流動-超伝導を調べた。鉄砒素系超伝導体のように、の場合は複数個のバンド間ジョセフソン電流が存在する。このため集団励起モードにも複数のダイナミックスが発生する。これはバンド間ジョセフソン電流のパリティで分類できる。このように多バンド超流動-超伝導を特徴付けるのに"dynamical class"の概念が重要であり、バンド間のギャップ関数の相対位相が本質的に効くことを提案する。
山田 進; 今村 俊幸*; 奥村 雅彦; 五十嵐 亮; 町田 昌彦
no journal, ,
第一原理計算が有効に利用できない量子効果の強い物質群の物性を調査するシミュレーション手法の1つに集行列繰り込み群法(DMRG法)がある。このDMRG法は本来1次元の格子モデル用に開発された方法である。しかし、高温超伝導などの興味深い現象を示す物質の多くは2次元構造をしているため、DMRG法を準2次元モデル用に拡張することが望まれている。しかし、高精度を保ったまま、DMRG法を準2次元モデル用に拡張すると計算量やメモリ使用量が指数関数的に増加するため、2次元化のためには並列計算が必須となる。そこで、発表者らは、物理モデルの並列性を利用し、次世代計算機のような超並列計算の利用を想定した並列計算手法を提案した。実際に、東京大学のT2Kクラスタシステムを利用して準2次元モデルを並列計算したところ、1000コアを超える並列計算においても、並列化の効果が得られ、高速化することが確認できた。この結果から、本並列計算手法が超並列計算機向きであることが示せた。
山田 進; 奥村 雅彦; 五十嵐 亮; 町田 昌彦
no journal, ,
量子効果が強く第一原理計算が有効に利用できないミクロレベルの物性のシミュレーションに有効な手法に密度行列繰り込み群(DMRG)法がある。このDMRG法を用いて、一粒子励起スペクトルなどのより詳細な物理量を計算する方法として動的DMRG法が提案されている。この動的DMRG法では複素対称行列を係数に持つ連立一次方程式を計算する必要があり、方程式を変形して係数行列を変形実対称行列にして、CG法で計算するのが一般的である。しかし、この変形により行列の性質が悪くなるため、多くの計算時間を必要とする。そこで、発表者らは複素対称行列を係数に持つ連立一次方程式を直接計算できるCOCG法を採用した。実際の数値計算の結果から、COCG法を用いると、これまでのアルゴリズム(CG法)の数分の1の計算時間で連立一次方程式を計算できることを確認した。また、この高速化により全体の計算時間が半分以下に減少することも確認した。
太田 幸宏; 町田 昌彦; 小山 富男*
no journal, ,
最近の鉄系超伝導の発見により複数個のオーダーパラメータを有する超伝導の研究に関する重要性が増している。本講演では、ギャップ系でのGinzburg-Landau(GL)方程式を導出し、その解空間の非自明な構造を数理的に明らかにする。得られた方程式は結合した非線形偏微分方程式であり、通常の非線形項に加えて、オーダーパラメータ間の相互作用が存在する。われわれは線形化GL方程式に基づき、の場合において非同値な解のクラスが存在することを示す。こうした数理的構造はの場合は存在しない。講演では、結果の一般化についても議論したい。