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宮内 裕*
PNC TJ899 85-04, 120 Pages, 1985/12
経験的にPurex抽出サイクルの除染能力は,系内の溶媒性能により大きく変化することが古くより判っている。それは新溶媒についても言えることで,98.5%以上の純度を持つTBP工業製品でもメーカーによる差が見られた。この報告はその原因を組成面と物性面から解明すべく行なった研究の内容である。▲動燃事業団殿より提供された3種の工業製品TBP-A,B,Cの比較検討した。基礎物性はこの三者の間で顕著な差がない。ウラン濃厚溶液との振とう後のO/W又はW/O滴の破壊時間はB,A,Cの順に長くなる。DBPはA,B,Cの順に多く(最大150ppm)なる。リン酸ジブチル=イソブチル(DNBIB)と同定された不純物はAとBでほぼ等量の0.2%,Cはその倍量である。Cには更にリン酸ジブチル=1-メチルブチル(DNB2P)の0.8%と分子量354のリン酸エステル系と考えられる200ppm程度の不明成分(ピーク4)が検出される。同定不可能な微小成分はなお若干存在する。DNBIB,DNB2Pおよびピーク4のモデル化合物としてのリン酸トリス(2-エチルヘキシル)(T2EH)につき,それぞれ単独の,2水準のTBPとの調合溶液を作り,上記A,B,Cと合せ9種類の試料のウラニル・イオン移動速度係数とルテニウム分配係数を測定した。不純物の影響は抽出速度係数と抽出・逆抽出分配係数のいずれに対してもDNBIBは増大方向に働き,残りの二者は減少させる。DNB2PよりもT2EHのほうが効果は大きい。以上によりA,B,Cの示す抽出性,逆抽出性が定性的には理解できる。なおDNBIBとDNB2Pの標品は市販品がなかったので,我々で合成した。最後に,結果のさしあたっての品質管理に対する応用方法と,今後のつめに関する方針についてまとめた。
Myagmarjav, O.; 稲垣 嘉之; 久保 真治; 井岡 郁夫; 田中 伸幸; 岩月 仁; 野口 弘喜; 上地 優; 坂場 成昭
no journal, ,
熱化学水素製造法ISプロセスの高効率化を図るため、ブンゼン反応における循環物質量を低減する基盤技術を開発した。本プロセスの主反応の一つであるブンゼン反応において、従来の二液相分離法は大量の循環物質(ヨウ素)を 必要としていた。ここに、イオン交換膜型ブンゼン反応を適用することで循環物質の大幅な削減ができる。共同研究機関が開発した放射線グラフト・架橋技術によるイオン交換膜を用いた膜ブンゼン反応器を開発し、従来の反応条件であったI/SO=9よりも大幅にヨウ素が少ない条件(I/SO=1.21.8)でブンゼン反応を進行させることができた。
坂場 成昭; 稲垣 嘉之; Myagmarjav, O.; 野口 弘喜; 岩月 仁; 田中 伸幸; 上地 優; 井岡 郁夫; 久保 真治
no journal, ,
太陽熱を利用する熱化学水素製造法ISプロセスにおいて水素製造効率40%を達成するため、膜分離技術を導入した膜分離新ISプロセスの研究開発を行っている。太陽熱利用では、ISプロセスの硫酸分解を 従来800-900Cで進めていた硫酸分解反応を600Cで行うため、反応転化率が低下し、水素製造熱効率も低くなってしまう。この反応転化率を改善するための膜反応器に必要な酸素透過膜および触媒の開発を行っている。さらに、HI分解反応で用いるHIやIの循環量を低減するための水素分離膜、触媒を開発および酸生成反応に用いるカチオン交換膜、耐食材料技術の開発も進めている。本会議では、これら研究成果の報告を行う。