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西畑 保雄; 田中 裕久*; 御立 千秋*; 笠井 秀明*
工業材料, 62(5), p.41 - 44, 2014/05
自動車排ガスを浄化するための触媒にはパラジウム、白金、ロジウム等の貴金属が使用されており、全世界の年間需要の半分以上をその用途に充てられている。その貴金属を銅、ニッケル、鉄等のユビキタスな元素に置き換える技術が望まれている。ガス分子と反応するためには、金属元素のd軌道のエネルギー準位がフェルミ準位近傍にあることが必要で、遷移金属元素の電子状態を修正する必要がある。そこで、実環境ではどうしても避けられない酸素原子の存在を前提とし、酸化銅を利用して銅の電子状態を理論的に設計した。金属粒子-担体間の相互作用、金属粒子の合金化等の方法により、酸化銅の表面を改質できることを実験的に示した。この銅系新触媒は、エンジン定常状態において高い浄化率を示し、初期性能としては白金と遜色ない性能が得られた。
西畑 保雄; 松村 大樹
放射光, 26(2), p.57 - 63, 2013/03
インテリジェント触媒(自動車触媒)の自己再生及び触媒反応中の貴金属Pdナノ粒子の状態変化をXAFSにより「その場」観察し、従来型の担持触媒と異なった振る舞いを明らかにした。酸化銅の表面で高い触媒活性が得られるという理論的指針に基づき、貴金属の代替元素として主としてCuを検討した。金属ナノ粒子-担体間の相互作用を制御することにより、Cuの酸化還元特性を貴金属に近づけることができることがわかった。また、貴金属に比べて性能の劣る元素であるCuとNiを組合せたところ、NO還元性能が向上した。Ni-Cu合金ではNiの優先的酸化によりCu表面の還元状態が維持されていることがわかった。この様な設計指針により開発されたCu触媒は、初期品の限定的な条件下ではあるが、高い触媒性能を達成することができた。